セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「アザーズ」

2012-07-18 22:29:12 | 外国映画
 「アザーズ」と「シックス・センス」、どちらを書こうか随分迷ったのですが「ア
ザーズ」にしました。
 このアイデアを使ったのは「シックス・センス」の方が早いので、本来ならば、
そっちを書くべきなのですが、その分、ちょっと強引というか反則してる部分
が2ヶ所あるのが気になりました、ただ「アザーズ」もネタばらしの伏線なのか、
旦那のタイミング良い帰還という出来すぎをやっていて、少々、あざとい所が
あります。
 結局、何度でも見れる作品はどちらか?が決め手になりました。
 (「B・ウィリス見てるよりN・キッドマンを見ていたい」と正直に言え!(笑))

 「アザーズ」(「THE OTHERS」2001年・米・スペイン・仏)
   監督・脚本・音楽
       アレハンドロ・アメナーバル
   美術 ベンジャミン・フェルナンデス
   出演 二コール・キッドマン
       クリストファー・エクルストン
       アラキナ・マン
       フィオヌラ・フラナガン

 第2次大戦末期、出征中の夫の帰りを待つグレース(N・キッドマン)と二人
の子供、その3人が住むイギリスの何処かの島にある孤立した古い大きな
屋敷。
 娘のアンと息子ニコラスは光アレルギーの為、夜しか外へ出られない閉塞
生活を送っている。
 窓という窓は厚いカーテンに覆われ、三人は昼夜を問わずランプが手離せ
ない。
 夫の助力が得られない中、先の見えない閉塞感に襲われながらも愛する子
供達の将来のため、教育と躾に没頭するグレース。
 それが、グレースをエキセントリックで例外を認めない頑なな女性に変えて
しまう。
 そんな時、使用人募集の広告を見たという得体の知れない3人の親子が訪
ね来て・・・。

 スタイルは本格的なゴシック・ホラーですが、至ってソフトなホラーですので
余程のホラー・アレルギーでなければ大丈夫だと思います。
 そもそも、この作品はホラーというジャンルを使った魂の救済物語であり、母
子の愛情再生物語なので、怖がらせてナンボという映画ではないのです。
 (ホラーの苦手な僕が全然、大丈夫でしたから)
 映像は美しく落ち着いていて、物語に溶け込んでいます。
 「魂の救済」というテーマも「シックス・センス」と共通してるのですが、映像は
舞台背景の違いもありますが、こちらの方が詩的でコントラストも鮮やかで好
感が持てます。
 更に、特筆すべきはN・キッドマンの美しさ。
 まさしくクール・ビューティそのものなのですが、エキセントリックで、視野狭
窄に陥り柔らかい母性を見失った母親を的確に演じていると思います。
 ホント、この映画、男どもにとっては美しいN・キッドマンを眺めてるだけでも
「元が取れる」のではないでしょうか。(笑)

 いよいよ夏本番を迎え、ホラー映画に最適な季節。
 でも、この「アザーズ」は季節を問わず見れる作品。
 ホラー映画の秀作だと思います。

ーーー(以下、補足事項。ネタバレに付き未見の方はスルー願います)---








※使用人は死んでも使用人、何という夢も希望もない設定なのでしょうか。(涙)
※子供達は死んで生前の病気とはオサラバ出来たのに、死んでから口が
 利けなくなった娘は、ずっとそのまま。
 これもあまりにも哀しすぎる設定。(涙涙)

 

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんはー! (*jonathan*)
2012-07-19 01:01:26
これ、大好きなんですよぉ~。
ニコールだけで元が取れるのは私も同じです(笑)
もちろんそれだけじゃないですけど^^

無駄にビビらされずにゾクゾクさせられる、あの雰囲気がたまりません。
切ない物語ではありますが、何度観ても面白い!と思っちゃいます♪
あまり知られてないのが勿体ないくらいですよねー。
早い者勝ちは仕方ないのでしょうか・・・。
しかしこの「補足事項」の件についてはどちらも考えたことがありませんでした^^;
確かに悲しすぎる・・・><
返信する
過去の事件以外は (宵乃)
2012-07-19 11:16:17
好きな作品です。映像美やN・キッドマンが印象に残ってるんだけど、過去の事件が痛ましくって、再見(&おすすめ)する気が起きないんですよ。
あと、よく「シックス・センス」と比較されて損してる作品ですよね~。比較した時点で、「シックス・センス」を知ってる人にはネタバレですし。

>旦那のタイミング良い帰還

彼らの時間の感覚がわからないので、もしかしたら始まってから何十年も経ってるかもしれませんよ?(笑)

補足事項1については、自覚してないせいだと思います。あの親子も使用人たちも自覚しないで囚われたままだったから同じことを続けていただけで、子供たちも病気から解放されていても気付いていませんでしたよね?
記憶が曖昧なので変なこと言ってたらごめんなさい。
返信する
宵乃さまへ補足的な・・・? (*jonathan*)
2012-07-19 14:28:01
宵乃さまのコメントを拝見して、もう少し思い返してみました。
(大好きと言いながら現在手元にないもので・・・)

そういえば子供たちは病気から解放された生活はしてませんでしたね^^;使用人の子もその点には気づいていなかったんでしょうかね。

しかし使用人たちは自分たちの立場(正体)については自覚をしていましたから、彼らが自ら使用人として雇われることによって、"魂の救済"役を買って出た状態だったのでしたかねぇ?
(すいません、やっぱり曖昧^^;)
返信する
袋小路へ入ってしまった・・・(笑) (鉦鼓亭)
2012-07-19 23:10:27
*jonathan*さん

 いらっしゃいませ!コメントありがとうございます。

僕も好きな作品なんです、雰囲気がとても素敵ですよね、すぐに映画へ引き込まれました。
3年位前からポチポチと映画を再び見るようになったのですが、
復帰後、最初に名前と顔を覚えたのがN・キッドマン、この映画のお陰です。
30年経ってもミーハー根性は健在でした。(笑)
(R・ギア以外、未だに二枚目男優はシドロモドロですが)

「(グレースを)徐々に覚醒させよう」と思って来たのは間違いないと思います。
ただ、その功績は、グレースをクライマックスへを追い込んだくらいでしょうか。
ゲレースが降霊師の所へ乗り込んで事実を知る→心に封印していた疑惑が事実と知る→全てを認め子供達へ許しを乞う→ようやく、心(魂)の平安を見出し二人の子供とやり直す決意をする
そんな流れでしたから。
一種の「ショック療法」と考えれば、やっぱり役に立ったのかな。(汗)

グレースの子供達は自分が死んだ事をハッキリ自覚したので病気から解放された。
使用人の娘は未だに自分が死んだ事を認めたくないので、ショックから立ち直れない。
強引に解釈すれば、この辺りでしょうか。
(でも、途中、グレースの子供達は光を浴びても発作を起こさなかったから、単に治ってる事に気付かなかっただけ、だと思うんですけど)
返信する
続・袋小路に入ってしまった・・・(笑) (鉦鼓亭)
2012-07-20 00:27:10
 宵乃さん

 ようこそ!コメントありがとうございます。

この作品が良くて以前から書こうと思っていたのですが、「シックス・センス」を見ないで書くのはアン・フェアだと思って書かないでいたんです。
が、やっつぱり先に見た「アザーズ」に分がありますよね。(笑)
N・キッドマン、綺麗すぎだし。

「シックス・センス」は、生者が死者の悩みを聞いて(カウンセリング?)成仏させるという、後のJ・L・ヒューイットのTVシリーズ「ゴースト」の元ネタの気がします。
だから、もう何回も何回も見たパターンのような気がして・・・。
(アレはアレで好きなんですけど)

始まってから何十年も経ってるかも>それは、考えなかった!!
考え方の一つかもしれません。

自覚の問題>グレース側は自覚してませんが(子供達は知っている?)、使用人側は自覚してますから・・・。
無理矢理、解釈すれば、この映画はグレース側の一方的な幻想の世界で、「幻想の中の覚醒」を描いてるのかも・・・ん~~、ちょっとキツイ。(汗)

構図、色調、雰囲気、演出のテンポ、演技、内容、全て自分に合ってる。
好きな作品です。
返信する
良いんですが… (ロッカリア)
2012-08-02 23:36:06
御無沙汰してます!
劇場で見ました。僕的には『シックス・センス』を劇場で見た時にまんまとハマった一人なので、こっちの方は『シックス~』の逆のパターンかな、と言う感じがしました。
良い映画なんですが、テーマが死を取り扱っているので、何回も見よう、と言う気になりません。(『シックス~』も同様…)
『L.Aコンフィデンシャル』の方は、意見が合うようです。
僕の中には、ハードボイルドって、カッコ悪いのがカッコいい!みたいな感覚があるので…。
ああ、また『さらば愛しき女よ』が見たくなってきた…。
返信する
「アザーズ」に一杯喰わされました (鉦鼓亭)
2012-08-03 23:05:56
2012-08-03 23:04:33
 ロッカリアさん、コメントありがとうございます!

こちらこそ、ご無沙汰しています。
やっぱり第1印象のほうが強烈ですよね。
(僕は「アザーズ」が先でした)
「シックス・センス」がなければ、まず「アザース」は生まれなかったとは思うのですが、
映像の美しさと、それに負けないキッドマンの美しさに一票です。
でも、「シックス・センス」だって同じくらい好きですよ、「生者」が「死者」に、「死者」が「生者」によって救われる、切ないハートフル・ストーリーにジ~ンときました。

カッコ悪いのがカッコいい!>それ!それですよね!!
「さらば愛しき女よ」>あのR・ミッチャムの疲れた感じが最高。
C・ランプリングも「愛の嵐」と、この作品の頃は一番輝いていた気がします。
(ちょっと「愛の嵐」のイメージが強烈すぎたかも)

只今、オリンピック中毒(笑)。
マイナー競技応援団なので、余りLIVE放映してくれないNHKに怒ってます。
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