世界に蔓延する「新型コロナウィルス」は、人々への健康被害はもとより、世界経済はじめ 地域経済にまで甚大な悪影響を及ぼしています。
そのような状況下ですが、ここへきて、いわば〝小康状態〟が維持されるようになり、わが国においては 1ヶ月半に亘り発令されていた『緊急事態宣言』が解除され、そのうえで 新型コロナウィルスの存在そのものは認識しつつ、社会活動を再開させる「新たな日常」が幕を開けました。
長野市においては、昨年の「東日本台風」に続いての「新型コロナウィルス禍」となり いわば〝ダブルパンチ〟となってしまいましたが、それも避けようの無い「現実」として受け止め、再び三(み)たび 前を向いて歩みを進めんとするところです。
そんな中、6月4日招集の「長野市議会6月定例会」に 市内経済の復興に向けた「支援策」が上程されることになっております。
「飲食・小売店等応援事業」です。
これは『緊急事態宣言』等に伴い自粛を余儀なくされたことにより、売り上げを大きく落とした飲食店さんや小売店さんを支援するため、市が〝プレミア付きチケット〟の販売を支援し、各店への(再びの)来店と 市民の消費喚起を促すことで、市内経済の回復を期するものです。
具体的には、長野市が 1冊につき2,000円分の〝おまけ〟が付いた、販売価格 1冊3,000円の〝プレミア付きチケット〟を発行します。
これを 希望するお店が受け取り、来店客や常連サンなど消費者に販売します (但し 扱える店の条件として「市保健所が示す 新型コロナウィルス感染症対策が充分に行なわれていること」が掲げられています)
チケットには店名が記され、そのお店(販売した店舗)のみで通用します。
消費者は これを3,000円で購入し、5,000円分の飲食など消費することができます。
お店は、(消費の際に)回収したチケットを市に申告することで、市は2,000円✕販売チケット枚数分の補助金を 後日お店に交付します。
そして その補助額分が、各店の支援になる というものです。
なお このチケットは、各店の買い取りでは無く あくまで消費された分のみの補助であり、施策に伴う お店の金銭的リスクは発生しない とのこと。
長野市は、約13万冊の発行を予定しています。
この長野市施策については、長野市経済復興の手立てとして高評価が寄せられ、多くの消費者(市民)のみなさんの積極購入ならびに消費が期待されており、その旨が紙面を賑わせていました。
そんな中、私の下(もと)に1本の電話が入り、それを聞いた私は 認識を新たにすることになりました。
それによると「今回の「飲食・小売店等応援事業」は、冷え込んだ市民の消費意識を喚起する点で非常にありがたいのだけど、一点だけ ウチら(店側)にとって〝デメリット〟と言わざるを得ない点があるんだ。」とのこと。
「(施策の)中身をヨク見ると、消費者は3,000円払って5,000円分が消費できる。と いうことは、差額(プレミア分)の2,000円分は、一旦 店側が立て替えること(売掛金)になるよね。そうなると、資金に余裕のある店は(市の精算まで)待てるかもしれないけど、(経営が)厳しい店は その(精算までの)タイムラグ自体が、かえって店の負担になってしまうんじゃないかなあ。」
「長野市さんは今回、厳しい状況にある 飲食・小売り業界に目を向けてくれて、実質的な支援策を講じてくれた。そんな せっかくの施策なのだからこそ、多くの店の真の支援につながるよう 例えばチケット販売→補助金交付のスピード化を図るなど、より良い制度設計に努めてほしいと思うヨ。」とのことでした。
まさに「現場の声」最前線で戦う人の、身につまされるお話しでありました。
さらに氏は「こんなことは考えたくもないんだけど、もしかしたら 実際には(チケットを)販売していなくとも〝売れたこと〟にして申告だけして、3,000円+2,000円を〝不正受給〟する輩(やから)も出ないとは限らないよね。」と指摘されます(この問題点は、残念ながら 議会でも懸念せざるを得ないこととして課題供出されています)
ご指摘をいただいた点について長野市に照会すると「現在 制度設計の最中なので、ご指摘の点を踏まえて さらに検討を重ねてまいります。」とのことであり、今後も協働(検討)してゆくことといたしました。
多くの〝多面的被害〟をもたらした「新型コロナウィルス禍」に対し、長野市も 必死で、そして全力で〝復旧・復興〟に向けて取り組んでおります。
市民のみなさんも、そんな「意」を汲んでくださり、共々に歩みを進めるところでありますが、いかんせん〝試行錯誤〟の中 政策における齟齬(そご)や課題点・不足点は否(いな)めないところであります。
そんな〝政策ロス〟を どう最小限に止(とど)めてゆくか。
私の立場でも、思考を深めてゆきたい。
貴重なご意見をいただき、認識を新たにいたしたところです。