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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

古今相聞往来(下)編(34)灰さすものぞ

2014年01月14日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成26年1月14日】

むらさきは 灰さすものぞ 海石榴市つばいちの 八十やそちまたに 逢へる子や



問答うたの 掛け合い楽し
うたがき男女 聞かせよ名前
じゃれつく男女 相手をかま
めた門抜け 夢合う男女
  
 問答】
むらさきは 灰さすものぞ 海石榴市つばいちの 八十やそちまたに 逢へる子や
海石榴市つばいちの うたがき場所で うた児 あんた名前は なんちゅうのんや》
                           ―作者未詳―(巻十二・三一〇一)
                         (紫は灰さすものぞ=紫染めには椿の灰汁をす→海石榴市)
垂乳根たらちねの 母が呼ぶ名を まをさめど 道行く人を れと知りてか
《おはんが 呼ぶうち名前 てもが ところであんた 何処どこの誰やん》
                           ―作者未詳―(巻十二・三一〇二)

 問答】
いきに が息づきし 妹すらを 人妻なりと 聞けば悲しも
《命やと 思いがれた お前やに 相手るやて 聞かすやないで》
                           ―作者未詳―(巻十二・三一一五)
我がゆゑに いたくなわびそ のちつひに 逢はじと言ひし こともあらなくに
《うち思て そんなしょげなや もうわん うた訳ちゃう かもうただけや》
                           ―作者未詳―(巻十二・三一一六)
  
 問答】
かど立てて したるを 何処いづくゆか 妹がて いめに見えつる
《門めて 戸ぉ鍵したに どこ通り お前来たんか 夢出て来たで》
                           ―作者未詳―(巻十二・三一一七)
かど立てて したれど 盗人ぬすびとの 穿れる穴より 入りて見えけむ
《門めて 鍵したやろが 盗人ぬすっとの 開けた穴から はいったのんや》
                           ―作者未詳―(巻十二・三一一八)


古今相聞往来(下)編(33)母し守(も)らすも

2014年01月10日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成26年1月10日】

たまへば あひるものを 小山田をやまだの 鹿猪ししるごと 母しらすも



滑稽こっけい ひも見て当たる
りきんでみても あぶれて嘆く
怒鳴どなられ男 言い訳男
果てはしんみり 思慕しぼする男
  



針はあれど 妹しなければ 付けめやと 我れを悩まし ゆるひも
《針だけで あの児らんと 縫えんやろ うて悩ます この切れ紐め》【針に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八二)
   
梓弓あづさゆみ 引きてゆるへぬ 大夫ますらをや 恋といふものを しのびかねてむ
ゆるまへん 心を持った 男やに 恋につかまり えられへんで》【弓に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八七)
   
水を多み 上田あげたたねき ひえを多み らえしわざぞ がひとり
《上の田に 種をいたが ひえおおて 間引まびあぶれ わし独り寝や》【田に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九九)
                          (歌垣であぶれた男の歌?)
  
馬柵うませしに むぎこまの らゆれど なほし恋しく 思ひかねつも
始終しょっちゅうに お前のおに 怒鳴どなられる けど恋しいて 思い切れんで》【馬に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇九六)
                         (馬柵~駒の=馬は始終しょっちゅう怒鳴られる)
  
たまへば あひるものを 小山田をやまだの 鹿猪ししるごと 母しらすも
《気うて 共寝られるうに 山の田を 鹿猪しし見張るに おんがばんや》【田に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇〇〇)
   
みなとりの あし小舟をぶね さわり多み 今む我れを よどむと思ふな
邪魔じゃまあし け行く舟や 邪魔じゃまおおて 今出るとこや 躊躇ためらちゃうで》【舟に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九八)
   
みなとりに あし小舟をぶね さわり多み 君に逢はずて 年ぞにける
邪魔じゃまあし け行く舟や 邪魔じゃまおおて あんたえんで 年月った》【舟に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九八 或る本)
   
年のば 見つつしのへと 妹が言ひし ころも縫目ぬひめ 見れば悲しも
後々あとあとで 見て偲んでと あの児た ふくい目を 見たら泣けるで》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九六七)
                          (生き別れ?死に別れ?)

古今相聞往来(下)編(32)目覚まし草と

2014年01月07日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成26年1月7日】

あかときの ましくさと これをだに 見つついまして 我れとしのはせ




女の恋は 色々あるよ
健気けなげ娘に 後悔こうかい
あきらめ恋は 蚕になろか
嫉妬しっと心は 女の常か
 
浅茅あさぢはら 小野にしめふ 空言むなことも 逢はむと聞こせ 恋のなぐさに
浅茅あさじはら 小野にしめう 嘘でえ 「お」てうてや 気休きやすめなるわ》【浅茅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六三)
                          (小野に標結ふや=広い野原に標結うのは甲斐がない)
  
浅茅あさぢはら 小野にしめふ 空言むなことも 来むと知らせし 君をし待たむ
小野おのしめ 出任でまかせで 「今行く」て うたあんたを うち待つてるわ》【浅茅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六三 或る本)
   
かくのみに ありける君を きぬにあらば 下にも着むと が思へりける
薄情はくじょうな あんな人やに ころもなら 身に着けかと 思てたなんて》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九六四)
  
なかなかに 何か知りけむ 我が山に 燃ゆるけぶりの よそに見ましを
なんでまた うっかりちぎり したんやろ てたかった そとからそっと》【煙に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇三三)
                          (我が山に燃ゆる煙=離れて見る→外に=外ながら)
  
朝日さす 春日かすがの小野に 置く露の ぬべきが身 しけくもなし
春日かすが小野おの 置く露ちゃうが うち命 消え入りやが もうしないで》【露霜に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四二)
   
なかなかに 人とあらずは くはにも ならましものを 玉のばかり
かいころ なまじにひとで きるより どうせみじかい いのちやからに》【蚕に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇八六)
                          (玉の緒は切れると短くなる)
  
あかときの ましくさと これをだに 見つついまして 我れとしのはせ
共寝ともねけ 目まし用に この草を 見てこのうちを 思いしてや》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六一)
                          (他の女と寝たと思うての皮肉)

古今相聞往来(下)編(31)笠に縫ふといふ

2013年12月27日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年12月27日】

人皆ひとみなの 笠にふといふ 有間ありますげ ありてのちにも 逢はむとぞ思ふ


優柔不断ゆうじゅうふだん 決めるの遅い
今日はめとこ 明日あした仕様しょう
躊躇ためらう男 しかられするが
母性くすぐり 意外ともてる
  
高湍たかせなる 能登瀬のとせの川の のちも逢はむ 妹には我れは 今にあらずとも
能登瀬のとせがわ 先流れてく 今やて あとでもえか あの児にうん》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一八)
                          (能登=ノト→ノチ=後)
  
高麗剣こまつるぎ 我が心から よそのみに 見つつや君を 恋ひ渡りなむ
気後きおくれの 心邪魔じゃまして よそながら そっとながめて 恋してるねん》【大刀に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八三)
                          (剣の柄頭の輪→我)
  
あらきぬ 取替川とりかひがはの かはよどの 淀まむ心 思ひかねつも
取替とりかえの 川の淀みか るのんの 躊躇ためらごころ 信じられんわ》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一九)
                          (衣を洗って取替える→取替川)
  
はねず色の 移ろひやすき 心あれば 年をぞる ことは絶えずて
《心め ちゃんとようん 男やで 便たより来るけど 日ィ余計よけ掛かる》【花に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七四)

我慢辛抱しんぼの すえ来たならば
きっとかなうで うちらの思い
それ まで生きて 待とうや二人
それ がほんまの 恋やと思う

人皆ひとみなの 笠にふといふ 有間ありますげ ありてのちにも 逢はむとぞ思ふ
《笠にう 有馬のすげや 生き続け 後々のちのちきっと お思てんや》【菅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六四)
                          (有馬菅→ありて=生きて)
  
木綿畳ゆふだたみ 田上山たなかみやまの さなかづら ありさりてしも 今ならずとも
《さなかずら つるご伸びる ご生きて 今やうても 結ばれしたい》【葛に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七〇)
                          (畳→タナカミ)
  
木綿ゆふづつみ 白月山しらつきやまの さなかづら のちもかならず 逢はむとぞ思ふ
《伸びたつる 先のでまた 出会うに 後々のちのちうちら 結ばれするで》【葛に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七三)
                          (木綿包み=白い→白月山)

古今相聞往来(下)編(30)因可(よるか)の池の

2013年12月17日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年12月17日】

斑鳩いかるがの 因可よるかの池の よろしくも 君を言はねば 思ひぞがする



ちこた心を 疑いせんが
ふとしたことに 不安がぎる
ほかみんなは わへんが
一人信じる あの人やから 
 
大海おほうみの 底を深めて 結びてし 妹が心は うたがひもなし
こころなか ふこう確かめ ちここたんや わしは一寸ちょっとも うたごてへんで》【海に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二八)
   
月夜つくよよみ かどで立ち 足占あうらして 行く時さへや 妹に逢はずあらむ
《月うて 門のうらない 出て 気ぃ行くのに えんのちゃうか》【月に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇〇六)
   
斑鳩いかるがの 因可よるかの池の よろしくも 君を言はねば 思ひぞがする
え人と みんなわへん そんなこと うち信じへん けど心配や》【池に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二〇)
                          (因可→よろしく)

こころゆるして 名前なまえたが
それきりなんて そんなんあるか
つめたい仕打しうち うらみはしても
もしやぬかの せつおも

きぬの 思ひ乱れて 恋ふれども なにのゆゑぞと 問ふ人もなし
ほどきぬ みたい心乱みだれて がれても どないしたかと 誰も聞かんで》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九六九)
                          (解き衣=解いた衣=ばらばらになる→乱れて)
  
住吉すみのえの 敷津しきつの浦の 名告藻なのりその 名はりてしを 逢はなくもあや
名告藻なのりその うたあかん名 うたのに うてくれんて どういうこっちゃ》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七六)
                          (名告藻=な告りそ=告げたらあかん)
  
杜若かきつはた 佐紀沢さきさはふる すがの根の ゆとや君が 見えぬこのころ
すがの根も えるうけど 仲やそ うんかあんた この頃んが》【菅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五二)
                          (杜若→咲く→佐紀)
   
つるはみの あはせころも 裏にせば 我れひめやも 君がまさぬ
あわせふく 裏返すに 用なしか 無理わん どうせんのや》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九六五)
   
あさな 草のうへ白く 置く露の なばともにと 言ひし君はも
《朝毎に 草置く露や 消えんなら 一緒消えよと あの人たに》【露霜に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四一)


古今相聞往来(下)編(29)績(う)み麻(を)のたたり

2013年12月03日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年12月3日】

娘子をとめらが のたたり 打ちけ うむ時なしに 恋ひ渡るかも




その気ない児に れたが因果いんが
逢えもせんのに 面影浮かぶ
浮かぶ面影 思いはまず
甲斐かいもないのに あきらめ出来ん
  
つるはみの 一重ひとへころも うらもなく あるらむ子ゆゑ 恋ひ渡るかも
一重ひとえふく 裏無いふくや その気ない 児にどしたんか わし恋してる》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九六八)
                          (うら=心 うらもなく=その気がない)
  
水茎みづくきの 岡のくずを 吹きかへし おも知る子らが 見えぬころかも
《顔だけを えろうはっきり 覚えてる あの児このごろ 一寸ちょと見掛みかけんで》【葛に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六八)
     (水茎の~吹き返し=白い葉裏をはっきり見せて→面知る)(顔見るだけで交渉なし=片思い)
  
かみのごと 聞こゆるたきの 白波の おも知る君が 見えぬこのころ
《顔だけを えろうはっきり 覚えてる あの人一寸ちょっと ここ見掛けんで》【滝に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一五)
                          (雷のごと~白波の=白くはっきり→面知る)
  
あひはず あるものをかも すがの根の ねもころごろに が思へるらむ
《思うても くれへんらしに すがの根の ねんごろずっと うち思とんや》【菅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五四)
   
天雲あまくもの たゆたひやすき 心あらば 我れをな頼めそ 待たば苦しも
《雲のな 頼りない気で るんなら その気にさしな 待つのんつらい》【雲に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇三一)
   
娘子をとめらが のたたり 打ちけ うむ時なしに 恋ひ渡るかも
《娘らが 麻糸いとつむる ちゃうが まんと(りんと)うちは あんた思てる》
                                      【麻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九〇)
                  (績み麻=麻糸を紡ぎ撚る→倦む<飽きる>)(たたり=糸巻き道具)
  
玉のを 片緒かたをりて を弱み 乱るる時に 恋ひずあらめやも
《弱いの 玉乱れ散る 片思かたもいの 心乱れて がれつのるわ》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇八一)
   
波のむた なび玉藻たまもの 片思かたもひに が思ふ人の ことしげけく
《こっちだけ うちが秘かに がれてる あの人悪噂うわさ う聞くのんや》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七八)
   
物思ものもふと ねず起きたる 朝明あさけには わびて鳴くなり 庭つ鳥さへ
《思案して わびし寝られん 夜明よあけには 鳴くとりこえも わびし聞こえる》【鳥に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇九四)

古今相聞往来(下)編(28)衣(きぬ)解(と)き洗ひ

2013年11月26日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年11月26日】

つるはみの きぬき洗ひ 真土山まつちやま もとつ人には なほかずけり



れた女房にょうぼが わしには似合にあ
ずっとこのまま この世で一緒
一緒の朝は からすよ鳴くな
このままって 迎えよ明日あした
  
桜麻さくらをの 麻生をふ下草したくさ 早くひば 妹が下紐したびも かずあらましを
《妻まれ よであったら わし下紐ひもを ほどく幸せ 出会えんかった》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四九)
   
三輪みわやまの 山下やましたとよみ 行く水の 水脈みをえずは のちも我が妻
 これからも ずっとお前は わしの妻 三輪山下の 水ある限り》【山に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一四)
   
つるはみの きぬき洗ひ 真土山まつちやま もとつ人には なほかずけり
《普段着を 着るれた 古女房にょうぼ お前がわしに 一番似合にあい》【山に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇〇九)
                          (衣解き洗い=また打ち直す=マツチ→真土→本つ)
  
大君おほきみの 塩焼く海人あまの 藤衣ふぢころも なれはすれども いやめづらしも
海人あまの着る 藤衣ころもれてる お前かて れて古いが こ見えるがな》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九七一)
   
朝烏あさがらす 早くな鳴きそ 我が背子せこが 朝明あさけの姿 見れば悲しも
朝烏あさがらす そんな早うに 鳴きないな 帰るあの人 見るん悲しで》【鳥に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇九五)
   
佐保さほがはの 川波立たず 静けくも 君にたぐひて 明日あすさへもがも
《佐保の川 波が静かで 落ち着くわ 落ち着くあんた 明日あしたまでろ》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一〇)
   
せばみ 嶺辺みねへへる 玉葛たまかづら へてしあらば 年にずとも
《仲ずっと 続くんなら かまへんで ねんに一度の 逢瀬おうせうても》【葛に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六七)
                          (七夕違ごて・・・)
  
春日野かすがのに 浅茅あさぢしめひ えめやと が思ふ人は いやとほなが
《二人仲 続けたいう あの人に すえご無事に ってしんや》【浅茅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五〇)
                    (浅茅標結い絶えめや=広い野原の浅茅の標結いは終りがない)


古今相聞往来(下)編(27)雲梯(うなて)の社(もり)の

2013年11月22日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年11月22日】

思はぬを 思ふと言はば とりむ 雲梯うなてもりの 神し知らさむ




仲良し二人 ご機嫌しき
わす言葉に 軽口かるくちじる
身代みがわり鏡 のぞけば二人
嘘で好きん 当たるでばち
  
近江あふみの海 へたは人知る おきつ波 君をおきては 知る人もなし
近江おうみうみ 岸辺はみんな 知ってるが 沖波知るん あんたしか無い》
(うちのこと 上辺うわべみんな 知ってるが 心知ってん あんたしか無い)【海に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二七)
   
真澄鏡まそかがみ 見ませ我が背子せこ 我が形見かたみ てらむ時に 逢はざらめやも
身代みがわりに この真澄鏡まそかがみ 持ってたら あんた見たとき えるで二人》【鏡に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九七八)
   
桃花ももめの 浅らのころも 浅らかに 思ひて妹に 逢はむものかも
《桃めの 色の浅い 軽い気で お前にたり するもんかいな》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九七〇)
   
思はぬを 思ふと言はば とりむ 雲梯うなてもりの 神し知らさむ
《嘘ついて きやてなんか うたなら 雲梯うなて神さん ばち当てはるで》【鳥に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三一〇〇)
   
かむさびて いはほふる 松が根の 君が心は 忘れかねつも
いわえる 松の根みたい 変わらへん あんたの気持ち うち忘れんで》【松に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四七)
   
梓弓あづさゆみ 末中すゑなかためて よどめりし 君には逢ひぬ 嘆きはやめむ
《付き合いが しばらあいだ よどんでた あんたえたで 嘆くんめる》【弓に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八八)
                          末中ためて=弓の末と握りを張ったまま
                                 =止めて→淀めりし=止まっていた)
  
十五日もちのひに でにし月の 高々たかたかに 君をいませて 何をか思はむ
《背伸びして 待ってたあんた 此処ここる うことないで 気ぃ満月まんげつや》【月に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇〇五)

古今相聞往来(下)編(26)草と分(わ)く分(わ)く

2013年11月19日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年11月19日】

紫草むらさきを 草とく す鹿の 野はことにして 心はおな




二人ふたり気持ちが 通うてれば
住むの別でも 心はひと
決めたあんたと ひも結び
名前わんで 死んだとしても
  
丹波道たにはぢの 大江おほえの山の さなかづら えむの心 我が思はなくに
かずらつる えんと伸びる 二人仲 えるやなんて 思いもせんで》【葛に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七一)
   
紫草むらさきを 草とく す鹿の 野はことにして 心はおな
《草別けて 寝る鹿ちゃうが 別々に 住んで寝てるが 心ひとつや》【鹿に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇九九)
   
梓弓あづさゆみ 引きみゆるへみ 思ひみて すでに心は 寄りにしものを
《色々と 思案しあん考え した末に もううち心 あんたべったり》【弓に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八六)
   
今さらに 何をか思はむ 梓弓あづさゆみ 引きみゆるへみ 寄りにしものを
 もう何も 悩まんとくわ いろいろと 思たんやけど あんたに決めた》【弓に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八九)
  
  
真玉またまつく 遠近をちこちねて 結びつる 我が下紐したびもの くる日あらめや
いま今後こんご こて結んだ 下紐したひもが ほどける日ぃが 来ることないわ》【紐に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九七三)
                          (真玉つく=玉を通す紐=緒→お→おちこち)
  
みさごる 荒磯ありそふる 名告藻なのりその よし名はらじ 親は知るとも
《あんたの名 うち絶対に わへんで 二人の仲を 親知ったかて》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七七)
                          (名告藻=な告りそ=告げたらあかん)
  
わたつみの おきひたる 縄海苔なはのりの 名はかつてらじ 恋ひは死ぬとも
《あんたの名 うち絶対に わへんで たとえがれて 死んだとしても》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇八〇)

古今相聞往来(下)編(25)月草の移ろふ心

2013年11月12日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年11月12日】

ももに 人は言ふとも つきくさの 移ろふ心 我れ持ためやも



恋の訴え 甘さが香る
わしを忘れな 仲絶やさんで
あんたかるか この胸の内
気ぃ変わるやて そんなんいわ
  
我妹子わぎもこや を忘らすな 石上いそのかみ そで布留ふる川の えむと思へや
《なぁお前 わし忘れなや わしかても 仲えるやて 思いもせんで》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一三)
                          (袖振る→布留)(布留川の水絶えん→絶えん)
  
赤駒あかごまの い行きはばかる 真葛原まくずはら 何のこと ただにしよけむ
《もどかしいで 馬行きなずむ 真葛原まくずはら 人伝てごて じかえに》【葛に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六九)
   
何ゆゑか 思はずあらむ ひもの 心に入りて こひしきものを
《思わんと られへんがな うちの胸 取り込まれ仕舞て 恋しんやから》【紐の緒に寄せて】
                          作者未詳―(巻十二・二九七七)
                          (紐の緒=結ぶと食い込む→入りて)
  
石走いはばしる 垂水たるみの水の しきやし 君に恋ふらく 我が心から
いとおしと あんた思う気 ほんまやで うちの本心 分かるなあんた》【滝に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二五)
                          (垂水の水が走る→ハシきやし)
  
うちひさす 宮にはあれど つきくさの 移ろふ心 我が思はなくに
宮仕みやづかえ してるんやけど 露草の うつろう気持ち うち持たへんで》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五八)
                         (宮仕えの女は気が多い?)(露草=すぐに色せる)
  
ももに 人は言ふとも つきくさの 移ろふ心 我れ持ためやも
《なんやかや 噂立つけど 露草の うつ心 持たんでうちは》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五九)
   
鴨すらも おのが妻どち あさりして おくるるあひだに 恋ふといふものを
《鴨でさえ 同士どしえさを あさるとき 一寸ちょとはなれたら 恋しがるで》【鳥に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇九一)

古今相聞往来(下)編(24)布留(ふる)の高橋

2013年10月29日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年10月29日】

石上いそのかみ 布留ふるの高橋 高々たかたかに 妹が待つらむ けにける



うの待つんは ろても嬉し
よるけても 待つ児がれば
髪にしも置き 庭出て待つも
逢瀬おうせかなえば 至福しふくが待つよ
  
あしひきの 山よりづる 月待つと 人には言ひて 妹待つ我れを
《山に出る 月待ってるて 人にて あの児待ってる わしなんやけど》【月に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇〇二)
   
石上いそのかみ 布留ふるの高橋 高々たかたかに 妹が待つらむ けにける
布留ふるかわに 架かる高橋たかはし 背伸びして あの児待つのに けて仕舞た》【橋に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九七)
   
あしひきの 山を木高こだかみ ゆふづきを 何時いつかと君を 待つが苦しさ
《山繁り 遅い月の出 待つみたい 何時いつ何時いつかと 待つんつらいで》【月に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇〇八)
   
君待つと 庭のみれば うちなびく 我が黒髪に 霜ぞ置きにける
《あんた待ち 庭出てずっと ったんで うちの黒髪 霜置いて仕舞た》【霜に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四四)
   
君待つと 庭のみれば 白栲しろたへの 我が衣手ころもでに 露ぞ置きにける
《あんた待ち 庭出てずっと ったんで うちの袖口 露置いて仕舞た》【露霜に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四四 或る本)
   
わたつみの おき玉藻たまもの なびむ はやませ君 待たば苦しも
なびき藻の 寄り添て一緒 共寝たいんで あんた早よ来て 待つのんつらい》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七九)
   
露霜つゆしもの やすきが身 老いぬとも またちかへり 君をし待たむ
《露みたい 消える身やけど 年齢とし食ても またこなって あんた待つと仕様しょ》【露霜に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四三)


古今相聞往来(下)編(23)朝霧隠(ごも)り

2013年10月18日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年10月18日】

あかときの 朝霧あさぎりごもり かへらばに 何しか恋の 色にでにける



恋焦こがれ出たなら 噂が立って
立った噂が この恋こわ
こわいが 我慢もつら
こらえ切れんで 顔出て仕舞しもう 
  
むらさきの 我が下紐したびもの 色にでず 恋ひかもせむ 逢ふよしをなみ
《顔色に 下紐したひもみたい さんまま がれせるわ 伝手つてうて》【紐に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九七六)
                          (下紐=隠れて色がみえない→色に出でず)
  
こもの したゆは恋ひむ いちしろく 人の知るべく 嘆きせめやも
《心奥 じっと我慢で がれてよ 人知れるな 嘆きはせんと》【沼に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二一)
                          (隠り沼=水の流れない沼=下に隠る→下<心の中>)
  
行方ゆくへ無み こもれる小沼をぬの 下思したもひに 我れぞ物思ものもふ このころのあひだ
《心奥 じっと我慢で り場ない 思いしてるで このごろずっと》【沼に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二二)
   
こもの したゆ恋ひあまり 白波の いちしろでぬ 人の知るべく
《心奥 じっとの我慢 れんで 顔出て仕舞しもた 人知れるほど》【沼に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二三)
   
山川やまがはの たきにまされる 恋すとぞ 人知りにける なくし思へば
《滝のな えろはげしい 恋やなと なしがれで 知られて仕舞しもた》【滝に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一六)
   
あかときの 朝霧あさぎりごもり かへらばに 何しか恋の 色にでにける
《朝霧の こもがくしに してたのに なんでこの恋 出て仕舞しもたやろ》【霧に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇三五)

古今相聞往来(下)編(22)母が飼ふ蚕(こ)の

2013年10月15日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年10月15日】

垂乳根たらちねの 母がの 繭隠まよごもり いぶせくもあるか 妹に逢はずして



えん日続き 鬱陶うっとし限り
何故なぜえんか 理由わけ知りたいな
あんた悪いか こっちの所為せい
潔斎けっさい祈り 待つのに無駄か
  
左太さだの浦に 寄する白波 あひだなく 思ふを何か 妹に逢ひかたき
白波なみなし わしの思うも なしやに なんであの児に えんのやろか》【海に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二九)
   
垂乳根たらちねの 母がの 繭隠まよごもり いぶせくもあるか 妹に逢はずして
《おう 蚕繭かいこごもりに 引き籠もり 鬱陶うっとしこっちゃ あの児えんで》【蚕に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九一)
   
逢ふよしの でくるまでは 畳薦たたみこも かさかず いめにし見えむ
手立てだて 見つかる日まで 畳薦たたみこも み目かずほど 夢てや》【薦に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九五)
   
真澄鏡まそかがみ 見飽みあかぬ妹に 逢はずして 月のゆけば けりともなし
《見続けて 見飽きんあの児 えんまま 日ィ過ぎてくと 生きた気せんわ》【鏡に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八〇)
                          (鏡を見る→見飽きん)
  
君はず 我れはゆゑ無み 立つ波の しくしくわびし かくてじとや
《あんたん 理由わけ知りて うちはもう しきびしで もうんのんか》【海に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇二六)
                          (立つ波=頻りに寄せる→しくしく<頻りに>)
  
赤絹あかきぬの 純裏ひたうらきぬ 長くり が思ふ君が 見えぬころかも
《総裏の 絹衣ふくすそながい すえごと 思うあんたは 近頃んわ》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九七二)
   
高麗錦こまにしき ひもの結びも けず いはひて待てど しるしなきかも
かとうた 紐ほどかんと つつしんで あんた待つけど 功徳くどくないがな》【紐に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九七五)

古今相聞往来(下)編(21)風吹き解(と)くな

2013年10月01日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年10月1日】

妹がかど 行き過ぎかねて 草結ぶ 風吹きくな またかへり見む



互い思えば いたい見たい
一目だけでも しずまりするに
伝手つて思案しあんの 日数ひかずぎる
し無い えんと死ぬで 
  
たまかづら けぬ時なく 恋ふれども 何しか妹に 逢ふ時も無き
《気に懸けん 時ないほどに がれるに あの児う時 なんでいんや》【蘰に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九四)
                          (蘰を懸ける→心に懸ける)
  
あしひきの 山菅やますげの根の ねもころに やまず思はば 妹に逢はむかも
すがの根の ねんごろずっと 思てたら わしはあの児に えるやろうか》【菅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五三)
   
殺目山きりめやま 行きかふ道の 朝霞あさがすみ ほのかにだにや 妹に逢はざらむ
殺目山きりめやま 往き来の道の 朝霧きりみたい ぼんやりでも あの児逢えんか》【霞に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇三七)
   
妹がかど 行き過ぎかねて 草結ぶ 風吹きくな またかへり見む
《門の前 たずね出来んで 結ぶ草 風ほどきなや またるのんで》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五六)
                          (草を結んで 逢うこと祈る)

真澄鏡まそかがみ 直目ただめに君を 見てばこそ いのちむかふ が恋やまめ
真澄鏡まそかがみ じかにあんたを 見られたら いのちけ恋 しずまるのんに》【鏡に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九七九)
                          (鏡を見る→直に見る)
  
我妹子わぎもこに ころも春日かすがの 宜寸川よしきがは よしもあらぬか 妹が目を見む
《あの児とで ころもり(交換) してみたい なんぞ伝手つて ないもんやろか》【川に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一一)
                         (我妹子に衣貸す→春日)(宜寸川→よしも)
  
あしひきの やますがの根の ねもころに が思ふ人を 見むよしもがも
山菅やますげの 根ちゃうが ねんごろに うち思もとんや 伝手つてしわ》【菅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五一 或る本)
   
君に逢はず 久しくなりぬ 玉のの 長きいのちの しけくもなし
ながいこと あんたえんで うち死ぬわ う命 しことないで》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇八二)

古今相聞往来(下)編(20)露ならましを

2013年09月10日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年9月10日】

かく恋ひむ ものと知りせば ゆふへ置きて あしたぬる 露ならましを



深い恋焦こがれは 女もつら
いっそ露なり はかのう消えよ
がれ消える日 月消える日や
まんがれは 死ぬまでずっと
  
りする 雁羽かりはの小野の 櫟柴ならしばの れはまさらず 恋こそまされ
雁羽かりは小野おの ならの柴木の れるう 馴れ(親しみ)はえんと がれが増える》【櫟に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四八)
                          (櫟柴=ナラ→ナレ=馴れ)
  
み吉野の 秋津あきづの小野に 刈るかやの 思ひ乱れて しぞ多き
秋津あきつ小野おの 刈ると乱れる 萱草くさみたい 心乱れて 寝るいんや》【草に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六五)
   
朝霜あさしもの ぬべくのみや 時なしに 思ひわたらむ いきにして
《霜みたい 消える思いで に 恋続けんか 息えで》【霜に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇四五)
   
かく恋ひむ ものと知りせば ゆふへ置きて あしたぬる 露ならましを
《こんなにも がれすんなら いっそこと 露でったら かった思う》【露霜に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇三八)
   
久方の あまつみ空に 照る月の せなむ日こそ が恋まめ
《うちの恋 しずまりするん 大空に 照る月消えて うなる日やで》【月に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇〇四)
   
妹待つと 御笠みかさの山の 山菅やますげの まずや恋ひむ いのち死なずは
《この恋は 御笠みかさ山菅やますげ まんまま がれんかいな 死ぬまでずっと》【菅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六六)
                          (妹を待って窺い見る→ミ笠)(山菅→止まず)
  
やますげの まずて君を 思へかも が心どの この頃は無き
山菅やますげの ずっとあんたを 思い詰め うちの心は もう死んでるわ》【菅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五五)
   
恋ふること まされる今は 玉のの えて乱れて 死ぬべく思ほゆ
《ここへ来て がれつのって たまらんで 心乱れて 死にやうちは》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇八三)