しば漬け

2020-09-03 08:44:56 | 美食
思い出旅行ではないつもりだったが

一か所だけどうしても過去を向いてご挨拶すべきところがあった




別荘や畑を無料で貸してくださった

花背のF家

45年前は先代のご夫婦がおられたが

今はその頃大学生だったご当主と奥さん

昔話をするうちに

私が花背滞在のあと東京へ帰るときはいつも自家製しば漬けを土産にもらっていた話になった

当代の奥さんは知らない時代の話なので

「私もつくりたい」となり

ご主人は自分の母親の味なのでうれしそうに聞いておられた

「茄子、胡瓜、ピーマン、みょうが、紫蘇が入っていましたよね
樽はまだありますか
実はこの後美山荘にしば漬けを買いに行くのです
美山荘のしば漬けが一番お母様のしば漬けに近いからです」

F家のしば漬けの材料はもちろん自家栽培

美山荘は同じ花背の町内の料理旅館


サチコさんの分と合わせて5包み買って次の行事へ

河原におりて川遊びをすることを考えていた

車から河原までが私にとっては難行

下り口までははーはー喘ぎながら歩き

下り口からの斜面はほとんど息子にぶらさがって水面に達した

ただ石に腰かけて足を見ずにひたすのだが


これが何にたとえようもなくここちよい


時々足で砂をかき分ける

食事はスタートから食べ終わるまで

ただ一方向に向けて収束することを目指す行為だが

川に足を浸す行為は方向や収束がない

ただ受け身ということだろうか

この冷たさとやわらかさ

人はなぜ水辺を好むのだろう

冬以外ずっとこうして遊んでいたいと思った

帰宅してしば漬けを刻み


お茶漬けにして食べるのだが

今の私はご飯粒をうけつけない

それでご飯をよけて食べるので

まるでしば漬けスープを食べているようなもの

これがおいしい

洋でいうなら同じ乳酸発酵のザワークラウトも

しみ出した乳酸菌いっぱいの汁が体にいいといって飲む人がいるらしい

市販のしば漬けは酸味料などのつけ汁に浸したものだが

美山荘のしば漬けはくーっとくる酸味と自然発酵の臭みを交えてクセになる

F家の味が再現される頃私はいないかもしれないが

それを分けてもらいに息子たちがお邪魔するところを想像すると

幸せな気分になれる

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