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「水滸伝 一 替天の章」 北方謙三 集英社文庫

2012-11-04 | 読書



少し間が空いたのでどんな書き方をしたのか前を見直した。
まだ二巻目だが、ますます面白い。
表紙の裏に、当時の装束をつけた「武松」の人物画があり、その横にドラマ「天地人」の武田双雲の墨書「武松」がある。今回はメインが武松かな。
 それもあるが、、、。


【前巻までの梗概】より

梁山湖に浮かぶ山寨には、王倫を頭目とする叛徒一団が籠もっているが、今は盗賊集団になり果てていた。宋江と晁蓋は叛乱の拠点として、山寨を奪うことに決める。

 武松は、恋焦がれていた兄嫁の潘金蓮を犯し自殺させてしまう。死ぬつもりで虎と闘ったが果たせず、失意の武松を、魯智深は王進に預け、再生を希う。宋江の意を受けた林冲は梁山湖の山寨に潜り込むが、その武勇を王倫に疎まれ、地方巡検視の楊志と決闘させられる。一方、渭州の牢城には、かって河水で叛乱を企てた公孫勝が囚われていた。晁蓋は阮小五らと公孫勝を開放。公孫勝は劉唐らと特殊部隊・致死軍を組織する。
 楊志は賄賂の運搬を命じられた。それを晁蓋らが奪い、梁山湖の山寨に逃げ込む。王倫を林冲が処断。晁蓋が頭領となり、この地を梁山泊と名づけて、『替天行道』の旗を立てた。



巻を追うごとに面白い。前にも書いたがまだ二巻目。

武松のエピソードがやたら哀しい、彼は子供のころから憧れていた兄嫁をついに狂気じみた乱暴さで犯してしまう。兄嫁の潘金蓮は彼の名を出さず「賊」と書いて死ぬ。
川に飛び込むが死に切れず、虎と戦うも死に切れず、武松は迷いあぐねて古い山門に出る。そこで体を休めていたとき、探しに来た魯智深と会う。

武松はぼんやり魯智深を見つめていた。
魯智深は、すでに境内に出ていた和尚に暇を告げ、なにがしかの寄進をした。
和尚は武松になにも言わず、ただ小さな数珠をわたした。



忘れていたが、囚われていた公孫勝を救い出す戦略もワクワクする。

山寨にはいった林冲を王倫は笑顔で迎え、槍の腕試しをする。王倫の部下、選ばれた槍の使い手16人を一度に倒した林冲を王倫は内心警戒するようになり、密かに毒殺、暗殺を企てる。
林冲は王道全の処方した解毒剤をいつも持ち歩き、異臭を嗅ぎ分けては食前に飲むようにしていた。

楊志は楊業の血を引く家柄で、高名な武人であったが、地位、境遇には恵まれなかった。
賄賂を運ぶ警備隊長を命じられ、意に反する命を不満に思っていた。

この大量の財物を奪う計画は晁蓋を筆頭に組織された、ごくわずかな人数で行われた。
楊志が隘路を抜けた平地で護衛の兵を休ませたとき、ナツメ売りの出した水で眠らされ、その間に盗まれる。

この財物を餌に、晁蓋一党は山寨に入る計画だった。

王倫は頭領としての資質が崩壊して、私利私欲と小心を見抜ぬかれていた。
林冲の黒の軍袍と黒い帯が合図だった。宋万と杜遷は時が来たことを知る。
ついに林冲は彼を殺害する。

晁蓋らは七人を先頭に島に入り、梁山泊と名づけ「替天行道」の旗を揚げる。


山寨の整備もすすんできた、林冲は魯智深と湖岸を駆けていた。
会いたいと願っていた、盟友の宋江が通じたように湖のほとりで待っていた。

終盤は爽快な梁山泊の幕開けだった。


 


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