4/22 Wed.
庁内で用務を終え 夕刻も近づいた中、日が暮れる前に さきの東日本台風で被害を受けた、千曲川流域の〝塩崎エリア〟の堤防復旧の模様を調査にと車首を向けていると、またも 市内で新型コロナウィルスの陽性感染者が発生したとの報が入りました。
私のクルマは、既に丹波島橋を越えていたことから記者会見には間に合わないと判断し、タブレットに配信された報告文書をもって事態を把握することにいたしました。
そして その内容を読み込むうち、これまでと違ったニュアンスで衝撃を受けることとなったものです。
報告があったのは、長野市内で9例目と10例目、そして11例目となる3名の陽性感染者です。さらに残念なことに (感染者には)相当数の濃厚接触者があり、そして、その(濃厚接触者の)中に〝よりによって〟と言うべき人が含まれていたのでした。
陽性感染者 (9) 市内9例目/30歳代(男性) F男さん とします。
陽性感染者 (10) 市内10例目/60歳代(男性) G男さん とします。
陽性感染者 (11) 市内11例目/50歳代(女性) H子さん とします。
送付された報告書や その後の報道などを総合してレポートします。
それによると、今回陽性感染者となった3名のうちのいずれかの人が、去る20日に7例目の陽性感染者となった 市内60歳代女性の家族で、さらに この3名は、市内で開業する「整骨院」のスタッフとのことなのです。
「整骨院」といえば、施術者が 直接受診者の身体を揉むなどすることから、それは即ち「濃厚接触者」を発生させることにつながります。
そのため、3名が勤務中に施術にあたるなどした受診者は「濃厚接触者」に該当することとなり、その人数は 実に111名に上るということなのです。
そして・・・あろうことか、その(陽性感染者の)中の1人が発症した4月11日に、当該の整骨院で わが長野市の、加藤久雄市長が施術を受けており、よって、加藤市長までもが「濃厚接触者」に該当することとなってしまったとのことなのでした。
長野市の行政トップが、新型コロナウィルス陽性感染者の「濃厚接触者」になってしまった。
この報告は、私たちに 少なからずの衝撃を与えることとなりました。
幸い、今のところ 市長に感染が疑われる症状は出ておらず、取り急ぎ行なったPCR検査でも「陰性」となっているとのことですが、たとえ市長といえども 濃厚接触者の範疇に入った以上は「経過観察」の対象となります。
そのため この整骨院に行かれた11日を起点に、向こう14日の間(25日まで)自宅待機を余儀なくされるとのことであります。(この間は 樋口副市長が職務代理者)
ただ ときの市長ともなれば、分刻みのスケジュールの中で 様々な人と面会し、さまざまな会議に出席するなどしただろうことから、今後 それら(市長との接触について)の追跡が必要になってくるかもしれません。
幸か不幸か 私自身は、11日以降の市長との直接のアポイントはありませんが、同じ庁内で執務にあたる者とすれば、ワンクッション・ツークッションを経るなどして ウィルスの魔手が周辺に及んでいないとは決して言えないことから、今まで以上の注意を払いながら活動してゆきたいと思うところです。
そんな中 当該の整骨院の院長さんは、自ら市保健所に協力を申し出ると共に「濃厚接触者」に該当する111名の受診者の名簿を提出するなどの適切な対応に努めてくださっています。
そのうえ、市民の方々に対し 謝罪とお願いを込めた「手記」を出され、真摯な姿勢で 起きてしまった事実と向き合っておられます。
【手記全文】(原文のまま)
私は古牧整骨院を開業しております西條賢治 と申します。 この度は、当院通院の患者様には、大変ご迷惑をおかけし、心より深謝申し上げます。
当院における患者様は濃厚接触という事で 111 名を特定しており、長野市保健所にもリストを提出しておりますが、数の多さから一刻も 早く患者様に知っていただくために、又、事の重大性を鑑み、施設名を公表し、長野市保健所の小林所長様に協力を申し出ました。
体調の異常に気づいた患者様、どうか一刻も 早く長野市保健所に連絡を取っていただくよう お願い致します。
・・・・・。
今回の事例によって 111名もの濃厚接触者が出てしまったことは残念に尽きないところであります。その経過の中で〝理想〟を申せば、7例目の人(家族)が発熱や倦怠感を示した時点で 新型コロナウィルスを疑い、職場に相談するなどの〝早めの自主行動〟を取っていれば これほどのマイナス影響は出なかったのかもしれません。
しかしながら「自分の身内が、まさか新型コロナウィルスに罹(かか)っているとは思いもしなかった。」というのが実際のところであったでしょうし、一見 風邪に見える初期症状の段階では、そこ(ウィルス感染)まで疑ってかかることは難しいのかもしれません。そして それこそが、この感染症の 実にやっかいなところと言えるのです。
そのうえで 敢えて言えば、他人(ひと)の健康を守る立場の方(かた)であれば、受診者のことを思えばこそ (家族を含めて)自らの体調にも留意し、異変あるときは早期対応を計(はか)る。そして そのこと(早期対応)こそが、自らを守ると同時に受診者をも守る ということを自覚すべきである、ということではないかと。
ただ、こと ここに至っては、今後 一刻も早く濃厚接触者の人たちと連絡を取り、これ以上の感染拡大に至らないよう努めるしかないと言う他ありません。
いずれにしても 図らずも置かれることになってしまった状況の中なれど、その中で 個々が取りうる限りの感染(拡大)防止対策を取る。これが目下(もっか)、われわれの務めであります。
今回の施術院スタッフの所作と反省すべき点は、そのまま 私のような立場の者にも投影されると思います。
彼らのことを対岸の火事とせず、私自身も自己の管理に自戒を込め、イザというときには自らも早期対応を図るべきと 改めて認識するところです。
また、現役市長までもが「濃厚接触者」になったという事実は、皮肉にも この感染症が「市長であろうが何人(なにびと)であろうが、誰でも罹(かか)り得るものである」ことを(市長の身をもって)証明することとなってしまいました。
私の知る加藤市長は、自らの健康には 人一倍気を配る御仁であり(であるからこそ 整骨院に通ったのでしょう)、市長の周辺も 氏の衛生管理には充分に気を配っていたハズであります。そんな立場の人にも 新型コロナウィルスの毒牙は届いてしまう。油断ならざるところであります。
市長におかれては、一日も早く健康回復(25日に陰性を証明)していただき、そのうえで (公務復帰後は)自らの体験を この後(のち)の〝長野市版 新型コロナウィルス対策〟に活かしていただくことを願うばかりです。
なお、今回の事例における それぞれの行動歴は下記のとおりです。
陽性感染者 (9) 市内9例目/30歳代(男性) F男さん → 4月11日に発症
4月 9日~18日まで K整骨院に勤務 (12日・13日を除く)
4月11日 38,5℃の発熱と倦怠感。市販薬により解熱するも 倦怠感は継続
4月20日 健康観察を開始した中で、それまでの発熱等の症状を確認
4月21日 医療機関Aを受診し、PCR検査実施 → 「陽性感染」を確認
4月23日 医療機関Bに入院予定
濃厚接触者(受診者を除く) → 同居者1名・職場スタッフ2名
陽性感染者 (10) 市内10例目/60歳代(男性) G男さん → 無症状(病原体保有者)
4月 9日~18日まで K整骨院に勤務 (12日を除く)
4月21日 医療機関AでPCR検査 → 「陽性感染」を確認
4月23日 医療機関Bに入院予定
濃厚接触者(受診者を除く) → 同居者1名・職場スタッフ2名
陽性感染者 (11) 市内11例目/50歳代(女性) H子さん
4月18日 K整骨院に勤務
4月20日 37,6℃の発熱と頭痛・倦怠感・関節痛・筋肉痛
4月21日 医療機関AでPCR検査 → 「陽性感染」を確認
4月22日 医療機関Cに入院
濃厚接触者(受診者を除く) → 同居者1名・職場スタッフ2名
〝見えざる敵〟である 新型コロナウィルスは、思わぬ形で、われわれの懐(ふところ)に飛び込んできました。
これまでの様々な感染事例を振り返ってみれば、今回 長野市に〝飛来〟した新型コロナウィルスの野郎は、全国的にみても 非常にレア(希有)なケースを辿りながら 市中に侵入してきたと言わざるを得ません。
でも、これは 逃げることのできない「現実」なのです。
従前の記事でも吐露しましたが、東日本台風の大被害を経てもなお、神は、長野市民に さらなる試練を与えようというのでしょうか。
しかし 私たち長野市民は、この「現実」に敢然と向き合い、この窮地を脱するべく 一人ひとりが基本行動に徹してゆかなければならない。
私自身、市民の一員として、思いを強く抱くところです。