セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「異人たちとの夏」

2019-01-06 01:45:22 | 映画感想
 「異人たちとの夏」(1988年、日本)
   監督 大林宣彦
   原作 山田太一
   脚本 市川森一
   撮影 阪本善尚
   音楽 篠崎正嗣
   出演 風間杜夫
      片岡鶴太郎
      秋吉久美子
      名取裕子
      永島敏行

  脚本家 原田英雄が体験したひと夏の不思議な物語

 個人的には中々、良かったです。
 大林版「牡丹灯籠」で、そこに「見るなの禁忌」である「鶴の恩返し」(を「鶴の仇返し」にした)を入れたのかな、結末は大林風味のファンタジーとノスタルジーをまぶしたオリジナル。
 只、「牡丹灯籠」と言っても、あくまでサイドストーリーの位置付け、メインは英雄の死んだ父母との再会と別れなんですが、その意味がイマイチ解らない。(「盆帰り」のイメージなのは解るけど)
 新三郎が日に日に衰弱していくのはお露のお陰なのだから、英雄に死相が表れるのはケイが原因で死んだ父母じゃない。
 では、何の為に死んだ父母が出て来て話のメインに位置してるんだろう?
 守護霊なのかと思ったけど父母はケイの事、匂わせもしない、まぁ、ケイの方が「浅草に行くな」と言ってるから守護霊的意味を持たせてるのかもしれないけど、ケイを残して自分たちは消えちゃうし、天から護ってると言うなら、この世の作品、何とでも言い訳が付いちゃいます。
 監督自身が親孝行出来なかった贖罪感を映画で表現し償おうとしたのか、とまで邪推してしまう、それならプライベート・フィルムじゃねえかと。(「親孝行はしておくもんだよ、というなら修身の教科書だし)
 この映画、嫌いじゃないけど、僕の能力では消化不良を起こしてるし、苦手なノスタルジーも有って素直になれない。ファンタジーとしては面白いのですが。

 役者陣では、片岡鶴太郎がいけない、所作、動きは良いのだけど、「江戸っ子」の口跡に「如何にも」の作為を感じてしまいます、例えて言えば「江戸弁」のテキストを聞くようで生味がない。
 秋吉久美子の方が、よっぽど東京下町のサバけた女房を自然に出してます。
 風間杜夫の演技も芝居してますって感じで何だかなと、残念でした。

 スタッフ・キャストが一所懸命に作った作品に点数を付けるのは好きじゃないけど、僕の中では70点という感じの作品でした。

※僕も「牡丹灯籠」を脚色した劇を書きたいと何年も思ってるんですよ。(笑)
 小学生の時、親戚の家でNHKの白黒ドラマを見て、僕を幽霊恐怖症にした恩返しとして。(汗)
※片岡鶴太郎さん、顔が四角いから、余計に寅さんの真似としか見えない。渥美清さんの口跡は自然だけど。
※浅草「今半 別館」のすき焼きは確かに美味しい。去年、娘の合格・就職祝いに、お世話になった親族招いて食事したけど、ヘソクリ半分吹っ飛んで、直後、電動自転車壊れて残り半分持っていかれスッカラカンになった。(涙)

   (替え歌)

  恋しくば 尋ね来てみよ 三階に 愛しきひとも 恨み積もれば

 H31.1.3
 DVD

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2 コメント

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本年も、よろしくお願いいたします (鉦鼓亭)
2019-01-06 14:05:22
 宵乃さん、こんにちは
 コメントありがとうございます!

この季節に夏の映画を見るとは!
>ははは、確かに正反対ですよね。
何も考えず、単に秋吉久美子さんが見たくなっつて借りてきただけなんですが。(笑)

ただのお盆を題材にしたファンタジー
>結局、僕の着地点はそこになりました。
理屈で考える作品じゃなかろうと。

ウルウル
>すき焼き屋の別れのシーンで僕もウルウルしてしましたよ。

記事の最後に載せた替え歌作ってて気がついたのですが、
ケイを隣でもなく四階、五階でもなく三階に住まわせたのは、ダジャレとして「女三界に家なし」(俗世的意味で)を意識したのかなと考えてしまいました。
未練と恨みを残し成仏、輪廻できない魂として。

今年は映画を観る回数が半減するかもしれません。
特に春頃までは余り観る事が出来ないと思っています。
記事は書けませんが、皆様の所には顔出しさせて貰いますので、その時は宜しくです。


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あけましておめでとうございます (宵乃)
2019-01-06 10:10:33
この季節に夏の映画を見るとは!
私もたまにやりますが、この作品はめちゃくちゃ夏のイメージだったのでタイトル二度見しました(笑)

>何の為に死んだ父母が出て来て話のメインに位置してるんだろう?

確かに考えてみるとよくわからないですよね。この作品はホラーと人情のバランスが悪い気がします。ただのお盆を題材にしたファンタジーでよかったような。
でも、なんだかんだでウルウルしてしまったし、印象に残ってる作品です。

では、2019年もお互い映画を楽しみましょう♪
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