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JR北海道・くしろ湿原ノロッコ号~昨年は川湯温泉まで延長運転も…

2013-10-17 | 鉄道[北海道]

今年MAKIKYUは本州内の他に、九州や四国へも複数回足を運び、唯一の未踏県だった沖縄にも足を踏み入れる事で、晴れて国内47都道府県訪問を達成していますが、その一方で海外と共に、北の大地・北海道へはまだ足を運んでいない状況です。

今年もあと2ヶ月少々、北の大地はこれから寒くなってくる時期で、今年は例年よりもかなり早い初雪が報じられると共に、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方もご存知かと思いますが、遠方で足を運び難い土地(距離的には同レベルでも、新幹線1本で行ける九州等は、時間・旅費の両面でもっと手頃に足を運べるのですが…)である上に、JRを巡る諸問題などもあり、今年は未踏の一年になる可能性が高そうです。

しかしながら丁度1年前、MAKIKYUは知人訪問を兼ねて北の大地に足を運んでおり、まだその時に乗車した列車などを取り上げきれず…という状況ですので、昨年乗車した列車の一つ、くしろ湿原ノロッコ号を取り上げたいと思います。

ノロッコとは、「鈍い」「トロッコ」を掛け合わせたJR北海道の造語で、道内を走る機関車牽引の観光向けトロッコ列車にこの名称が付けられ、名前の通り車窓の良好な区間などで徐行運転を行い、名前の通りわざわざ「鈍い」運行を行っています。

1編成は旭川、もう1編成は釧路に所属、前者は主に富良野線、後者は主に釧網本線で運行しており、前者は随分前に一度乗車する機会がありました。

またMAKIKYUが昨年北の大地を訪問した際には、当初釧網本線に乗車する予定はなかったのですが、根室本線白糠周辺で土砂流入により、白糠周辺が数日間運行休止となり、突然の予定変更を余儀なくされ、これを「災い転じて福と為す」とばかりに、当初予定していなかった釧網本線にも乗車する事になり、その際には釧路のノロッコにも初乗車したものでした。

釧路に所属するノロッコ編成は、主に「くしろ湿原ノロッコ号」として釧路~塘路間という比較的短距離を運行する事が多く、この場合は大抵2往復運転となります。


しかしながら繁忙期以外では、釧網本線の更に北方まで足を伸ばす列車として運行される事もあり、MAKIKYUが昨年釧網本線に乗車した日には、釧路~川湯温泉間で昼間時間帯の定期普通列車を置き換える形で、やや長い時間をかけて1往復運転する運行形態となっていました。

MAKIKYUが網走から釧網本線に乗車した際には、川湯温泉以南で1本後の列車がトロッコ列車となっており、川湯温泉でノロッコに乗車する機会は余り…という事もあり、網走から乗車した釧網本線のワンマン列車を川湯温泉で降り、川湯温泉からトロッコ列車に乗車したものでした。


釧網本線で定期運転を行っている普通・快速列車は、大抵気動車単行のワンマン列車になっていますので、日頃は短い編成ばかりが走る閑散とした川湯温泉駅において、機関車を含めて6両もの編成は非常に長く感じられ、場違いと言っても過言ではない程でした。

通常は1両ワンマン運転を行っている定期列車を置き換えての運転と言う事もあり、川湯温泉始発の時点では車内はガラガラ、車内観察にも絶好の状況でした。

「くしろ湿原ノロッコ号」で使用しているノロッコ客車は、緑色を基調とした装いとなっており、富良野線などで活躍するノロッコと同様に車端に制御客車を連結し、機関車の付け替えなしで運行可能な形態となっています。

制御客車の前面は、最近電化→電車化で随分数を減らしたものの、JR北海道名物とも言えるPDC改造車(客車→気動車化)を連想させる印象があります。


この一見すると動力なし気動車の様な雰囲気の制御客車は、存在自体が国内の鉄道車両では異色の存在ですが、コンパクトにまとめられた運転台を見ると、通常の気動車などとはマスコン形状が大きく異なり、ノッチがかなり細かくなっている辺りは、機関車の制御を行う車両ならではと感じます。

他の客車も種車は全て50系(51形)、牽引/推進運転を行うディーゼル機関車も客車と合わせた装いになっていますので、編成美という観点では、富良野線などで活躍するノロッコ客車よりも、こちらに軍配が上がる気がします。

客室設備面では、荒天時などに備えた控車が機関車次位に1両連結されており、他は制御客車も含め、観光列車ならではのトロッコ車両となっています。


機関車次位に連結される1両は、設備的には国鉄から継承し、現在の道内ローカル輸送の主力となっているキハ40系列と大差ないグレードで、座席モケットも国鉄標準の紺色1色であるなど、到底観光向けの車両とは言い難い雰囲気を受けます。


車体色からレッドトレインとも呼ばれた50系列客車は、車齢こそさほど古くなくとも多数が早期引退を余儀なくされ、残存車が極めて少数ですので、幾つかの改造点が見受けられるとは言えども、50系客車の乗り心地や雰囲気を堪能できる車両と言う意味では、トロッコ車の陰に隠れた脇役的存在ながらも、この控車は希少な存在と言えます。


この1両以外は全てトロッコ客車、取り外し可能な大きな窓などは如何にも観光列車ならではと言えますが、座席は硬い木製となっており、釧路~塘路間の短距離運行程度であれば充分な設備ですが、釧路~川湯温泉間をずっと座り続けるとなれば、少々難有りと感じるかもしれません。

MAKIKYUが乗車した際には、トロッコ車両の一部車両が要指定料金の「指定席」となっていたものの、MAKIKYUは指定席券は購入せず、自由席となっているトロッコ客車の方に乗車したものでした。

始発の川湯温泉出発時点では、通常運行しているワンマン列車は専ら1両編成、これをノロッコ運行に伴い、自由席車だけでも複数両の編成に置き換えているだけあり、指定席券を買わずとも座席確保は余裕と言う状況でした。

通常運行区間よりも北へ伸びている区間では、定期普通列車を置き換えての運行となっている事もあり、途中駅での乗降もボチボチ見受けられる状況でしたが、長編成を持て余している雰囲気を感じたものでした。


目玉の釧路湿原を走る区間やその周辺ではタンチョウの姿も見受けられ、車窓も観光列車が設定される区間ならでは…と感じます。

一方「くしろ湿原ノロッコ」号の主運行区間となっている塘路まで来ると、旅行会社の団体ツアー客が数十人単位でゾロゾロ、自由席車はローカル線らしからぬ「満員列車」となり、長編成の威力を存分に発揮する状況でした。

この様な状況では、今年の「くしろ湿原ノロッコ」号が川湯温泉延長運転ではなく、釧路~塘路間2往復運行となるのは当然で、塘路以遠への乗客数の少なさも踏まえると、昼間時間帯の一部列車などは塘路乗換え(塘路以北はワンマン列車・塘路以南は自由席設定のノロッコ編成運行)になっても不思議ではないと感じる程でした。

JR北海道では車両不具合による特急の相次ぐ運休、そして来月には車両整備間合い確保や消耗頻度減少のために、一部特急列車の運行本数削減・最高速度引き下げといった「消極的ダイヤ改正」も実施されます。

この対象列車では道民の移動手段としての輸送確保だけでも精一杯、とても遠方からの旅客利用増を見込む事は…という状況ですので、ただでさえ利用減・経営難に苦しむJR北海道の現状打開策は…と感じます。

とはいえ都市圏輸送と共に数少ない盛況列車でもある「くしろ湿原ノロッコ」号は、観光面で注目の列車であると共に、趣味的にも非常に興味深い列車ですので、今後どの様な運行形態で走るにしても、釧路地区の看板列車として末永く活躍する事を願うと共に、最近多発している数々のトラブルを解決し、また列車で北の大地を…と思える日が訪れる事を願うばかりです。