セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて」

2020-08-05 13:50:44 | 映画日記/映画雑記
 「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて」(「Fisherman's Friends」、2019年,英)
   監督 クリス・フォギン
   脚本 ニック・モアクロフト  メグ・レナード  ピアーズ・アシュワース
   撮影 サイモン・ティンドール
   音楽 ルパート・クリスティ
   出演 ダニエル・メイ
      ジェームズ・ヒュアフォイ
      タペンス・ミドルトン
      テイブ・ジョーンズ

 古い時代に生まれた土地土地の歌にはその国固有のリズムがあるという。
 ヨーロッパは概ね騎馬民族だから馬の走ったり歩いたりするリズムが基本、日本は農耕民族なので田植えや刈り入れの作業に適したリズムで皆の動作を合わせる為か「ハァ」、「ホレ」、「ソリャ」みたく合いの手が入る、沖縄やハワイのような島は寄せては返すゆったりした波のリズムが顕著。
 10代の終わり頃、朝5時に深夜放送が終わり、付けっ放しにしたラジオから民謡が流れてきた、宮城の「大漁唄い込み」(♪エンヤートット、エンヤートット♪)、それはよく聞く整った綺麗な唄でなく、綺麗な着物着て歌ってるようなものでもなかった、荒々しく強いリズムの当に漁師が力一杯網を取り込む為の労働歌だった、「確かに重い網を引き揚げるには、この力強さとリズムだよな」と、その時、心底思った、北海道の「ソーラン節」も目的は同じだから元を辿れば、きっと、似たようなものだったのだろう、あれで僕の「民謡」という概念が確実に変わった。

 この作品はイギリス南西部、ドーバー海峡に面するコーンウォール地方が舞台で、ゲルマン大征服にも屈しなかったという独立心の強いイギリスにあってイギリスでないような地域の出来事、実話をヒントにしてるそうですが、映画としては、よくあるタイプの話でした。

 ロンドンの音楽会社の数人が息抜きでコーンウォールの港町にやって来る、そこの漁師たちが港で恒例のコーラスを披露すると、それを聞いた重役が「素晴らしい、お前、契約してこい!」とプロデューサー1人を残して帰ってしまう、それは都会だから許されるタチの悪い冗談だった・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Itcpgazw7iA

 漁師たちの歌う素朴な民謡がロンドンでヒットしてしまう、材料が違うだけでお決まりのパターンではありますが、それなりに面白く、その安定感は定石の強みでしょう。
 他人の結婚式でアレしちゃうというのは、都会のジョークと田舎のジョークの対比なのかもしれないけど、我々から見るとどちらも悪趣味、でも、ロンドンのパブで客たちと意気投合して大コーラスとなるのは、イギリスの民謡の素朴さと力強さが感じられてとても良かった。
 あと一つ、事実というのは大概、面白くも可笑しくもないものだからドラマを作って盛り上げようというのは判るけど、パブの売り買いの件は少し人為的に感じられたかな。

 悪くはないと思うけど中庸を脱するまでには至っていないと感じました。

※ヒロインの人、「わたしは、ダニエル・ブレイク」の人かと思ったら違った、「おみおくりの作法」もあんな感じだったような、イカン、最近、イギリス顔が同じに見えてしょうがない。(汗〜予告編のOP、挨拶してる人がダニエル・ブレイクの人ではあった)
※原題はこの漁師バンドの名前、その元ネタは潮風から喉を守る為に漁師たちが好んで舐める強烈なミント味トローチの事だとか。

  北風に 潮の香りも 濃くなりて
   明日は時化かと グラス重ねる

R2.7.12
DVD
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