4/25 Thu.
去る日の記事で、川崎市が 「AI(人工知能)」 を行政事務に導入したことが報じられ、一長一短あるを感じ取りました。
記事によると、川崎市は、国民健康保険料など市民に収めていただかなければならない 「料」 について、その滞納を減らすため、電話催告の業務に 「ホワイトボックス型AI」 の活用を始めました。
川崎市は、国保料などの収納率向上に向け 「川崎市こくほ・こうきコールセンター(民間委託)」 を設置、国民健康保険や後期高齢者医療制度に関する市民からの問い合わせに総合的に対応すると同時に、保険料等の滞納者に電話をかけて納付を働きかける電話催告や、滞納者の家に出向き、納付を求める訪問収納の業務を行なっているそうです。
電話催告の業務では、月に3万8千件の電話をかけていますが、先方に直接会える 「接触率」 が低いことが大きな課題でした。
そこで活用されたのがAIの分析能力です。
相手(滞納者)との接触を高めるために、家族の人数や年齢、性別で世帯を階層分けし、これまで市が蓄積してきた過去の折衝データなどをAIに読み込ませ、AIはさまざまな情報から、在宅時刻など、国保料の滞納者との接触率の高い時間帯を導き出してくれるそうです。
その、AIが算出した個別の時間帯に基づき、コールセンター職員が確実な接触を試みることで、さらなる収納率アップにつなげるとのことでした。
実は、過日の識者との意見交換で、この AIの行政事務導入が話題に上り、その際の結論は 「AIは、使うのはイイが、使われるようではダメだよね。」 というものです。
そして その肝[きも]は 「政策判断」 です。
今回の川崎市のケースは、集積された過去のデータをAIに渡し、それを基に適切なプログラムをAIが作成して行政側にフィードバックして政策 (収納促進作業) に反映させており、あくまでヒト(行政)が 「主」 で AIが 「従」 になっています。
しかし、今後 AIの能力が行政(ヒト)を超えるようになったりすると、肝心の政策判断そのものをAIに頼るようになり、そのAIのためにヒトがデータをせっせと集めるようなことになるのでは・・・そうなれば、AIが主でヒトが従の 「主客逆転」 になりはしないか、という懸念が生じます。
そんな風にAIに頼り切りでいれば、そのうちに 「人工知能が運営する自治体」 が成立する時代になってしまうゾ、と交わしたものでした。
「政治は人なり」 と言います。
あくまで血の通った人間が試行錯誤しながら政策判断するのが 「政[まつりごと]」 でなければならず、AIは あくまでそのお手伝いをする存在に止めるべきでしょう。
そして、その 「血の通った政[まつりごと]」 で機能しなければならないのが 他でもない 「議会」 であると再認識されました。
時代が進み、AIなどが活用されるようになればなるほど、議会の役割は大きくなる。
先進市の事例を耳にし、改めて 「政[まつりごと]」 の何たるかを自覚したところです。
お伺いした W さんちの玄関に、置物のワンがチョコンと座していました。
こちらでは以前、生身[なまみ]のワンちゃんを飼っていたのですが、そのコが旅立ってしまったことから 「ペットロス」 になり、せめてもの癒やしにと、この置物ワンを入手したそうです。
そんな生前のワンへの思いも重ねてでしょう、この置物ワンの肩には、玄関でも寒くないようにと、奥様手編みの肩掛けが巻いてありました。
もの言わぬ無機質なワンに、飼い主の変わらぬ愛情が注がれていたのでした。
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