空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「風化水脈」 新宿鮫VIII 大沢在昌 毎日新聞社

2011-02-10 | 読書


1990年から始まったシリーズを読み続けて、発行が2000年まで来た。図書館にあった第1刷の単行本。
2段組440p重かった、本が(^^)

一作目に中国やくざとの抗争で刺された真壁が出所し、鮫島と出会うところから始まる。

鮫島と真壁は人生の表と裏を歩んできた。鮫島は真壁の行為を憎み真壁はしつこい鮫島を避けはいるが、事件を通してお互いを知るに連れ、一本気で頑固な、芯の通った生き方に何か通じるものを感じていた。

鮫島は相変わらず単独で、高級車の盗難を追っていた。
目をつけたのは、空き家にある有蓋の駐車場だった。
張り込みに便利な位置にある駐車場の管理人(大江)と親しくなって、そこから監視することにする。

真壁は抗争で足が悪くなり、不健康そうに見えたが、待っていた女とともに暮らし始める、戻ってきた暴力団(藤野組)からは、慰労の意味で閑職を与えられるが、やりがいのない仕事に苛立ちを募らせていた。

鮫島は盗難車の改造場所と保管場所を突き止めるが、見張っていた雑草地の中の井戸から、脂漏化した暴力団員の死体を発見する。

もう時効も成立した、昔の殺人事件だった。

真壁が帰ってきた藤野組は高級車を盗んで代行業者を挟み中国に売っていた、代行業者の頭は、抗争の折に真壁が売った弾で喉をやられて声が出なくなっている「王」だった。
「王」は、真壁が生きていて出所したのを知らなかった。

藤野組の頭脳系やくざが突然撃たれて死ぬ。

そして盗難車のビジネスが真壁に回り、「王」と顔を合わせるときが近づいてくる。


次々に登場する人物たちのつながりが次第に解けて、真壁の命がかかる取引場面に進んでいき緊張する。

シリーズの中では、面白いものに入る。やくざとはいえ、人生の裏を歩いてきて更生しようとする真壁、それを支える女も、その母も何か物悲しい。


ただ、何年かに一冊、新刊を読む人は別として、一度に読みきろうとすると、前作の話や警察機構の解説の繰り返し、地理や、歴史の詳細は少し疲れる。勉強にはなるけど。
ハードボイルドならシーンをスピーディーに流してほしかった。

★3 にする


読書
 
21作
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「炎蛹」 新宿鮫V 大沢在... | トップ |  「狼花」 新宿鮫IX 大沢... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事