女性編では結局9名を今”観て”聴いておきたいオペラ歌手として選びましたので、
平等に、男性側も9名を選出することにしました。
ただし、男性編では一層私のえこひいきが炸裂し、何人かにいたっては掟をやぶって写真も多くのせてしまいます。
しかし、女声編に比べると男性の方が見栄えと実力の間でやや乖離があるケースが多く、選出は難航。
両方を備えているためにすぐに名前が出てきた人と、そうでない人がいた、と申し上げておきましょう。
選抜ルールは女性編に同じ。
1)最初に歌唱力が一定のレベルに達していないと思われる方を削除。
2)一般的にルックスがよい、とされていても、私が”いや。それは違う。”と感じたら、やはり削除。
(ルネ・パぺよ、トーマス・ハンプソンよ、アラーニャよ、すまん。)
3)私が舞台で実際に公演に接したことがある人に限る。よってメトに定期的に登場する歌手が中心。
4)顔のつくりだけでなく、体型、造作も判断基準のひとつ。
当ブログの評価、イコール、単純に私がどれくらい好きか。
まあ、御託はいいです。今回も偏見独断炸裂で行きます。
アーウィン・シュロット Erwin Schrott (バス・バリトン)
男性編では低い声域から高い方にあがっていくことにいたします。
女性編のアンナ・ネトレプコの赤ちゃんのお父さん。
(早く結婚してくれ。そしたら、”だんなさん”の一言ですむのに。)
少し前まではターザンのようなルックスだったのに、だんだん最近垢抜けてきた。
今年の『フィガロ』では、非常にハンサムな新鮮なフィガロ像を披露。
ネトレプコでなくとも惚れました。歌も悪くありません。
原産地 :ウルグアイ
得意技 :脱ぐこと。引き締まった体が自慢。その得意技を利用したドン・ジョバンニ役で評価を固めた。
生態 :しかし、歌も演技も含め、”オペラの登場人物がおしゃれでスマートで何が悪い!”
というアプローチは新鮮で、新しい世代だなあ、と感じます。
隅に置けない度: いつの間にネトレプコと、、、、。
当ブログの評価: しかし、いつまでも若者的アプローチはできない。今後の進化が楽しみ。
ジョン・レリエー John Relyea (バス・バリトン)
私の知っているほとんどの女性は、彼の舞台を見ると”素敵~ ”とうっとり。私のおばも激褒め。
今年のメトでは、『ルチア』のライモンド、『マクベス』のバンクォーと大活躍。
公演による当たり外れが非常に少なく、いつも安定した歌を聴かせるのでメトの常連客にも人気。
まだまだ若いので、渋さが要される役はこれからますます円熟味を増していくのでは、と思われます。
(メトの『ロデリンダ』でのガリバルド役)
原産地: カナダ
得意技: どんなレパートリーも器用にこなすが、今まで見た中ではヴェルディがあっている気がする。
生態 : すらりとした長身で舞台姿も美しいが、どんどん声に深みが出てきているので今後注目。
メト御用達度: 毎シーズン重要な役を担当。複数演目の掛け持ちも。
当ブログの評価: 本当はもっと高くていいんですが、後があるんで、、。
ネイサン・ガン Nathan Gunn (バリトン)
声域が上がってバリトンです。
今回もっとも迷った人物。数シーズン前の『魔笛』のパパゲーノでは素晴らしい歌唱を披露していたのに、
やや最近歌そのものがぱっとしない。
売りは鍛えられた体。舞台でもすぐに脱ぐ。よって上半身裸でない写真を見つけるのが難しい。
運動神経がよく体の動きがきれいなので、それで十分なのだから、何もそこまでしなくても、、と思う。
(メト2005/6年シーズンの『アメリカン・トラジディー』)
原産地: アメリカ
得意技: 脱ぐこと。しかし、コミカルな演技も実は上手。総じて舞台上の動きが綺麗な体育会系。
生態: 最近ややスランプか、メトではどんどん歌う役が小さくなっていっているようで気がかり。
写真は上半身裸のものか、パパゲーノのように被り物を身に着けているものしか手に入りにくい。
肉体美度:
当ブログの評価: 本来もっと歌える人のはず!歌で挽回しましょう。がんばれ。
サイモン・キーンリサイド Simon Keenlyside (バリトン)
そんなガンと180度対照的なのがイギリス紳士、キーンリサイド。
彼が舞台で脱ぐなんて考えられません。脱がずとも、そこはかとなく上品な魅力が漂ってくるお方。
(追加訂正:なんと、NYでは全くお脱ぎになりませんが、他の劇場ではよくお脱ぎになっているそうです。
コメント参照。)
今シーズンの『フィガロ』の伯爵役でのそのお美しさは溜息もの。
声がいたって繊細なので大事にしていってほしいです。
タッカー・ガラでの『真珠とり』の二重唱での素晴らしい歌声も忘れられません。
(2007年メトの『フィガロの結婚』)
原産地 :イギリス
得意技 :繊細な陶器を思わせる歌唱。おもにモーツァルト作品で持ち味を発揮。
生態 :時々、ヴェリズモ作品のアリアを歌おうなどと突拍子もないことを考える。(ガラの記事参照)
意外とはじけやすい度: 舞台で他の出演者に飛び蹴りをくらわせたことあり。
当ブログの評価: 得意な役にこだわりつづけてほしい。『道化師』のアリアは禁止。
ディミトリ・ホロストフスキー Dmitri Hvorostovsky (バリトン)
英語で言っても日本語で言っても舌を噛みそうな、なかなか覚えられない名前。
ついに発音と綴りを覚えた日には妙な達成感すら感じる。
眉毛の色からして濃い色の髪だと思われるが、常にプラチナム・ブロンドに染め上げている。
(追加訂正:あの髪は地毛らしい、という情報を頂きました。やはりコメント参照。)
これは大正解。”あの白い髪の人”として記憶され、名前が覚えにくいというハンデも吹っ飛ぶ。
ロシア系のレパートリーでは他の追随を許さない。
ヴェルディもよいが、役によってぴたーっとはまるものとそうでないものがある。
(メト 2006/7年シーズンの『ドン・カルロ』のロドリーゴ役)
原産地 :ロシア
得意技 :男心の葛藤、複雑さを表現する役で持ち味を発揮。オネーギン、レナート(『仮面舞踏会』)は
はまり役。
生態 :まわりのキャストをひっぱる立場の歌唱もよいが、
相手役に恵まれると新しい側面が歌や演技に次々と出てくる柔軟さあり。
表と裏が違う度: 思ったとおりが顔と行動に出る。見てるこちらがひやひやする。
当ブログの評価: レリエー、キーンリサイドと同じく、まだ先があるので。
スティーヴン・コステロ Stephen Costello (テノール)
うーむ。こうしてみると、低声系の人たちはいい男度が高い!
テノールもうかうかしておれません。そんな強力な低声陣に立ち向かうにはまずこの人。
今年の『ルチア』ではアルトゥーロという超脇役を歌いながら、オペラヘッドの注目を一身に集め、
なんと一日だけではありますが、エドガルドを歌う栄誉をゲット。
まだ歌を勉強中の学生さんの身で、メトの主役級デビューとはすごいことです。
オペラヘッドにゲイの方が多いというのはよく知られたことですが、
そのゲイのオペラヘッドたちから、”かわい~い!”とのラブ・コール多し。
ゲイの方たちはヘテロの男性より平均美的センスが高いのも、これまたよく知られたこと。
そんなゲイ系オペラヘッドの承認の印もあるのだからこわいものなし!
(メト、2007/8年シーズンの『ルチア』のアルトゥーロ役)
(ハドソン・リバーフロント・パフォーミング・センターの2007年のコンサートから)
原産地 :アメリカ
得意技 :少し線が細めで柔らかい(声が小さい、という意味ではない)美声が特徴。
生態 :あまりの評判ぶりに段々とメジャーな劇場からのオファーが殺到し始めている。
舞台で立っているときに、手持ち無沙汰な様子になる瞬間があるのが悲しい。
立ち姿から研究すべし。
期待度 :
当ブログの評価: 久々に登場したスリリングな歌声を聴かせる逸材。大、大期待してます。
ヨナス・カウフマン Jonas Kaufmann (テノール)
ドイツ人でありながら、イタリア、フランスもののレパートリーをこなす
今まであまりいなかったタイプの男性歌手。
実はこの方、2006/7年シーズンのBest Moments Awardsで堂々第一位だった『椿姫』で、
ストヤノヴァのヴィオレッタに対し、アルフレードを歌ったテノール。
当時、歌は上手いのだから、そのマイケル・ボルトンのようなうざい髪型をどうにかしなさい!
と思っていたら、最近デッカとレコード契約を結び、徹底したオーバーホールを実施。
ものすごい男前にイメージチェンジ!!!ちょっと、ヨナス!あなたってば、そんなにいい男だったの!?
(ちなみに女性編のゲオルギューの写真でアルフレードを歌っているのが、イメチェン前のカウフマンです。)
すでに彼のいい男ぶりは、ゲイ系オペラヘッズの間で大フィーバーを巻き起こしております。
そのデッカから発売されたアリア集は、もう今後二度とCDを発売できないと本人が思い込んでいるのでは
ないか?と思わせるほど、あらゆるメジャーなアリアてんこもりの珍品となっていますが、
”冷たい手を(『ラ・ボエーム』)”、『椿姫』からのシーンなど、一途な役を歌わせるとかなり聴かせます。
特に、”冷たい手を”は、私には最近のテノールの中で最も興奮させられた出来栄え。
バリトンのような彼の声があの高音にあがっていくのは非常にスリリングです。
ヴィラゾンやヴァルガスなんかより、ヨナスのロドルフォ(『ラ・ボエーム』)を生で聴いてみたい!
私がゲルプ氏なら今からでもライブ・インHDの『ラ・ボエーム』のロドルフォ役をヴァルガスから彼に変える。
(メト2005/6年シーズンの『椿姫』)
原産地 :ドイツ
得意技 :バリトンをひきのばしたような独特の声。そういう意味では少しドミンゴを思わせるが、
ドミンゴほどロブストではない。クーラに似ている、と感じる人もいるようだが、
クーラより、ずっと繊細さを感じて好き。イタリア語の扱いも巧み。
生態 :今までも堅実な舞台をこなしてきたが、むさくるしいルックスのせいでブレイクできなかった。チャンス到来!!
びっくりイメチェン度:
期待度 :
当ブログの評価: また応援したいテノールが加わりました。
ホセ・クーラ Jose Cura (テノール)
と自分の趣味を二連大爆発させてしまったので、ここらで一旦クール・ダウン。
90年代の末にはポスト3大テノールの一人なんて言われていたのに、最近やや影が薄い。
(レリエーを気に入ったうちのおばも、最近手紙で、”クーラって今どうしてるの?”と聞いてきた。)
オペラヘッドをしていると、どうも相性が悪い歌手というのがいて、行く公演ことごとく
いまいち、と思わせられるケースがあるが、私にとってクーラはその一人。彼の乱暴な歌唱が嫌いです。
しかし、彼の歌を絶賛する人もいるので、単に私が彼と縁がないのかもしれません。
正直、私にとっては、このクーラは女性編のゲオルギューに近い位置づけです。
原産地 :アルゼンチン
得意技 :ロブストな声。どんどん重い役に挑戦していったが(”オテロ”、”カヴァレリア/道化師”)、私が納得したことは一度もない。
そうそう、指揮もします。最近では映像作品も手がけている様子。
生態 :マルチな才能の持ち主だとは思いますが、私は歌手としてすぐれていればそれで十分なので、、。逆にそこがすぐれていないと、、。ま、男前ではありますが。
期待度 : 何を期待していいのか、よくわからない。
当ブログの評価: (ファンに刺されるな、これは。)
後注: 2009年4月10日の公演で、状況は激しく大逆転。こちらをお読みください。
フアン・ディエゴ・フローレス Juan Diego Florez (テノール)
最後はやっぱり総合点一位のこの方を。別名、王子。
もう、今、この人をオペラハウスで聴かないということは犯罪である!と思わせるほどの
ものすごい歌唱力と稀有な声、そしてルックスが揃ったスーパーな人。
ルックスを抜きにして、純粋に歌唱力だけで選んでもトップになる。
彼と同時代に生きているというこの幸運に、すぐにでもオペラハウスに走るべき。
(彼が歌っている公演が上演中であることを確認のうえで。)
フローレスの歌を聴いた日には、クーラの雑い歌はもう聴けません。
レパートリーの種類が何であれ、彼のように一音一音を大事に歌ってほしいものです。
(2004年 ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルでの『シャブランのマティルデ』)
原産地 :ペルー
得意技 :オペラになじみのない方にはやや特異に感じられるかもしれないほどの軽い声で超絶技巧を放つ。
真のロッシーニ・テノール。
生態 :女性編のネトレプコとは対照的に、彼はできればやや小さめの劇場で聴きたいタイプ。
声の迫力ではなく、美しさと技巧を聴くタイプの歌手です。
王子度 : たたずまいもおっとりしていてまさに王子!
当ブログの評価: これほど誰からも文句が出ないであろうと、確信を持って満点を捧げられる歌手は彼だけ。
以上9名が男性編で選ばれた顔ぶれでした。
いやー、男性編には力入りましたです。ビジュアル重視の皆様もぜひ、彼らの歌唱をご堪能ください。
平等に、男性側も9名を選出することにしました。
ただし、男性編では一層私のえこひいきが炸裂し、何人かにいたっては掟をやぶって写真も多くのせてしまいます。
しかし、女声編に比べると男性の方が見栄えと実力の間でやや乖離があるケースが多く、選出は難航。
両方を備えているためにすぐに名前が出てきた人と、そうでない人がいた、と申し上げておきましょう。
選抜ルールは女性編に同じ。
1)最初に歌唱力が一定のレベルに達していないと思われる方を削除。
2)一般的にルックスがよい、とされていても、私が”いや。それは違う。”と感じたら、やはり削除。
(ルネ・パぺよ、トーマス・ハンプソンよ、アラーニャよ、すまん。)
3)私が舞台で実際に公演に接したことがある人に限る。よってメトに定期的に登場する歌手が中心。
4)顔のつくりだけでなく、体型、造作も判断基準のひとつ。
当ブログの評価、イコール、単純に私がどれくらい好きか。
まあ、御託はいいです。今回も偏見独断炸裂で行きます。
アーウィン・シュロット Erwin Schrott (バス・バリトン)
男性編では低い声域から高い方にあがっていくことにいたします。
女性編のアンナ・ネトレプコの赤ちゃんのお父さん。
(早く結婚してくれ。そしたら、”だんなさん”の一言ですむのに。)
少し前まではターザンのようなルックスだったのに、だんだん最近垢抜けてきた。
今年の『フィガロ』では、非常にハンサムな新鮮なフィガロ像を披露。
ネトレプコでなくとも惚れました。歌も悪くありません。
原産地 :ウルグアイ
得意技 :脱ぐこと。引き締まった体が自慢。その得意技を利用したドン・ジョバンニ役で評価を固めた。
生態 :しかし、歌も演技も含め、”オペラの登場人物がおしゃれでスマートで何が悪い!”
というアプローチは新鮮で、新しい世代だなあ、と感じます。
隅に置けない度: いつの間にネトレプコと、、、、。
当ブログの評価: しかし、いつまでも若者的アプローチはできない。今後の進化が楽しみ。
ジョン・レリエー John Relyea (バス・バリトン)
私の知っているほとんどの女性は、彼の舞台を見ると”素敵~ ”とうっとり。私のおばも激褒め。
今年のメトでは、『ルチア』のライモンド、『マクベス』のバンクォーと大活躍。
公演による当たり外れが非常に少なく、いつも安定した歌を聴かせるのでメトの常連客にも人気。
まだまだ若いので、渋さが要される役はこれからますます円熟味を増していくのでは、と思われます。
(メトの『ロデリンダ』でのガリバルド役)
原産地: カナダ
得意技: どんなレパートリーも器用にこなすが、今まで見た中ではヴェルディがあっている気がする。
生態 : すらりとした長身で舞台姿も美しいが、どんどん声に深みが出てきているので今後注目。
メト御用達度: 毎シーズン重要な役を担当。複数演目の掛け持ちも。
当ブログの評価: 本当はもっと高くていいんですが、後があるんで、、。
ネイサン・ガン Nathan Gunn (バリトン)
声域が上がってバリトンです。
今回もっとも迷った人物。数シーズン前の『魔笛』のパパゲーノでは素晴らしい歌唱を披露していたのに、
やや最近歌そのものがぱっとしない。
売りは鍛えられた体。舞台でもすぐに脱ぐ。よって上半身裸でない写真を見つけるのが難しい。
運動神経がよく体の動きがきれいなので、それで十分なのだから、何もそこまでしなくても、、と思う。
(メト2005/6年シーズンの『アメリカン・トラジディー』)
原産地: アメリカ
得意技: 脱ぐこと。しかし、コミカルな演技も実は上手。総じて舞台上の動きが綺麗な体育会系。
生態: 最近ややスランプか、メトではどんどん歌う役が小さくなっていっているようで気がかり。
写真は上半身裸のものか、パパゲーノのように被り物を身に着けているものしか手に入りにくい。
肉体美度:
当ブログの評価: 本来もっと歌える人のはず!歌で挽回しましょう。がんばれ。
サイモン・キーンリサイド Simon Keenlyside (バリトン)
そんなガンと180度対照的なのがイギリス紳士、キーンリサイド。
彼が舞台で脱ぐなんて考えられません。脱がずとも、そこはかとなく上品な魅力が漂ってくるお方。
(追加訂正:なんと、NYでは全くお脱ぎになりませんが、他の劇場ではよくお脱ぎになっているそうです。
コメント参照。)
今シーズンの『フィガロ』の伯爵役でのそのお美しさは溜息もの。
声がいたって繊細なので大事にしていってほしいです。
タッカー・ガラでの『真珠とり』の二重唱での素晴らしい歌声も忘れられません。
(2007年メトの『フィガロの結婚』)
原産地 :イギリス
得意技 :繊細な陶器を思わせる歌唱。おもにモーツァルト作品で持ち味を発揮。
生態 :時々、ヴェリズモ作品のアリアを歌おうなどと突拍子もないことを考える。(ガラの記事参照)
意外とはじけやすい度: 舞台で他の出演者に飛び蹴りをくらわせたことあり。
当ブログの評価: 得意な役にこだわりつづけてほしい。『道化師』のアリアは禁止。
ディミトリ・ホロストフスキー Dmitri Hvorostovsky (バリトン)
英語で言っても日本語で言っても舌を噛みそうな、なかなか覚えられない名前。
ついに発音と綴りを覚えた日には妙な達成感すら感じる。
眉毛の色からして濃い色の髪だと思われるが、常にプラチナム・ブロンドに染め上げている。
(追加訂正:あの髪は地毛らしい、という情報を頂きました。やはりコメント参照。)
これは大正解。”あの白い髪の人”として記憶され、名前が覚えにくいというハンデも吹っ飛ぶ。
ロシア系のレパートリーでは他の追随を許さない。
ヴェルディもよいが、役によってぴたーっとはまるものとそうでないものがある。
(メト 2006/7年シーズンの『ドン・カルロ』のロドリーゴ役)
原産地 :ロシア
得意技 :男心の葛藤、複雑さを表現する役で持ち味を発揮。オネーギン、レナート(『仮面舞踏会』)は
はまり役。
生態 :まわりのキャストをひっぱる立場の歌唱もよいが、
相手役に恵まれると新しい側面が歌や演技に次々と出てくる柔軟さあり。
表と裏が違う度: 思ったとおりが顔と行動に出る。見てるこちらがひやひやする。
当ブログの評価: レリエー、キーンリサイドと同じく、まだ先があるので。
スティーヴン・コステロ Stephen Costello (テノール)
うーむ。こうしてみると、低声系の人たちはいい男度が高い!
テノールもうかうかしておれません。そんな強力な低声陣に立ち向かうにはまずこの人。
今年の『ルチア』ではアルトゥーロという超脇役を歌いながら、オペラヘッドの注目を一身に集め、
なんと一日だけではありますが、エドガルドを歌う栄誉をゲット。
まだ歌を勉強中の学生さんの身で、メトの主役級デビューとはすごいことです。
オペラヘッドにゲイの方が多いというのはよく知られたことですが、
そのゲイのオペラヘッドたちから、”かわい~い!”とのラブ・コール多し。
ゲイの方たちはヘテロの男性より平均美的センスが高いのも、これまたよく知られたこと。
そんなゲイ系オペラヘッドの承認の印もあるのだからこわいものなし!
(メト、2007/8年シーズンの『ルチア』のアルトゥーロ役)
(ハドソン・リバーフロント・パフォーミング・センターの2007年のコンサートから)
原産地 :アメリカ
得意技 :少し線が細めで柔らかい(声が小さい、という意味ではない)美声が特徴。
生態 :あまりの評判ぶりに段々とメジャーな劇場からのオファーが殺到し始めている。
舞台で立っているときに、手持ち無沙汰な様子になる瞬間があるのが悲しい。
立ち姿から研究すべし。
期待度 :
当ブログの評価: 久々に登場したスリリングな歌声を聴かせる逸材。大、大期待してます。
ヨナス・カウフマン Jonas Kaufmann (テノール)
ドイツ人でありながら、イタリア、フランスもののレパートリーをこなす
今まであまりいなかったタイプの男性歌手。
実はこの方、2006/7年シーズンのBest Moments Awardsで堂々第一位だった『椿姫』で、
ストヤノヴァのヴィオレッタに対し、アルフレードを歌ったテノール。
当時、歌は上手いのだから、そのマイケル・ボルトンのようなうざい髪型をどうにかしなさい!
と思っていたら、最近デッカとレコード契約を結び、徹底したオーバーホールを実施。
ものすごい男前にイメージチェンジ!!!ちょっと、ヨナス!あなたってば、そんなにいい男だったの!?
(ちなみに女性編のゲオルギューの写真でアルフレードを歌っているのが、イメチェン前のカウフマンです。)
すでに彼のいい男ぶりは、ゲイ系オペラヘッズの間で大フィーバーを巻き起こしております。
そのデッカから発売されたアリア集は、もう今後二度とCDを発売できないと本人が思い込んでいるのでは
ないか?と思わせるほど、あらゆるメジャーなアリアてんこもりの珍品となっていますが、
”冷たい手を(『ラ・ボエーム』)”、『椿姫』からのシーンなど、一途な役を歌わせるとかなり聴かせます。
特に、”冷たい手を”は、私には最近のテノールの中で最も興奮させられた出来栄え。
バリトンのような彼の声があの高音にあがっていくのは非常にスリリングです。
ヴィラゾンやヴァルガスなんかより、ヨナスのロドルフォ(『ラ・ボエーム』)を生で聴いてみたい!
私がゲルプ氏なら今からでもライブ・インHDの『ラ・ボエーム』のロドルフォ役をヴァルガスから彼に変える。
(メト2005/6年シーズンの『椿姫』)
原産地 :ドイツ
得意技 :バリトンをひきのばしたような独特の声。そういう意味では少しドミンゴを思わせるが、
ドミンゴほどロブストではない。クーラに似ている、と感じる人もいるようだが、
クーラより、ずっと繊細さを感じて好き。イタリア語の扱いも巧み。
生態 :今までも堅実な舞台をこなしてきたが、むさくるしいルックスのせいでブレイクできなかった。チャンス到来!!
びっくりイメチェン度:
期待度 :
当ブログの評価: また応援したいテノールが加わりました。
ホセ・クーラ Jose Cura (テノール)
と自分の趣味を二連大爆発させてしまったので、ここらで一旦クール・ダウン。
90年代の末にはポスト3大テノールの一人なんて言われていたのに、最近やや影が薄い。
(レリエーを気に入ったうちのおばも、最近手紙で、”クーラって今どうしてるの?”と聞いてきた。)
オペラヘッドをしていると、どうも相性が悪い歌手というのがいて、行く公演ことごとく
いまいち、と思わせられるケースがあるが、私にとってクーラはその一人。彼の乱暴な歌唱が嫌いです。
しかし、彼の歌を絶賛する人もいるので、単に私が彼と縁がないのかもしれません。
正直、私にとっては、このクーラは女性編のゲオルギューに近い位置づけです。
原産地 :アルゼンチン
得意技 :ロブストな声。どんどん重い役に挑戦していったが(”オテロ”、”カヴァレリア/道化師”)、私が納得したことは一度もない。
そうそう、指揮もします。最近では映像作品も手がけている様子。
生態 :マルチな才能の持ち主だとは思いますが、私は歌手としてすぐれていればそれで十分なので、、。逆にそこがすぐれていないと、、。ま、男前ではありますが。
期待度 : 何を期待していいのか、よくわからない。
当ブログの評価: (ファンに刺されるな、これは。)
後注: 2009年4月10日の公演で、状況は激しく大逆転。こちらをお読みください。
フアン・ディエゴ・フローレス Juan Diego Florez (テノール)
最後はやっぱり総合点一位のこの方を。別名、王子。
もう、今、この人をオペラハウスで聴かないということは犯罪である!と思わせるほどの
ものすごい歌唱力と稀有な声、そしてルックスが揃ったスーパーな人。
ルックスを抜きにして、純粋に歌唱力だけで選んでもトップになる。
彼と同時代に生きているというこの幸運に、すぐにでもオペラハウスに走るべき。
(彼が歌っている公演が上演中であることを確認のうえで。)
フローレスの歌を聴いた日には、クーラの雑い歌はもう聴けません。
レパートリーの種類が何であれ、彼のように一音一音を大事に歌ってほしいものです。
(2004年 ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルでの『シャブランのマティルデ』)
原産地 :ペルー
得意技 :オペラになじみのない方にはやや特異に感じられるかもしれないほどの軽い声で超絶技巧を放つ。
真のロッシーニ・テノール。
生態 :女性編のネトレプコとは対照的に、彼はできればやや小さめの劇場で聴きたいタイプ。
声の迫力ではなく、美しさと技巧を聴くタイプの歌手です。
王子度 : たたずまいもおっとりしていてまさに王子!
当ブログの評価: これほど誰からも文句が出ないであろうと、確信を持って満点を捧げられる歌手は彼だけ。
以上9名が男性編で選ばれた顔ぶれでした。
いやー、男性編には力入りましたです。ビジュアル重視の皆様もぜひ、彼らの歌唱をご堪能ください。