今日は朝から好い天気で、久々に部屋の掃除をし、たまった洗濯物を片付け、布団を軽く天日に当ててから出かける。
まず、打ち合わせなければならないこともあったので、ほてほてと撮影しながら表参道画廊へ向かった。スタッフの方と展示についての細部を詰めた後、和久井恭子 + 碓井ゆい展を鑑賞する。
あまりネタばれになるようなことはかけないという口実で、いつものように自分自身の印象を語るにとどめるが、それにしても久々に衝撃を受けた展示だった。正直、最初はいささか否定的な印象すら持ったものの、鑑賞している間にどんどん印象が変わってゆき、最後には「とても心地のよい居心地の悪さ」に包まれていた。
基本的に平面作品とインスタレーションという分担で制作したそうなのだが、比較的分担がはっきりしていながらも両者の個性が高度にマッチングしていて、作品としての面白さをよりいっそう高めていると思う。
まぁ、経験の少ない鑑賞者にとってはいささかタフな作品かもしれないが、あえてそのように作品を構成した点を高く評価したい。また、現代美術においてもわかりやすさを過剰に求められる昨今の情勢を考えると、作家氏たちの決断と勇気をたたえたいとも思う。
もちろん、ちょっと理屈さえこねれば「なんでもアートになってしまう現代美術の世界」において、作家が作品のわかりやすさに対する配慮を放棄することは、ややもすれば独善に陥りかねない危うさを秘めているという指摘はそれなりの説得力を持つ。また、現代美術の文脈やモードにのみ依拠した作品が、現代美術そのものの敷居を高くしているという批判もある。
ただ、わかりやすいということはすなわち「旧来の価値観の枠内へ作品を収める」ということでもあり、やはりそれまでの価値体系から逸脱した作品や、旧来の価値体系に収まらない作家を積極的に評価したい。それになにより、この作品には作家たち自身の美意識や感覚が色濃く反映されており、自分は作品に反映された美意識や感覚そのものを評価したいとも思うのだ。
なにはともあれ、鑑賞して驚いて欲しい作品だと思う。
なにしろ、正真正銘、紛れも無く「一回性の繰り返し不能な作品」でありながら、アウラを全然感じさせないという、非常に自分好みの作品なのだから。
『和久井恭子 + 碓井ゆい 展』
会場: ミュゼF
スケジュール: 2007年10月15日 ~ 2007年10月20日
住所: 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-17-3 アーク・アトリウム B02
電話: 03-5775-2469
個展まで10日となり、そろそろ本気で準備に取り掛からねばならないのだが、どうにもこうにも気持ちが盛り上がらない。ただ、既にプリントは業者から回収しており、また出力データの準備も終わっているので、後はプリントのマッティングを依頼し、プリンタに紙をセットして「リターンを叩くだけ」なのだが、それすらやりたくないという体たらくだ。
エキジビションブルーとか、展示前病という言葉は無いけれど、要するにそういう症状なんだよね。
この症状は、既に最初に個展を開いた時点から自覚していて、前回の展示ではいっそうひどくなっていたが、今回はさらに輪をかけて悪化しており、この調子だと展示どころではなさそうな気さえする。まぁ、その原因となっているのは全て自らの作品であり、外部には原因が存在しないというのが救いなんだけど、そうであるがゆえに自分の力で解決するしかないというのは、ちょっと辛いところかもしれないね。
結局のところ、個展を開いても自分自身の作家的位置はなんら変わらないし、また自分自身の成長にも全くつながらないという思い込みに、自分自身が引きずられているというわけだ。
まぁ、自分の場合は実際にその通りだからそれはそれでいいはずなのだけど、まだどこかで割り切っていないところが残っているのだろうね。
さておき、そんなわけでもぅすっかりぐだぐだなのだけど、あらかじめそうなることを見越して準備を進めていたから、まだかろうじて致命的な遅れにはなっていないのが救いだったりする。とりあえず機材を整備に出しつつ、サービスセンタ近くのギャラリーに立ち寄って、なんとか気分転換を図ってみた。
特に当ても無かったのだが、ほとんど何も考えずに巷房ギャラリーへ足を運ぶ。こういうときは空間自体の力に身を委ねたいところもあったし、なによりここの展示で大はずれをつかんだことは無かったからね。
まず、地下へ降りて近藤英樹版画展を鑑賞する。
和紙を使っていることもあって、近藤氏の作品には刷り物というより染物的な風合いがあった。それは、植物をモチーフにしていることとあいまって、非常に計算しつくされた素朴さという、いささか矛盾した世界を違和感無く展開していた。
次に階段下のなかむらじん展を鑑賞したのだが、こちらは作品そのものの細部で鑑賞者を幻惑しつつも、実はシンプルに楽しめる構成になっていたように思う。自分は基本的に刷り物が好きな上に、なかむら氏のような作品は大好物なのだが、その分を割り引いても非常に楽しい作品であり、また愉快な展示だと思う。
その後3階の巷房へ向かい、ロベール・ヴィニョー 展を鑑賞した。こちらはペン画でオルフェウスの神話を表現した連作だが、いわば絵本のようにはっきりと物語を構成しているため、個々の作品についての評価は難しい。ただ、自分にとってはかつて観たファンタジー小説の挿絵を想起させる画風で、ちょっとメランコリックなノスタルジアに浸ったりもしたのだが、それはあくまでも作品を個人的な思い出話へ還元した上でのお話だね。
最後に機材をメンテに出して、併設されてるギャラリーへも足を運んだのだが、こっちはまぁまぁこういうものだねといったところ。展示されていたのは廃墟写真の大家として著名な作家氏の新作だったのだが、流石にあまたあるその辺の廃墟写真とは比べ物にならない質の高さを誇示しており、ファンが多いのも十分に納得できる。ただ、なんだか微妙にハイキーの作品が目に付いて、いささか違和感を覚えなくも無かった。
特に逆光のカットがそうだったのだけど、なにか新しいことでもやりたくなったのだろうか?
やっぱ、新しいことに挑戦し続けねばならないのかなぁなどと、自分の展示についてふと思いをめぐらし、よせばいいのにまたしてもうとぅになった、なんとも罪作りな展示ではございました。
『なかむらじん 展』
会場: 巷房階段下
スケジュール: 2007年10月08日 ~ 2007年10月13日 17:00
住所: 〒104-0061 東京都 中央区 銀座1-9-8 奥野ビルB1
電話: 03-3567-8727 ファックス: 03-3567-8727
『ロベール・ヴィニョー 展』
会場: 巷房
スケジュール: 2007年10月08日 ~ 2007年10月13日 17:00
住所: 〒104-0061 東京都 中央区 銀座1-9-8 奥野ビル3F
電話: 03-3567-8727 ファックス: 03-3567-8727
今日は朝から雨が降ったり止んだりで、とても撮影どころではない。それでも、合間を縫って事務所へ向かい、ぼちぼち仕事をしていたら、印刷所からポストカードが刷り上ったと連絡があった。
先月末には入稿していたので、広告よりかなり時間がかかったような感じだが、広告では輸送にかかる時間を省略していたので、実際には広告どおりのスケジュールということだそうな。まぁ、なにかもやっとしたものが残るものの、価格が手ごろなので仕方ない。
ただ、この天候なので輸送中のダメージが発生すると厄介だ。
あまり考えたくないことだが、最悪の場合は特急で刷り直しせざるを得ないだろう。
そうでなくても、刷り上ったら各ギャラリーを廻って告知に務めなければならないし、いよいよ本格的に忙しくなってきた。
肝心の制作にもそろそろ着手しなければならないし、これからしばらくは気の抜けない日々が続くなぁ~
前日の予報に反して好天に恵まれたため、早起きして撮影に出かける。残念ながら、現地へ着いた段階では既にヘイズがかかっており、期待したほどヌケは好くなかったが、それでもシートフィルムを10枚消費した。
時おり薄い雲が太陽を隠すような天気だというのに、なぜだかやたらめったら暑かったので、近所の将門塚で少し涼むことにした。ご存知の方も多いかと思うが、将門塚には古くから様々な伝承があって、神田明神氏子をはじめとする多くの人々から厚い信仰を集めている。そのためか、この一角だけは真夏でもやけに涼しくて、一息入れるにはちょうどよい場所なのだが、今日は数人のおじさんが何事か祈ったり、周囲を掃除したりしていて、とてものんきに涼むどころではなかった。
自分は将門信仰に価値を見出していないのだが、信徒が線香をたいて掃除しているのを邪魔するほど野蛮でもないので、仕方なく退散しようとすると、縁起を記した看板のそばに、以下のような注意書きを見つけた。
監視カメラ作動中
将門公よ、そこまでせんでもえぇやん。
よく観ると、奉納されているがまにも、どうも見慣れないやつらがいる。増えたのか、あるいは入れ替わったのか、将門には蝦蟇がつき物なので、どなたかがまた奉納されたのだろうが、この調子では将門塚が蝦蟇の置物に占領されてしまうような気もする。いずれにせよ、どいつもこいつも愛嬌あふれるというか、ありていに言って可愛い置物なので、できればもっと増やしていただきたいところだ。
そういえば、将門塚は東京都指定文化財から外されるという話もあったのだが、いつの間にか立ち消えとなったらしく、今でも都指定文化財として登録されている。まぁ、そもそも実証主義に偏りすぎて、伝承の類に歴史的価値を認めようとしない姿勢については、かなりの批判を浴びていたようだし、もちろん将門信仰に帰依している方々が猛反対したのは想像に難くないところから、立ち消えになっても当然といえば当然ではある。
むしろ、将門塚の指定解除を答申した検討委員会のメンバーに、怪異な災いが降りかかったりしたとかしないとか、そういう都市伝説のひとつくらい出来ていないのが不思議だ。
さておき、いったん帰宅して展示用の資料をまとめ、表参道画廊へ向かう。
画廊のスタッフと資料の確認をし、告知についてもお話をうかがう。
さて、告知資料が各方面へ配布されてしまい、本当に引っ込みがつかなくなった。写真作品の場合、完成しないということはマズ無いのだが、作品の質が極めて低くなってしまうことはたまにある。下手に撮影が終わっていると、むしろ侮ってぎりぎりの日程を組みがちなので、その点は本当に気をつけないといけないな。
来月からはポストカードのデザインにも取り掛かるし、いよいよ本格的な準備作業が始まるよっと。
今日は朝からあまりにも好い天気に恵まれたので、昼前には大喜びで撮影に出かけた。いつもなら、こういう日に限って外せない用事が入ったり、前日の見極めに失敗して準備に時間がかかったりするのだが、今日は割かしすんなり出かけられたのが、またなんともうれしいところだったりもする。
とはいえ、レリーズアダプタを忘れてちょっとまごついたりと、細かなところで手抜かりが多すぎるのは相変わらずだったが、それでも順調にシートフィルムを10枚消費し、展示が最終日を迎えた表参道画廊へ向かった。
残念ながら、スタッフの方にはお会いできなかったものの、作家の方々とひとしきりお話しすることもでき、楽しい時間を過ごさせていただいた。また、第3回個展の日程変更が本決まりとなり、それに伴ってサブタイトルも変更した(サブタイトルは次々回の展示に使う)。
新しい日程とサブタイトルは以下の通り。
-秩序の目録3-archived memorie
表参道画廊内[MUSEE F]にて10月22日月曜より27日土曜まで。
開催まで4ヶ月少々となったが、まだ4ヶ月ととらえるか、もう4ヶ月ととらえるか、ちょっと微妙なところではあるね。
今日は朝からいい天気だったので、とりあえず撮影に出かけてみたのはいいものの、昼過ぎぐらいからだんだんもやっとして雲も多くなってきたので、シートフィルムを6枚消費した段階で帰宅した。
本来、今日は午後か夕方あたりから人と会う予定だったのだが、朝になって急遽キャンセルされたため、なんとなく気持ちの切り替えが付かないまま、帰宅してもなんとなくぐだぐだしていた。ただ、そんなところに知人から夕食の誘いがあり、まぁ「今日はそういう流れなんだろう」ということでとぼとぼ出かける。
とりあえず、展示タイトルを決めた話などして、カフェを出たら雨が降っていた…
さておき、展示期間およびタイトルは以下の通り
ただ、展示期間は仮決定なので、場合によっては変更されます。
―秩序の目録3―
Too hurt…
archived memories
表参道画廊内「MUSEE F」にて、2007年10月29日月曜より11月3日土曜まで開催(予定)
12時開廊~19時閉廊(最終日は16時半まで)
MUSEE F
東京都渋谷区神宮前4-17-3
アーク・アトリウム B02
TEL/FAX:03・5775・2469
よろしくお願いします。
今日は非常に好い天気だったが、原稿が佳境を迎えつつあったので、残念だけど事務所で作業に当たる。
ただ、作業の合間に表参道画廊へメールを送り、展示会場を予約する。
既に、前回の個展が終了する時に軽くお願いしていたし、先日も画廊へご挨拶に伺って予約状況を確認させていただいているので、コレで会場そのものは押さえたも同然といえるだろう。
会期等については、もう少しきちんとお話できるようになってから、またこの場を借りて発表させていただくが、展示の方向性についてはまだまだ悩ましいところもあり、本当のぎりぎりまで引っ張ってしまうかもしれない。
とはいえ、まだ半年以上も先のことなので、そんなにあせることでもないんだけどさ。
とりあえず、原稿もひとつ仕上げたし、この仕事が終わったら撮影に行こうな(死亡フラグ)。