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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(32)雪踏み平(なら)し

2011年04月29日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年8月12日】

あらたしき 年の初めは 弥年いやとしに 雪踏みならし つねかくにもが


書持 の 夢での 歌批評
家持は うたう喜び 感じていた
 そうじゃ 歌は 楽しむもの
 上手うまくなろう
 先人さきひとに 追いつこう
 など と 思うては ならぬのじゃ
 これ こそ 歌が宿しおる心
  と遊ぶ
 これ じゃ これ
 やはり  書持 歌の師じゃ)

天平 勝宝二年(750)暮から 翌年初め
 の日が続く

 十二月】雪の日
この雪の 消残けのこる時に いざ行かな 山たちばなの 実の照るも見む
《この雪が 消えまだらなる 時分とき来たら 橘実たちばな照るん 見に行こかいな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二二六)

【正月二日】かみ館でのうたげ 時に雪四尺
あらたしき 年の初めは 弥年いやとしに 雪踏みならし つねかくにもが
瑞兆ずいちょうの 雪踏み固め 新年に つどうたげを 毎年したい》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二二九)

【正月三日】すけ内蔵縄麻呂くらのつなまろ館の宴
降る雪を 腰になづみて まゐし しるしもあるか 年のはじめ
《積る雪 腰でき分け 来た甲斐かいが あるうもんや 初春らしな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二三〇)

積もり し雪を 固め積んで
白いいわおの 彫刻ほりものにして
なで しこ花を 布もて作り
おもむき深く 飾りし庭に

なでしこは 秋咲くものを 君が家の 雪のいはほに 咲けりけるかも
撫子なでしこは 秋に咲くのに この庭の 雪積み岩の 上で咲いとる》
                         ―久米広縄くめのひろつな―(巻十九・四二三一)
雪の山斎しま いはに植ゑたる なでしこは 千世ちよに咲かぬか 君が插頭かざしに
《雪の庭 雪岩ゆきいわ植えた 撫子なでしこは 守殿あんたの髪で ずっと咲くかな》
                         ―遊行女婦蒲生うかれめがもう―(巻十九・四二三二)
うち羽振はぶき とりは鳴くとも かくばかり 降りく雪に 君いまさめやも
《羽ばたいて とりが鳴いても こないにも 雪積ってて 帰れまへんで》
                         ―内蔵縄麻呂くらのつなまろ―(巻十九・四二三三)
鳴くとりは いやしき鳴けど 降る雪の 千重ちへめこそ 我が立ちかてね
とり鳴いた また鳴いたけど 山ほどに 雪積ったで 腰上げられん》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二三四)