セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「グレートレース」

2012-12-01 14:32:45 | 外国映画
 「グレートレース」(「The Great Race」1965年・米)
   監督・脚本 ブレイク・エドワーズ
   音楽 ヘンリー・マンシー二
   出演 トニー・カーティス
       ジャック・レモン
       ナタリー・ウッド
       ピーター・フォーク    

 冒険家グレート・レスリー(T・カーティス)と、彼に限りない対抗心と嫉
妬心を燃やす科学者?フェイト教授(J・レモン)。
 そんな二人がニューヨーク→パリ(シベリア経由)の自動車レースを行
うことに・・・。

 古き良き時代のハリウッドを彷彿させるドタバタ喜劇。
 夢の工場ハリウッドが送り出した、最後の大型喜劇。
 とにかく、ノンビリしたギャグが続きます。(笑)
 このDVD、「おかしなおかしな大追跡」と一緒に借りてきたんですけど、
この作品を先に観て正解でした、逆だったら欠伸が出たかも・・・。

 B・エドワードという監督さんは、「ピンクの豹」にしろ「史上最大の脱出
作戦」にしろ、半分過ぎくらいまでは面白いんですよね、でも、最後まで
続かない。
 この作品も、100分過ぎて舞台がロシア辺りになるとダレてきちゃう。
 ここの30分くらいは、もうJ・レモンが「どうだ、俺、上手いだろ」って得
意気になって遊んじゃってるんですよ、「楽しんでる」という言い方もある
けど、完全にB・エドワードがJ・レモンの手綱を放しちゃってます。
 T・カーティスも「じゃあ、俺にもやらせろ!」って感じで得意のフェンシ
ングに励んじゃうし。
 B・ワイルダーなら、シメル所はちゃんとシメます。

 だからこの作品、160分の超大作・・・と言えば聞こえはいいけど、無
駄に長い。(笑)
 まず最初のオープニング・タイトルからして相当長い(お遊び一杯)、で
も、ここでH・マンシー二の「The Sweetheart Tree」のメロディに乗って
繰り広げられる、「映画の歴史が始まった」頃の雰囲気に浸ってしまえば、
この映画を充分に楽しめると思います。
 炬燵に入って煎餅とミカンとお茶を用意して観るのが一番かも。
 役者陣では、息の合ったカーティス、レモンは言うに及ばずですが、ウ
ッドのコメディエンヌとしての才能も見モノ、更に、そのウッドに負けない
くらいの存在感を示した酒場の歌姫役リリー・オゥレイを演じたドロシー・
プロバインも好演だったと思います。
 いろいろグタグタ書きましたけど、僕、結構好きな作品なんですよ、た
ま~~~~に観たくなる。
 フェイト教授お約束の「マッ~~~クス!!」は笑えるし、N・ウッドも
綺麗で、いろいろサービスしてくれますから。(笑)

 この映画は後の「チキチキマシン猛レース」や「ミニミニ大作戦」に影
響を与えたと言われてますが、僕は観ていないので何とも言えません。
 が、TVアニメ「タイム・ボカン」シリーズ(「ヤッター・マン」等々)が、こ
の作品をヒントにしただろうと言うのは解ります、と言うか「一目瞭然」
(特に前半部)。
 黒ずくめのフェイト教授のS的性格がドロンジョ様になり、ショウモナ
イ乗り物を製作する部分がボヤッキーに、そしてコロンボことP・フォー
ク演じるフェイト教授の助手マックスがトンズラー。
 (フェイト教授がレース用に開発した「ハンニバル8」号?は中々の傑
作~博物館に保存されてるらしい)
 爆発するとドクロ雲?が上がるし、白ずくめが善玉、悪玉の衣装は黒、
善玉より悪玉の方が魅力的なのも一緒。
 これは関係ないけど、二枚目が二コッとすると歯がキラリン!も、これ
が元祖じゃないかな。
 この部分(白ずくめの二枚目で歯がキラリン!)、高橋留美子さんの
代表作「めぞん一刻」の三鷹さんにも流用されてると思います。
 そんな事、あんな事を考えながら見るのも一興かもしれません。

 喜劇の傑作・名作とは言い難いけれど、水準以上のレベルはキープ
した作品だと思っています。
 
・この作品、ギネス記録に載ってる有名な「パイ投げ」シーンが有るので
 すが、場所がそれ程広くなく人数も少ない為、使った量ほど「凄い」感
 じがしない、あれなら「ダウンタウン物語」のパイ投げの方が面白いと
 僕は思っています。
・N・ウッドは本編よりDVD特典映像にあるプライベート・フィルムの方が
 可愛くて美しい。(笑)
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9 コメント

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未見ですが (宵乃)
2012-12-02 10:49:49
他の映画やアニメ、マンガにも影響を与えた作品とは興味深いです。ドロンジョさま懐かしい!!
歯がキラリン!を実写でやるとは(笑)
ブレイク・エドワーズの作品をそこまで観ているわけでもありませんが、後半にダレるというのはなんとなくわかる気がします。
もし見る機会があれば、時間のあるときにゆったり観ますね~。
返信する
最初の1時間はドリフ・ネタ (鉦鼓亭)
2012-12-02 22:09:15
 宵乃さん、いらっしゃいませ
 コメントありがとうございます!

限りなく能天気な映画ですからお正月にはいいかも。(笑)
歯がキラリン!>ついでに目もピカリン!(笑)
ドロンジョさま>あの刑事コロンボのP・フォークが「スカポンタン!」を一手に引き受けています。
時間のあるときにゆったり>3時間近いですから・・・。(笑)
ようつべ予告編を貼っておきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=FO9lYVnAHTQ
H・マンシー二の名曲「The Sweetheart Tree」がほんの一瞬しか入っていませんが。
返信する
追伸 (鉦鼓亭)
2012-12-02 22:20:55
とにかくエキストラの数が半端じゃない。
予告編の最後に出てくる「お城」の群集のロケでは、村の半分の人間をエキストラにしたとか(その人達に、その時代の服を着せてるし)、ゴール地点の大群衆とか、舞踏会の衣装にカツラが大変だったとか、
滅茶苦茶(変な所に~笑)お金掛けてます。
返信する
予告編観ました(笑) (宵乃)
2012-12-03 09:24:07
ホント、ドリフっぽいですね~。パイ投げの量がすごそうです。パイ投げのパイは激マズだという噂を思い出しました。

>ついでに目もピカリン!

光ってました!!!(笑)
あの発想は無かった…。

デザインの凝ったマシンの数々に心惹かれます。エキストラの扮装のエピソードもすごいですね(笑)
若かりしP・フォークのお間抜けっぷりも観てみたいなぁ。
とりあえず、BSシネマにリクエストしときました!
返信する
BSシネマさん、頼んます! (鉦鼓亭)
2012-12-03 22:29:06
 宵乃さん、コメントありがとうございます!

パイ投げの量>N・ウッドにも容赦ないです。(笑)
当時のN・ウッドといえば今のK・ベイジンガーとかS・セロン辺りのクラスなのかな、スイマセン、今の人、余り知らないもので。

いつかご覧になられたら、感想聞かせて下さい!
返信する
imagica無料放送で (宵乃)
2013-02-11 14:01:03
オンエアしたのを観ました!
フェイト教授いいですね~。冒頭からお約束の連続で笑わせてくれます。
ピーター・フォークの助手も、なんで黙って言う事きいてるんだろう?というくらい健気に尽くしていて、教授が失敗するたびに付き合ってあげるところが面白い。
ホント、悪者の方が魅力的で、主人公の印象が一番薄いです(笑)
終盤の戦うレスリーはカッコよかったけど!
メカの数々も魅力的で、フェイトの車なんてコレクターが飛びつきそう。
パイ投げはちょっと汚かったです…。
途中ダレるのに、心地よく観終われて、またいつか…となってしまう作品ですね~。不思議な魅力があります♪
返信する
imagicaさん、ありがとう! (鉦鼓亭)
2013-02-11 22:40:15
 宵乃さん、こんばんは
 コメントありがとうございます

ご覧になったんですね!感想ありがとうございます。
フェイト教授>この映画の印象は、フェイト>マギー>マックス>レスリーの順かも。(笑)
魚雷とか人力飛行船とか、一人でニヤニヤしてました。
レモンとウッドって相性がいいのかも。
フェイトの屋敷へマギーが忍び込んだことから起こるドタバタは爆笑でした。
最後の「マ~~~~クス!!」が可笑しいデス。

助手>ホント、教授はコキ使うばっかりで(給料安そうだし)・・・。笑

フェイトの「ハンニバル8」とレスリーの「レスリー・スペシャル」はカリフォルニアの車博物館に展示されてるそうですよ。

パイ投げ>後で髪の毛が大変そうですね。(笑)
毛穴まで入り込んでそうだし、耳の中もエライ事に・・・。
俳優さんも楽じゃない。

またいつか>僕も、暫く忘れてた後に、ふと見たくなります。

観てくれて、ありがとうございました。
返信する
こんにちは☆ (miri)
2013-10-09 17:23:39
オンエアがあったので、見ました☆

>古き良き時代のハリウッドを彷彿させるドタバタ喜劇。
>夢の工場ハリウッドが送り出した、最後の大型喜劇。
>とにかく、ノンビリしたギャグが続きます。(笑)

見ていて「素晴らしきヒコーキ野郎」を思い出して仕方なかったのですが、
同じ年に同じ国で作られているので、車とヒコーキの違いはあれど・・・(笑)。
そんな時代だったのですよね~!

>まず最初のオープニング・タイトルからして相当長い(お遊び一杯)、

これも似ているんですよね~。

>B・ワイルダーなら、シメル所はちゃんとシメます。

そうなのかもしれませんが、この監督さんらしくて・・・(笑)。

>この映画は後の「チキチキマシン猛レース」や「ミニミニ大作戦」

「ミニミニ大作戦」は見ていますが、全然違うような・・・。

>喜劇の傑作・名作とは言い難いけれど、水準以上のレベルはキープした作品だと思っています。

まぁそうですよね~。 今回、保存はしなかったけど、
もし私が若い時に初見していたら違っていたと思います☆

>「パイ投げ」シーン

まぁ時代を考えれば仕方ないのですが、
どうにもこうにも食べ物を粗末にする映画は・・・

全体的に、封切り公開当時に映画館に足を運んだ人が楽しく見るには
とてもよく出来ていた作品だと思います。


*****************


今日の映画音楽の記事も楽しく見て聞かせて頂きました。
3作品ともこの4年半に再見・初見していますので、記憶に新しくて
分かりやすかったし、耳に心地よくて良かったです♪


.
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2013-10-09 23:18:24
 miriさん、こんばんは
 コメントありがとうございます

タイトル>当時は、確かに他にも結構あった気がします。
(「80日間世界一周」も、そうでした)
B・エドワーズでは「ピンク・パンサー」モノでもやってました。
「モネ・ゲーム」のタイトル・バックを観たとき、「えらくエドワーズ」っぽいなと思いました。

「ミニミニ大作戦」>そうなんですか、他の方のレビュー見てたら、何人か同じ事を言ってたので、てっきり・・・。(汗)

封切り当時>観てません。(笑)
僕達の世代だと日曜か月曜の「洋画劇場」が初見なんですよ(確か2週に分けて放送したような)、広川太一郎、愛川欽也、小原乃梨子の声アテが面白くて、それで記憶に残った人が多いと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日の映画音楽の記事も楽しく見て聞かせて頂きました>ありがとうございます。

「おもいでの夏」は、持ってるレコードの音源を探しまくったんですけど、遂に見つからず、非常に残念でした。

「風のささやき」>歌いだすと、ずっと繋がってる「納豆系」。(笑)

「シェルブールの雨傘」>「太陽がいっぱい」と並ぶ、僕の大好きなラストシーンがある映画ですから。
一番、効果的で綺麗なのはラストシーンに使われてたバージョンだと思うけど、完全な「ラストシーン」ですからUPする訳にいきませんでした。
(観たくなって探してみたら、最近まで有ったと思う「ラストシーン完全版」の画像が全て削除されてました、ニコ動に近いものが有ったけど、あれ、書き込みがウルサイ(笑))
宜しければ、次回もお付き合い下さい。
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