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セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「舞妓はレディ」 

2014-09-28 09:46:51 | 映画感想
 ♪舞妓はレディ~♪
 ♪マイコ ハ レディ♪
 マイ フェア レディ
 しかし♪京都の雨は たいがい盆地に降るんやろか♪まであるとは知らん
かった。(爆)
 ナンバー「Moonlight」のシーンは、昔のMGMミュージカルへのオマージ
ュなのかな、僕はF・アステアの「バンド・ワゴン」を思い出したけど・・・、何
かちょっと微笑ましかったです。

 「舞妓はレディ」(2014年・日本)
   監督・脚本 周防正行
   音楽 周防義和
   作詞 種ともこ
   撮影 寺田緑郎
   美術 磯田典宏
   出演 上白石萌音
       富司純子
       長谷川博己
       田畑智子 草刈民代
       岸部一徳、竹中直人
       高嶋正宏 渡辺えり

   
 若い頃、脚本書きになれたらなァなんて無謀にも思ってた時がありまし
て・・・。(汗)
 日本を舞台に日本らしい題材で日本語を使う、それでいながらハリウッ
ドみたいなミュージカル。
 そんなのが書けたらと夢を見ていました。
 僕が夢見てたものを実際に完成させてくれたのが、この作品なのかも
しれません。
 で、実際に、それを観てみると・・・。
 何だか妙に「こっ恥ずかしい」。(笑)
 口三味線から洋楽器へ、拍子取りからドラムへ、和から洋への移行も
僕の頭の中では理想的だったのですが何か居心地が悪い気がしないで
もない。
 でも、その「何か」が何なのかがハッキリ解らないんです。
 凝りすぎなのか、それともストレートすぎなのかも現時点では、どっちな
のか判然としなくて正直な所、困惑しています。

 この作品、「ミュージカル嫌い」の人にはちょっとキツイかも。
 よく言われる「唐突に歌いだす」タイプ。
 でも楽しい作品だと思うし、面白さは元ネタが保証済みでシクジッテは
いないから安心保証です。
 主役の上白石萌音(かみしらいし もね)さん、オーディションで選ばれ
た新人?さんですが台詞、歌、踊り、実によく頑張っていて立派だったと
思います。
 ただ比較対象がJ・アンドリュースにA・ヘップバーン、ちょっと相手が悪
すぎ。
 観て思ったのですが、「マイ・フェア・レディ」という作品のスケール感は
予算より女優の魅力に比例するんだな、でした。
 (動きは着物とドレスというハンデがあるけど、「マイ・フェア・レディ」って
殆ど踊りのない作品だし)
 脇を固める周防組いつもの面々も堅実、富司純子、田畑智子、長谷川
博己、高嶋正宏も好演、岸部一徳は何演っても岸部一徳だけど、しっかり
京の老舗の大旦那、踊りのお師匠はんを演じた中村久美も良かった(「夢
千代日記」の、あの小夢さんがと思うと感概溢れます)。

 演技、ナンバー、演出、何処にも悪い所は無いと思います、今も♪舞妓は
レディ~ 舞妓はレディー♪って頭ん中グールグルだし。
 でも、やっぱり、何だか「こっ恥ずかしい」。

 (追記)
 書き忘れた!
 最後の台詞は要らない。
 あれは台詞以外で解らせなきゃ。

※ヒロインが先生に素性を話すシーン。
 凄く重要な台詞なんだけど、方言がキツイのか聞き取れなくて、後々、こ
 こは響きました。
 既にここまでのシーンで津軽弁(ゆっくり喋る事で、あれでも解りやすくし
 てある)の聞き取りに力使い果たしてたのかも。
※足袋と靴って結構ハンデがあるんですね。
 靴だと解らないつま先の動きが見えちゃう。
 田畑智子さんの舞台をどりのシーン、動きが止まって形を見せる時つま
 先が動いてるが解ってしまった。
 良く知らないけど、やっぱり、あれ駄目なんじゃ・・。
 彼女の名誉の為に補足しますが、それ以外は踊りも演技も素晴らしかっ
 たです。
※前回の「バルフィ!~」のパンフレットは駄目でしたが「舞妓はレディ」の
 パンフレットはお勧め。
 これで同じ値段なんだよね。(弩)
コメント (5)
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「バルフィ!人生に唄えば」

2014-09-21 14:21:24 | 映画感想
 先日観た「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」でインド美人に興味が出て・・・。

 「バルフィ!人生に唄えば」(「Barfi!」・2012年・印)
   監督 アヌラーグ・バス
   原作・脚本 アヌラーグ・バス
   音楽 プリターム・チャクラボルティー
   出演 ランブール・カブール(バルフィ)
       プリヤンカ・チョプラ(ジルミル)
       イリヤーナー・デ’クルーズ(シュルティ) 

 (さわり~「あらすじ」ではありません)
 聾唖だけど悪戯ッ子がそのまま大人になったような陽気で憎めない男バルフィ。
 そんなバルフィがタージリン市に引っ越してきたシュルティに一目惚れ。
 しかし彼女には既に婚約者が・・・。

 インド映画は丸で知らないのですが、この作品、ボリウッドがハリウッドのサイレ
ント映画にオマージュを捧げてるような映画でした。
 全体としてはC・チャップリンの作品、特に「街の灯」、「モダンタイムス」がベース
になってる気がします。主役バルフィの動きもB・キートン、C・チャップリン、ロイド
兄弟を参考にしてると思いました。
 (電柱が倒れてきて友情を確かめるシーンはキートンからのインスピレーション
だと思うし、警察署の引き戸を使ったギャグはチャップリンでしょう、他にもイロイ
ロ)
 トーキーでサイレント映画の雰囲気を作る為なのか、バルフィは聾唖、Wヒロイ
ンの一人ジルミルも自閉症で言語が不自由(知恵遅れ)という設定、ギャグシー
ンではコマ落としが多用されています。

 チャップリンと言うと、腹を空かせた浮浪者といたいけな女性(少女?)というイ
メージがパッと浮かぶのですが、本作に於いて似てるのは二人の雰囲気だけか
も知れません。
 「街の灯」、「モダンタイムス」がベースと思うと書きましたが、では何処が?と聞
かれると窮します。
 でも観てる時、観終わった後、「チャップリン映画に似てるな」と常に感じていま
した。

 勿論、違う所は沢山有りますが、本質的に違う所を一つだけ書きます。
 チャップリン中期までの作品には大恐慌というバックグラウンドが有り、貧しい
故の諍い、要領、助け合いを描き庶民のペーソスを滲ませていきます。本作は主
役バルフィこそ定職が有りませんがWヒロインのシュルティ、ジルミルは共に有産
階級で「お金持ち」。(カーストの中で3人が何処に位置してるか解りませんが低く
はないでしょう)
 バルフィにしても定職が無く生きていけたのは親父が働いてるお陰。
 落語に大店の若旦那の道楽が過ぎて勘当を喰らう噺がありますが、その時、道
楽息子が切る啖呵、
 「お天道さまと白い飯は、どこだって付いて回らぁ」
 で、実際は「お天道さま」だけが付いて回る・・・。
 しかし、この映画では、どういう訳か「白い飯」も付いて回る。
 落語でさえ付いてこないのが、この映画ではちゃんと付いてきます。
 この作品はチャップリンや落語と立ってる位置が全然違う、完全なファンタジー・
ワールドだと思います。
 そのファンタジーを楽しむ映画。

 話は1972年から現在(が何年なのか?(笑))までの約40年に渡ります。
 その40年の中で、実によく、あっちこっちに時間が飛びます(大体、4つくらいの
時間軸がある)。
 これ、飛びすぎでしょ。(笑)
 混乱する一歩手前で綺麗に繋げていきますが、ここまで時間軸をパズルにする
意味があったのか不明。
 基本ハートフル・ファンタジーなのですが、その中にジルミルの誘拐・身代金要求
というミステリー要素を入れたので、そのミステリー部分のテンション(と言っても極
めて薄味だけど)を維持したかったのかなァ・・・。
 それと、監督がミステリーの勉強をしたいのか、伏線の回収が律儀すぎ。
 これミステリーじゃないんだから。(笑)
 身も蓋もない言い方だけど、オーソドックスに時間通りで作っても、それ程差異は
無いような気がします。

 インド美人に興味が出て・・・
 この部分は期待以上の大満足。
 シュルティ役のイリヤーナー・デ’クルーズ。
 「二股女」かもしれないけど、超ベッピンさんだから無問題。
 (旦那さん何も悪くないので可哀そうだけど)
 映画の世界で男にとって綺麗・可愛いは大正義。
 女だってイイ男には・・・(誤爆)
 今は(インドで)スターさんらしいです。
 バルフィ役のランブール・カブール。
 動きはキートンだったりチャップリンだったりなのに顔が時々S・スターロン(笑)。
 何とも奇妙ですが上手いとは思います。
 ジルミルの役は「ギルバート・グレイプ」のL・ディカプリオと同じ、多分、上手いの
だろうし、この役じゃなければ、この人もキュートだと思います。
 (調べたら2000年ミス・ワールドだって(汗))

 クライマックス、シュルティがバルフィに教えるシーンは切なく美しい。
 151分はちょっと長すぎだけど、悪くない作品だと思いました。

※時間に余裕のないのも、現在では150分の長さじゃ入らないのも解る。
 でも監督が「Intermission」って入れてるんだから・・・。
※元鉄道マニアとしては、ナローゲージのタージリン鉄道を一杯見れて嬉しかった
 です。(笑)
※元の素材が乏しいのかパンフレットは資料として使えません。
 スタッフ・キャストさえマトモに載ってない。(あきれた~笑)
注)堅く見るとバルフィが犯罪しまくりなので、そういうのが苦手な人はダメかも。
 
 
 
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「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」

2014-08-15 23:49:35 | 映画感想
 「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」
 (「The Place Beyond the Pines」・2012年・米)

   監督 デレク・シアンフランス
   脚本 デレク・シアンフランス
       ベン・コッチオ
       ダリウス・マーダー
   撮影 ショーン・ポビット
   音楽 マイク・パットン
   出演 ライアン・コズリング
       ブラットレイ・クーパー
       エヴァ・メンデス

 「ブルーバレンタイン」のD・シアンフランス監督による長編映画2作目。

 プレイス・ビヨンド・ザ・パインズとはニューヨーク州の町、スケネクタディの
別名。
 3部からなるオムニバス的映画、但し、それぞれはリレー方式で繋がって
います。
 ・しがない旅巡業を続けるスタント乗りの男(R・コズリング)が、巡業先で
  以前の女に出会う。女は同棲中で赤ん坊が居たが、その子供は男の子
  供だった・・・。
 ・地方検事の息子で警官になった男の話。偽りの功績を切っ掛けに組織
  の不正に巻き込まれていく。
 ・15年後、二人の息子が同じ高校で出会う・・・。
 この3つの物語が「逃れられぬ糸」のように絡み合うので、サブタイトルに
「宿命」を付けたのだと思われます。
 (でも「宿命」と言う語感から感じるウェットさとは違うな、叙事的な乾いた
感覚の方が強い)
 構成はJ・デュヴィヴィエの「巴里の空の下セーヌは流れる」(1951年)と
云う作品に少し似ています、一つの話が次のエピソードに繋がり、それが
次へと・・・。
 只、デュヴィヴィエの作品は、全体が終われば人間世界のペーソスを肯
定的に感じさせるものでしたが、この作品に感じられるのは前回の「ブルー
バレンタイン」と同じ「負の連鎖」。
 (いい加減な男が自分の欲望のみに忠実で相手を妊娠させるというのも
前回と同じ)
 
 この監督の演出力は相変わらずシッカリしていて挿入歌のセンスも変わ
ってません。
 特に3部構成の1部、2部はいいですね(2部は、ちょっと「L・A・コンフィ
デンシャル」みたいだけど)。
 でも、肝心の〆の3部目が何かありきたりと言うか。
 この設定自体が成り行きで有り得そうなんだけど、強引とも言えるし、反
対に予定調和に堕したような気もする感覚。
 確かに、これしか終わりようがないのかもしれませんが・・・。
 それと、もう一つ気になるのが、最後のシーンが「ブルーバレンタイン」と
ソックリと言う点。
 シリーズ物でもないのに同じと言うのはプロとして芸が無さすぎます。
 「ブルー~」は、その後のエンドクレジットが美しく、哀しく、素晴らしいエン
ドロールだったのですが、今回は、そんな機知も無くて、漠然としたまま終わ
ってしまい余韻も何も残らない。
 作品自体、水準以上だと思うけど、これも余韻と同じく「残る」ものが無かっ
た。
 
 この監督、テーマは「負の連鎖」、「アメリカン・ドリームの消滅(階層の固定
化)」なのかな。
 テーマ自体は監督のモノだから言う事は無いけど、前回に比べると、かな
り「浅く」感じました。
 話を拡げないで、狭い世界の葛藤を描いた方が合ってるのかも。
 (「ブルー~」は二人の話なのに普遍的でした)
 何はともあれ次回作に期待、です。

※R・コズリングは目が綺麗ですね。
 だから、いい加減な男やワルを演じても「根はいい人」に見えます、本作は、
 そこが狙いだと思うのですが、それにしても優しい目です。
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「GODZILLA ゴジラ」

2014-08-03 19:54:42 | 映画感想
 「GODZILLA ゴジラ」(「GODZILLA 」・2014年・米)
   監督 ギャレス・エドワーズ
   脚本 マックス・ボレンスタイン
   撮影 シーマス・マッガーヴェイ
   VFXスーパーバイザー
       ジム・ライジール
   音楽 アレクサンドル・デスプラ
   出演 アーロン・テイラー=ジョンソン
       渡辺謙
       エリザベス・オルセン

 ハリウッドに売り渡したのだから、最早、どう料理されたって文句は言えない。
 バトル・シーンは迫力が有って「観る」だけの価値は有ると個人的には思ってます。
 特に、背景を煙や霧で薄暗くしたのは効果的で、巨大さと不気味さをより印象付けてた。
 只、ドラマ部分が、いかにもハリウッドで、総花的、詰め込みすぎ、その結果、散漫になって焦点ボケ。
 予告編で「これは家族のドラマだ」って監督が言ってた気がするけど、記憶通りなら「平凡」としか言いようがない。
 でも、まぁ、近年のハリウッドですから。
 世界中でウケるんじゃないかな。

 僕、映画館で観た初めての映画が「ゴジラ対モスラ」(1964年)で、小学生時代、東宝特撮に夢中だったんですよ。
 そりゃ、今はマニアでは無いけど、愛着は50年に渡るものがあります。
 そんな個人の見解を言えば、
 これくらいの設定の人物に「芹沢博士」の名前を使って欲しくなかった・・・。

※TOHOシネマズ日本橋 3D TCXスクリーン、DOLBY ATMOSで観賞。
 3Dに関しては「大した事なかった」。
 TDOLBY ATMOS>本編上映前の「お試し」プロモーション?は素晴らしかったのですが、
 本編が始まると、さして違いが解らんかったです。(笑)
 (TCXスクリーンは、「テアトル東京」の巨大スクリーンを知ってる僕から見れば、昔の「有楽座」クラスで、
 驚きは何もないです~今回、2回目)
 
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「超高速!参勤交代」

2014-07-21 00:16:07 | 映画感想
 わざわざ映画館まで行って観るほどではない気もするけど、肩の凝らない
ライト時代劇で、それなりに面白いと思います。

 「超高速!参勤交代」(2014年・日本)
   監督 本木克英
   原作・脚本 土橋章宏
   撮影 江原祥二 
   出演 佐々木蔵之介
       西村雅彦
       深田恭子
       伊原剛志

 隠し金山の嫌疑をネタに藩取り潰しを狙う悪老中が、
 国元へ帰り着いたばかりの東北の小藩・湯長谷藩(福島県磐城市)藩主へ
再度の参勤を命ずる。
 しかも、刻限は通常の半分で5日(実質4日)、飢饉の名残りと帰郷費用で
藩の蔵は空っぽ。
 意地と無い知恵絞って「いざ、江戸へ!」

 アリテイに言えばTV時代劇に毛が生えたくらいの作品。
 それを何とか映画として観るに耐える作品にしたのは、人の良い殿様を硬
軟織り交ぜて演じた佐々木蔵之介と頼りない知恵者の家老を演じた西村雅
彦の二人の演技に負う所が大きかったと思います。
 特に佐々木蔵之介の殺陣は中々見事でサマになってました。
 (居合いだから一発の殺陣は良いけど続くと少し粗が出るかな)
 時代劇は、やはり殺陣が決まらないといけません・・・、家臣の殺陣には悲
惨なのもあったけど。(笑)
 意外と掘り出しモノだったのが深田恭子。
 時代劇に馴れてないのか、所作、台詞回しにぎこちなさは有るけど、結構
サマになってました。
 (和服の似合う人ですね~痩せて見える)
 但し、初登場シーンの台詞と女郎同士の荒事シーンは学生の演劇部レベ
ル。
 寺脇康文は上手いけど、相変わらずで可も無く不可も無くと言ったところ。

 僕の持論だけど、コメディに下手な役者は要らない、入れちゃダメなんです
よ。
 どんな役でも、しっかり上手に役者が演じないと一気にレベルが下がるん
です。
 この作品で、大きく足を引っ張ってたのが敵方の忍者連中。
 そこそこ重要な役なのに、揃いも揃って演技が出来てない、JACの新人を
引っ張ってきたのかと思うくらい。
 特に女忍びを演じた人、はっきり言って学芸会レベル、酷なようだけど夢と
現実の差を認識した方が本人の為だと思います。
 (7.22追記 「大鹿村騒動記」の雷音クンだったのか。あの時は悪くなかっ
 たけど、今回は酷いとしか言いようがない)
 陣内孝則と伊原剛志は悪目立ちしすぎ。
 陣内さん。多分、監督の指示だとは思うけど、何だかなァ。
 「「水戸黄門」に出てくるような悪代官をステロタイプのまま派手に、且つ
陣内さんの色を付けて」
 監督の狙いはそんな所なんだろうけど、ちょっと楽しみすぎ。
 勧善懲悪モノは「悪」が巨大で手ごわい程、面白くなるのがセオリー。
 あれでは、只の選民主義のアホ。
 この作品にカタルシスが少ないのは敵方の親分が、役職が高いだけのア
ホだから。そこが薄っぺらく感じてしまう最大の原因。
 アイデアは悪くないんだから勿体ないですよ。

 2時間近く飽きさせず面白くも感じられるけど、点数を付けるとギリギリ「可」
の60点くらいになってしまうのは、上手いのと下手なのの差が有りすぎなの
と、いまいちカタルシスに欠けるから。
 制作委員会にテレビ東京が入ってたから、来年の正月特番でオンエアする
んじゃないかな。
 お炬燵に煎餅、お茶、蜜柑が似合う映画です。

※大名行列は一種のショーだけど、大名駕籠が通る時は庶民は土下座。
 時代劇にシキタリ(と身分差)が無ければ時代劇とは言えません。
※江戸屋敷で出迎えたのが殿の妹御、という事は御正室様はお亡くなりにな
 ったようで。
 (7.22追記 お取り潰しは必定と見て、離縁状置いて実家へさっさと帰った
 らしい)


ーー(ネタバレ注意ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※最近のTV時代劇の悪い所、「善人は死なない」
 劇なんだから、死ぬ奴はちゃんと死んで下さい。
 (多分、そんな所だろと思ってたけどシラける)
 

 
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「砂の器」(2) やっと気付いたこと

2014-07-18 23:24:19 | 映画感想
 (ネタばらしの類ですので未見の方はご注意願います~この作品、犯人は誰?
という映画ではないのですが~ウダウダ個人的妄想語りですからご興味のない
人はスルーで、結論だけ知りたければスクロールして最後の方だけ読んで下さい)

 昨日の記事で「推理モノのスタイルを使った世話物」(推理モノ風味の世話物)
と書きました。
 今日の記事は、それを立証するのが目的ではないのですが、その証左の一つ
になってしまうと思います。
 但し(笑)、全くの個人的妄想ですので、そのお積りで。
 (多分、多くの人が気付いてる事なんだろうけど、僕は鈍いので今回漸く気付き
ました~原作未読なので小説でどのような記述になってるか知りません)

 今西警部補「不思議なのは、(三木謙一が)旅館の近くにある「ひかり座」に二日
も続けて出掛けている事であります」

 何故、三木謙一が二日続けて映画館「ひかり座」に出掛けたのか?
 何故、写真の和賀英良が本浦秀夫であると見抜いたのか?
 和賀の顔に秀夫の面影がある事を気付き、二日目はその念押しだった、僕は40
年間、そう思い込んでいました。
 僕以外にも、そう思ってる人は多いんじゃないかな。(汗)

 その本当の答えは、捜査会議で和賀の写真がアップになった次のカットに出てい
ます。
 和賀が本番前の控室で鏡を見てるカット。
 有っても無くても全然困らないように見えるこのカットがヒントなのですが、初見の
人には絶対解らない。
 何故なら、答え(三木が気付く)が一番最初で、次がヒント、更に20分位後に原因
が出てくるのですから解りようがない、推理モノなら材料は答えの前に出しておくの
が必然なのに、この作品では完全に逆。
 これでは推理モノには成り得ないでしょう。

 三木謙一は秀夫を探しに旅に出た訳じゃないんですよね、頭の片隅に秀夫の手掛
かりが掴めるかもと云う漠然とした願望は有ったかもしれませんが、目的は、あくまで
も「のんびりお伊勢参り」で気持ちの殆どは、そこに有ったと思われます。
 何も用意のない、然も、20年近く前ほんの半月位共に生活しただけの少年、その間
には米軍による焦土作戦もあった、半分は死んでると思ってたんじゃないでしょうか。
 それが、ふと目に留めた写真に秀夫の面影を直感的に感じた。
 恐らく、何度も何度も和賀の顔に少年秀夫の顔を重ねたのでしょう。
 でも準備してた訳じゃないので、かなり慌てて動転していたのではないでしょうか。
 そして宿へ帰る、部屋へ入ってからも繰り返し反芻し、かなりの確信を持ったと思い
ます。
 でも、それだけでは、どうにもならないじゃないですか。
 「あんた、和賀ナントカと言うてるけど、本当は本浦秀夫じゃろ」と問い詰めたところで、
 「残念ながら人違いです」で終わり。
 そこは元警察官、少し冷静になって言い逃れできない確証、身体的特徴を必死に思
い出そうとして、あの頃の記憶を一つ一つ点検していく。
 そして漸く一つ思い出した・・・。
 二日目は、それを確認しに行ったんじゃないでしょうか。
 (面影なんて曖昧な事で解ったのなら、開館と同時に写真を見て急ぎ名古屋へ出て
急行「東海」に乗れば16時頃には東京へ着けます)
 夜行「伊勢」の発車時刻まで伊勢に留まったのは、否定するかもしれない和賀の逃
げ道を、どうやって塞ぐか作戦を練ってたんじゃないでしょうか。
 (早朝の電話、戸籍という証拠を持ってる和賀が、何故、のこのこ出掛けるハメに)
 僕は、そう推測しました。(汗)

 その答えは、額の傷。
 親子遍路の道中、巡査(浜村純)に村を追い出された際、突き飛ばされて転落した
時に負った額の傷。
 但し、「ひかり座」に掲げてある写真では殆ど解らないです、ボケてるし。(笑~今、
DVDを借りてきて観てるんだけど)
 その次のカットが鏡を見てる和賀なんですが、「このナルシストめ!」なんて思いな
がら和賀の視点が微妙にズレてるのに漸く気付いて「あ!」、40年掛ったけど、やは
り映画館だと集中力が違うのかな、なんて。(笑)

 以上、ちょっとした妄想でした。(汗)

 「野良犬」で木村功のズボンに「それじゃお客さんに解らないよ」と通常の何倍も泥を
ぶっ掛けた黒澤監督ってサービス心溢れてたんだなァ、と再確認。
 野村さんの場合、DVDで一時停止して観ても殆ど解らないもん。(笑)

※この傷跡、重要な証拠なのに、かなりイイカゲン。(笑)
 捜査会議で配られた写真では殆ど解らないけど、今西が千代吉老人に見せる写真
 ではクッキリ。(究極の後出しジャンケン)
 傷跡の位置も、何か適当。(爆)
 「神は細部に宿る」と言いますから、この辺はきっちり描いて欲しかった。
 
 

 
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「グランド・ブダペスト・ホテル」

2014-06-22 20:00:32 | 映画感想
 「グランド・ブダペスト・ホテル」(「The Grand Budapest Hotel」・2014年 独・英)

   監督 ウェス・アンダーソン  「ダージリン急行」
   脚本 ウェス・アンダーソン
   撮影 ロバート・D・イェーマン
   美術
   音楽 アレクサンドル・デスプラ
   出演 レイフ・ファインズ
       トニー・レヴォローリ
       シアーシャ・ローナン
       ジュード・ロウ

 6.21、日比谷シャンテにて(満員)。
 女性客多し、次にカップル、男一人客希少。(笑)
 殆ど前情報知らずに観に行ったのだけど、これって、そういうファン層なの?

 ベル・エポックも終わりに差し掛かる頃。
 ヨーロッパ東部に有る架空の国ズブロッカ共和国、そこに在る有名なリゾートホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」。
 その名物コンセルジュと新入りベル・ボーイの絆を描く物語。

 独特な感覚の軽喜劇、コメディという程コメディじゃない。
 ミステリー・コメディだけど、そのジャンルでもない。
 「ツマラナイ?」と聞かれれば、「面白いと思うよ」と答えるけど、全面的に面白いとも言えない。
 非常に個性的なんですよね、「受ける」人にはモロ受けするタイプ、W・アレンより30%位間口が広い映画。
 何か、まだ消化しきれてないのだけれど、現在の率直な感想を書くなら、こう書くしかない。

 この作品、「大人の冒険童話」と僕は捉えました。
 実際、映画を観てるというより、(大人の為の)童話を読み聞かせられてる感じなんです。
 原作小説を映画化したと言うより、原作童話を、そのまま映像に焼き直したと言った感覚。
 コメディとしては、僕がこれまで観てきた感覚で言うとハリウッドとは違いますね。
 強いて言えば、笑いの取り方が大仰なのでフランス喜劇に近い感じがします。
 (監督はルビッチ他、古いハリウッドのスクリューボール・コメディを参考にしたと言ってますが、
余り、この映画を観て、そこへ辿り着けるとは思いません(笑~男と男で見れば、残滓はあるか
も。ハリウッドなら、どちらかと言うとB・キートンの乾いた感覚に近いような・・・)
 まァ、その辺は個人の感性にお任せします。

 大人の冒険童話なので、結構、スプラッター風味のシーンが有るのですが・・・。
 人と言われようと、僕は動物愛護精神に欠けてると自覚してます。
 それでも、あの弁護士の愛猫の最期は要らないんじゃないかな。
 勿論、コメディ・タッチだから、猫の死体だって「大の字」でストレートではない、偽悪的な「笑い」
に包まれてる。
 だからと言って、あのシーン必要なのかと言えば、首を傾げざろう得ないんですよ。
 窓から首を出した飼い主の表情で表現出来る。
 「嗤い」は、袋詰めの死体引き取りシーンで充分なんです。
 一点だけ、気に入らない所を指摘しておきます。


 すんなり忘れてくれそうもない、変に残る作品。

※エンドロールの途中から片隅に登場するコサック・ダンスが妙に可愛いくて、クレジットに目が行きませんでした。(笑)
 でも、コサックってウクライナの辺りだから微妙に位置関係が・・・。
※主役のレイフ・ファインズ、誰かに似てるとずっと気になっていたんだけど、やっと思い出した、「シャーロック・
 ホームズ」(グラナダ版)の初代ワトソン君だ!(笑)
コメント (3)
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「ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版 」観てきたよ!

2014-06-14 23:01:20 | 映画感想
 最近、歳のせいか映画観てると、やたら泣けるんだけど、まさか「ゴジラ」観て涙が出てくるなんて
思いもしませんでした。(笑)

 ‘76.7.22に上板東映で雨だらけの「ゴジラ」を観たのが劇場初見、同じく’76.12.23、ゴジラ
にぶっ壊された旧「日劇」でリバイバル上映された「ゴジラ」、「ラドン」、「モスラ」の豪華3本立てを観
たのがスクリーン最後だから38年振りのスクリーン鑑賞になりました。
 こんなにクリアで光量の多い「ゴジラ」を観られるなんて・・・。
 もう最初の方で、鼻にツンと来てしました。(笑)
 ビデオ・DVDではイマイチはっきり解りかねるゴジラが初めて写るシーン。
 今回は壊される家の戸の向こうにハッキリと通り過ぎるゴジラの足が見えます。
 他にも潰された工場の中、通りすぎていく巨大な足も見えるし、パトカーがやられる直前、ゴジラ
がビルの上から顔を覘かせるのですが、そのビルの窓に人影がはっきり動いてるとか、佐原健二
見っけ!とか(笑)今迄見えなかったもの気付かなかったものが沢山見えました。
 勿論、戦闘機による攻撃の際のピアノ線もクッキリ見えるし、有名なゴジラの初顔出しシーンで山
の上部が揺れてたり高圧線鉄塔の土台部分が揺れてるとか、合成の甘さもデジタルリマスターの
お陰ではっきり解るマイナス面も有りますが、そんな事、このクリアで明るい「ゴジラ」の前では無問
題!!21世紀の今でなく昭和29年(1954年)なのですから。
 もうね、昭和29年の機材のない中、これだけの作品を作ってる事だけでホント涙腺が緩みます。
 「他にもB29の空襲で逃げ惑う人達って、こんなんだったんだろうな」とか、信じた女が裏切る瞬
間とか、それを知った芹沢博士の気持ちとか・・・、他にも社内試写会で「万歳!」の声が鳴り止ま
なかったんだよなって、決して「ゴジラ」フリークではないけど、子供の時から数え切れないくらい観
てる「ゴジラ」1954年版なもんで、クリアな映像に誘われるように色んな思いが沸いて来るのに抵
抗出来ませんでした。

 折角、こんなに綺麗な「ゴジラ」をリバイバルしてるのに、何で東宝は宣伝しないのかな・・・。
 今の人間に笑われたっていいじゃない、あの時代にこれだけのモノを創ったって堂々と胸を張れ
るし、コソコソ上映するなんて先人に失礼極まりないと思います。

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・前にも一度書いたけど、やっぱり宝田明と河内桃子は破壊的な下手さ。でも、今回観て、河内桃子
 の方が宝田明よりも余程酷いことに気付きました(以前は宝田明さんの方が酷いと思ってた)。
・自衛隊(まだ警察予備隊だったっけ)による爆雷攻撃の映像は当時のニュースフィルムだったのか、
 この部分だけはクリアに雨が降ってます。(笑)
・作品の内容に関しては皆が知ってる事だし、それぞれの思いがありますから書きません。
 が、一つだけミステリーだった事が。
 芹沢博士を決断させた、あのTV、誰が点けたんだろ・・・。(笑)
・35mmスタンダード作品ですから、なるべく前の方で観た方がいいと思います。
 スクリーンに近い方がゴジラの質感、圧迫感をより感じる事が出来る気がします。
 僕は前から3列目中央で観ました。繰り返しになりますがスタンダード・サイズですから余程の事が
 ない限り、スクリーンが視界からハミ出す事はないでしょう。
・今回の企画は7月公開の「GODZILLA ゴジラ」の前宣伝で、今日、スクリーンでその予告編を観た
 のですが・・・。
 ゴジラ、アメリカ行って脂モノ喰いすぎ、最早メタボだろ、あれは。(笑)
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「コンタクト」

2014-04-26 23:20:33 | 映画感想
 「コンタクト」(「Contact」・1997年・米)
   監督 ロバート・ゼメギス
   原作 カール・セーガン
   脚本 ジェームス・V・ハート
       マイケル・ゴールドバーグ
   撮影 ドン・バージェス
   音楽 アラン・シルヴぇストリ
   出演 ジョディ・フォスター
       マシュー・マコノヒー
       トム・スケリット

 宇宙科学者エリー・アロウェイ博士は、或る日、宇宙からの信号をキャッチした・・・。

 科学者カール・セーガン博士の小説を原作とした映画。
 随分と宗教右派から攻撃を受けたんでしょうね。
 科学は宗教と相容れない存在ではなく、目指すものは同じなのだ、と一生懸命
弁明してるような映画。
 作品自体は面白く150分弛緩させる事なくエンディング迄引っ張っていってくれ
ます。
 でも、致命的とも言える欠陥がある。
 「そんなもん、もう1回、別の人で実験してみれば解決!」

 プロジェクトに5、000億$も費やして成果を証明できないとエリー(J・フォスター)
は査問委員会に掛けられますが、その費用の大半は装置に掛けられた筈。装置
残ってるんだから再実験に掛ける費用なんて多寡がしれてる。
 喧々囂々としてるのが白々しくて、「科学と宗教」の意見発表の場を作る為、作者
が査問委員会を必要とした感じで、映画にとっては本末転倒と思いました。
 感想は「何だかなあ・・・」(苦笑い)と言うところ。
 前半~中盤は快調、後半はご都合主義とセーガン博士の講演会。

※キーポイントになってる人物が「後出しジョーカー」みたいで安易。
※あのね、日本は人口過密国なの(笑)、北海道オホーツク沿岸だって人住んでます!
 (地図音痴のアメリカ人だって、映画作る時くらいマトモな地図出せや~勝手に半島
 作るな)
 それに、地震多発国よりアメリカの砂漠の方が適地でしょ。
※畳の部屋の壁に何故か揺れてる皺だらけの掛け軸、その下の小机には鏡餅と明治
 神宮のお札に破魔矢、ついでに花瓶、ハリウッドにだって日本人居るだろ、誰、この
 貧相なセンス(正月という時間を示してる?何の関係もないのに(笑))
コメント (2)
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「ハンナ・アーレント」

2014-03-30 19:51:34 | 映画感想
 「ハンナ・アーレント」(「Hannah Arendt」独・ルクセンブルグ・仏・2012年)
   監督 マルガレーテ・フォン・トロッタ
   脚本 マルガレーテ・フォン・トロッタ
       パメラ・カッツ
   撮影 キャロリーヌ・シャンプティェ
   音楽 アンドレ・マーゲンターラー
   編集 ベッティナ・ベーラー
   出演 バルバラ・スコヴァ
       アクセル・ミルベルグ
       ジャネット・マクティア

 ユダヤ系ドイツ人女性ハンナ・アーレント。
 実存主義で高名なドイツ人哲学者M・ハイデッカーの愛弟子であるが、ナチス・ドイツからの迫害を怖れ、フランスへ逃げ、そこでユダヤ・キャンプへ抑留されてしまう、後日、からくも脱走し、生き延びる経験を持つ。
 そして1960年代。南米でモサドに捉えられたナチスSSの幹部アイヒマンの裁判に立ち会う事となる。
 彼女はナチスの悪を哲学的に分析、雑誌に発表した・・・。

 「百万人行けども我行かず」
 自分の信念の元、真理を求め、ひたすらに我が道を行く女性。
 その「生き様」を描いた作品です。
 ドイツ人の映画ですね、強烈な意思と理論。
 映画はハンナの生き様と共に、「悪」とは何かを考えさせるものになっています。
 「人間の根源的な悪は利己心から来るものである、しかし、ナチスの悪は、それと別のものなのだ。全体主義の悪に於いて人間の悪は、考える努力を放棄し全体主義の歯車になり下がる事にある。ユダヤ人にとって、この上ない憎悪の対象、今回の裁判の被告であるアイヒマンに死刑は当然であるが、彼の正体は只の平凡な小役人でしかなく巨大な悪の歯車の一つにすぎないのである、彼は、只、その地位に在っただけである。アイヒマン個人が醜悪な極悪人という訳ではなく、違う人間が、その地位に在れば、その人間がアイヒマンになったのだ。人間は知性と思考を停止すれば誰もがアイヒマンに成り得るのだ」
 その部分で僕が捉えた概略は上記のようなものでした。

 理屈と強い女が好きな人には、お勧めです。
 (僕は、ちょっと避けたいタイプ(笑))

※人間の根源的な悪は利己心から来るものである>
 これは僕が小学生の時読んだ「サイボーグ009~ヨミ編」のクライマックスで、悪の象徴ブラック・ゴーストが言った、
 「この世の悪を殺すには地球上の人間全てを殺さねばならない、悪は一人一人の人間の醜い欲望が作り出すモノだからだ」
 と、ほぼ同義だと思います(思いっきり単純化したものだけど、単純化してるからこそ真理もある)
※似たような洞察は名コラムニストだった故・山本夏彦氏も書いていたと思います。
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「永遠の0」

2014-01-19 00:06:02 | 映画感想
 まだまだ面倒な事が一杯残ってるけど、そればかりじゃ気が滅入る。
 次の事も有るし何が起こるか解らないけど、ちょっと一段落はしたので、自分勝手で済いませんが半分開店します。
 (コメントへのレスは遅れ気味になると思いますが、何卒ご容赦下さい)

 「永遠の0」(2013年・日本)
   監督 山崎貴
   原作 百田尚樹
   脚本 山崎貴 林民夫
   音楽 佐藤直紀
   出演 岡田准一
       三浦春馬
       井上真央
       夏八木勲
       風吹ジュン
       吹石一恵

 「天皇陛下万歳!なんて言って死ぬ兵隊は居ない、皆、「お母さん」って言って死ぬんだよ」
 子供の頃、新潟の伯父は、そう言っていました。
 伯父は南方戦線から中国戦線へと従軍した陸軍古参兵、父は長く台湾で陸軍飛行整備兵をしてました。

 悪い映画じゃないです、良い映画だと思います。
 只、世間で云う程の作品でもなかった。
 音楽は付け過ぎだし最後の宮部少尉のシーンは完全に不要。
 特攻隊員の最期は99%以上誰にも解らない(僅かな例外として米軍記録と日本の記録が合致する事も有る)、
映画の主旨を考えても「解らない」ほうが哀しさを強調出来ると思う。
 何でカタルシス的シーンを入れたのか?僕には理解不能です。
 それと、僕達の男世代なら、太平洋戦争を舞台にした、こういう要素(「生き残れ!」)を含む
本、TV、映画を幾つも読んだり観てたりしてるから、今の世代程新鮮じゃないんです。
 幾つも有る「戦争モノ」の一つ、出来は良い方だけど、特別と言う程でもない。
 それが率直な感想。
 この手の邦画で僕が一番記憶に残ってるのは鶴田浩二主演、家城巳代治監督の「雲ながるる果てに」(‘53年)。
 (それが一番の名画と云う事でなく、あくまで記憶に残った作品と云う意味)

・流石にVFXのシーンは素晴らしく、リアルな第一航空戦隊旗艦「赤城」を実感出来ました、が、
 予算の関係か後半アメリカの空母に転用してるのは・・・。(航行してる艦首に立って風が「そよ風」ってのも興醒め)
・米機動部隊の弾幕は、あんなもんじゃないと聞くし、F6Fだって日本の何倍もの数で襲ってきます。
・いくらアメリカの戦闘機が優秀だからって、P-51にあれ程機銃弾が搭載されてる訳がない、
 マカロニ・ウェスタンじゃないんだから下手な嘘はやめましょ。
 (米海軍は2:1のサッチ・ウェーブ戦法を原則として1:1の格闘戦は余りやらないと思うけど陸軍は違うのかな、
 それより、あのP-51は何処から飛んで来たんだろ、霞ヶ浦にP-51が来るとしたら硫黄島陥落の‘45年3月以降
 になると思うんですけど(あんなに長時間日本機を追いかけ回したら基地に帰れんぜよ))
・この映画のテーマは「鎮魂」と僕は捉えています、その意味でもエンド・クレジットは無音でいいと思う、歌は不要。
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「グランド・イリュージョン」

2013-11-03 02:21:04 | 映画感想
 鉦鼓亭 絶賛推薦中!!映画館で観てね
 でも予告編は見ちゃダメ!!
 今月の「ブログDEロードショー」の企画向きでもあります。
 先に観ちゃったけど。(汗)


 予定してた映画が観れなくて、急遽、選んだ作品がこれ。
 「ブログDEロードショー」の前夜祭になってしまいました。
 (ちゃんと、来週以降「お題」はクリアする積もりです~「ミステリー」って結末の暗示さえ出来ないから大変ですよ!~笑)

 「グランド・イリュージョン」(「Now You See Me」2013年・米)
   監督 ルイ・レテリエ
   脚本 エド・ソロモン ボワズ・イェーキン
       エドワード・リコート
   撮影 ラリー・フォン ミッチェル・アムンドセン
   出演 マイケル・ケイン
       モーガン・フリーマン
       ジェシー・アイゼンバーグ
       ウディ・ハレルソン
       アイラ・フィッシャー
       デイヴ・フランコ
       メラニー・ロラン

 これは、「騙されてナンボ」の世界。(笑)

 極め付きのマジシャン4人(「フォー・ホースメン」~男3人女1人)が、黒幕を得て世間を「アッ」と言わせる物語。

 いやぁ、面白かったです。
 マジックの基本なんだけど、初っ端のマジックで多くの人が吃驚すると思います。
 もう、初っ端から観客に挑戦してるんですけど、我々は見事に引っかかる。(僕だけ?~自爆)
 これで見事に「映画の世界」に引き込んじゃう、その所要時間は1分有るか無いか。
 勿論、ちゃんとしたストーリーは有るんですよ、サスペンスに溢れたストーリーが。
 でもね・・・この作品、「フォー・ホースメン」が我々に仕掛けるイリュージョンを素直に楽しんだ方が「勝ち」な気がします。
 ラスベガスで行われてる超一流のイリュージョンに対し、「仕掛け」を理詰めに詮索するより、肩の力を抜いて「ショー」を楽しんだ方が「正しく」ないですか。(笑)

 作品としては「フォー・ホースメン」の顛末とか、いい加減な所もあるし、アラを探せば「芋づる」なんだけど、それは「言わない約束」でいいじゃないですか。
 壮大なショーを楽しませてもらえば、それで「吉」!

 何か終わり方を観ると、「続編」のやる気満々なんだけど。(笑)

 (終) 真っさらな状態で観たい人は、ここまで!!!

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 イリュージョンですからネタバレ的な事は言いませんが、非常に大雑把なヒントでも欲しい方はスクロールして下さい。






























 この作品、異様と言っていい程、テンポが速い。
 つまり、このテンポが曲者なんです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 もう一つ、どうしても騙されたくない方へのヒント。






































 テンポに騙されないで、一度「冷静」になってみて下さい。
 そうすれば、多分、「黒幕」が誰か解ると思いますよ。
 僕は「風船」のシーンで、一瞬「冷静」になっちゃった・・・。(笑)
 (勿論、全部が解った訳ではないけど、犯人と動機は解った)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 それでは、お楽しみ下さい。
 
コメント (4)
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「バーバレラ」

2013-10-27 23:15:53 | 映画感想
 
 「バーバレラ」(「Barbarella」1967年 伊・仏)
   監督 ロジェ・ヴァディム
   撮影 クロード・ルノワール
   音楽 ミシェル・マーニュ
   出演 ジェーン・フォンダ
       ジョン・フィリップ・ロー
       アニタ・バレンバーグ

 前回の「激しい季節」がエレオノラ・ロッシ=ドラーゴを見る映画なら、
今回の「バーバレラ」はジェーン・フォンダを見るだけの映画。
 「激しい季節」からドラーゴを引いても、いろいろ見所は有るのですが、
この作品からJ・フォンダを引いたら見事なくらい何も残らない、実に潔い作品。(笑)
 御用とお急ぎの有る方は、最初の5分だけ観れば、それで充分。
 もし、御用とお急ぎが無くて、下ネタおバカに堪えられる方は、98分頑張ってみて下さい。
 僕は、これ3,4回通しで観てますが、ようやく、コレを楽しむ余裕が出来ました。

 ストーリーは「死霊の盆踊り」に毛が生えたクラスなのですが、兎にも角にもJ・フォンダがおバカで可愛い。
 映画はひたすら夫であるロジェ・ヴァディム監督の「嫁自慢」
 嫁を苛めて見せびらかしてます。
 ソフトSM映画でバーバレラがM属性、これを観てるとヴァディムってSに見えるんだけど、
表面はいざ知らず、本質的な所はMじゃないかと僕は思っています。
 何か、人に嗤われて喜んでるんじゃないかと。(笑)

 ストーリー、一応、書かないとマズイかな。
 遠い未来、或る星に「悪い兵器」を作った悪い人が居ました、宇宙飛行士バーバレラは
地球大統領の命令を受けて、悪い人を捕まえに行くことに・・・。

 御用とお急ぎの方のyoutube
  http://www.youtube.com/watch?v=PDAmoap6QRk

※この作品、何でもヴァディムに騙されて契約書にサインしてしまったんだとか。
 そのお陰で「俺たちに明日はない」のクライド役がパーに・・・。
 でも、まァ、ナンですよ、北極と赤道くらい違いが有るけど、50年後、どちらも生き残ったんですから。
 お陰でフェイ・ダナウェイも世に出られたし。
 半世紀、生き残る作品なんて数える程しかない、この世に「男」が居る限り、もう半世紀生き延びるかもしれない。
 これの次の作品が「ひとりぼっちの青春」ですから、こちらも北極と赤道と言うか北極と南極と言うか。(笑)
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「共喰い」

2013-09-22 23:03:27 | 映画感想
 「共喰い」(2013年・日本)
   監督 青山真治
   原作 田中慎弥
   脚本 荒井晴彦
   出演 菅田将暉
       木下美咲
       田中裕子
       光石研
       篠原友希子

何が言いたいのか良く解からない作品でした。
多分、「この世は支配と被支配の世界であり、そこを脱する手立ては少ない」辺りなんだと思います。
そして、それを立証する為、「血の遺伝(業)」を持ち出してくる。
(天皇制にまで飛躍する論理は苦笑するしかない~これで評論家ウケはするかも)
その「支配/被支配」の材料として、品性の欠片も持ち合わせてない獣性そのものの人物を創り出す訳ですが、
もう、この人間(主人公の父親)を観てるだけで反吐が出そう。
又、この父親と主人公に相対する為に出てくる四人の女が、「憎しみ」、「妥協」、「反抗」、「お金」を象徴したような存在、極めて図式的で面白くない。
(画的には愛人役の篠原友希子が好みのタイプだったのが唯一の救い)
「大人への旅立ち」>このテーマに於いても、似た雰囲気のある「祭りの準備」に遠く及ばないと思います。
何より、小さな町の限られた登場人物だけで展開されるので閉塞感に満ちていて、それを破る気概もないし深刻な悩みも感じられない。
完全にコップの中の嵐に過ぎないんです、それもネバネバの。(笑)
邦画特有の「4畳半物語」を大仕掛けにしただけの感じがしました。
主役の男の子(菅田将暉)がもう少し上手ければ、話に、もう少し説得力も出たんでしょうが、
演技が硬くて一直線で柔軟性と振幅がまるで無い、これがトドメの一撃。(笑)

政治的でデリケートな問題には本当は余り触れたくないのですが。
この物語、本来なら父親が獣性を発揮し、それが主人公に発覚した瞬間、主人公が父親を刺し殺すなり、絞め殺してしまえば、話はそこで終わりなんですよね。(それだけの事を平然とやったんですから~中身は違うけど「青春の殺人者」(親殺し)のような着地点だって有り得た)
でも違う展開にした。
そこで行われた構図は、「天皇制>家父長制>そこで虐げられる女性からの復讐」
(1950~60年代、進歩的文化人の金科玉条だった思想)
そして物語は「昭和最後の日」をラストシーンに持ってきてる。
そうである以上、触れたくはないけど触れざろうえない。
原作者や監督は「天皇制=暴力性の源泉」、と考えてるみたいですが、果たして、そんな単純なもので済まして良いのでしょうか。
ならば、こちらも単純に言い返しますが、王制にしても神政にしても、彼らが愛して止まない民主政府にしても、その内部に「暴力性」を内臓しているのは、天皇制と何ら変わる事がないし、ただ、それを利用・使用しようとする者と支持する多数の国民が居るだけの話。
人間の作り得ない「幻の体制」に身を置いて現実を糾弾するのは「お気楽」な身分だと、僕は思います。


※タイトルと「親子と女を巡る濃密なドラマ」のコピーから、「相姦モノ」だろうとの推測は持ってました。
 僕は、説得力があれば「相姦モノ」に倫理的拒否反応は無いのですが、下品極まりない獣人の所業など観たいとは
 思っていません。(そんなものAVを探せば幾らでも出てくる)
※狭い世界で話を完結させたいのは理解するけど、主人公の恋人の家族が物語に入ってこないのは、余りに不自然。
※演出は並、音楽の使い方は凡庸、強調点を使い過ぎ(つまりは下手)。

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「アイドルを探せ」

2013-09-08 02:00:56 | 映画感想
 中学2年だったか、神楽坂にある友人Sの家へ泊まりに行きました。
 12畳の自室というものを初めて見ました。(笑)
 翌日、帰り掛けにSが、
 「これ、やるよ」
 と言って呉れたのがポータブル・プレイヤーと5枚くらいのEPレコード。
 その中に、「悲しみの兵士」と「アイドルを探せ」がありました、どちらも歌ってるのはフランスのシルヴィ・ヴァルタンという女の子でした。
 このジャケットの写真が可愛くて可愛くて(笑)、完全に「一目惚れ」、多分、スターさんにハートマークになったのは、この人が最初、高1くらいまで夢中だったんじゃないかな。(笑)
 だから、僕が好きになる基準は彼女が殆んど作った気がします。

 映画「アイドルを探せ」(「Cherchez l'idole」1963年・仏 ミッシェル・ポワロン監督)は、フランス版の歌謡映画豪華版。
 S・ヴァルタン主演と書かれる事が多いのですが、それは完全な「嘘」。
 彼女は、多数のゲスト出演者の一人にすぎません、只、映画のテーマ曲は彼女が歌う「La Plus Belle Pour Aller Danser」(「舞踏会で一番綺麗なのはアタシ」~という夢を見てる乙女心を歌ったもの)で、これが映画の宣伝の為か日本では映画の題名が付いてしまい、ややこしい事になっちゃった。(笑)
 (「アイドル」という言葉は、この映画が広めた(日本用の意味だけど)~と思う)

 話は多分シャーロック・ホームズの「六つのナポレオン」をヒントにしたんじゃないでしょうか。
 女優ミレーヌ・ドモンジョの家から盗んだ5千万フランのダイヤを、逃げる途中、楽器屋のギターへ隠したのだけど、翌日、探しに行ったら売却されていて、しかも同じギターが5台あり、いずれも人気歌手の元へ行ってしまってた・・・。
 という話。(笑)
・S・ヴァルタンはゲストの一人に過ぎなく、大物のC・アズナブールも出ていて台詞もアズナブールの方が全然多いのだけど、彼女のシーンが一番アップが多いし、綺麗に撮ってる(場所も名門オランピア劇場だし)。
・アップが多いから、すきっ歯が思い切り目立つ。(笑)
 でも、その「すきっ歯」さえも、顔立ちとキュートな表情で魅力的に見えてしまう。
・彼女21歳で、この映画でも共演?してる、これまた男側のトップ・アイドル、J・アリディと結婚しちゃうんですよね。
 日本で言えば百恵&友和みたいな感じですが、友和では数段落ちます。百恵が21歳で矢沢栄吉と結婚したようなもん。
 さすがフランス、ビジネスよりアムール優先。(笑)

 映画はフレンチ・ポップスに馴染みが有れば、飽きずにみていられます(コメディ・タッチだし)。
 でも、出演者に興味がないと辛いかもしれません。

 Youtube「アイドルを探せ」
 すきっ歯の女王にご興味があれば、どぞ!
 http://www.youtube.com/watch?v=wRnD0_HufDw

※彼女、結婚後、2度交通事故を起こし、特に2回目の貰い事故では顔の損傷が酷く当時の最先端の技術で形成手術しました。
 だから、以前より表情がキツクなってしまったし、ちょっと人工的な感じがする事があります。
 でも、事故後も長い間、ジャケットの写真は事故前の写真が使われていたんですよ、見事に騙されて(笑)しまいました。
※各歌手が歌うシーンは、全てレコードに合わせた「口パク」。
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