ますます面白い、と読むたびに、最後まで言うかもしれない(笑)
梁山泊の中枢人物が、やや詳しく登場する。
闘いの駆け引きも面白く、並みでない鍛え方(調練)の過酷さも窺えて、志があれば超えられるものかと思い、肉体は精神の器だと感じる。
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【前巻までの梗概】より
楊志は山賊に破壊された村から孤児を拾い、楊令と名づける、そして、魯智深と組んで山賊の根城・二竜山を奪い、梁山泊と絆を深めた。魯俊義の闇塩の道を清蓮寺が潰そうと画策。そこで致死軍が動き、清蓮寺の間者を殲滅させた。魯智深は少華山を訪ね、史進に危ういものを感じて王進に預ける。宋清は、柴進の密偵・礼華と知り合い、惹かれあう。宋江は形だけ礼華を妾にする。閻婆惜が嫉妬して礼華を殺し、宋清が閻婆惜を殺す。宋江は自分が殺したことにして、武松とともに放浪の旅に出る。
まずは、賄賂を掠め取った楊志の悩み。大儀のためだと思いながら、軍令に反したということを悩み続けていた。
そこに、残虐な事件がおき楊志は親しくなった魯智深とともに闘い二竜山に入る。連れ帰った孤児を「楊令」と名づけ済仁美にあずけ仮の両親になる。
魯智深は史進を見て、彼の今は強さにだけ頼ったものだと見抜く。彼を子午山の王進にあずけ、そこから武松をつれて出る。
同行の武松は鄆城の宋江に預けた。
魯智深は不穏な北の遼、契丹を尋ね、内部を探ることにする。
二竜山では食料が乏しくなり、楊志は官軍の輜重隊を襲う計画を練る、激戦の末、桃花山からの援軍も加わり、食料だけでなく二両分の銀も手に入った。帰っていく桃花山の援軍にも分けて与える、桃花山では孔明が兵の訓練に当たることになる。
清蓮寺の李富は視察の旅に出ていた。ウラの塩の道を探るのが目的だったが、目に余る役人の不正や横暴ぶりを糺すために青洲の影の軍団を使って粛清をする。
二竜山や桃花山の賊徒の仕業に見せかけるが花栄がそれを遮った。
宋江の家では妾の閻婆惜が礼華を刺し殺していた。礼華が宋江の新しい相手だと誤解し嫉妬したのだった。礼華は宋江の弟宋清と将来の約束をしていた。礼華の死で宋清は生気をなくし、宋江は閻婆惜の心情を汲めなかったことを悔いていた。
宋清を武松が打ち据え、吾に返った宋清はわずかに生きる力を取り戻す。
宋江は武松と旅立ち、朱仝は宋清と旅に出る。
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遠からず粛清が必要だろう、それは開封府へもどってから、民生担当の何恭と話し合えばいい。何恭は役人を五分の一だけ減らすことを主張していた。その五分の一は全て首を打つのである。
過激すぎる、と李富は思っていたが、つぶさに腐った役人を見ると、何恭の焦りがなんであるか、ようやく理解できた。
開封府は栄え、豊かさの中で、果実が腐るように熟れて腐りはじめた。しかし地方は、貧しいまま腐っている。青い果実が腐っているようなものだ。
人が面白いように動く。作者は読ませるなぁと思いながら夢中になる。
関連のある本が沢山出ているのも納得。少しずつ読んで行くことにしたい。
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