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東京の夜景動画ブログです。

一見さんお断り?

2007-07-25 21:45:02 | 撮影とテーマ設定2006~07年11月


今日も昨日と同様に朝からよく晴れて、梅雨明けを思わせる天気だったが、この好天は安定しないらしい。
それでも天気がよいのは気持ちがよく、今日は機材をメンテに出すついでに、例のごとくギャラリーへ行ってみた。



まず、表参道画廊浅見北斗個展吉田愛展を鑑賞させていただいたが、どちらも現代美術の現在(っちゅうと変な表現だな)というか、美術のモードを伝えてくれる、非常に興味深い展示だった。浅見氏の展示は大きく異なるふたつの要素を、あえて「整合性を提示しないまま」ぶつけたという印象を持ったが、空間の構成は非常に気持ちよく、なかなかに楽しむことが出来た。



吉田氏の作品は非常に高い技術に裏打ちされた、偶然性と作家的な意図との程よい組み合わせが心地よく、中心となる作品に全ての作品が収斂していく構成が、よい意味で鑑賞者に親切な展示だったと思う。作家氏ともいろいろお話をさせていただいたのだが、履歴に裏打ちされた確固たる姿勢で製作しておられ、今回が初めての個展とはとても信じられなかった。



表参道画廊を後にして、とりあえずメーカーのサポートセンターへ向かったのだが、平日のせいか比較的すいていた。ところが、ひとりしか待っていないはずなのに、なぜかちっとも順番が廻ってこない。ふとカウンターを見たら、老人が担当者を捕まえて延々話しこんでいる。
こうなると話の内容まで気になるのだが、案の定というかなんと言うか、やはりどうでもいい話しを繰り返すばかりだ。老人の暇つぶしに付き合わされる担当者も気の毒だが、待ってるこっちもたまったものじゃない。



メーカーのサポート担当に失敗写真の文句をつけても、写真はちっとも上達しませんよ。
カウンターにひじを付いてよろよろしてるようじゃ、いくら手振れ補正つきカメラでも写真はぶれますよ。



などと、つい心の中で突っ込みを入れるものの、いくらなんでも口に出すわけにもいかず、ただフラストレーションがたまる。やがて別の担当者が現れ、検査を依頼してしばらく待っていたが、中に調整が必要なものも見つかった。この場で調整は可能だが、半日近く必要との事。
仕方ないので四谷付近まで出かけ、自主写真ギャラリーをはしごすることとした。



四谷から新宿にかけては数多くの自主ギャラリーが存在していて、こゆい写真マニアの中では非常に良く知られているのだが(そのために上京する写真作家志望の人すらいる)、一般の人々には全くといってもよいほど知られてないし、いわゆるフツーの写真好きですらせいぜい雑誌かなにかで名前を知っているぐらいだろう。



こうなってしまった理由はいくつか思いつくが、まずなにより存在そのものがまだまだ知られていないし、さらに「知っているけど、敷居が高くて行く気になれない」というものもある。
この、敷居が高いとか高そうという感覚はなかなか厄介で、しかもある意味では「事実」でもあるだけに、解消できるかどうか、そもそも解消しなければならない問題なのかどうかさえ、自分にはなんとも言いがたいところがある。



自分は日本画とか焼き物、浮世絵などに代表される、日本の伝統的な美術を扱うギャラリーをあまり知らないのだが、販売がメインのギャラリーとなると、やはり相当に敷居が高いし、ギャラリーの側でも意図的に敷居を高くしている部分がある。これが骨董を扱うギャラリーとなるともはやお店といった感覚で、なぜギャラリーと名乗るのかさえ分からないが、いずれにしてもこの種のギャラリーは、作品に対する姿勢が自主ギャラリーや貸画廊とは全く異なるので、とても同列に語ることは出来ない。



自主ギャラリーや貸画廊の敷居が高い理由はいくつかあるが、まずギャラリーの外見というか入り口が問題というか、場所が分かりにくいなんてのはまだ可愛いほうで、現代美術や写真系のギャラリーではほとんど反社会組織のアジトのようなところすら少なくない。その上、展示の告知にもいささか問題があって、ろくすっぽ告知しないところもなくはないのだけど、それよりも告知のメインターゲットが美術メディアと他のギャラリーというところだろうね。
もちろん、これでは既に現代美術へ興味を持っている人にしか届かないのだけど、実はその方が関係者全員にとって都合がよいという部分もあり、これまたなんとも言いがたいところではある。なにしろ、ギャラリーといってもビルの一室がほとんどで、こぎれいなPCパーツショップの方がまだマシといったところすら少なくない。ある程度はギャラリーの実態を知っている人間でさえ、時には「おいおい」と突っ込みいれたくなるギャラリーもあるぐらいだから、下手に多くの人を集めてしまうと、ギャラリーのオーナーさんが困ったりしかねない。



そして、もしかしたら少々ギャラリーの敷居が高いぐらいの方が、作家自身も安心できるかも知れないところも含めると、敷居がどんどん高くなる一方になってしまう。もちろん、本当に鑑賞者を排除してしまったら意味無いので、もう一方ではより開かれたギャラリーを目指す試みも様々に行われているのだが、あんまりうまく行ってるようには思えないしなぁ~



個人的には、現代美術ってオタクの世界と同じように、同じ趣味を共有する(できる)人々だけで形成される、ある意味ではひどく閉じた世界だと思うから、開かれた世界を目指すというよりも「世界の隙間」をいかに確保するかが大事なのではないかと思う。もちろん、オタク的な閉じた世界内での息苦しさはあるし、それがまた別の問題を引き起こすことも承知はしてるんだけど、開かれた世界の胡散臭さの方がより問題だと思うんだよねぇ~



とはいえ、流石にギャラリーの敷居は、もう少し低くしたほうがいいと思うよ。



最後に、注目すべきと思った展示を、駆け足で紹介していこう。
ます、ロータスルート・ギャラリーの下平竜矢展「愚かさの証明」だが、地域の祭事をテーマにしていながら、作品に「ハレ」の感覚が全く感じられず、かといって祭事に対して冷ややかな目線を注ぐわけでもなく、ただあるがままを撮るという非常に難しい作品に挑戦し、そしてかなりの成功を収めている。個人的にこの種のポートレートは苦手なのだが、好き嫌いを超えて評価すべき展示だと思う。



次に、photographers' gallery大友真志写真展「mid field」だが、沼地広がる名も無き植物の群落を、画面を覆うテクスチャとして提示したところに、なんとも写真的な面白さを感じた。出身地である北海道の原野を撮影しているのだが、ある意味で二重においしい被写体にもかかわらず、それをただのテクスチャとして消費してしまうあたりに作家の鋭さや、写真という表現手段に対する理解の深さを感じた。ただ、このギャラリーは照明にいささか問題があり、特に大友氏のような作品を鑑賞するには、正直言って不向きだと思う。



最後に、ガレリアQで開催中の齋藤大輔写真展「sight seeing #1 #2」を紹介するが、こちらは正統派のランドスケープで、観ていて本当にすがすがしいというか、思い切りのよさが作品に表われている。個人的に好きな系統の作品なので、いささか甘い目線を注いでいるかもしれないが、まぁ好きなものは好きなんだから仕方ない。
出来れば、作品の持つディティールの濃度や、濃密な中に軽やかさのある、手持ち撮影ならではの感覚を味わって欲しいと思う。



さてと、サッカー観に帰るか!



浅見北斗 展
会場: 表参道画廊
スケジュール: 2007年07月23日 ~ 2007年07月28日
住所: 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-17-3 アーク・アトリウム B02
電話: 03-5775-2469 ファックス: 03-5775-2469



吉田愛 展
会場: ミュゼF
スケジュール: 2007年07月23日 ~ 2007年07月28日
住所: 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-17-3 アーク・アトリウム B02
電話: 03-5775-2469



下平竜矢 「愚かさの証明」
会場: ロータスルート・ギャラリー
スケジュール: 2007年07月24日 ~ 2007年07月29日
開廊時間: 12:00-19:00
住所: 〒163-0004 東京都新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F
電話: 03-3341-9341



大友真志 「the middle」
会場: フォトグラファーズギャラリー
スケジュール: 2007年07月21日 ~ 2007年08月09日
住所: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-16-11-401
電話: 03-5368-2631 ファックス: 03-5368-2361



齋藤大輔 「sight seeing #1 #2」
会場: ガレリアQ
スケジュール: 2007年07月21日 ~ 2007年07月30日
住所: 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-8-9 新宿Qビル4F
電話: 03-5269-5230 ファックス: 03-5269-5230


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9 コメント

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Unknown (枝兎)
2007-07-26 08:19:16
はじめまして、最近こちらを知ってRSSに登録させていただきましたー。

わたしも、ギャラリーの敷居の高さには問題ありだと思います。とっても入りにくいですよねぇ。普通のサラリーマンとかOLさんがブランド品や趣味のモノを買うようにもっと気軽に美術品(っていう言い方も重い・・・)を見たり買ったりできるような空気を作れないものですかねぇ。。
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こめんとありがとです (m_m1941)
2007-07-26 14:01:36
どもども、はじめまして。

ほんとに、もうちょっとなんとかならないかと、常々思うところですけどね。
ブランドショップぐらいに、おしゃれでありつつ敷居はそれほど高くないような、そういうギャラリーが出てくると良いんですけど、いろいろ難しいのでしょうね。
カフェスタイルのギャラリーはひとつの答えかもしれませんが、鑑賞する側からするとどうなんでしょうかねぇ?
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Unknown ()
2007-07-27 01:44:33
友人は学生時代にお金が無いので喫茶店で絵を飾らせてもらってましたよ。
不特定多数に見て貰うには良いと思いますが、「鑑賞」までには至らないかと。
やはりある程度開かれたギャラリーを切望します。
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なるほど (m_m1941)
2007-07-27 14:42:06
自分はカフェギャラリーでの展示経験が無いのですが、おっしゃることはよく分かります。
ギャラリーに関して様々な人が意見を述べていますが、当然ながら大半はオーナーか作家であり、鑑賞する側の意見がなかなか聞こえてこない、あるいは聞こうとしていないという現状があると思います。
まずは、その点から変えていかなければならないのでしょうね。
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カフェは・・・ (枝兎)
2007-07-28 12:07:20
なんとなくカフェギャラリーはやはり落ち着かないですねぇ。
ランチ目的の人はアート鑑賞をしないし、アート鑑賞目的の人は注文しないといけないからなんとなくメンドクサイ。。
いろいろな小品が手軽な価格で見たり買えたりする雑貨屋さんのようなギャラリーもあるといいのにな。

>ブランドショップぐらいに、おしゃれでありつつ敷居はそれほど高くないような

ほんとにそんな雰囲気なら、入りやすいしステキですねー。
ふと、道端に咲く花のように好きなアート作品と出会えたらうれしいのですが。
暮らしの中にアートがあるのがもっと普通になるといいですね。
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雑貨といえば (m_m1941)
2007-07-28 19:25:54
いまやすっかり痛い人の396(いや、昔から痛い人だったと思うけどさ)とか、愛地球博でもいまいち一般には浸透しなかったアランジアロンゾとか、雑貨とアートの中間的な扱いを受けた作家もいましたね。
ただ、どちらもすっかり雑貨ブランドとなってしまったようですが…
あぁ、かっぱ君はどうなんだろう?

雑貨みたいに完全なマスプロダクツではなく、ロットナンバーつきの小品とか、そういうところからぼちぼちとって感じなのかなぁ?

カフェギャラリーは、やはりどっちつかずみたいですね。写真方面では、ゴールデン街をはじめとするバーギャラリーもあるにはあるのですが、自分は行った事ないです。
もともと、外で酒飲まないんですけど、飲みながら写真観てもなぁ~ってね。
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パンダ好き ()
2007-07-29 02:42:39
ぉわw
話が横に逸れて申し訳ありませんが、えむえむさんからアランジアロンゾという単語が出てくるとは思いませんでした(笑)
昔、軽井沢の土産物店で遭遇してからのエセファンですが、限定の超合金メカパンダを注文しようか悩んだ私です。(結局買いませんでしたが)
確かにアートというよりはキャラクター商品といった感が強いですね。
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あはは (m_m1941)
2007-07-29 16:25:50
自分も、何年か前のMOEでアランジ特集してたのがきっかけですよw
けど、そのころはおしゃれ雑貨といっても「オトナのブランド品」ばかりで、そういう意味ではすごく新鮮だったと思います。
まぁ、今はサンエックスとほとんど同じようなかんじですけどね~
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メディアミックス ()
2007-08-04 02:26:26
サンエックスは文具屋さんというイメージでしたが、たれぱんだのヒット以降、「キャラクター」を全面に押し出し急成長したのではないでしょうか。
インターネットの普及やゲームセンターの景品。
今は色々な媒体で効率よく宣伝出来るのですから当たれば大きいですよね。
逆に当たらなければデザイナーはとても大きなプレッシャーになるのかもしれません。
何故辞めたのかは聞いてませんが、友人がサンエックスでデザイナーをしていましたw
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