倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

思いやりの精神

2019-08-18 | 日記

8/17 Sat.

 

連日 熱戦が伝えられる、高校野球「夏の甲子園」試合展開によっては、大差のつくゲームもあれば 僅差にもつれるゲームもあり、いずれにしてもわれわれスポーツファンは、それぞれの試合に接し、多くの感動をもらうところです。

そんな中、チームの垣根を越えた美談を耳にし、暑い(熱い)戦いの中で一服の清涼剤をもらった感でした。

 

この日 行なわれた3回戦、石川県代表の星陵高校と、和歌山県代表の智弁和歌山高校の一戦は、まさにがっぷり四つ 互いに譲らぬ大一番となりました。

試合は延長十二回を終わっても決着がつかず「タイブレーク(無死一・二塁)」に突入、それでも点が入らないまま試合は十四回まで進み、最後は星陵のサヨナラ3ランが飛び出し 劇的な幕切れとなったのでした。

 

 

この試合の美談は、劇的なサヨナラの瞬間ではなく、その途中にあったそうです。

継投戦術の智弁和歌山高に対し、星陵高はエース奥川投手がひとり獅子奮迅の力投を見せていたのですが、そんな彼も 延長十一回に右ふくらはぎがつり、十二回前には治療に入るを余儀なくされたそうです。

 

 

その際、何と相手チーム 智弁和歌山高の黒川主将から、奥川のために熱中症対策の錠剤が届けられたそうです。それを服用した奥川投手はみごと復活、その後もマウンドを守り、勝利に貢献したのでした。

聞けば、智弁和歌山高の黒川選手と星陵高の奥川投手は、U-18の全日本選抜候補の間柄とのことですが、それにしても雌雄を決する一戦で、ライバル高のエースの窮地を、相手校の選手が救うということは できるようでできない所作と申せ、激しい戦いの中でも示された「敵味方を超えた友情の手助け」は「爽やか」ということばがピッタリくるものですね。

敵に塩を送った 黒川選手は、このゲームでは6打数無安打に抑えられ、敗戦に涙を飲んだのでしたが、それでもなお「奥川君はこれまでの人生で一番すばらしい投手だった」と賛辞を惜しまなかったそうです。

 

 同じく試合終了後、勝ったばかりの奥川投手が涙にくれていたとのこと。その理由を訊かれた彼は「向こうも本気で日本一を狙っていた学校で、日本一を取ってくれと黒川キャプテンに言われ、込み上げるものがありました。」と話したとのこと、まさに県都を越え、チームを超え、勝敗を超えた「相手を敬い、思いやりをもつ精神」には、胸を打たれるばかりでした。 


今の社会「自分さえ良ければ」という風潮が蔓延していると思わされます。

少しでいいから他者のことを思いやれは穏和な社会となれるのに、と、さやざまな事案に触れ思わされます。

そんな中の甲子園の美談、心洗われたのは私だけではないでしょう。