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壱岐・対馬フェリー「フェリーつばさ」~貨物輸送主体の船ながらも…

2014-01-12 | 船舶[日本国内]

先月MAKIKYUが九州へ足を運んだ際には、九州本土内だけでなく、初めて離島の対馬にも足を伸ばしたものでした。

この対馬の中心都市が厳原で、九州本土からのメインアクセスは離島だけに海路となりますが、長崎県に属しながらも、長崎県本土からの定期航路は存在せず、至近の壱岐と共に定期航路の大半は福岡から出航しています。

福岡発着の定期航路は、中には対馬直行となる便も存在するものの、途中壱岐島を経由・寄港する便が大半を占めており、また対馬の発着港は大半の便が厳原発着となっています。

定期航路の中でも旅客輸送に関しては、壱岐と共に九州郵船が圧倒的なシェアを誇っており、同社では高速船(ジェットフォイル)とフェリーの双方を運航、前者では福岡から2時間強、後者では4時間半程度の所要時間となります。


MAKIKYUが対馬訪問の半年程前に壱岐へ足を運んだ際には、同社の高速船とフェリーを利用したものでしたが、その際には芦辺港で「フェリーつばさ」という船を目撃し、それ以来この船の存在が気になっていました。
(写真は昨年6月に壱岐・芦辺港で撮影した「フェリーつばさ」で、船体には福岡⇔壱岐⇔厳原と記されており、何故か壱岐は寄港地の「芦辺」標記にはなっていないにも関わらず、対馬は「厳原」と標記されているのも特徴です)

「フェリーつばさ」は壱岐・対馬方面定期航路で圧倒的な旅客シェアを誇る九州郵船ではなく、壱岐・対馬フェリーという事業者が運航している貨客船で、創業100周年を迎えた8年前に社名を改める前は「大川海運物産」と名乗っていただけあり、今日でも対馬ではこのフェリーの事を「大川」と呼ぶ人物も存在する程です。
(現在の壱岐・対馬フェリー本社は福岡市ですが、以前は大川市に本社を置いていました)

対馬観光物産協会HPの海路アクセス案内では、「※貨客フェリーですので、自動車の持込みの場合のみドライバーが乗ることができます」と記されています。
(博多~対馬間の貨客船は、MAKIKYUの対馬訪問時はドッグ入りで休航だったものの、他に対州海運が福岡~対馬間直航の貨客船を運航しており、こちらも同様に案内されています)

そのため壱岐・対馬フェリーに電話で乗船可否を問い合わせた所、旅客定員が12名と少なく、団体など大人数での乗船は厳しいものの、空席があれば少人数の旅客のみ乗船も可との事でした。

空席状況を尋ねると、MAKIKYUの乗船希望日は空席ありでしたので、電話で予約を済ませ、乗船日前夜(対馬行の出港は未明)に出港地の博多港へ足を運んだものでした。

壱岐・対馬フェリーの出港地は、「BEETLE」などの国際航路が発着する中央ふ頭(博多港国際旅客ターミナル)や、博多発着九州郵船各便や西戸崎方面などの短距離航路、五島方面への野母商船(太古)など、国内航路の大半が発着する博多ふ頭(ベイサイドプレイス)ではなく、須崎ふ頭となりますので要注意です。

この須崎ふ頭は天神北ランプの少し北側、那の津4丁目行き西鉄バスで終点の一つ手前、那の津3丁目で下車すれば徒歩でも至近(終点の那の津4丁目まで乗車しても運賃は変わらず、徒歩でも来た道を5分程度引き返す程度)です。

周囲にコンビニがあり、最低限の食料調達は可能ですが、それ以外の飲食店などは…という有様ですので、食事は天神などで済ませてからバスで那の津へ向かった方が良いかと思います。


そして須崎ふ頭に到着すると、仮設事務所の様な建物が乗船券発券窓口を兼ねており、旅客乗船は殆どない航路が僅かに発着するだけとなっています。


そのため国内航路が多数発着する博多ふ頭などに比べると、その規模は言うまでもなく…という状況で、旅客利用が僅少な事もあってか、購入した乗船券も手書き発券でした。
(写真は氏名部分を塗り消し加工しています)

MAKIKYUが須崎ふ頭に足を運んだのは22時過ぎ、そして対馬行は未明の出航となるのですが、乗船券発券を済ませると程なく乗船OKとなり、出航よりかなり早い時間に乗船できるのは有り難い限りです。


貨客船だけあり、下層フロアは車両搭載区画となっており、九州郵船の博多~厳原間フェリーよりはやや小柄ながらも、1500tクラスの船で殆ど貨物輸送という船だけあってか、車両や荷物の積載だけでも結構な時間を要し、乗船後も1時間以上ずっと車両搬入などが続く状況でした。

客室は貨物輸送の序に、車両と同行するドライバーなどが…という程度ですので、HPの案内などでは12名と記されていますが、船内では35名と言う表記が見受けられたものでした。

 
船内は寝台数こそ12名分+αですが、他にカーペット室や休憩スペースに設置された椅子等もあります。

その気になれば12名は軽く超える旅客を乗船させる事も出来るかと思いますが、船の大きさを考えれば35名でもかなり少ないと感じます。

休憩室も何処かの事業所を連想する様な、実用最小限と言っても過言ではない簡素な雰囲気と感じたもので、このフェリーに比べれば、昨年春に沖縄へ足を運んだ際に利用し、船内設備は航海距離などを考えると、かなり簡素と感じたマルエーフェリー「琉球エキスプレス」でも、まだ旅客輸送に関しては充実していると感じる程でした。


しかしながら福岡→対馬の夜行フェリーは、壱岐・対馬フェリーでは九州郵船2等運賃よりは少々割高になるものの、同1等運賃より割安な値段にも関わらず、寝台を利用できるのは大きなメリットです。
(旅客輸送の主流となっている九州郵船では、夜行フェリーでも寝台設備はなく、1等でもカーペット部屋です)

そして未明の須崎ふ頭出航を見届け、寝台で一夜を過ごして目が覚めたらもう対馬・厳原港に入港しており、朝5時台では周囲も真っ暗、路線バスの運行も皆無と言う状況ですが、九州郵船の夜行フェリー(一部期間を除く)と同様に、早朝到着後も暫く船内休憩可能なのは有り難いものです。


厳原の到着地は、路線バスも発着する九州郵船のターミナルからは、徒歩で5分程度南に位置しており、こちらも事務所はプレハブの様な建物であるなど、港の利便性と言う観点では、旅客輸送で圧倒的なシェアを誇る九州郵船に比べると、博多・対馬双方共に見劣りは否めない気がしたものでした。

それでもMAKIKYUが対馬への足として、敢えて旅客のみの移動では余り利用されない壱岐・対馬フェリーを選んだのは、余り乗船機会のない貨客船に乗船する事に加え、船内設備は簡素ながら、そこそこの運賃で寝台を利用できる事が大きな理由で、博多→対馬を再び夜行移動する機会があれば、壱岐・対馬フェリーをまた利用しても…と感じたものでした。
(対馬→博多は午後に運航しており、こちらは日曜日の対馬発のみ壱岐(芦辺)には寄港せず博多直航です)



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