Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

メト 2008-2009年シーズン 演目発表

2008-03-04 | お知らせ・その他
いよいよ125周年にあたるメトの2008-2009年シーズンの演目が発表になりました。

新プロダクションが6つ、従来のプロダクションが18、2つのガラ公演、
プラスシーズン前のパヴァロッティ追悼のガラというラインアップで、
長らくメトのファンにはおなじみだったオットー・シェンク演出の指環の最後の公演が予定されているのも目をひきます。
この新シーズンのリング・サイクルの公演をもって、このオットー・シェンク演出の指環はお蔵入りになってしまうそうです。

では、演目の予定を。

 ガラ

9/22のオープニング・ナイトは、ルネ・フレミングのガラ・パフォーマンス。
椿姫のヴィオレッタ(ま、まじ、、、?)、マスネのマノン(これは楽しみ!)、R.シュトラウスのカプリッチョの伯爵夫人の3役を演じます。
ラモン・ヴァルガス、トーマス・ハンプソン、ドウェイン・クロフトも出演。

3/15のガラは、メトの125周年およびドミンゴのメト・デビュー40周年を記念してのもの。

またシーズン開幕前の9/18には、パヴァロッティをしのんで、レヴァイン指揮によるヴェルディの『レクイエム』の演奏が予定されています。
バルバラ・フリットーリ、オルガ・ボロディナ、マルチェロ・ジョルダーニ、ジェームズ・モリスがソリスト。

 新演出作品

 ドクター・アトミック (ジョン・アダムス作曲)


(ドクター・アトミック出演のジェラルド・フィンレイ)

コンテンポラリーもの。ペニー・ウールコックの新演出。
ジェラルド・フィンレイがタイトル・ロールを歌います。アラン・ギルバート指揮。

 ファウストの劫罰 (ベルリオーズ)


(『ファウストの劫罰』のスチール写真からマルチェロ・ジョルダーニ)

ロバート・ルパージの演出。
マルチェロ・ジョルダーニ、スーザン・グラハム、ジョン・レリエー出演、指揮はレヴァイン。

 夢遊病の女 (ベッリーニ)


(アミーナ役のデッセイ)

今シーズン好評だったルチアを演出したメアリ・ジンママンが再びメトに帰ってきます。
主役のアミーナは、やはりルチアと同じくナタリー・デッセイ。共演はフアン・ディエゴ・フローレス王子、
ミケーレ・ペルトゥージ。
ピド指揮。

 タイース (マスネ)
ルネ・フレミング、トーマス・ハンプソン、マイケル・シェイドらが、
ロペス・コボス指揮で歌います。演出はシカゴ・リリックがオリジナルのジョン・コックスのもの。
冒頭の写真は『タイース』のスチール写真からのルネ・フレミング。

 つばめ (プッチーニ)
アンジェラ・ゲオルギュー&ロベルト・アラーニャ夫妻が登場。
ランの後半はジュゼッペ・フィリアノーティがルッジェロ役を歌う予定。
他にサミュエル・レイミーら出演。
オリジナルはキャピトル・トゥールーズ劇場とコヴェント・ガーデンの舞台でジョエル演出。
指揮はマルコ・アルミリアート。

 イル・トロヴァトーレ (ヴェルディ)


(マンリーコ役のリチートラ)

シカゴ・リリック・オペラとサンフランシスコ・オペラとの共同作品で、マクヴィカーの演出。
ソンドラ・ラドヴァノフスキー、ドローラ・ザジック、サルヴァトーレ・リチートラ、
ディミトリ・ホロストフスキーの出演。
裏キャストは、ハスミク・パピアン、ルチアーナ・ディンティーノ、マルコ・ベルティ、ゼリコ・ルチーチ。
指揮はノセダ。


 既存演出作品

 オルフェオとエウリディーチェ (グルック)
昨シーズン初演されたマーク・モリスの演出が帰ってきます。レヴァイン指揮。
ステファニー・ブライス、ダニエル・デ・ニースの共演。
ということで、オルフェオ役が、昨シーズンのカウンターテナー版とは違い、メゾ版です。やった!

 トリスタンとイゾルデ (ワーグナー)
昨年10月のベルリン国立歌劇場の日本公演のトリスタンでの指揮が素晴らしかったとの噂を聞くバレンボイムがメト・デビュー。
カタリーナ・ダレイマン(苗字の読み方がよくわかりません。Dalayman。イゾルデ。)、
ミシェル・デ・ヤング(ブランゲーネ)、ペーター・ザイフェルト(トリスタン)、ルネ・パペ(マルケ王)出演。

 スペードの女王 (チャイコフスキー)
1992年以来久々に小澤征爾がメトに戻ってきます。ベン・ヘップナー、マリア・グレギーナが歌います。

 ランメルモールのルチア (ドニゼッティ)
ダムローとネトレプコのダブル・キャスト。
ただし、ネトレプコは以前お知らせしたとおり、
赤ちゃんが生まれるころなので、出演できるかは微妙です。
ヴィラゾンとベクザラ(? Beczala)がエドガルド役で、
クウィーチェンとストヤノフがエンリーコ役でダブル・キャストを組みます。

 エフゲニ・オネーギン (チャイコフスキー)
カリタ・マッティラがタチアナ役に挑戦。トーマス・ハンプソンがオネーギン役。

 サロメ (R. シュトラウス)
こちらもマッティラ出演。

 ラ・ジョコンダ (ポンキエッリ)
デボラ・ヴォイト、オルガ・ボロディナ、ジェームズ・モリスら。

 愛の妙薬 (ドニゼッティ)
ゲオルギューのアディーナに、ヴィラゾンのネモリーノ。ドゥルカマーラにブリン・ターフェル。

 カヴァレリア・ルスティカーナ(マスカーニ)&道化師(レオンカヴァッロ)
アラーニャとホセ・クーラのダブル・キャスト。とはいえ、メトが発表している文章からは、
一作品ずつという意味のダブル・キャストではなく、それぞれが両方の役を歌うという意味のダブル・キャストの模様。
クーラはともかく、アラーニャ、大丈夫なんだろうか、、。

 ドン・ジョヴァンニ (モーツァルト)
アーウィン・シュロット(前~中期)とペーター・マッテイ(後期)がドン・ジョヴァンニ、
スーザン・グラハムのエルヴィーラ(前期のみ)、
クラッシミラ・ストヤノヴァ(前期)とバルバラ・フリットーリ(後期)のドンナ・アンナ、ポレンザーニのオッターヴィオ。
レポレロはダルカンジェロ(前~中期)とサミュエル・レイミー(後期)。
豪華です。

 ラ・チェネレントラ (ロッシーニ)
エリーナ・ガランチャがタイトル・ロール。王子はローレンス・ブラウンリー。

 椿姫 (ヴェルディ)
アニヤ・ハルテロスがメトのヴィオレッタ役に初挑戦。アルフレードはマッシモ・ジョルダーノ。
ジェルモン父はルチーチとのろまのドバーのダブルキャストなので要注意。

 リゴレット (ヴェルディ)
今年マクベス役を歌ったルチーチがリゴレット役で登場。楽しみ。
ジルダ役はクルザックとダムロー。
公爵役を何とフィリアノーティ、ベクザラ、ジョセフ・カレイヤのトリプル・キャスト。
全部、見に行かなくては。

 アドリアーナ・ルクヴルール (チレア)
マリア・グレギーナ、マルセロ・アルヴァレス、オルガ・ボロディナ。
何とメトでは15年ぶりの上演だそうです。

 ルサルカ (ドヴォルザーク)
ルネ・フレミング、ステファニー・ブライス、アントネンコらの顔合わせ。

 ラ・ボエーム (プッチーニ)
ミミはネトレプコとマイア・コヴァレフスカのダブル・キャスト。
ロドルフォはラモン・ヴァルガス。マルチェロにクウィーチェン。

 蝶々夫人 (プッチーニ)
パトリシア・ラセットとクリスティーナ・ガイヤルド・ドマスのダブル・キャスト。
ピンカートンはロベルト・アロニカとマルチェロ・ジョルダーニ。
シャープレスはこの人しかいない!ドウェイン・クロフト。

 魔笛 (モーツァルト)
来シーズンもこっそり紛れてやがる魔笛。新進のキャベルとピッタスが歌う。
、、、。ピッタスが歌うなら観にいかなくてはならなくなった、、。


 リング・サイクル

 ニーベルングの指環<リング・サイクル>(ワーグナー)
レヴァイン指揮。オットー・シェンク演出。
出演予定はクリスティン・ブルーワーとリサ・ガスティーン(ブリュンヒルデ)、
クリスティアン・フランツ/ジョン・フレデリック・ウェスト(ジークフリート)、
ジェームズ・モリス/アルバート・ドーメン(ヴォータン)、
プラシド・ドミンゴ/ヨハン・ボータ(ジークムント)、
ワルトラウト・マイヤー/エイドリアンヌ・ピエチョンカ(ジークリンデ)、
ルネ・パペ(フンディングおよびファーゾルト)
ジョン・トムリンソン(ファーフナーおよびハーゲン)。
3つのサイクルでダブル・キャストの役が多いので、チケットを買う際は要注意です。



 ライブ・イン・HD(ライブ・ビューイング)
来シーズンからは、さらに枠が広がり、10月の公演を頭に、10の演目がのる予定。


 ライブ・イン・HDのDVD化
EMIより、『ヘンゼルとグレーテル』と『マクベス』(いずれも2007-2008年シーズン)
および『始皇帝』(2006-2007年シーズン)が2008年5月にDVDでリリース予定。
『マノン・レスコー』、『ピーター・グライムズ』、『ラ・ボエーム』も続いて発売の予定。
(でかした、EMI!)

 NYに住む人、朗報!
アグネス・ヴァリス&カール・ライトマン夫妻のサポートによるラッシュ・チケットは
2008-2009年シーズンも継続です。
(*ラッシュ・チケット = 上のご夫妻が平土間座席の何十席かを定価で買い上げ、
そのままメトに即寄付返ししたものを、メトが一枚20ドルで発売するサービス。
当日、寒空の中、数時間並ぶ根性のあった人だけが20ドルで平土間で鑑賞できる。
ただし、一名二枚限定。
詳しいチケットの発券方法等についてはメトのウェブサイトをご覧ください。)


もう書いているだけでお腹いっぱいの充実したシーズン。
夏はたっぷり英気を養って、この怒涛のシーズンに備えねばなりません。