Tokyo at rain and Tokyo at night MOVIE!

東京の夜景動画ブログです。

亡者の暗箱

2006-10-27 23:20:30 | 撮影とテーマ設定2006年3月~12月

最近、展示に備えて現代美術に関する様々な言説をチェックしているが、やはり写真は死んだメディアだという意を強くしてしまう。
もともと、自分はファインプリント志向がほとんどなかったところに、写真の持つ「複製可能性」への傾斜がますます強まってしまったため、展示という行為の持つファインアート的な胡散臭さからの決別を図っておきたかったのだ。


白状してしまうと、ややもするとアウラの捏造に走りがちなオリジナルプリント(ヴィンテージプリント)信仰から、多少なりとも距離を置いて活動したいという、作家としてはいささか不穏な動機も皆無とはいえないのだが、そんなことを心配する必要も無い気楽な立場だから、そこんところはのんきなものだったりもする。どちらかといえば、様々な言説と触れ合っていった過程において、会場で作品と相対したときは反感しか覚えなかったローナ・シンプソン展から、思いのほか大きな影響を受けていたことを自覚させられたことの方が、自分にとってはよほど不穏な出来事だったといえる。


たぶん、今度の展示を終えるころには、次の目標がより明確になっているだろう。
それは、自分にとっても楽しみな、わくわくすることだと、そう確信できる。


新宿ピルグリム

2006-10-21 23:12:53 | 展示準備2006年12月

ピルグリムといっても、体よく厄介払いされたキリスト教原理主義者ではなくて、鴻上尚史の戯曲を想像してほしいところ。
まぁ、彼らの子孫たちが住まうことになるあの帝国であろうがなかろうが、いずれにせよ反ユートピアであることに変わりはないのだがね。


というわけで、今日は出来上がったポストカードを持って、四谷から新宿のギャラリーを巡礼してきましたよ。
前回と同様に、スタッフへポストカードを渡してそそくさと移動し、また次のギャラリーでも同じことを繰り返す。だが、最後に立ち寄ったロータスルートギャラリーで開催されていた佐藤竜治写真展「東京礼讃」は、作品の匿名性を十分に意識した展示内容で、興味深く拝見させていただいた。作家氏とも少々お話させていただいたのだが、いろいろと感じさせられるところもあり、非常によい刺激を与えていただいた。
会期は明日までなのだが、興味のある方はぜひとも足を運んでほしい。


その後は知人とインドカレーを食べ、知人が大野一雄写真展『秘する肉体(からだ)』を観るというので、お付き合いしてコニカミノルタプラザに向かう。ただ、自分は舞踏にさほど興味を持っていないためか、白状してしまうと展示のほうはあまりピンとこなかった。なんというか、大野一雄氏を撮影した段階で、作品としての成功は約束されているのではないかなどと、不埒な思いが頭をよぎってしまった。


ところが、同時に開催されていた小西淳也写真展「子供の時間」が非常によくって、あえて失礼を承知で申し上げるなら、意外な掘り出し物にめぐり合えたように思う。
テーマそのものは自分の方向性と全く異なるのだが、作品と展示のまとめ方は非常に興味深く、共感するところも多い展示だった。また、制作についても作家氏ご本人から少々お話を聞かせていただいたのだが、その点でも極めて有意義な内容だった。
ただ、残念ながらこの展示も会期は月曜までなので、時間のある方はぜひとも足を運んでほしいと思う。


ともあれ、今日はいろいろな意味で刺激を受け、またなにかと勇気付けられるところの多い1日だった。
理想を求めて巡礼することも、たまには悪くないのかもしれない。


まな板の上でファイティングポーズ

2006-10-17 23:25:08 | 展示準備2006年12月

週明けから気持ちよく晴れ渡って、この上ない撮影日和だったのだが、こういうときに限って忙しいのだから、まぁ世の中というのは皮肉なものだ。
とはいえ、どうにかこうにか時間をやりくりして無理やりシートフィルムを8枚も消費しているのだから、コレがほんとのほとんどビョーキ(死語上等)だね。
ただ、まだしばらくは晴天が続きそうなので、機会を見つけてまた撮影に出かけたいところ。


撮影とは別に、ぼちぼちポストカードの配布にも取り掛からなければならないのだが、とりあえず近しい身内や金村ワークショップの皆さんへ配ってみたところ、思ったよりも反応は悪くはなかったのでぶっちゃけかなぁり安心したよ。
今度のポストカードは、画像や印刷所の選択からデザインまで、自分が直接オペレータに指示したので、やはり前回よりも緊張の度合いは高い。もちろん、ポストカードも含めた展示の全てについて、その責任は作家に帰するところではある。
だが、率直に言ってしまえば、作品を世に問うことができる喜びよりも、自らの作品に対する責任の重さがひしひしと感じられてしまう。


まぁ、たかだか1回かそこいら個展を開いただけの駆け出し風情が、自らの作品に対する責任を語るほうがおかしいし、また自信がないくらいの方がかわいげもあろうものかもしれないが、自信がないというのはとりもなおさず責任逃れの逃げ口上に過ぎないから、やはりココはどんなに苦しくてもファイティングポーズをとるしかない。
ただ、とりわけオタクの世界には、作品に対して自信がないことを公言してはばからない作家がたくさんいるけど、個人的には作家の辞書に謙遜という文字があってはならないと思うし、発表してしまった作品に対する全ての責任は作家が担うものと思う。確かに、オタクの世界では「自らの作品に対する自信をおおっぴらに示す」ことを嫌う風潮もあるし、また受け手であるオタク自身も自信を持って作品を選ぼうとしない者が多い。


極論ではあるが、オタクの世界では作り手も受け手も作品に対して責任をとりたがらないので、とにかく自信がないことにして逃げを打っているのではないかと、そう勘ぐりたくもなるくらいに自信喪失状態の人々が群れているんだが、ほんとのところはもうちょっと複雑で情けなかったりもするあたりがまた鬱陶しい。まぁ、平たく言ってしまうと受け手と送り手の共依存関係を成立させるためには、どちらも自信喪失状態であり、また責任を問うてはならないという暗黙の了解が必要ということなのだが、やっぱりそれってまずいと思うわけだ。


ただ、アートの世界はややもすると作家が晦渋の迷宮に逃げ込んで、これまた責任を取ろうともしなかったりもするので、どっちがどうということもできないのだろうが、そもあれ受け手と送り手の共依存関係だけはほんとに勘弁してほしいので、自分はファイティングポーズをとり続けようと思うよ。


ポストカード納入

2006-10-13 23:30:18 | 展示準備2006年12月

ポストカードをギャラリーに届けると、いよいよ展示準備も大詰めとなる。
夕方には知人にポストカードを渡し、展示についていろいろと話すが、問題はプリントのタイミングだ。


なにしろ今回もそれなりのサイズでプリントするため、可能な限り直前まで引っ張りたいというのが正直なところ。
可能な限り、展示サイズでテストプリントを作っておきたいのだが、費用もさることながら置く場所に困るという塩梅で、そう贅沢も言ってられない。
とはいえ、なんぼなんでもぶっつけ本番というわけにも行かないので、展示物と同じ用紙を使ったプリントは作らなければならないのだが、タイミングが難しくて悩む。


特に今回の展示はインスタレーション的な側面もあるので、本来であれば展示物と同サイズのプリントを実際に配置するとか、演劇で言うところのゲネプロをやっておかねばならないところではあるのだが、でもぶっちゃけそんなことは無理なのよ~
そもそも、ギャラリーのスケジュールが空いてないし、作品サイズ的にもぜんぜん無理だから、ほんとはその点がものすごく不安。


ともあれ、もう完全に引っ込みがつかない段階まできちゃったから、あとは腹をくくってなんとかするしかないね。


ハプニングアートの憂鬱

2006-10-07 23:47:02 | 撮影とテーマ設定2006年3月~12月

秋の嵐が過ぎ去った後、久々に驚くほどの晴天に恵まれたこともあり、朝から撮影に出かける決意を固めた。
しかし、ここしばらく雨続きだったこともあり、すっかり洗濯物はたまっているやら、部屋はすっかり埃っぽくなってるやらで、実際に家を出られたのは実にお昼過ぎのことだった。


ともあれ、いつものように機材を担いでその辺をほっつき歩き、シートフィルムを14枚消費した段階で帰宅。かなりいい感じだったので、基本的には満足。
ただ、今日は本当に光線状態がよくって、抜けのいいカットがいくつか取れているので、作品用に勝負フィルムを持参すればよかったかと、少し後悔したりしなかったり…


帰宅後はギャラリーに提出する展示資料をまとめたり、明日の準備をしたりでなんとなく時間をつぶそうとするも、なんだかうまくまとまらない。
ただ、デジタルなので準備といっても知れているし、明日は珍しく朝から現場だったりもするので、ちゃっちゃと夕食を摂って寝てしまおうかとも思いつつ、今度は近所のインドカレー屋へ出かける。ついでにDVDでも借りようかと、レンタルショップに立ち寄ってびっくり!


長年のもやもやが一気に解消したのですョ!


以前、なにかのテレビドキュメンタリーで草間彌生草間弥生)のハプニングだかパフォーマンスアートだかを観た時、ものすごい強烈なデジャヴュ(既視感)におそわれ、コレは絶対にどこかでみたことがあると思い込んでいたのだが、まぁなんというか当然のように思い出すことができないまま現在に至っていたわけだ。
もちろんリアルタイムで観ているはずもないし、93年の第45回ヴェネチアビエンナーレ以降であれば、いくらなんでも多少は覚えているだろう。


となると、リア娼時代にヲチした記憶がどこかにあったのか…
ふふふ、ワレながらセンスのよろしい娼だったものよのぅ…


などと勝手に思い込んでいたのだが、レンタルショップでモニターを観て全てが解決した。


デジャヴュって、ごっつのネタやん!


まぁ、現代という立ち位置から振り返ってしまえば前衛芸術なんて存在自体がギャグみたいなところあるし、特に舞台芸術の世界では60年代のネタをコントに引っ張ってくるのが伝統芸となりつつあるらしいのですが、それにしてもほんとに危ないところだったよ。
なにしろ、もうちょっとで草間彌生が松本からパクッたってぇことになってたからねぇ~


ステイトメントその2

2006-10-03 23:39:14 | 展示準備2006年12月

告知用テキストを送信した後、ギャラリースタッフと少しやり取りして、サイズを調整したデータを再送したり、媒体送付用のプリントを作成したりしていた。また、ポストカードの印刷代金も振り込んで、いよいよ準備作業も佳境を迎えてきた。


とりあえず、媒体送付用のプリントを作成しながら、展示用プリントの色調やコントラストをチェックしてみたが、予想以上に改善すべき点が多く、あまりうかうかしていられない。ただ、媒体送付プリントとは別個に作成していた、会場掲示用とポートフォリオ添付用のコメントは比較的すんなりまとまったので、全体的にはまぁ及第点の進捗状況ではなかろうか?


それにしても、媒体送付用プリントのキャプションというのがまた、なんとも悩ましくてちょっとうんざりする。
なにしろ、組写真の一部だからねぇ~
なにをどう書いても全部うそっぱちになっちまうような、そんな苛立ちとやりきれなさがどこかにあるよ。