ヤブミョウガ

2010-08-30 09:53:09 | 植物
 秋になれば、家の前の公園のヨウシュヤマゴボウや水引草など、一輪ざし
に使える草が色づくと楽しみにしていた夏のある朝、公園からもウイーンと
唸る機械音が響いてきた。

 区役所から派遣された業者による草木の伐採の音だ。
 これは毎年決まった時期というわけでもなく、夏の初めだったり秋の真っ
最中だったりする。植物の面白さなどという基準は、当然無視して行われる。

 しまった。もうすぐ咲きそうだったヤブミョウガを取っておけばよかった。
 刈り取り隊が消えてから駆けつけると、ヤブミョウガもヨウシュヤマゴボ
ウも水引草も一草残らず下草は刈られていた。
 しかし水引草だけは他に群生している場所がある。
 公園の裏手にある駐車場には、桜の老木と茂みがあって、毎年水引草が目
の醒めるな赤い穂を伸ばす。

 行ってみると水引草はまだ赤くはないが、秋の準備に入っていた。その隣
家にはいつも人気がないのに、エアコンの室外機が回って草をゆらしている。
ヤブミョウガだ。すでに白い花を頂き、一本だけ柵の外に顔を出している。

もう一本出ていれば、もらってきたんだが。

<ヤブミョウガ>
ツユクサ科。ミョウガの仲間ではない。秋には淡青から濃紺のグラデーショ
ンを見せて小さくて丸い実が付く。