【掲載日:平成26年1月14日】
紫は 灰さすものぞ 海石榴市の 八十の衢に 逢へる子や誰れ
問答歌の 掛け合い楽し
歌垣男女 聞かせよ名前
戯れつく男女 相手を構う
閉めた門抜け 夢合う男女
【問答】
紫は 灰さすものぞ 海石榴市の 八十の衢に 逢へる子や誰れ
《海石榴市の 歌垣場所で 出逢うた児 あんた名前は なんちゅうのんや》
―作者未詳―(巻十二・三一〇一)
(紫は灰さすものぞ=紫染めには椿の灰汁を注す→海石榴市)
垂乳根の 母が呼ぶ名を 申さめど 道行く人を 誰れと知りてか
《お母はんが 呼ぶうち名前 言ても良が ところであんた 何処の誰やん》
―作者未詳―(巻十二・三一〇二)
【問答】
息の緒に 我が息づきし 妹すらを 人妻なりと 聞けば悲しも
《命やと 思い焦がれた お前やに 相手居るやて 聞かすやないで》
―作者未詳―(巻十二・三一一五)
我がゆゑに いたくなわびそ 後つひに 逢はじと言ひし こともあらなくに
《うち思て そんな悄げなや もう逢わん 言うた訳違う 構うただけや》
―作者未詳―(巻十二・三一一六)
【問答】
門立てて 戸も閉したるを 何処ゆか 妹が入り来て 夢に見えつる
《門閉めて 戸ぉ鍵したに どこ通り お前来たんか 夢出て来たで》
―作者未詳―(巻十二・三一一七)
門立てて 戸は閉したれど 盗人の 穿れる穴より 入りて見えけむ
《門閉めて 鍵したやろが 盗人の 開けた穴から 入ったのんや》
―作者未詳―(巻十二・三一一八)