文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:コミュニケーション学入門―心理・言語・ビジネス

2014-10-04 08:32:52 | 書評:ビジネス
コミュニケーション学入門―心理・言語・ビジネス
クリエーター情報なし
ナカニシヤ出版


 大学初学者用のテキストに使われることを念頭に書かれた、「コミュニケーション学入門―心理・言語・ビジネス」(植村克彦、松本青也、藤井正志:ナカニシヤ出版)。3人の著者は、いずれも愛知淑徳大学の教授(2000年時点)であり、本書は、そこでの新しいカリキュラム作りの中から生まれたものだ。余談ではあるが、私の大学時代、教養部の入り口の近くにある吉田神社のそばに、大学の教科書などを扱っている「ナカニシヤ」という書店があった。発行元のナカニシヤ出版は、住所が京都になっているので、おそらくその書店と関係があるのだろうが、学生時代を思い出して、なんとも懐かしい。

 ところで、本書のタイトルは「コミュニケーション学入門」だが、コミュニケーション学というまとまった学問領域が確立されている訳ではないようだ。だから、コミュニケーションは、既存の色々な学問分野から、それぞれの切り口で切り取られて研究されているという。だから本書は、3人の著者の専門である、心理学、言語学、ビジネスというそれぞれの切り口からコミュニケーションについての説明が行われている。

 心理学的な切り口からは、ありのままの自分みせる自己開示、自分を演出する自己呈示、相手に要請を承諾させるためのコミュニケーションなどが語られ、言語学的な切り口からは、言語と社会や文化教育との関係といったものが示される。ビジネス的な切り口から解説されているのは、職場内でのコミュニケーションならず企業をとりまく社会とのコミュニケーション、世界を相手としたグローバルなコミュニケーションなどだ。

 それぞれの切り口から述べられたことについては、必ずしも統一感がある訳ではないが、これは、上に述べたように、コミュニケーション学という共通の切り口が確立していないことから、しかたがないということかもしれない。初学者向けということもあり、内容も概論的だが、コミュニケーション一般について、広い観点からの知識を身につけるということはできるだろう。各章の終わりには、「もっと学びたい人のために」という見出しで、更に詳しい内容が書かれているテキストも紹介されているので、更に詳しい内容を勉強したい人は、これらを読んでみると良いだろう。

☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

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