goo blog サービス終了のお知らせ 

令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(34)直(ただ)目(め)に見ねば

2010年12月17日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年4月12日】

・・・真澄鏡まそかがみ ただに見ねば したひ山 下行く水の うへでず・・・


〔今度は 相聞そうもん
 田辺福麻呂さきまろ殿も 人の子
 相手は どんな女児おみなごであろう
 おお 名前は 白玉しらたまと申すか
 いやいや  白玉の如き 可愛げな名か〕
 
しらたまの 人のその名を なかなかに ことしたへ 逢はぬ日の 数多まねく過ぐれば 
恋ふる日の 重なりゆけば 思ひる たどきを知らに きも向ふ 心くだけて
 
真珠玉しんじゅだま 大事に思う 児の名前 心にめて 口せんと 逢わん日なごう って仕舞
 がれる日ィが かさなって 気分を晴らす すべて 心はえて しぼんでる》 

玉襷たまだすき けぬ時なく 口まず が恋ふる児を 
玉釧たまくしろ 手に取り持ちて 真澄鏡まそかがみ ただに見ねば 
した
ひ山 下行く水の うへでず おもこころ 安きそらかも

《ずっと気にけ おもうてて 名前呼ぶんも 胸の中
 わしの可愛児かわいこ 手に取って じかに見ること 出けんので
 山の木の下 もぐる水 表にせん この気持ち 安らぎせんで 鬱々うつうつしてる》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―〔巻九・一七九二〕

かきほなす 人の横言よここと しげみかも 逢はぬ日数多まねく 月のぬらむ
《周りみな うわさ五月蝿うるそう うもんで 逢えん日続き もう一月ひとつきや》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―〔巻九・一七九三〕

たちかはり 月重なりて 逢はねども さね忘らえず 面影おもかげにして
《月変わり もう何月なんつきも 逢わんけど 顔ちらついて 忘れられんで》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―〔巻九・一七九四〕

微笑ほほえましく読む 家待の胸に 大嬢おおいらつめが浮かぶ
〔そう云えば  大嬢め
 『越は  海辺の国 さぞかし 美しい白玉が 沢山に』と 申しておった 
 早速に  手に入れ 送ってやるとするか〕
〔ん? 父と云い 書持ふみもちと云い
 今度は  大嬢?
 まさか 
 田辺福麻呂さきまろ殿の 思惑?
 まさか  まさか・・・〕