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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(一)(19)截(た)ち焼くごとし

2010年06月29日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年8月3日】

のほどろ 出でつつらく たびまね
              なればわが胸 ち焼くごとし




他人ひとの噂も 七十五日
家持  窮余の一策
功を奏したかは  分からぬが
決死の妻問い再開に 
呆気あっけないほどの 知らん顔
他人ひと醜聞うわさに 長々付き合うほど
世の人は  暇でない

やっと 二人は 穏やかな逢瀬おうせを取り戻していた

朝夕あさゆふに 見む時さへや 吾妹子わぎもこが 見とも見ぬごと なほ恋しけむ
《朝晩に お前に逢える 時来ても 逢うてないは 恋してならん》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四五〉 
ける世に われはいまだ見ず ことえて かくおもしろく へる袋は
《わしいまだ 見たことないわ こんなにも 器用上手に うた袋は》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四六〉 
吾妹子わぎもこが 形見のころも 下に着て ただに逢ふまでは われかめやも
《わたしやと おもてとれた 下衣はだぎ着け じかに逢うまで わしがんとく》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四七〉 

後朝きぬぎぬの別れ 
至福の一夜あればこその切なさ  

のほどろ わが出でて来れば 吾妹子わぎもこが 思へりしくし 面影に見ゆ
よる明けて 帰る途中で 浮かんだで 思い切ない お前の顔が》
                         ―大伴家持―〈巻四・七五四〉 

のほどろ 出でつつらく たびまねく なればわが胸 ち焼くごとし
明方あけがたに 帰ってくるん 重なると 胸張り裂けて 焼けげるや》
                         ―大伴家持―〈巻四・七五五〉