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くま川鉄道のリニューアル車両「KUMA」~テーマ性はやや弱い気も…

2010-06-28 | 鉄道[九州・私鉄等]

MAKIKYUが今月熊本県南部の人吉まで出向いた際には、人吉を起点に球磨盆地を走る第3セクター鉄道・くま川鉄道にも乗車する機会がありました。

このくま川鉄道ではJR九州湯前線からの転換時以来、今日に至るまでずっと新潟鉄工(現新潟トランシス)製のNDCと呼ばれる軽快気動車が用いられています。

その後1両だけJRから購入した中古車両(キハ31形)を除くと、現在のくま川鉄道の旅客列車で活躍する車両は、全てNDCで占められている状況です。

NDCも初期の車両では登場から20年を迎え、日本の鉄道車両にしては比較的簡素な部類に入る車両と言う事もあってか、九州内の他第3セクター鉄道では、同形NDC車両の老朽置き換えも行われている程で、比較的新しい気動車という印象のNDCも今やベテラン、年季を感じる車両も多く見られる様になり、くま川鉄道で活躍するNDCも例外ではありません。

そのためくま川鉄道転換時からの装いで活躍するNDCは、もうそろそろ何らかの手を施した方が…と感じてしまうのですが、くま川鉄道ではJR九州の「SL人吉」号運行と時期を同じくしてNDCのリニューアル車両を登場させており、このリニューアル車両が「KUMA」と呼ばれる車両です。


「KUMA」はKUMA-1・KUMA-2の2両が活躍しており、種車はくま川鉄道に在籍するNDC2形式(KT-100・KT-200)それぞれから1両ずつという事もあり、座席配置は種車同様に一方がセミクロス(「KUMA-2」・KT-103)、もう一方がオールロングシート(「KUMA-1」・KT-203)になっています。

このリニューアルではJR九州などで有名な某デザイナーが絡んでいる事もあり、車両内外の雰囲気はJR九州の車両に近い印象を受けるもので、深緑色となった車体の随所に書かれた英文字やロゴや、木材をふんだんに使用した内装などに、その特徴がよく現れています。

 
車内に足を踏み入れると、元がNDCという簡素な車両にしては随分インパクトのある仕上がりとなっており、NDC自体は全国各地のローカル線で活躍していますが、これだけ強烈な印象を受けるNDCは…と思う程で、とても鉄道車両とは思えない様な形状のロングシートが幾つも並ぶ様は、某デザイナーが手がけた車両ならではといった所です。

「KUMA-2」の方にだけ設置されているクロスシートも、ロングシートとの境界となる部分だけ、木製仕切りが上方向に伸びて半個室風となっているのが特徴で、独特な雰囲気を漂わせています。

クロスシート(ボックス席)は、座席自体は「SL人吉」号に近い雰囲気を受けるもので、座り心地も普通列車用車両としては充分なものですが、グループ利用などを想定して木製テーブルが設けられている事も、大きな特徴となっています。


この木製テーブルは展開する事で結構な大きさとなり、グループ利用で弁当を拡げる時などは便利そうですが、比較的大きなサイズと言う事もあってか、同じデザイナーが手がけ、近隣を走るJR九州の観光列車「いさぶろう・しんぺい」号用改装車の如く、テーブルの脚が床まで伸びています。

そのためボックス席の足元がやや窮屈に感じるのが難点ですが、「KUMA-2」自体がセミクロスシート車で、ロングシートという選択肢も用意されている事を考えると、充分許容できるものとはいえ、くま川鉄道が観光利用よりも生活路線としての役割が大きい事を踏まえると、大きなテーブルは存在意義自体が怪しいかもしれません。

 
また「KUMA-1」では人吉球磨地方の自然、博物館をモチーフにした 「球磨の自然」列車、「KUMA-2」では人吉球磨の見所をイメージした「球磨の観光」列車というテーマ性を持たせており、植物のアクリル封入標本などは特徴的ですが、個性の強い某デザイナーの車内外デザインも影響してか、2両それぞれのテーマ性はやや弱い様に感じてならないのは残念な所です。

この「KUMA」は目玉車両だけあって、人吉温泉駅(=JR人吉)では当日の充当列車を示す案内板まで設置されている程ですが、くま川鉄道では一応「SL人吉」号接続列車に優先充当する以外は、一般の普通列車に充当(くま川鉄道ではそれ以外の列車は存在しないのですが…)しています。


そのため「KUMA」はMAKIKYUが乗車した際、やや「惜しい」と感じる難点もあるものの、かなり大胆なリニューアルを施した車両にも関わらず、優等列車や特別車両扱いではなく、普通運賃のみで乗車できる点は大いに評価すべきものです。

一般車両と同じく、普通列車として活躍している事を考えると、くま川鉄道乗車時は是非「KUMA」の方に乗車したいもので、当たるかどうかは運次第です。

とはいえくま川鉄道では3両程度での運転も多い事を考えると、真っ先に目に入った車両が違う車両でも、他の車両へ足を運ぶと…という事もありますので、2両以上の編成を組む列車に乗車した場合は要チェックです。

またMAKIKYUが乗車したのは、原則として「KUMA」が充当される「SL人吉」号運転日のSL接続列車でしたが、それでも地元学生の利用は多く見られたものの、遠方からの観光客と見られる乗客の姿は、少なく感じたのは残念な所でした。

「SL人吉」号運転開始と共に、肥薩線の観光利用は増加しながらも、JRの観光列車だけを乗り継ぐ利用形態も多い様で、人吉市内や周辺の球磨盆地一帯にはSL利用の観光客は余り…と言われていますが、「KUMA」はJR九州の観光列車に劣らない列車と感じただけに、もっと注目されても良いのではと感じたものです。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も、有名なJR九州の観光列車などで人吉を訪れる機会がありましたら、是非くま川鉄道にも足を伸ばし、大きく様変わりした軽快気動車「KUMA」にも乗車してみては如何でしょうか?



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