Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

今”観て”聴いておきたいオペラ歌手 ~男性編

2008-03-21 | お知らせ・その他
女性編では結局9名を今”観て”聴いておきたいオペラ歌手として選びましたので、
平等に、男性側も9名を選出することにしました。
ただし、男性編では一層私のえこひいきが炸裂し、何人かにいたっては掟をやぶって写真も多くのせてしまいます。

しかし、女声編に比べると男性の方が見栄えと実力の間でやや乖離があるケースが多く、選出は難航。
両方を備えているためにすぐに名前が出てきた人と、そうでない人がいた、と申し上げておきましょう。

選抜ルールは女性編に同じ。
1)最初に歌唱力が一定のレベルに達していないと思われる方を削除。
2)一般的にルックスがよい、とされていても、私が”いや。それは違う。”と感じたら、やはり削除。
(ルネ・パぺよ、トーマス・ハンプソンよ、アラーニャよ、すまん。)
3)私が舞台で実際に公演に接したことがある人に限る。よってメトに定期的に登場する歌手が中心。
4)顔のつくりだけでなく、体型、造作も判断基準のひとつ。

当ブログの評価、イコール、単純に私がどれくらい好きか。
まあ、御託はいいです。今回も偏見独断炸裂で行きます。

 アーウィン・シュロット Erwin Schrott (バス・バリトン)

男性編では低い声域から高い方にあがっていくことにいたします。



女性編のアンナ・ネトレプコの赤ちゃんのお父さん。
(早く結婚してくれ。そしたら、”だんなさん”の一言ですむのに。)
少し前まではターザンのようなルックスだったのに、だんだん最近垢抜けてきた。
今年の『フィガロ』では、非常にハンサムな新鮮なフィガロ像を披露。
ネトレプコでなくとも惚れました。歌も悪くありません。



原産地  :ウルグアイ
得意技  :脱ぐこと。引き締まった体が自慢。その得意技を利用したドン・ジョバンニ役で評価を固めた。
生態   :しかし、歌も演技も含め、”オペラの登場人物がおしゃれでスマートで何が悪い!”
というアプローチは新鮮で、新しい世代だなあ、と感じます。
隅に置けない度: いつの間にネトレプコと、、、、。
当ブログの評価: しかし、いつまでも若者的アプローチはできない。今後の進化が楽しみ。


 ジョン・レリエー John Relyea (バス・バリトン)

私の知っているほとんどの女性は、彼の舞台を見ると”素敵~ ”とうっとり。私のおばも激褒め。



今年のメトでは、『ルチア』のライモンド、『マクベス』のバンクォーと大活躍。
公演による当たり外れが非常に少なく、いつも安定した歌を聴かせるのでメトの常連客にも人気。
まだまだ若いので、渋さが要される役はこれからますます円熟味を増していくのでは、と思われます。


(メトの『ロデリンダ』でのガリバルド役)

原産地:  カナダ
得意技:  どんなレパートリーも器用にこなすが、今まで見た中ではヴェルディがあっている気がする。
生態 :  すらりとした長身で舞台姿も美しいが、どんどん声に深みが出てきているので今後注目。
メト御用達度: 毎シーズン重要な役を担当。複数演目の掛け持ちも。
当ブログの評価: 本当はもっと高くていいんですが、後があるんで、、。


 ネイサン・ガン Nathan Gunn (バリトン)

声域が上がってバリトンです。



今回もっとも迷った人物。数シーズン前の『魔笛』のパパゲーノでは素晴らしい歌唱を披露していたのに、
やや最近歌そのものがぱっとしない。
売りは鍛えられた体。舞台でもすぐに脱ぐ。よって上半身裸でない写真を見つけるのが難しい。
運動神経がよく体の動きがきれいなので、それで十分なのだから、何もそこまでしなくても、、と思う。


(メト2005/6年シーズンの『アメリカン・トラジディー』)

原産地:  アメリカ
得意技:  脱ぐこと。しかし、コミカルな演技も実は上手。総じて舞台上の動きが綺麗な体育会系。
生態:   最近ややスランプか、メトではどんどん歌う役が小さくなっていっているようで気がかり。
写真は上半身裸のものか、パパゲーノのように被り物を身に着けているものしか手に入りにくい。
肉体美度: 
当ブログの評価: 本来もっと歌える人のはず!歌で挽回しましょう。がんばれ。

 サイモン・キーンリサイド Simon Keenlyside (バリトン)

そんなガンと180度対照的なのがイギリス紳士、キーンリサイド。
彼が舞台で脱ぐなんて考えられません。脱がずとも、そこはかとなく上品な魅力が漂ってくるお方。
(追加訂正:なんと、NYでは全くお脱ぎになりませんが、他の劇場ではよくお脱ぎになっているそうです。
コメント参照。)



今シーズンの『フィガロ』の伯爵役でのそのお美しさは溜息もの。
声がいたって繊細なので大事にしていってほしいです。
タッカー・ガラでの『真珠とり』の二重唱での素晴らしい歌声も忘れられません。


(2007年メトの『フィガロの結婚』)

原産地  :イギリス
得意技  :繊細な陶器を思わせる歌唱。おもにモーツァルト作品で持ち味を発揮。
生態   :時々、ヴェリズモ作品のアリアを歌おうなどと突拍子もないことを考える。(ガラの記事参照)
意外とはじけやすい度: 舞台で他の出演者に飛び蹴りをくらわせたことあり。
当ブログの評価: 得意な役にこだわりつづけてほしい。『道化師』のアリアは禁止。

 ディミトリ・ホロストフスキー Dmitri Hvorostovsky (バリトン)

英語で言っても日本語で言っても舌を噛みそうな、なかなか覚えられない名前。
ついに発音と綴りを覚えた日には妙な達成感すら感じる。



眉毛の色からして濃い色の髪だと思われるが、常にプラチナム・ブロンドに染め上げている。
(追加訂正:あの髪は地毛らしい、という情報を頂きました。やはりコメント参照。)
これは大正解。”あの白い髪の人”として記憶され、名前が覚えにくいというハンデも吹っ飛ぶ。
ロシア系のレパートリーでは他の追随を許さない。
ヴェルディもよいが、役によってぴたーっとはまるものとそうでないものがある。


(メト 2006/7年シーズンの『ドン・カルロ』のロドリーゴ役)

原産地  :ロシア
得意技  :男心の葛藤、複雑さを表現する役で持ち味を発揮。オネーギン、レナート(『仮面舞踏会』)は
はまり役。
生態   :まわりのキャストをひっぱる立場の歌唱もよいが、
相手役に恵まれると新しい側面が歌や演技に次々と出てくる柔軟さあり。
表と裏が違う度: 思ったとおりが顔と行動に出る。見てるこちらがひやひやする。
当ブログの評価: レリエー、キーンリサイドと同じく、まだ先があるので。


 スティーヴン・コステロ Stephen Costello (テノール)

うーむ。こうしてみると、低声系の人たちはいい男度が高い!
テノールもうかうかしておれません。そんな強力な低声陣に立ち向かうにはまずこの人。



今年の『ルチア』ではアルトゥーロという超脇役を歌いながら、オペラヘッドの注目を一身に集め、
なんと一日だけではありますが、エドガルドを歌う栄誉をゲット。
まだ歌を勉強中の学生さんの身で、メトの主役級デビューとはすごいことです。
オペラヘッドにゲイの方が多いというのはよく知られたことですが、
そのゲイのオペラヘッドたちから、”かわい~い!”とのラブ・コール多し。
ゲイの方たちはヘテロの男性より平均美的センスが高いのも、これまたよく知られたこと。
そんなゲイ系オペラヘッドの承認の印もあるのだからこわいものなし!


(メト、2007/8年シーズンの『ルチア』のアルトゥーロ役)


(ハドソン・リバーフロント・パフォーミング・センターの2007年のコンサートから)

原産地  :アメリカ
得意技  :少し線が細めで柔らかい(声が小さい、という意味ではない)美声が特徴。
生態   :あまりの評判ぶりに段々とメジャーな劇場からのオファーが殺到し始めている。
舞台で立っているときに、手持ち無沙汰な様子になる瞬間があるのが悲しい。
立ち姿から研究すべし。
期待度  :
当ブログの評価: 久々に登場したスリリングな歌声を聴かせる逸材。大、大期待してます。

 ヨナス・カウフマン Jonas Kaufmann (テノール)

ドイツ人でありながら、イタリア、フランスもののレパートリーをこなす
今まであまりいなかったタイプの男性歌手。



実はこの方、2006/7年シーズンのBest Moments Awardsで堂々第一位だった『椿姫』で、
ストヤノヴァのヴィオレッタに対し、アルフレードを歌ったテノール。
当時、歌は上手いのだから、そのマイケル・ボルトンのようなうざい髪型をどうにかしなさい!
と思っていたら、最近デッカとレコード契約を結び、徹底したオーバーホールを実施。
ものすごい男前にイメージチェンジ!!!ちょっと、ヨナス!あなたってば、そんなにいい男だったの!?
(ちなみに女性編のゲオルギューの写真でアルフレードを歌っているのが、イメチェン前のカウフマンです。)



すでに彼のいい男ぶりは、ゲイ系オペラヘッズの間で大フィーバーを巻き起こしております。
そのデッカから発売されたアリア集は、もう今後二度とCDを発売できないと本人が思い込んでいるのでは
ないか?と思わせるほど、あらゆるメジャーなアリアてんこもりの珍品となっていますが、
”冷たい手を(『ラ・ボエーム』)”、『椿姫』からのシーンなど、一途な役を歌わせるとかなり聴かせます。
特に、”冷たい手を”は、私には最近のテノールの中で最も興奮させられた出来栄え。
バリトンのような彼の声があの高音にあがっていくのは非常にスリリングです。
ヴィラゾンやヴァルガスなんかより、ヨナスのロドルフォ(『ラ・ボエーム』)を生で聴いてみたい!
私がゲルプ氏なら今からでもライブ・インHDの『ラ・ボエーム』のロドルフォ役をヴァルガスから彼に変える。


(メト2005/6年シーズンの『椿姫』)

原産地 :ドイツ
得意技 :バリトンをひきのばしたような独特の声。そういう意味では少しドミンゴを思わせるが、
ドミンゴほどロブストではない。クーラに似ている、と感じる人もいるようだが、
クーラより、ずっと繊細さを感じて好き。イタリア語の扱いも巧み。
生態   :今までも堅実な舞台をこなしてきたが、むさくるしいルックスのせいでブレイクできなかった。チャンス到来!!
びっくりイメチェン度:
期待度  :
当ブログの評価: また応援したいテノールが加わりました。

 ホセ・クーラ Jose Cura (テノール)

と自分の趣味を二連大爆発させてしまったので、ここらで一旦クール・ダウン。



90年代の末にはポスト3大テノールの一人なんて言われていたのに、最近やや影が薄い。
(レリエーを気に入ったうちのおばも、最近手紙で、”クーラって今どうしてるの?”と聞いてきた。)
オペラヘッドをしていると、どうも相性が悪い歌手というのがいて、行く公演ことごとく
いまいち、と思わせられるケースがあるが、私にとってクーラはその一人。彼の乱暴な歌唱が嫌いです。
しかし、彼の歌を絶賛する人もいるので、単に私が彼と縁がないのかもしれません。
正直、私にとっては、このクーラは女性編のゲオルギューに近い位置づけです。



原産地 :アルゼンチン
得意技 :ロブストな声。どんどん重い役に挑戦していったが(”オテロ”、”カヴァレリア/道化師”)、私が納得したことは一度もない。
そうそう、指揮もします。最近では映像作品も手がけている様子。
生態  :マルチな才能の持ち主だとは思いますが、私は歌手としてすぐれていればそれで十分なので、、。逆にそこがすぐれていないと、、。ま、男前ではありますが。
期待度 : 何を期待していいのか、よくわからない。
当ブログの評価: (ファンに刺されるな、これは。)
後注: 2009年4月10日の公演で、状況は激しく大逆転。こちらをお読みください。

 フアン・ディエゴ・フローレス Juan Diego Florez (テノール)

最後はやっぱり総合点一位のこの方を。別名、王子。



もう、今、この人をオペラハウスで聴かないということは犯罪である!と思わせるほどの
ものすごい歌唱力と稀有な声、そしてルックスが揃ったスーパーな人。
ルックスを抜きにして、純粋に歌唱力だけで選んでもトップになる。
彼と同時代に生きているというこの幸運に、すぐにでもオペラハウスに走るべき。
(彼が歌っている公演が上演中であることを確認のうえで。)
フローレスの歌を聴いた日には、クーラの雑い歌はもう聴けません。
レパートリーの種類が何であれ、彼のように一音一音を大事に歌ってほしいものです。


(2004年 ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルでの『シャブランのマティルデ』)

原産地  :ペルー
得意技  :オペラになじみのない方にはやや特異に感じられるかもしれないほどの軽い声で超絶技巧を放つ。
真のロッシーニ・テノール。
生態   :女性編のネトレプコとは対照的に、彼はできればやや小さめの劇場で聴きたいタイプ。
声の迫力ではなく、美しさと技巧を聴くタイプの歌手です。
王子度  : たたずまいもおっとりしていてまさに王子!
当ブログの評価: これほど誰からも文句が出ないであろうと、確信を持って満点を捧げられる歌手は彼だけ。

以上9名が男性編で選ばれた顔ぶれでした。
いやー、男性編には力入りましたです。ビジュアル重視の皆様もぜひ、彼らの歌唱をご堪能ください。

今”観て”聴いておきたいオペラ歌手 ~女性編

2008-03-21 | お知らせ・その他
オペラの国に通じる道は一本ではなく、無数なり。
ある歌手の声を聴いて、雷に打たれたような感動を覚え、オペラヘッドにまっしぐらな人もいれば、
作品の魅力から入る人、いろんな演出の見比べが楽しい人、
もちろん、それらのコンビネーションもあり、、。
そして、中にはビジュアル重視、という方がいても当然です。
そもそも、オペラは聴覚にも視覚にも訴えるものなのですから。
メトが今まで得意にしてきた(最近少し傾向は変わりつつありますが)ゴージャスな舞台演出も、
そんな欲求、要求を満たすために生まれたともいえるでしょう。

さて、かつては、ビジュアル重視の人にとっては、”オペラはちょっときついなあ、、”
という時代がありました。
歴代の歌手で、美人歌手、美男歌手でならした人といえば本当に少ない。
(私が挙げられる名前といえば、コレルリ、モッフォ、無理してデル・モナコくらい。)
顔の造作もさることながら、そんなビジュアル重視の方の気持ちを一層萎えさせるのは、その体型。
オペラ歌手といえば、パヴァロッティとかカバリエのような巨大な人というラベルが
長らくべったりと貼られてしまっていました。

しかし。時代は変わりました。
舞台と客席という距離があった昔とは違い、今ではDVDだ、映画(ライブ・ビューイング)だ、
you tubeだ、テレビだ、と、視覚の比重が大きくなったのです。
時代の流れがニーズを作る。これはオペラ界も同じで、
”ビジュアル重視な私には、オペラはちょっときついなあ、、”は昔の話。
今や、見目麗しい歌手たちがわんさか登場しはじめています。

数日前の記事のコメント欄では、エルモネラ・ヤホ嬢の美形ぶりが話題になったばかり。

というわけで、その”美形歌手がわんさか生まれている”を証明すべく、
この私めが、今”観て”聴いておきたいオペラ歌手、と銘打ち、
ビジュアルが伴っていないと舞台芸術は辛い、という方たちにもおすすめの歌手たちをご紹介したいと思います。

しかし!選考委員は私だけ、ということもあり、当ブログと同様、独断偏見満載。
以下が選出の基準です。

① 歌のレベルがある程度に達していない方は、最初に振り落とさせていただきました。
どこぞの女優のように(誰だ?!)、”顔がきれいなだけで、あの大根芝居が!”と陰口を叩かれるような人は
この中にはおりません。まず、実力ありき。
というか、大体オペラヘッドというのはこうるさく、また期待度の高い人種なので、
見目が麗しくなったからといって、歌の方を犠牲にする気はさらさらないのであります。
なので、ここに登場する方は、好き嫌いのレベルを抜きにすれば、
まず、聴きにいって損をすることのない歌手たちのはずです。
というか、中にはそれどころか、超ド級の歌を聴かせる人も混じっています。

② 一般的にルックスがいい、とオペラファンに言われていても、
ルックスが私の好みでなければ残念ながら落選。
なので、ここに名前のない歌手の方も、なーんの気落ちすることもございません。

③ 私がおすすめする以上、舞台で実際に見たことのない方は極力少なくしました。
というか、ほとんどそういう人は入っていないと思います。
その結果、必然的にメトであまり歌っていない歌手は選ばれていません。

④ 私はめったにオペラグラスを使って舞台を見ないので、造形的な美もさることながら、
舞台での立ち居振る舞いの美しさも重要。
なので、顔の造作がわかる写真のほかに、舞台写真を入れることにより、さらに説得力のある
リストとなるよう心がけました。

では、スタート。
”当ブログの評価”の欄は、単に私の個人的な好き度でハート5つが最高点。

 エルモネラ・ヤホ Ermonela Jaho (ソプラノ)

といいながら、いきなりメトで見逃したばかりで一度も舞台で見た事がない彼女を選ぶのも
なんですが、そもそもこの企画は彼女がきっかけですから、敬意を表して。


(おそらくヴェローナでの『夢遊病の女』から。)

やっぱりかわいいですね。

原産地  :アルバニア
得意技  :ヴィオレッタ(『椿姫』)やリリコの諸役。
生態   :比較的マイナーな劇場に登場し続けながら、大劇場で有名歌手たちのカバーを努めている模様。
噂に聞いた実力によれば、ルックスとあいまって、これからブレイクする可能性あり。
そのいまだブレーク前という状況のため、ヘッドショットのようなものがほとんど存在せず。
なので、彼女だけは舞台写真のみ。
期待度  :
当ブログの評価:N/A (実際に聴くまで判断不可)


 ワルトラウト・マイヤー Waltraud Meier (メゾ・ソプラノ)

このリストの中ではもっとも物議を醸す人選かもしれません。


(バイロイトの『トリスタンとイゾルデ』)

この面子の中ではお歳も一番上だし、中には”彼女って美形かー?!”と思う人もいることでしょう。
そして、私の答えは、はい、美形です。
彼女がそうは見えないのは、素の時の、垢抜けない髪型と化粧のせい。
誰か、どうにかしてあげてください。素は美人なのだから。
しかし、歌の上手さと役を表現する能力は天下一品。
このリストの中で、歌の能力では彼女は間違いなく最上級。


(バイエルン歌劇場『アイーダ』のアムネリス役)

原産地  :ドイツ
得意技  :ワーグナー作品のメゾの諸役。それらの役の表現に関しては右に出る人がいない。
生態   :オペラヘッドの間ではもはや説明がいらないほどの大御所メゾ。
歌の上手さ:
化粧の上手さ:
当ブログの評価:


 ルネ・フレミング Renee Fleming (ソプラノ)

メトで人気のアメリカ人歌手といえばこの方。



気さくな人柄もあって、ファンも多く、メトへの貢献度も大。
ただし、このブログで何度も書いたように、レパートリーによって、出来不出来の差が大きい。
合う役を歌った時には、非常にいい舞台を見せてくれます。
ヴィオレッタは避けた方がいいでしょう。
しかし、下の舞台写真はそのヴィオレッタ。
この方は年齢を重ねるほど綺麗になってきたような気がする幸運な例。


(2007年メトの『椿姫』でのヴィオレッタ)

原産地  :アメリカ
得意技  :人気にまかせてかなり何でも歌っているが、演技力が必要とされる役で本領を発揮する。
注意点  :時にベル・カントのレパートリーを歌うという毒を発する。
生態   :素晴らしい演技力と、くせのある発声。好き嫌いが分かれるのもその発声が原因。
メトでの人気度:
個人的な好み: (最後のハートが小さいのは気のせいではありません。
レパートリーによって、ということで、2.5点。)


 ケイト・リンゼー Kate Lindsey (メゾ・ソプラノ)

ここで超若手を。



今シーズン、メトでは『ロミオとジュリエット』のステファーノと、『フィガロの結婚』のケルビーノを歌いました。
写真でも確認できる通り、わりとクールな感じのルックスで、
ケルビーノ役での身のこなしは素晴らしいものがありました。


(ウォルフ・トラップ・オペラ『レトワール』のラズリ役)

原産地  :アメリカ
得意技  :これからさらに開拓されていくと思われるが現在はズボン役(男の子の役)が得意技か?
生態   :孵化中。成虫になってからが楽しみ。
期待度  :
個人的な好み:  まだまだこれから。

 イザベル・レナード Isabel Leonard (メゾ・ソプラノ)

もう一人、超若手を。



ジュリアード音楽院を卒業したばかりで、今シーズンの『ロミオとジュリエット』
Aキャストのステファーノに選ばれた幸運の持ち主。
もともとダンスからスタートした方だけあって、まるでモデルのような体型。
(舞台の上で見ると本当に細い!)
上のリンゼーと共にメゾであることはもちろん、レパートリーといい、年齢といい、
かぶっている部分があるので、どちらが抜けてくるか、大変楽しみ。


(カーネギーホールでのリサイタル)

原産地  :アメリカ
得意技  :ダンス歴を生かした、動きのある演技。
生態   :同じく孵化中。歌はまだまだ磨くべき点があるものの、動ける、踊れる歌手として差異化を図る。
期待度  :
個人的な好み:  舞台上の存在感はリンゼーよりやや上か。


 エリーナ・ガランチャ Elina Garanca (メゾ・ソプラノ)

一気にメゾで突っ走ります。



歌唱上のキズがあっても(やや高音がフラットになる場合がある)、それでもなお、
非常に面白い歌唱を聴かせる彼女は、今私のお気に入りなので、冷静な判断はできません。
今年のメトでは、『セビリヤの理髪師』に出演。
バーデン・バーデンで、ネトレプコ、ヴァルガス、テジエと共演したガラのDVDが発売されていますが、
彼女の歌の方がネトレプコのそれよりもずっとずっと上手いことがわかるという残酷なDVDになっています。
(まあ、それでもネトレプコには声そのものの魅力があるので、好き嫌いの問題ですが。)

そして、この『ばらの騎士』のオクタヴィアンの写真、、、。
この役を生で観たいーーーーー!!!!


(2006年ウィーン国立歌劇場『ばらの騎士』のオクタヴィアン)

原産地  :ラトヴィア
得意技  :お茶目な役(セビリヤのロジーナなど)はお手のもの。まじめな役もいけそう。歌唱技術も確か。
生態   :オペラの舞台に立つとその存在感でまわりの歌手がかすむ。大歌手と組ませてあげてください。
個人的な好み:  もう一個ハートをつけたいくらい。


 ジョイス・ディドナート Joyce DiDonato (メゾ・ソプラノ)

レナードにリンゼーというライバルがいるように、ガランチャにもライバルが。



彼女を典型的な美形とカテゴライズするのに躊躇する方もいるかもしれませんが、
その観客にポジティブなパワーを撒き散らす力はすごいです。
歌もめちゃくちゃうまい。彼女はキャリアが開けるまで、
ありとあらゆる劇場のオーディションで駄目だしをくらったというのですから、
選抜する人の耳を疑ってしまいます。
しかし、そんな苦労があるからでしょうか、歌うのが本当に楽しい、という感じで、
観てるこちらが幸せになるような歌を聴かせてくれます。
タッカー・ガラで、NYの聴衆のためにわざわざ公演中のヨーロッパから
日帰りで飛んできてくれるなんて、泣かせるではないですか。


(サンフランシスコでの『ばらの騎士』)

写真は上のガランチャと同じ『ばらの騎士』のオクタヴィアン役。
ずいぶん雰囲気が違いますね。


原産地  :アメリカ
得意技  :ロッシーニ作品。彼女はこれで名声を得た。シュトラウスやモーツァルトもよさそう。
生態   :とにかく彼女が歌うと役が生き生きとしていて、観客まで元気が出る。
元気教度 : 下手なカウンセリングや宗教より断然効く。
当ブログの評価: 限りなく5に近い4つハート。しかし、私はガランチャを応援しなければならない、、。


 アンジェラ・ゲオルギュー Angela Gheorghiu (ソプラノ)

こうやって見ると、メゾががんばってます。
ソプラノも負けてられん!ということで、そろそろ真打を出しましょう!



今のオペラ界に敷衍しはじめたルックス重視のトレンドの走りは彼女だったのかも、
と個人的には思います。
彼女がショルティと組んだ『椿姫』は、それはそれは話題になったものでした。
しかし、あまりに人気が出て頭がおかしくなったか、もともとそういう人なのか、
いわゆるディーヴァちっくな行動に事欠かないのでも有名。
メトの日本公演でのかつら装着拒否事件、シカゴでのリハぶっち事件
夫アラーニャ、職業 オペラ歌手、のメトでの公演
つきそいたい、という理由でリリック・オペラの『ラ・ボエーム』の
リハーサルを欠席。役をおろされた。)などなど、、。

それらをさておいても、私は、彼女のどことなく冷めて聴こえる歌があまり好きではないのですが、
下手では決してないですし、美人なのはまぎれもない事実。
オペラ歌手で美人といえば?と聞かれれば、最初に名前があがる歌手の一人でしょう。
今シーズンは、これからライブ・インHD(ライブ・ビューイング)にのる『ラ・ボエーム』で
ミミを歌う予定です。
シカゴで解雇になった因縁の演目、、。
これをキャンセルするようなことがあったら、アメリカではもう後がないと思って
ライブ・インHDは全力投球で!!


(メト2005/6年シーズンの『椿姫』)

原産地  :ルーマニア
得意技  :何だろう?美貌?リリコ系の役はかなりいろいろ歌ってますが、決め玉に欠ける感じ。
生態   :とにかく自分勝手。これで顔が不細工だったら絶対今のように世界で歌えてはいないと思う。
教育係をつけるべき。夫アラーニャがさらに油を注いでいる。似たもの夫婦。
個人的な好み: あなた、それは、もう、、、 (半ハート一つ)です。


 アンナ・ネトレプコ Anna Netrebko (ソプラノ)

長い間、アンジェラを唯一の美人歌手として調子づかせていた状況をひっくりかえした。
今や飛ぶ鳥をおとす勢いで、美人オペラ歌手の代名詞とも言える存在。
そういう意味ではどうしてもこのリストに順位をつけなければならないとしたら、
総合点で一位か。



ゲオルギューとは対照的な、熱い歌唱が持ち味。
正直、細かい技術については、”?”と思うところもありますが、
声のカラーの魅力とパワーはゲオルギューより上。
特に、彼女の歌の魅力は録音したものでは伝わりにくいので、ぜひ、劇場、
それもメトのような大きな劇場で体感していただきたい。
記事最初の写真は、彼女のキャリア上、大ブレイクへの一ステップとなった
メトの『戦争と平和』でナターシャ役を演じた際のネトレプコ。
時は2002年。今より初々しくて、かわいいです。



(メト2005/6年シーズンの『ドン・パスクワーレ』)

原産地  :ロシア
得意技  :ゲオルギューと同じ美人なのに、ネトレプコの方が、役への体当たりぶりを観客に伝える技術にたけており、観客はついそれに反応してしまう。
その天性の舞台勘とやや暗めでリッチな声のカラーが最大の武器(美貌をのぞいて)。
ベル・カント系のレパートリーを中心に歌いたかったようだが(そして、実際歌っていたし、歌っている)、
声が重くなってきたので、リリコの役もレパートリーに加わった。
彼女のドニゼッティやベッリーニ、さらにヴェルディの椿姫やリゴレットなどは、
少し技術が伴ってなくて、辛い部分もある。もう少し技術を磨ければ、
ノルマは意外と声にマッチしていて、面白いかも、と思わせる役の一つ。
ミミも聴く度によくなっているので、期待できます。
そういえばモーツァルトやフランスものも歌っているし、かなり何でもトライしてます。
生態   :最近、バリトンのアーウィン・シュロットとの間に子供ができた(現在妊娠中。)
声の変化と、人生設計との兼ね合いもあり、この後どのようなキャリアをたどっていくのか、楽しみ。
個人的な好み:  何だかんだいっても、どのように歌ってくれるのだろう?という期待をいつもさせてくれる。


というわけで、以上が女性編でした。
個人的には次の男性編がさらに選び甲斐がありそうで楽しみです。
ご期待ください。