師匠のコンサート。
プリマとはいえ、1人で650名のホールを満員にするのは大変なこと。しかも、クラシック歌手でありながら演奏曲目はクラシック音楽でないとなるとなおさら。。。
第1部がスクリーン・ミュージック、第2部はミュージカルソングという構成で約2時間。オペラの主人公は、私たちとは、まずは「格式社会」という住む世界からして違うけれど、こういう近代の、よりポピュラーに近い音楽のヒロインたちは、身近な存在で共感する部分も多いのです。
それにしても星の数ほどあるミュージカル・ナンバーから師匠が選曲したのは、サクセス・ストーリーの主人公の歌が中心。師匠らしい・・・
貧しい家に生まれても、たくさんの人と出会う中で才能(個性)が磨かれ、ファースト・レディに登りつめたエヴァ・ペロンを描いた「エヴィータ」の“アルゼンチンよ泣かないで”、野獣は実は魔法をかけられた王子だった・・・、真実は外側だけではわからない。。。「美女と野獣」から“美女と野獣”、代役からヒロインへ「オペラ座の怪人」の“スィンク・オブ・ミー”etc
そして師匠がよく口にするのは「私が歌手になったのではなく、私の周りの人が私を歌手にしてくれた」。今日も曲の合間にそんなトークもありました。
蝶々夫人のデビューは本番2週間前からの代役だったというのは、今日初めて聞いた話。プリマとして順風満帆に見える師匠ですが、きっと色々なことがあったに違いありません。1曲1曲にご自分との共通点をダブらせ、たどってきた道を振り返っているようにも思いました。でも、常に前を見て。
「歌手というのは、何度歌ってもその出来に満足することはないんですけど。。。。」とさらっと言ってのけた師匠。私から見ればカンペキなんですが。
アメリカ初の黒人大統領となったオバマ氏の言葉「Yes, we can」を引用していましたが、謙虚さは必要だけれど、やはり自分の力を信じる気持ちがなければ道は開けないよなぁ。。。「できた」ではなくて「もっとできる」と思う気持ちなんでしょうね。
曲の紹介方々披露された師匠のこれまでのエピソードには、生きていくうえで大切にしたい心が散りばめられていたように感じました。
私自身、下手ながらもより良い音楽を求めていたら・・・、自分の意思とは違うところで求めさせられた感じがあって、それでいつも迷っていたような気もするのですが、おかげで素敵な師匠と巡り会うことができました。
あれから5年。師匠が素晴らしいわりに、私はサッパリなのですが、自分のチカラをもう少し信じてみようと思ったのでした
師匠から学んだのは歌う技術だけではない、と心から思います。感謝感謝!!
それにしても今日の師匠、ドレスも素敵でした。第1部では、ゴールドベースの華やかなドレスにアップのヘアスタイルで大人の女性のイメージ、第2部は淡いピンクのドレスでヘアはダウンスタイルという可愛らしいイメージ。ま、そもそも美しい方なので何を着ても素敵なんですけどね。。。同じ女性としても憧れます
オペラ歌手で、ポピュラー音楽をこれだけ格調高く歌える人はそう多くはないと思います。音域的にも低いので、ソプラノ歌手にはかなり歌いにくいでしょうし。柔らかく豊かに響く「声」を通しての音楽はとても心地よいもの。
ちょっと寒い1日でしたが、帰り道の私の心はポカポカと温まっていました。
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