先日「MAKIKYUのページ」では、福岡(博多)~対馬(厳原)間を運航する壱岐・対馬フェリーの貨客船「フェリーつばさ」に関して取り上げましたが、先月MAKIKYUがこのフェリーで対馬へ到着した後は、島内を路線バスで巡ったものでした。
対馬島内の公共交通は、鉄道が存在しない事もあり大半が路線バス、この路線バスは専ら対馬交通が運行しています。
近年では廃線となった路線を「対馬市営バス」として運行し、対馬交通がその運行受託を行っている路線も幾つか存在しますが、この対馬交通は厳原の白土(Hakudo)に拠点(厳原営業所)を持つほか、島の中央にある仁位(豊玉営業所)と、北部の比田勝(上県営業所)が存在しています。
路線は対馬島内を南北に縦断する厳原~空港~仁位~比田勝間の縦貫線を軸に、縦貫線の一部区間便や、縦貫線の途中から枝分かれする支線が幾つも存在しています。
他に厳原市内を運行する路線や、厳原から南方などへ向かう路線などもあり、MAKIKYUは対馬滞在中、縦貫線のバスには何度も乗車したものでした。
とはいえ対馬の人口分布が厳原と美津島に偏重している事もあってか、基幹軸の縦貫線でも、全線通しての運行は僅か4往復しかなく、厳原~空港間以外では1本逃がすと…という状況です。
(離島の路線バスにしてはそこそこの便数がある厳原~空港間でも、時間帯によっては運行間隔が1時間以上開く事もあります)
この縦貫線は、以前は大型車が充当されていた様ですが、近年では対馬交通車両の老朽化に加え、対馬自体の急激な人口減少・過疎化も災いしてか、全区間運行便では専ら中型車が充当されている様で、MAKIKYUが何度か乗車した縦貫線の各便は全て中型車と言う状況でした。
対馬交通の中型路線車は、概ねいすず純正(LR)のトップドア車で、座席は2人がけの座席が並び、補助席も設けられた着席重視仕様といった特徴があります。
概ね平成1桁年の車両ながらも、年式に幅がある事もあってか、側面行先表示装置の有無などの差異があり、中型車の中でも標準より車体長がやや短い車両も存在するなど、似た様な見た目のLRでも、よく見ると差異が存在する状況になっています。
また対馬自体が南北に細長い形をしている事もあり、対馬の南北を縦断する厳原~比田勝間の縦貫線全線では片道90km超、日本の離島では他に類を見ない長距離を走破しており、これは沖縄本島の最長路線・沖縄バス77系統をも凌ぎます。
(島自体の大きさは沖縄本島や奄美大島の方が大きいですが、これらは名護や名瀬以北と以南でバス路線が分断されています)
道路混雑などはまず無縁の土地柄とは言えども、片道乗り通すだけでも所要2時間半以上を要する有様で、大半の区間は片側1車線ずつの車線が確保されているものの、旧上県町内を中心に車両行き違いが困難な狭路も存在しており、仁位以南でも万関橋以北では一部に狭路があります。
運賃も結構な賃率でずっと上がり続けますので、厳原~比田勝間を乗り通すと3000円超、日本国内の一般路線バスにおいて、運賃表示でこれだけの金額を目にする機会は滅多にないかと思います。
区数の多さに加え、自由乗降区間が大半を占めm一部区間では停留所間距離がかなり開くために、整理券番号が一つ変わるだけでも、かなり運賃が変動する箇所が幾つも存在するのも大きな特徴です。
所要時間・運賃共に高速バスを除けば、日本国内でこの路線を凌ぐ路線は幾つか…という程度ですが、運賃面では幾つもの割引乗車券が用意されていますので、正規運賃で厳原~比田勝間を往復する乗客は、島民・島外問わずまず居ないかと思います。
(島民向けには、島内全路線バスが1月乗り放題で5000円の定期券が発売されているほか、縦貫線厳原~比田勝間の区間指定回数券が4枚綴り8800円(1枚当たり2200円)で発売されています)
また一日フリー乗車券も1000円で発売されているのですが、島内・島外問わず日本人の利用は土休日や年末年年始などに限定されているのに対し、外国人は毎日購入・利用が可能となっています。
通勤通学でのフリー乗車券利用を避けるために、島内在住者の利用日を制限するのは、隣の壱岐で行っており、壱岐交通でフリー乗車券の平日購入を島外在住者に限定しているのは、事業運営などを考えると分からなくもない気がします。
しかしながら日本国外に籍を置く人物であれば、比田勝から2桁kmしか離れていない所(対象者数3桁万人)に居住していても毎日購入できる反面、MAKIKYUの様に比田勝や厳原から4桁km離れた遠方に居住していても、日本国内に在籍・居住と言うだけで制限されるのは少々頂けない気がします。
ただ幸いにもMAKIKYUが対馬を訪問した日は、丁度土日でしたので、一日フリー乗車券を購入・利用できたのですが、この利用制限は島内でも異論が出ている様で、今後改善願いたいと感じたものです。
対馬交通に関しては、縦貫線以外にも幾つかの路線に乗車していますので、これらに関しても近日中に追って取り上げたいと思います。