倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

「政倫審」に総理も出席 ~賽(さい)の目はどう出る?~

2024-02-29 | 日記

今や 国民にとって最大の関心事(疑惑)になっている、自民党派閥による裏金問題。

その真相を究明するべく行なわれるハズの「政治倫理審査会(政倫審)」が、受けて立つとした〝5人衆〟ならびに自民党の対応(足並み)の乱れによって膠着していました。

それが一転、岸田総理が自ら出席することを表明したことで 否応なく〝拒否議員〟も出席を余儀なくされ、それも公開の場で行なわれることになりました。

これは いわば想定外の流れ…紙面によっては「総理の奇襲」と表現する社もあるほどです。

 

 

 

 

この対応は、果たして評価されるべきかどうか?微妙なところと申せましょう。

この〝裏〟には、この時期 新年度の予算審議(成立)が懸(か)かっていることがあります。

政府(総理)側とすれば、何としても年度内に新年度予算を成立させたいところですが、その審議を行なうためには、かかる政倫審に応じることが絶対条件であり、また その応諾に向けて時間をかけてしまうことは、年度内の成立に大きな支障となってしまうのです。

総理とすれば、このことに時間ばかりを費やせば 自らの首をも絞めることになってしまうことから「オレも出るからオマエらも出ろ」とばかりに(自らの)出席を示すことで、5人衆の重い腰を上げさせた、というところでしょう。

こう言っては何ですが、総理にとっては予算成立が最優先課題で そのためには政倫審を早いとこ済ませてほしいというのが深層にあり、そのために自分が白砂(しらす)に上るのは何でもないという心理じゃないかと思わされるほどです。

 

このこと(総理出席)を〝リーダーシップ〟として評価する向きもある(のかなあ)と側聞もされていますが、むしろ 逆だという見方が。

本来であれば、政倫審の対応については 自民党内で共通認識(それも国民目線に立って)を整え、政倫審の意義を踏まえて臨むべきでありますが、その主張は 出席者(対象は51名)を絞るとか完全非公開とか、自らの都合のイイ内容に収めようとするハラが明け透けに見え、あげく出席者の間でも対応にバラつきが出るなど、いわば党内ガバナンス(統治)が瓦解している有様です。

そこに総理自らの出席 とは。

いわば イタズラした51人の兄弟姉妹の仕業を質すのに、その者たちがゴネて収拾がつかなくなったのを見かねた親が自分で出てきて言い訳をするかの所作…子どもの不始末に親が出てきて蓋(ふた)をすると言われかねない行為とも言えるでしょう。

 

で この政倫審、肝心なこと(国民が知りたいこと)は 裏金づくりの悪しきシステムの全容と、そのカネをどこに使ったかなどの「具体的な中身」だと思います。

このことについては、これまで散々に予算委員会などで総理に対し質してきていますが、その答えは いわば暖簾(のれん)に袖押し的な〝すれ違い答弁〟に終始していました。

だから国民は、政倫審の場で〝当事者の弁明〟を聞こうとしているのに、またぞろ そこに「親」が出てきて詭弁を繰り返すとすれば。

政倫審は 単なるセレモニーに終始することが憂慮されるところでしょう。

 

そんな〝上滑り審査〟に終始したあげく「もう(政倫審)をやったからイイでしょう。さっさと予算審議に入りましょう。」と言われても、こっち(国民)とすれば さらにストレスが溜まるばかり…さらなる政治不信の温床となりかねないところです。

 

そんな〝変則実施〟となった政倫審では、攻める野党の力量も問われるところです。

真に国民が知りたい(暴きたい)ところに切り込めるか・相手の急所を突いた口撃(こうげき)を果たせるか、こちらも注目されるところです。

 

「奇襲」と言わしめた政倫審への総理出席。賽(さい)の目はどう転がるのでしょうか。

(ただ そもそも、総理は かかる政倫審への招へい対象にはなってないんですけどね)


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「もったいない」政治倫理審査会〝公開拒否〟の愚

2024-02-28 | 日記

とりあえず、短く書きます。みなさんがどう思うか訊いてみたくて。

自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題を受けて、与党と野党が 当初は28日と29日に「衆議院政治倫理審査会(以下/政倫審)」を開く方向で調整してきましたが〝公開のあり方〟を巡って折り合いがつかず 28日の開催が見送られたことが報じられ、それに触れた私は「もったいない…」と思わずにおれませんでした。

 

 

 

かかる政倫審開催の経緯については、みなさんご案内のとおり。自民党派閥の〝裏金工作〟について 自民党派閥の事務総長経験者を呼んで事情を聞こうというものです。

この間 与野党の駆け引きはありましたが、その後 かかる派閥(安倍派・二階派)の事務総長を務めた5人からの申し出を受けて、政倫審を開く方向で調整を進めることになりました。

5人から申し出があったんです「お白砂(おしらす)に上りましょう。」と。

それを聞いた私は「イヤ 潔(いさぎよ)く大したもんだ。」と評価したものでした。

当初は、自民党自体が 政倫審の開催そのものに難色を示していましたが、そんな中 西村元経済産業大臣が自ら手を挙げ出席を表明、ならばという流れで他の4人も追随する形で出席を表明したのです。

「そうは言っても説明責任を果たすことになったのか。一縷(いちる)の武士の魂だな。」と 私を含め多くの国民は、政治家に一筋の光を見た思いがしたものです。

 

ところが、こと ここに至っての、今のこの膠着(こうちゃく)ぶりです。

その裏には、件(くだん)の5人衆の〝出席の条件〟があったようなのです。

「政倫審には出るけど完全非公開で」が 彼らの条件。それを言質に(出席に)手を挙げたようなのです。

そんなんじゃあ まるで「政倫審セレモニー」に終始…やるだけはやったけど、中身は闇の中 それでは行政の情報公開にありがちな〝のり弁当〟の体裁に終始してしまいます。

情報公開(政倫審)の実績だけを残し、中身は真っ黒。でも仕方ないよね、それが条件なんだから。

 

 

 

 

この〝無理難題〟に対して 当然に野党は激しく抵抗、あくまで「完全公開」を譲らずに協議は難航してしているのです。

それでも、何とかして 5人衆の2人について28日の政倫審に出る流れができつつあった中、またも〝ちゃぶ台返し〟ともいえる珍展開に。

野党の国会対策委員長代理によると「自民党は 西村前経済産業大臣と武田元総務大臣の2人について、一定の条件の下で あす審査会をやるということだったが、西村氏が突然翻意し「明日はやらなない」と言い出し、それを聞いた武田氏が「なぜ自分が1人なんだ?」ということで、結局2人とも断ってきたということになった。「2人で」と言ってたのが「1人」になって、この1人も明日やらないということで、本当にどうなっているのか私もよく分からない。こんなことで二転三転するのは信じられない。」と述べていたことが伝えられています。

一国一城の主(あるじ)たる 天下の国会議員が、一人はドタキャン・もう一人は「ボクだけじゃイヤだ」とゴネる様(さま)を見て、みなさんはどう思いましたか?

「情けない」この一語に尽きるでしょう。

 

他方 私は、一連の5人衆=与党 のゴネぶりを見て「もったいない」と思わざるを得ません。

とうのも、彼らは いわば〝名誉挽回〟の場を与えてもらってるんじゃないか。それを逆利用すれば、まだ復活の道はあるのに と思うからです。

今までは、与党の領袖(りょうしゅう)として辣腕(らつわん)を振るい さんざん裏金を稼いできた。それでも それは役職ゆえの務めであり、今は深く反省して 今後の政治活動を真摯に行なってゆきたい。

そんな話しを 画面を通じて国民に訴えれば、しでかしたことに責めを負うものの いわば情緒的には幾(いく)ばくかの有余が与えられるかもしれなかったのではないか。

ところが彼らは プライドゆえか、白砂(しらす)に伏して(国民に)土下座することを拒否している。

あげくは「議員の傍聴だけは認める」などど、身内に頭を下げるだけで済まそうとしている。

これは完全に〝井の中の蛙〟の論理、内向き政治の最たるものと言わざるを得ません。

 

彼らは、政倫審を通じて 国民に謝罪・弁明する貴重な機会を自ら放棄しようとしている。これを「もったいない」と言わずに何としましょう。

 

みなさんは、今の流れをどう思われますか?

ただし、これが現実。

それを踏まえて「政治」を注視しようではありませんか。

 

(ただ、西村経産相の「28日拒否」が、他の4人に「完全公開を飲もう」と説得するための拒否なら 展開はまた大きく変わることになりますが…そんな度量があるでしょうか)

 


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住民を水害から守る「砦(とりで)」である排水機場に未必の動作支障?

2024-02-27 | 日記

この日、篠ノ井西寺尾の防災指導員であるYさんから「域内にある排水機場の動作についての課題が いわば置きざらしになって困っている。」との相談があり 現地に向かいました。

現地は、千曲川流域 松代大橋やや下流の左岸にある「西寺尾第二排水機場」です。

 

 

 

 

「排水機場」とは、大雨の影響で本川(千曲川など)の水位が上昇した際に その河川水が堤防内地側の水路へと逆流、通常の支川からの排水が困難となって 堤防内に浸水被害をもたらすことを防ぐために設置されています。

本川の水位が上昇したときには水門を閉めて本川の(堤防内への)河川水の流入を防ぎ、一方で機場敷地内に設置される大型ポンプにより支川から流れてくる河川水を強制的に本川(提外地)へ排水する役割を担っています。

とりわけ こちらの「西寺尾第二排水機場」は、周辺に肥沃な農地が遍在していることから、水害の際には 住居はもとより堤内の農地を守ることも大きな役割として担っています。

 

 

 

 

Yさんはじめ当該区長さん・また 実際にこの排水機場の操作責任者(Nさん)は、機場内のポンプの動作について不安を抱き続けておられるとのことでありました。

と いうのも、遡(さかのぼ)ること半年余り前に この排水機場の未必ともいえる動作不良を現認するも、その後の行政対応が いわば音信不通になっているそうなのです。

この排水機場については、他の機場と同様に「令和元年東日本台風」に伴う千曲川越水の大被害を受け機能不全となりましたが、さきにようやく復旧し 昨年5月に引き渡しが行なわれたのでした。

ところがその後、夏頃に電力会社の齟齬から電力供給が一時ストップすることになったことから、この間の不測の事態に備え「予備動力」とされている 軽油を原資(燃料)として臨時的にポンプを稼働させる部位(機械)を作動(手動)させたところ、起動はしたものの 2つあるポンプを動かす途中で〝エンスト〟を起こしてしまうことが判ったそうです。

 

(予備動力/パンフより)

 

 

こんな状況では、実際の災害時に不測の大規模停電(大雨と大規模停電の複合災害)が起きた際「それでは」と この予備動力を作動させても〝エンスト〟となってしまえば、またも排水機場は本来の役割を果たせないことになり、この機場の周辺の農地ならびに住居は またも浸水・冠水の被害に見舞われることになってしまいます。

 

で 解(げ)せないのが、かかる不測の経過があり この件は具(つぶさ)に所管課に伝えているにも関わらず、未だに説明が為(な)されていないことであります。

本来であれば、不測のトラブルの原因や 現下の(行政の)対応については、適時適切に説明が為(な)されるべきでありましょう。

とりわけ排水機場については、行政は ひときわ重い「説明責任」を負っているのです。

 

長野市域内には、農政部所管の排水機場が24機・建設部所管の排水機場が34機あります。

 

[参考]長野市の排水機場(長野市HP)

       ↓

【農林部所管】

https://www.city.nagano.nagano.jp/n161000/contents/p003428.html

【建設部所管】

https://www.city.nagano.nagano.jp/n181500/contents/p003430.html

 

 

 

そして、ここが非常に肝心なのですが、そのいずれについても 機場の操作については地元住民(地区)に委任しているのです。

すなわち、その地区の水害予防は その地区の住民代表の手に委ねられているのです。

 

 

 

さきの「令和元年東日本台風」の際、千曲川は大きく水かさを増し、濁々と本流を流下してゆきました。

 

(満水時の千曲川)

 

この異常水位に伴い いずれの排水機場においてもゲートを閉じ本川からの逆流を防ぐと同時に、一方で支川からの河川水滞留を続けており、それは いわば板挟み状態。

この状況下で、ご関係者は一時(いっとき)は排水を試みるも やがて本流の水位に押されて排水もできなくなり、結果 堤防内の被害を招くことになってしまいました。

 

(満水状態に達してしまった 排水機場内の貯水プール)・・

 

 

このときも、当時の機場操作責任者の人や区の関係者は(排水機場)場内に集まり、集落を水害から守るべくギリギリまで見極めとポンプ操作に努め…まさに身体を張って減災に取り組んでくださっていたのでした。

その 地域の防災・減災意識は今も変わらず、今も機場操作責任者の人は 雨の予報が出る度に本川の水位を注視し、年間を通じての いわば〝神経戦〟に臨んでおられるのです。

 

そのうえで(繰り返しますが)さらに私が解(げ)せないのは、それほどの責任感をもって排水機場を守ってくださる方々に、なぜ適時適切な情報伝達をしないのだろう という点です。

前掲のとおり 市域内には多くの排水機場があることから、イザ河川の水位上昇というとき 直ちに市職員が出張(でば)って全ての水門を調整することは不可能であることから、それぞれの地区住民の方々に(機場ポンプ操作を)お願いしているのです。

で そこに欠かせないのは、何より「信頼関係」ではないか と。

大切な市民の生命財産を守る いわば命綱を渡し、それを受けた住民(代表)は 強い責任感をもって(住民の生命財産を)守る。これほどの信頼関係がありましょうか。

 

ところが 今回の〝音信不通〟で、市は 住民との信頼関係を自ら反故(ほご)にしようとしているのです。

百歩譲って、行政にも何らかの事情があるかもしれない。それならそれで「言えない事情はあるけどご理解ください」というような〝途中経過〟を報告しても罰(ばち)は当たらないでしょう。

こういう今でも、機場操作責任者の人は いつ何処(どこ)にいても、排水機場のことを常に頭に置いて日常の社会生活を送っておられるのです。

その不断の責任感に応えるためにも、説明責任は果たしてゆかなければなりません。

このことから 私の立場において直ちに双方を繋(つな)げ、説明責任=信頼回復 の場を設けてまいります。

 


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〝地震立国〟の懸案「原発からの避難」令和6年能登半島地震で改めて指摘された課題

2024-02-25 | 日記

〝地震立国〟である日本。

そんな地勢の下(もと)で 避けては通れないのが「原子力発電所からの避難計画」です。

そして そのこと(原発からの避難)が、奇しくも さきに発生した「令和6年能登半島地震」の被災状況によって、改めてクローズアップされることになったのでした。

 

23日、原子力規制庁が事実上の運転停止命令を解除し 再稼働に向けて動きが進む「東京電力柏崎刈羽原子力発電所」について、事故が起きた場合を想定した避難計画などの説明会が 県内各自治体の関係が出席して行なわれたとのこと。出席者からは「令和6年能登半島地震」を受け 原発からの避難について、その(避難計画の)実効性を問う声が相次いだことが報じられ、わが国のエネルギー事情⇔原発の是非⇔国民の生命財産の保守→それらを含みつつの避難行動の確立 との難しい〝課題の鎖〟ともいえる難儀さを実感させられました。

 

 

 

 

 

報道によると、23日に新潟県長岡市で開かれた説明会には 国からは原子力規制庁ならびに内閣府(原発事故の避難計画を所管)等の担当者が出席し、片やは 新潟県内の首長はじめ自治体関係者が出席しました。説明の中で内閣府の担当者は「原発で重大な事故が起きた際 半径5km以内の住民は、原則「直ちに避難する」とされているものの、新潟県で問題となる大雪等の不測の自然災害に伴う〝複合災害〟が発生した(重なり合った)際には、天候が回復するまでは「屋内退避を優先する」ことを想定しているなどと説明したとのことです。

 

 

 

 

説明の後の意見交換では 自治体側から、現時点で想定する〝複合災害の主要因〟である「大雪」のみならず、さきの能登半島地震で多発した 道路の寸断や建物倒壊・さらに液状化現象による地面の隆起陥没を踏まえ、かかる「複合災害の際の避難計画」の実効性を問う声が相次いだとのことです。

このうち、長岡市のI市長が「地震や雪による家屋の倒壊を想定すると、屋内退避は現実的なのか?」と質問すると、内閣府の担当者は「家屋が倒壊した場合は 避難所に移動して屋内退避を続けてほしい」などと答えたとのこと。

また、新潟市のN市長は「(柏崎刈羽)原発に事故があれば、隣接市は被災住民を受け入れることとなっているが、もし自市も(別の災害等で)被災してしまったときは どれほど(他自治体の被災者を)安全に受け入れることができるか疑問。今日の国の説明は そのような様々な想定に対応できておらず不十分と言わざるを得ない。折しも発生してしまった能登半島地震を受けるなどして国は議論を深め、われわれ当該地域に住む住民が安心・納得できる避難計画を示してほしい。」旨を述べたことが伝えられていました。

 

 

この報道記事、ほんの数行を読んだだけで、国の避難計画は不十分であることが感じ取られます。

基本的に 原発事故においては、施設からの距離に応じて 下記のような避難指示となっているとのことです。

・PAZ圏(原発から5km圏内)→放射性物質が発電所の外に出る前の段階から避難できるように準備する区域(「予防的防護措置」を準備する区域)

・UPZ圏(原発から3~30km圏)→発電所の状況や放射線の量など事態の推移を見守り、一定以上の放射性物質が飛散したら避難する区域(「緊急防護措置」を準備する区域)

・PPZ圏(30~50km圏)→屋内退避・中和のための「ヨウ素服・ヨウ素剤」を準備する区域

 

 

 

それに照らすと、柏原刈羽原発に関しては、PAZ圏はもとより 30km圏内となるUPZ圏内には9市町村が該当し、40万人を超える人が居住しており、そこにもし避難指示が出れば 相当の混乱が生じることが予想(懸念)されます。

 

 

 

また、ここに 50km圏内のPPZ圏の網をかけると、長野県でも栄村・野沢温泉村・木島平村・飯山市・信濃町・飯綱町・山ノ内町・中野市が そこにかかってくることから、とても遠くの地域の出来事では済まされないところです。

 

 

 

 

あるシミレーションによると、柏原刈羽原発が何らか被災した際には、折りから吹く大陸風に乗り、原発の南側エリアに放射能汚染の被害が出る公算が高いとのことであり、そうなると 被害は新潟県に止(とど)まらず、群馬県・長野県・福島県にも影響(被害)が及ぼされることが想定(懸念)されるところです。

 

 

 

 

そのうえでの 原発事故(災害)、その上 さらに想定(懸念)される〝複合災害〟の可能性です。

それによって生じるリスクの大きさは、今回の能登半島地震で 私たちは思い知らされることになっています。

被災地たる能登半島エリアでは、地域を結ぶ幹線道路が寸断され 集落は即座に孤立状態に陥ってしまいました。

 

 

 

また 海沿いを中心に軟弱な地殻では「液状化現象」が発生、まともに移動などできない状況に。

 

 

 

この液状化現象は、能登半島エリアに止(とど)まらず、新潟県内でも発生しており、一説には柏原刈羽原発の周辺でも液状化リスクのある場所があるとも伝えられています。

 

 

 

さらに 地元住民によると、今回の能登半島地震の影響で 刈羽村内の道路にも亀裂が生じたとのことで、住民にとっても 地震に伴う原発への不安が広がっているようです。

 

 

 

 

そのような状況下で、国が示している避難計画に実効性はあるのでしょうか。

残念ながら、判断は「否(いな)」と言わざるを得ないでしょう。

それはそうです。もし原発に被害が生じたときに、大雪や道路寸断や液状化現象などの複合災害が発生すれば「避難したくても避難できない状況」となってしまうのです。

ところが、そんな〝足元の状況〟に関係なく、放射線は風に乗って広範囲に広がり続けるとすれば…。

当該エリアの住民は、否も応も無く 被ばくすることになってしまうのです。

 

そのうえで、私(だけじゃないでしょうが)が憂慮 というか不信に感じてしまうのが、国の説明が 柔軟性の名の下に〝場当たり〟になっているのではないか というのです。

原発の建屋からの距離に応じて、PAZからPPZまでの避難基準を設け 住民に速やかな行動を促すものの、では大雪が降ったらどうする?「とりあえず屋内で…」屋内はイイが、家屋が倒壊したらどうなる?「避難所に行って…」で そこに、道路寸断や液状化現象などで移動そのものができなくなったらどうしたらイイの?→これに対する明確な答え(避難計画)は、未だ未熟と言わざるを得ないでしょう。

それでも、国は 原発再開をめざすというのか。

住民の切実な不安に対し、いわば〝机上の空論〟そのままに「その場合は 柔軟にお願いします」なととの〝場当たり回答〟でやり過ごそうというのでしょうか。

そんな曖昧な避難計画では 住民はたまったもんじゃない、そんな危うい綱に生命財産をぶら下げることなどできないでしょう。

 

その不安の 改めての端緒となった「令和6年能登半島地震」は、私たちに新たな課題を与えることとなりました。

「避難」という行動は、言うほど簡単にできるもんじゃない。

それらを全て含み置いたうえでなければ、とても原発再稼働になど応じることはできない。

 

外郭に住む私でさえ、強い疑念と不信を抱かざるを得ません。

国においては、これまでの震災等の自然災害がもたらした被害状況を改めて検証すると同時に、とりわけ今回の能登半島地震で起きた〝新たな災害(被災)状況〟ともいえる「事実」を厳に受け止め、それら(能登での被災)をも網羅する避難計画を立てること、で、さらに言えば そのような様々かつ多様な(避難の)リスクが生じることが明らかになった以上は、原発の再稼働そのものを見直し 原発に頼らないエネルギーの構築に力点を置くべきでは…とも思うところであります。

 

 


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災害に対する財政的な考え方

2024-02-23 | 日記

さきに発生した「令和6年能登半島地震」は、能登半島エリアを中心に甚大かつ難儀な被害を及ぼし、その(被災)規模は 発災後2か月が経過しようとしている今になっても、未だ確定できないほどの規模(被災内容)となってしまっています。

これから 当地の完全復旧までには、どれほどの時間と負担がかかるのか…側(がわ)に居る私たちをしても 気が重くなるほどであります。

 

そんな中 一部の方(Aさん)から、災害時の〝財政出動〟について疑問の声が寄せられ、私も同じ思いをいたしたところです。

かかるAさん、今までも 災害(大規模災害)の度に疑問を抱いていたそうですが、今回の「令和6年能登半島地震」において、その疑問を黙っていていられなくなったそうです。

Aさん曰く「なんで災害対応の支弁(支出)が『予備費』なんだ?」とのご意見。

「列島は これまでも、古くは関東大震災から 最近では阪神淡路大震災・東日本大震災・平成28年熊本地震・令和元年東日本台風 等々、数多の大規模自然災害に見舞われてきた。」

「で、その経験値がありながらの 今回の令和6年能登半島地震。」

「ところが、岸田総理の支援の第一報は「今年度予算の『予備費』で対応します。」とのこと。この対応に おれは大きな違和感を覚えるんだ。」とのことです。

「だって、言ったように わが国は古来より〝地震大国〟と言われ、今や不定期に大規模災害が起きることは自明となってる。なのに、イザ災害が起きたときの予算執行が いわば場当たりともいえる『予備費』なの?」

そのうえでAさん、ここで語気を強めます。

「その予備費だって、最初の総理発言は「47億円を拠出します」って。これって、その同時期にウクライナを訪問した上川外相が表明した寄付額(53億円)より少ない額で オイオイって思っていたら、その後 総理が被災地を訪ねた途端に「予備費を1兆円に積み増します」って。

そんな〝総理のサジ加減〟で 被災地支援の原資となる予算が決められちゃってイイもんなのかね。それも、最初は小出しで 自分が(被災地に)行った途端に大盤振る舞いの経過は、いかにも場当たりに見えて仕方ないんだよね。」とのことでありました。

 

私も同意。さきに支弁された1回目の金額には、何ともいえない中途半端感を抱かされたところです。

 

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この経緯について いくらか紐解いてみると、そこには「自然災害は〝自助原則〟である」との不文律があるようなのです。

「自然災害は天災であるから国に責任はなく、原則 被害は被災者の個人責任で賄うべき」と。

国はあくまで支援する立場。だから敢えて予備費から供出する(?)」のか。

しかし実際には、災害が発生した際には 国は積極的に支援すべき立場であるのだから、この際は 日常から災害対応に特化した基金や特別会計を設けておくべきではないか、との点でAさんと一致したところでありました。

(ただ これは、災害対応の全てを担うものではなく、あくまで即応分としての財源です)

 

そして そのこと(災害に特化した基金等)は、市などの自治体にもいえるものではないか。Aさんは続けます。

災害対策を定めた「災害対策基本法」によると、災害対策は 第一次的には市町村が担当し、都道府県は市町村を包括する広域的総合的な防災事業と 市町村への防災支援や総合調整にあたるとしており、さらに 国は「国の責務」を規定しているが、それはあくまでも努力義務または行政当局の広範な裁量権と解釈されており、前掲の〝自助原則〟同様 先ずは市町村が災害対策の先鞭を切らなければならないことから、そのための「基礎体力」は 自治体自体が有していなければならないのではないか との論理です。

自治体においては、前述の(国での)予備費に相当する「臨時対策債」などの いわば使い勝手のイイ財源があり、それが不測の事態に備える財源となる場合がありますが、これだけ災害が多発する状況なのだから、自治体としても 専ら災害に備えた財源を積み上げておくべきではないでしょうか。

 

災害対応における〝財政的視点〟奇しくもAさんと意見の一致をみた中、この点についても来る本会議で市の見解を問うてゆきたいと思います。

 

 

 

 

◇プラスα     シルバーエイジの魅力創出

長野市役所の1階ホールで、シルバーエイジの写真展が行なわれています。

これは「営業写真館長野支部」の主催で、市内の写真屋さんが 喜寿(77歳)や米寿(88歳)・白寿(99歳)など人生の節目を迎えられた人の記念写真を撮って、その〝代表作〟を展示しているものです。

 

 

 

そこに、私の住む川中島町の写真館さんも出展されていました。

 

 

 

こちらの写真館のTオーナーさんは モデル(被写体)さんの素敵な表情を引き出すのが上手で、何枚も撮影する中で ちょっとしたアドバイスを語りかけ、その瞬間を逃さずカメラに収めては作品としてくださいます。

こちらのモデルさんは、地区内で理髪店を営むKさん。

喜寿の記念に撮影に臨んだところ、Tオーナーから「Kさん、ちょっと手を顎(あご)に添えてみて。」と言われ、さりげなく応じたところ その瞬間を「パチリ!」と撮られたそうです。

それが、この 実に自然体の素敵な写真となりました。

 

 

 

他人(ひと)の魅力を如何に引き出すか が、写真屋さんの腕の見せどころ。

その腕前と、モデルさんの魅力とが 見事に一致した一葉となったのでした。


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「福祉避難所」こそが、災害関連死を防ぐ重要な砦(とりで)

2024-02-21 | 日記

よりによって元日に発生した「令和6年能登半島地震」は、これまでも(このブログで)触れてきているとおり、被災エリアの広範囲に亘って 甚大かつ多様多難な被害を及ぼし今日に至っています。

とりわけ、高齢化と過疎化が進む当地には 高齢者をはじめとする〝社会的弱者〟の方々が多く、そこへきての家屋倒壊や道路の寸断 さらに液状化現象や地殻隆起などの難儀が重なり、かかる社会的弱者の方々にとっても、実に厳しく深刻な被害状況となっています。

あれから日にちばかりが経過する中、報道等で未だ十分に手が付けられないでいる被災地の模様が伝えられ 私たちは一様に心を痛めることとなっています。

 

これは決して他人事ではない。

同じ列島に住まう者として「明日は我が身」として捉え、それぞれに災害と向き合う意識を持たねばならぬと改めて思わされているところです。

 

そのうえで私は、かかる被災地の(とりわけ社会的弱者の方々の)厳しい状況を見るにつけ「福祉避難所」の重要性を再認識しています。

このことについては 去る1/22付のブログでも触れていますが、前掲のとおり 地方(≒田舎)に高齢者が多い状況や、通常の避難所に対応できない障がい者さんがおられる社会状況下では、それ(福祉避難所)の役割は不可欠かつ非常に重要な役割を担っていると強く認識するところです。

 

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2024年1月22日のブログ記事一覧です。日々の思いを、訥々と。【倉野立人のブログです。】

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そんな中、この日(21日)開会した「令和6年3月長野市議会(定例会)」において予算計上された『令和6年度一般会計予算案』に「福祉避難所整備」が計上されており、注目したところです。

 

 

 

新年度予算案については、荻原市長の掲げる目玉政策などが数多(あまた)ちりばめられており、それぞれについては後日に譲ることといたしますが、取りわけ私の立場において さらに能登半島地震から考えさせられたこととして、かかる「福祉避難所整備」については評価すると同時に、今後の取り組みについて注目するところです。

予算案の概要を見ると、

・一般避難所へ避難できない人の避難場所の確保

・1年間に概ね2か所ずつ(新たに)指定

・個別避難計画による(人と避難所との)マッチング

・開設訓練 運営訓練の実施

・要配慮者の特性に応じた物品等の備蓄  とあります。

ただ、計上された予算額は少額(約200万円)のため「これから」の感というところのようではありますが、長野市として「福祉避難所整備」に着目して取り組みを緒に就けたことについては高く評価し(繰り返しますが)今後に注目し、私の方からも積極的に意見具申してゆきたいと思うところです。

 

これまでも触れているように「令和6年能登半島地震」においては、多くの高齢者が一般避難所での雑魚寝を余儀なくされ、適応の難しい障がい者さんらは行き場も無く 壊れたままの通所施設の廊下に止(とど)まらざるを得ない状況等が伝えられています。

 

 

 

 

で ここからが深刻なのですが、かかる社会的弱者の方々が不自由な状況に留め置かれることで発生するのが…。

なにいう「災害関連死」です。

せっかく一時的に助かった生命が、後の(避難)生活環境が至らなかったせいで失なわれてしまうとすれば、それは天災ではなく〝人災〟と言わざるを得ないのではないか。

そういう意味においても「福祉避難所」は、災害関連死を防ぐ「砦(とりで)」の役割を果たしてくれるはずです。

 

何の前触れもなく私たちの社会生活を脅かす自然災害は、これまでも幾度となく列島のそこここに襲いかかってきました。

その厳しい経験値を踏まえても「福祉避難所」の重要性は明らかであり、これからは いかにキメ細かく(福祉避難所)を機能させてゆくか(ゆけるか)が、高齢化・多様化が進む現下の社会状況下での「減災」の重要な手だてとして強く期待されるところと思うところです。

なお このこと(福祉避難所の重要性)については、来る本会議(個人質問)でも議論の俎上に上げてまいります。

 

 

〔参考〕長野市令和6年度予算(案)概要版

       ↓

https://www.city.nagano.nagano.jp/documents/15614/060213-1.pdf

 

 


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変える・変えられるのは、結局「人」だということ =虐待施設からの脱却=

2024-02-20 | 日記

週末の情報ニュースで、劣悪な状況にあった障害者支援施設の立て直しに尽力する人(出向職員)の取り組みと その成果が報じられ、耳目を引かれると同時に さまざまに考えさせられることとなりました。

 

 

 

舞台は 北海道オホーツク地域にある知的障がい者支援施設(S施設)。

2023年、前年にS施設の職員6人が入所者13人に対し 全裸のままで放置・食事に無理やり引っ張って連れて行く・こぼした食事を無理に食べさせる などの虐待を常態化させ、それ(虐待)が38件に亘り認定されたものです(当該職員らは懲戒解雇)。

 

当時の報道

  ↓ 

 

 

知的障害のある入所者を虐待、元職員ら書類送検へ…全裸で放置・こぼした食事食べさせる

【読売新聞】 北海道西興部村の社会福祉法人「にしおこっぺ福祉会」が運営する障害者施設「清流の里」で、職員が知的障害のある入所者に虐待行為を繰り返していた問題で、...

読売新聞オンライン

 

 

 

6名もの複数職員が虐待を常態化させていたということは、このS施設の職員の業務に臨む姿勢は劣悪を極めていたと言えるところでありましょう。

そんなひどい状況に際し、地元出身で他の社会福祉法人の職員のNさん(58歳/女性)が「北海道知的障がい福祉協会」から 施設再生を担う人材として推薦を受け、2023年からこのS施設に出向し、業務課長として立て直しを進めているそうです。

そして Nさんが赴任して以降、職員の意識だけではなく 入所者にも変化が見られるようになってきたとのことなのです。

 

Nさんは、このS施設で常態化した虐待の背景には 慢性的な人手不足や職場の風通しの悪さがあったと指摘しています。

コロナ禍で 家族など外部の目が行き届きにくい状況だったこと・研修がオンラインになり 職員の虐待に関する知識が不十分だったことも影響したとし「職員は利用者と向き合うことをせず、職員側の都合を優先していた」と分析しました。

そのうえで再発防止に向け、職員が担っていた洗濯等の 本来業務以外の仕事を任せるパート従業員を雇用するなど業務の効率化を進め、いつの間にか行なわなくなっていた朝礼やケース会議を開くようにし 職員同士が声を掛け合う態勢を整えました。

また、地域住民や家族を招いてのレクレーションなどを積極的に催し、家族や地域との交流も深めるように努めたそうです。

その結果、少しづつではありますが S施設の〝空気〟が変わり始めたそうです。

それまでは 職員相互の横の連携も無く、いわば(職員の)独善で為(な)されてきた入所者への対応も いわゆる「ほうれんそう」に基づき行なわれるようになり、例えば入所者が暴れ出すようなケースも 今までは力づくで抑え込んできたものを(研修により)優しく抑制することができるようになってきたそうです。

で、この〝職員の変化〟は イイ意味で入所者にも伝播し、それまで職員に警戒心のようなものを抱いていた入所者も 穏やかな表情で接するようになってきたそうです。

 

 

このように、かつて劣悪であった施設が変わることができた要因はどこにあるのか。

言わずと知れるところですよね。結局「人」なんです。

それまでのS施設は、旧態依然というか 入所者を人とも思わない思想の下、それを問題と思わない悪しき体制のままに運営し続けられていた。

おそらく その連中にとって、虐待は虐待じゃなく〝しつけ〟とでも嘯(うそぶ)いていたことでしょう。

しかし そんな伏魔殿に、Nさんという いわば常識人が着任したことで、淀(よど)んだ空気が徐々に浄化されることになった。

 

 

・・・・・・・。

かかるS施設のことは、ある意味 極端な例かもしれません。

しかし これに類する様態は、全国廿浦々(つづうらうら)の障がい者支援施設においても常態化していることはないだろうか。

ただ、それが S施設のように表(おもて)に出ていないだけ・さらに厄介なことに、当事者(施設側)が それらを問題とも思っていないからなのではないだろうか。

 

この際は、各施設とも 一度は「外からの風」を受け入れるべきである。

そのうえで、新たな気づきを得て、それを「変化」に結びつけたらどうだろうか。

そして それを成し得るのは、形式や枠組み また肩書きじゃない。それに関わる 「人」であることを自覚したうえで。

 


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発災から49日…悲しみと慙愧の念を新たに

2024-02-19 | 日記

よりによって新年の元日に発生してしまった「令和6年能登半島地震」は、2月18日で仏教上の節目の日を迎え、域内の寺社で法要が行なわれたことが報じられました。

あの日から49日が経過したことから、四十九日法要がしめやかに斎行されたとのことでありました。

 

 

 

 

新たな年の元日に、驚きをもって知ることになった大規模地震の報。

文字どおり天地を揺るがすことになった大地震は、能登半島の各地において無情かつ多種多難な被害を及ぼしながら、(無常に)時間ばかりを経過させています。

お正月を契機に故郷に戻り、おそらく久しぶりに一家だんらんのひとときを送っていたであろう方々を、何の前触れもなく襲いかかった能登半島地震は、一瞬にして多くの方々の生命財産を奪ってしまいました。

四十九日法要を司った寺社の責任者さんは「地震で亡くなられた方々は、さぞ無念だったと思います。」と その心中(しんちゅう)に触れておられ、悔しさともいえる祈念を共有しておられました。

本当に、本当に心からお悔やみ申し上げる次第であります。

 

 

また その後の報道に接する中でも、被災地の復旧は容易ならざるところであることが伝えられています。

例えば珠洲市(すずし)では、終末処理を担う下水管の 実に94%が被害を受けており、未だにトイレ等が使えない状況とのこと。この復旧には年単位が要するとも言われています。

 

 

 

この要因には、海岸沿いの土質による「液状化現象」や、地殻の異常な隆起が起因しているとのこと、今回の地震の悪しき特徴でもあり、これまで起きた地震とは また異質かつ難儀なものであることが再認識させられています。

 

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発災から49日。

大切なご親族やご関係者・さらに住み慣れた住居や大切な施設等を、よもやの事変で突然に失なうことになってしまった被災者の方々の無念を共有すると同時に、大自然の驚異の前での(人の)無力さを痛感させられ、そのうえで 同じくこの列島に住まう者として、多発する自然災害に人智を尽くして向き合う努めを怠りなくすべきことを再認識するところです

 

取りわけて、当該エリアの復旧・復興は 未だ未達…全く「これから」であることを、慙愧の念をもって実感させられています。


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「ヘーゼルナッツ」の〝多面性〟に期待

2024-02-18 | 日記

地域の基幹産業である「農業」…しかし その現状は、担い手の面や収益の面・さらに苦労の絶えない〝▽K労働〟とも揶揄される状況となっていますが、そんな中 俄(にわ)かに〝救世主〟とも評され期待が寄せられ始めている、農産物というか果樹というか木の実というか いずれにしても当地には見慣れない品種があります。

 

「ヘーゼルナッツ」です。

 

 

 

ヘーゼルナッツは 一見ドングリに似ていますが、(ドングリの)ブナ科ではなく「カバノキ」科の樹だそうです。

今から2000年以上も前に トルコ北部の黒海沿岸で栽培が始まり、古代ギリシャを経てヨーロッパへと広がり 日本には奈良・平安時代に伝来してきたそうです(普及してはいませんが)。

樹はリンゴや桃の木に近いサイズの中低木(広葉樹)で、土壌を選ばず育成するそうです。

 

 

 

ヘーゼルナッツの樹は「雌雄同株」=同じ木に雄花と雌花の両方を生成し、主産地のトルコでは1月頃に開花し その後結実→9月頃に収穫されているとのことです。

種から植えて大体4~5年で実をつけ始め、(種から)約10年後に成熟するそうです。

 

その実は「奥深い香りに包まれながら舌に余韻が残るような旨み」があるとされ、チョコレートやスイーツの隠し味としておおいに活躍しています。

世界ではスイーツや料理に広く食されているため、アーモンドとカシューナッツと並んで「世界三大ナッツ」と呼ばれて重用されているのはご案内のとおりです。

 

 

 

そんな 世界に冠たる「ヘーゼルナッツ」は、世界の生産量の75%をトルコ北部が占めています。

日本の生産量は遠く及ばず、その殆(ほとんど)どを トルコはじめ欧州からの輸入に頼っているのが現状です。

 


 

 

そんな〝知られざる優等果実〟である「ヘーゼルナッツ」が、ここへきてにわかに脚光を浴びることになっています。

欧州で盛んに栽培されるヘーゼルナッツを、ナガノの地でも生産しようじゃないか。

長野市出身のОさんは、長野市に20年ほど前にUターンし(ヘーゼルナッツの)栽培に取り組んでおられるそうです。

食品機械の輸入商社に勤めていたОさんは、世界一おいしいと言われるヘーゼルナッツの産地イタリア・ピエモンテを冬季に訪れた際、雪の中で元気に育つヘーゼルナッツの樹を見て「これなら 気候の似ている長野エリアでも育成できるんじゃないかと閃(ひらめ)き、そして「これが、次世代の長野の新しい農産物になるのではないか」とご自身の中で確信したとのことでした。

その後 Оさんは、一念発起のうえで会社を早期退職し、農業経験が全く無い中で長野市にUターン 直ちにヘーゼルナッツの栽培に乗り出し、試行錯誤の末に 昨年には150本の木から300kgほどの実を収穫することができたそうです。

 

 

 

 

かかる「ヘーゼルナッツ愛=ナガノ愛」の意気に燃えるさんは、ヘーゼルナッツの栽培育成の伝播(でんぱ)を期して、市内(真光寺/しんこうじ)『ヘーゼルナッツ学校』を開校し、広く門戸を開いたうえで 栽培から加工・販売まで学ぶ〝場づくり〟をも手がけられているそうです。

ご自身のノウハウを惜しみなく伝え、信州をヘーゼルナッツの一大産地にするとの夢の実現に向け まさに先駆者として歩んでおられるとのことでありました。

 

これら ご関係者の胎動(たいどう)に呼応するように、長野市においてもヘーゼルナッツの栽培促進に力を入れ始めることになっています。

さきに発表された長野市の新年度予算編成において、荻原市長の掲げる「定着・変革・挑戦」のスローガンの中の〝挑戦〟のジャンルに「ヘーゼルナッツ振興(15,220千円)」が計上され、試験圃場での栽培や苗木の購入を補助することになっています。

 

 

 

ローカル紙においても「ヘーゼルナッツ 産地化めざす」と大きく取り上げるに至っています。

 

 

 

 

 

この「ヘーゼルナッツ振興」について、私の立場でも大いに着目しているのです。

と いうもの、私の住む川中島平(かわなかじまだいら)は 従来より桃やリンゴなどの果樹栽培が盛んな地域なのですが、近年は とりわけ桃の営農について、通年に亘る消毒や育成・収穫の専門性の必要性などの課題に高齢化が拍車をかけ、年を重ね営農不全となった耕作者が廃農するケースが相次いでいるのです。

とりわけ桃については 樹の放置は病害虫の巣となることから、廃農=伐採となり 今や域内のそこここで有休農地化(ほぼ更地化)した(かつての)桃畑が散見される由々しき事態となっているのです。

それら 実質的な有休農地に、もし メンテナンス不要のヘーゼルナッツを植え、桃農業より平易な形で実りを得られるとすれば、有休農地の解消と 新たな農作物の創出との〝一石二鳥効果〟が得られるのではないか。

 

そのうえで 私が「ヘーゼルナッツ振興」に期待するのが〝農福連携〟の伸長です。

農福連携とは、障がい者(知的・精神)の方々の活躍(雇用)の場として農業現場を勧め、片や農業者においては担い手確保につなげようという いわば共存共栄のマッチング事業です。

これまでも、果樹の剪定枝を集めるなどの役務に就いていただくことはありましたが、いかんせん平易な作業に限られるため、桃の摘果や収穫などの技術を要する作業には参入していただけないジレンマがありました。

ところが、この「ヘーゼルナッツ栽培」においては (側聞している範囲ですが)収穫作業は、熟して枝から落ちた実を拾うだけとのこと…これなら障がいを抱えた人でもできる・イヤ もっと言えば、一点集中型の障がい者の人なら 根気よく収穫(実拾い)作業に励み、営農に貢献してくれるほどになってくれるんじゃないでしょうか。

 

これに関し、当地区では更に朗報が。

新年度「地域おこし協力隊」として(結婚を契機に)当地区にUターンし、協力隊員として専ら農業に従事したいとされる人(若年女性)が、それまで都内で養護学校の教員を勤めておられたとのこと。いわば養護教育の元プロが故郷回帰を果たしてくれたことから、かかるビジョンに大いに頼りになる存在になり得るのです。

そして何より、域内には かかる「役務(障がい者就労)」の担い手となる方々が通所される授産施設が複数に亘り設置されていることから、他の地域に比しても農福連携の可能性を有しており、それらの好条件をもって「ヘーゼルナッツ振興」が〝農福連携のコラボレーション〟の具現化に向けた可能性を秘めているとも言えるのです。

 

 

 

で このことを、地域の農業振興の先達であり かかる地域おこし協力隊員の〝育ての親〟でもある、地元のTさんに水を向けると「おおいに結構!」と協力(というより主体となる)意向を示してくださいました。

このことが実現すれば「ヘーゼルナッツ振興」は、一石が三鳥になり さらに販路ができたり地域の菓子店などとのコラボが実現すれば、一石が三鳥にも四鳥にもなることが期待されることになるでしょう。

 

 

これらを踏まえ、私の立場で 取りあえず長野市の農業政策課と連絡を取り「勉強会」を行なうこととします。

そのうえで、当地域における「ヘーゼルナッツ振興」の適応性と可能性を模索し、でき得る範囲で実現性を模索してゆくための仲立ちを担わせていただきたいと考えています。

 

長野市在住(Uターン)のОさんが提唱してくださった「ヘーゼルナッツ振興」

私たちは、その〝多面性〟に大いに期待しながら、イイ意味での試行錯誤を重ねてゆくことになります。

 


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不測の「マンホール欠損」に考えさせられた「社会インフラ」

2024-02-17 | 日記

去る日、域内の理髪店のオーナーから〝SOS〟が入電され 取りも敢えず足を運びました。

訊けば、店の敷地に面した道路(県道)に設置されている「マンホール」の蓋(ふた)がガタついており、トラブルの要因になりかけているとのことです。

見てみると、路上に設置されているマンホール自体が緩(ゆる)んだようになっており、蓋の周囲のアスファルトが欠けてしまっています。

 

 

 

 

現場は 緩やかな左カーブになっており、通行する車両は 遠心力を伴いながら、ちょうどタイヤがマンホールを踏みつけて通過する形になっています。

クルマがマンホールを踏んづける度に「ガタガタッ」と異音を残して通過してゆきます。

 

通報された理髪店さんの心配は、マンホールの欠損そのものも然(さ)る事乍(ことなが)ら、それによる〝二次被害〟とのこと。

ここのところ蓋の周辺の欠損が進む中、勢いよく通過するクルマが(欠損により生じた)アスファルトの欠片(かけら)を飛散させてゆくことがあり、場合によっては店先に停まった(お客さんの)クルマを傷つけることになりはしないか というのです。

また、たまたま付近を自転車や歩行者などが通りかかったときに飛散があったとき、万一身体に当たりでもすれば〝人身事故〟となってしまうでしょう。

 

 

 

 

一報を受けた私は、直ちに市の所管(下水道整備課)に対応を依頼しました。

(ただ本来、土木工事などの要望は 自治会長→区長の(要望)ルートが決まりとなっていますが、今回は(飛散事故可能性アリの)緊急事態と捉え、直(じか)に連絡させていただきました)

事態を受けた担当課の対応は早く、一両日のうちに 現地調査→業者による修繕工事を行なってくれました(繰り返しますが、今回は あくまで緊急的な措置(対応)です)

 

 

 

工事の代人(だいにん)に訊けば、今回の欠損は 幸い土管そのものでは無く、蓋(ふた)とその受け部分の欠損だったようです。

私が現場に行ったときは、蓋を受ける鉄枠の設置が行なわれていました。

マンホールの周囲を真円(しんえん)に切り、土管の上部に 従来型より耐久性のある鉄枠をはめていました。

 

 

 

ここにコンクリートを流し込み、路面には新たにアスファルトを敷いてゆきます。

作業を始めて半日ほどで、マンホールの蓋のガタつきは解消され、真円の新しいマンホールが設置されました。

これでもう、飛散物でお客さんのクルマを傷つけたりすることはないでしょう。

 

 

 

 

 

ところで…不測の路面トラブルの一報を受け対応する際、ふと考えさせられることに。

私たちの住む「まち」における社会インフラは、その多くに改善すべき場所(箇所)が数多(あまた)あること。

今回の不測の欠損とは別に (前掲のとおり)自治会→区長経由の土木要望も、積年の案件など それこそ星の数ほど積み上がっています。

 

で、これら土木改善の案件とは明らかにジャンルは異なりますが、長野市はJR長野駅前(B-1地区)の再開発に50億円を超える補助金を投入することにしています。

 

 

 

このことについて、例えば犀川以南に暮らす方々から「税金の投入が不均衡じゃないか」との異論も寄せられていることなどから、事業の内容等に議論の余地アリ と申せます。

このことについては後日に譲ることとしますが、未だ課題の多い外郭地(犀南エリア)に暮らす者の一人として、それが今回 域内の不測の案件に触れたことで、改めて複雑な境地にさせられたところでありました。

 


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かみ合わない障がい者福祉

2024-02-15 | 日記

ニュースや調査により 障がい者(知的・精神)支援の実態を改めて知る中、一方で〝当事者の実態〟も知らされ、複雑な境地に至ったところでありました。

 

先ずは一報。12日の報道で、神奈川県の「訪問看護会社」が、いわゆる社会的弱者を〝食い物〟にしていた内情がレポート(暴露)され、いわば〝現場の悪しき実態〟があることを改めて知らされることになりました。

 

 

 

それ(報道)によると、この訪問看護会社のターゲットは「障がい者」だったとのこと。

「訪問看護」とは、医師の指示を受けた看護師等が 病気等を抱える人の自宅等に伺い、その人らしい療養生活を送れるように支援するサービスです。

一見的には、この医療サービスは、病気療養中の人や要介護の高齢者の方々を対象にしていると思われていますが、実は近年 精神障がいや知的障がいを抱える障がい者さんを対象にする例が増えているそうなのです。

さらに、これも ある意味において意外ですが、訪問看護を司(つかさど)る「訪問看護ステーション」は 医療法人以外の株式会社等でも開設でき、いわば規制緩和が進んでいるそうなのです。

で、これ(規制緩和)に伴い、利益優先に走り 公的な報酬を不正・過剰に受け取っている事業者が散見されるようになっているとのことなのです。

 

私が見かけた記事では、愛知県内の女性看護師が かつて勤めた訪問看護会社での金満主義を嫌悪し転職したのに、その転職先でも同じような利益優先経営が行なわれており幻滅させられたというものでした。

それによると、こんな手法が 前の職場や転職先で組織的に行なわれていたとのこと。

①「健康管理」などの名目で、運営施設の入居者に 週3回の訪問看護をほぼ一律に契約させる

1人5分程度の短時間で多数の入居者を巡回する

早朝・夜間に訪問したように虚偽の記録を作り、診療報酬の加算を不正請求する 等々

 

さらに、神奈川県内の男性看護師は、かつて勤務した大手の訪問看護会社では、会議資料に「売り上げ」や「利益率」の目標がずらりと並び、目標として「確実に日本一にする!」との文言が掲げられていることに大きな違和感を覚えたそうです。

男性は「経営陣の口癖は「数字で判断せよ」でした。「どのようにしたら高い診療報酬が得られるか」が勤務の基準になっており、利用者のことは二の次三の次。会社では金儲けが優先され、働けば働くほど違和感が募った。」と述懐していたことが伝えられていました。

 

[参考]当該記事

   ↓

 

「患者よりカネもうけ」ナースが見た訪問看護会社のあきれた実態 障害者を「食い物」に(47NEWS) - Yahoo!ニュース

 看護師が自宅に来てくれる「訪問看護」という医療サービスがある。病気で療養中の人や終末期の高齢者に医療処置をするイメージを思い浮かべる人が多いだろうか。だが、実...

Yahoo!ニュース

 

 

 

 

これまでも、福祉を食い物にしてきた〝偽(いつわ)りの障がい者支援〟が数多(あまた)報じられているところではありますが、この事例のように 法律の範疇の中(合法的)で給付金をせしめる手口は狡猾(こうかつ)と言わざるを得ず、そんな看護会社の手にかかった利用者さんの日常生活は良くなるどころか いわば〝カモ〟にされてると言えるほどでありましょう。

(ただ…現場(訪問先)では、事情をヨク知らない(または適正に判断できない)利用者さんは この〝悪徳訪問看護〟に対しても「ありがとう」と甚(いた)く感謝していることも往々にして想像でき、慚愧(ざんき)に堪えないところです)

 

他方 昨年末には、2022年度に 障がい者さんが施設職員から受けた「虐待」の件数が、過去最高の3,482人に上(のぼ)っていたことも報じられており、こちらも由々しき事態となっています。

 

 

 

[参考]当該記事

   ↓

 

障害者虐待、過去最多3482人 施設職員らから受けた人は4割増:朝日新聞デジタル

 家庭や施設で虐待を受けたと判断された障害者の数は2022年度に3482人にのぼった。厚生労働省が20日公表した。前年度比522人増で、調査を始めた12年度以降で最多。施設職員...

朝日新聞デジタル

 

 

 

このこと(虐待)についても、今さらと言うほど常態化しており(だからこそ過去最多となったのでしょうが)障がい者支援施設の根幹に横たわる問題と申せます。

従前にも触れましたが、本来は 利用者さんが主役であるハズの障がい者支援施設の運営が、いつの間にか 職員が〝主〟となり 利用者さんが〝従〟となっている。

利用者さんが居てくれてこその施設なのに「オレたちがオマエらを管理してやってるんだ」との〝逆転現象〟が。

ここには、職員の認識そのものを改めることが必須だと言わざるを得ないところです。

 

 

そんな中、ブレーンのMくんが また違う視点での障がい者支援…というより 障がい者さんそのものの認識について話して(伝えて)くれました。

 

「合理的配慮」と「わがまま」との対比です。

身体的・精神的にハンディを抱える障がい者さんは、社会的に支援を受ける いわば権利を有しているものですが、その社会的環境の中で ときに「わがまま」になっており で、それを〝当たり前〟と思っているフシがあるんじゃないか。

 

私たち社会(人)は、障がい者さんらに「合理的配慮」の下に支援を行なっています。しかして それは、いわば社会の公序良俗の上でのそれ(配慮)であり、それが利用者さんにとって〝何でもアリ〟と拡大解釈されるようでは、またハナシは違ってくるんじゃないか。

事例とすれば、障がい者さんが 本来はケアプランを作成する立場のケアプランナーに「私の洗濯物を取ってきて」と頼むこと。これは本来 訪問看護者の役割であり、それをケアプランナーに「当たり前のこと」として頼むのは〝わがまま〟じゃないだろうか。

 

[参考]当該記事

   ↓

 

合理的配慮とわがままの違いは?10の実例を交えてポイントを解説 | ミラトレノート

障害のある方が長くはたらけるよう、企業に求めることのできる「合理的配慮」。企業への上手な伝え方と合理的配慮を得るためのポイントについて解説します

ミラトレノート-就労移行支援お役立ち情報

 

 

 

 

そのうえでMくんは「一番の問題は、それぞれの所作(業務)に「公金(税金)があてがわれていることだ」と断じています。

このことは、前掲の全ての課題(問題)に当てはまります。

補助金をせしめる民間看護会社しかり・利用者を虐待する施設(職員)しかり・ケアプランナーに洗濯物を運ばせる利用者さんも然(しか)り、そこには いうなら障がい者さんと何の関係も無い人たちからの税金もが支弁されていること、そんな中で いわば偏(かたよ)った事業が為(な)されているとすれば、それは「不公平」というものではないか。

 

 

・・・・・。

それぞれが それぞれの価値観のままに行動することで生じる〝かみ合わなさ〟。

とりわけ障がい者支援については、それが「社会的弱者の救済」と、目的が崇高であるがゆえに 事態を非常にややこしくしていると申せます。

で、そこには 適正なジャッジメント(判断)が求められるところですが、何というか 関係者が皆おんなじ坩堝(るつぼ)に居ることで、判断能力そのものが低下(麻痺)している傾向にあることも由々しきところと申せます。

 

このままゆけば、社会そのものが瓦解(がかい)することになりはしないだろうか。

憂慮の念を共有したところでありました。

 


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忘れてはならないこと ~子どもの権利を守る条例~

2024-02-14 | 日記

この日(13日)、市役所の委員会室で「こどもの権利を守る条例制定に向けた勉強会」が開催されました。

これは この度、議会提案に基づき 長野市と長野市議会が〝協働〟の形で「こどもの権利を守る(趣旨の)条例(以下/こども条例)」を策定するため、そのための取り組みの一環として行なわれた(行なわれる)もの(勉強会)です。

この勉強会の趣旨について 長野市は「子どもを取り巻く環境が大きく変化している中、本市としても変化に対応し、子どもの権利を守る取り組みを進めてゆく必要があることから、その一つとして『子どもの権利を守る条例』について、議会と共に研究や情報共有を図るために勉強会を開催するもの」としています。

この、多様化する社会状況下において 子どもの権利を守るための条例を制定しようという動き、さらに そのことについて議会と〝協働〟で行おうとする趣旨については高く評価するところです。

ただ、その一方で   

 

 

「子どもの権利」については、この度 長野市が本腰を入れて取り組むことになった遙(はる)か以前に、国際的または国内的に(子どもの権利が)重要視されています。

子どもの生存と保護・発育が世界の発展 ひいては人類の進歩のための重要課題と考える『ユニセフ』は、子どもの権利が 世界の恒久的な倫理原則・国際的な行動基盤として捉え「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」を規範としたうえで、子どもの生存と保護・発育が世界の発展 ひいては人類の進歩のための重要課題であると考えています。

 

 

 

[参考]子どもの権利条約/ユニセフ

         ↓

 

子どもの権利条約 | 日本ユニセフ協会

子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)は、世界中すべての子どもたちがもつ権利を定めた条約です。1989年11月20日、第44回国連総会において採択されました。

日本ユニセフ協会

 

 

子どもの権利条約においては「4つの権利」を定め、あらゆる子どもの権利の実現を考える「原則」としています。

①差別の禁止(差別のないこと)

 すべての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。

②子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)

 子どもに関することが決められ、行われる時は、「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考えます。

生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)

 すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。

④子どもの意見の尊重(子どもが意味のある参加ができること)

 子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、大人はその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。

 

 

 

 

また 国内においては「こども家庭庁」が所管となり、令和5年に『こども基本法』を施行しています。

法は、日本国憲法および児童の権利に関する条約(前掲)の精神に則(のっ)とり 全ての子どもが将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども政策を総合的に推進することを目的としています。こども施策の基本理念・こども大綱・こども等の意見の反映などについて定めています。それらを踏まえ、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法に位置づけられています。

 

 

 

[参考]こども基本法/こども家庭庁

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こども基本法|こども家庭庁

こども家庭庁は、こどもがまんなかの社会を実現するためにこどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益を考え、こどもと家庭の、福祉や健康の向上を支援...

こども家庭庁

 

 

 

こども基本法では、以下の6つの項目を「基本理念」に据えています。

①全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、
差別的取扱いを受けることがないようにすること。

②全てのこどもについて 適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保
護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に
係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法(平成18年法律第120号)の精神
にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。

③全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて 自己に直接関係する全ての
事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。

④全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて その意見が尊重され、その
最善の利益が優先して考慮されること。

⑤こどもの養育については 家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責
任を有するとの認識の下 これらの者に対してこどもの養育に関し十分な支援を行うとと
もに、家庭での養育が困難なこどもにはできる限り家庭と同様の養育環境を確保すること
により こどもが心身ともに健やかに育成されるようにすること。

⑥家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること。

 

 

 

長野市と長野市議会は、これらの先駆事例を参考にしながら 長野市の子どもたちが健全に育つための素地を構築するべく〝長野市版こども条例〟の制定にむけ修練を重ねてゆくことになります。

 

 

ただ、その一方で   

 

とりわけ 長野市においては、特に このタイミングで制定をめざす長野市においては、かかる「こども条例」の制定に向けては 決して忘れてはならない(負の)経緯があることを自覚(自戒)しなければならないと思います。

 

それは なにいう「青木島遊園地廃止問題」の一件であります。

このことについては 今さら申し上げるまでもありませんが、一連の遊園地廃止の経過を辿る中で、長野市は 子どもの欠かせぬ居場所である遊園地=「子どもの遊ぶ権利」を奪い、また 遊園地廃止にあたって「御礼のメッセージ」を掲げようとした行為を止(や)めさせた=「子どもの意見を表明する権利」を奪う など、長野市(所管)の多くの行為が ことごとく子どもの権利を奪うことになったのであり、関係者は このマイナスの行為を決して忘れてはならないと強く思うところです。

長野市が「こども条例」を制定するにあたっては、このことについて謙虚に反省したうえで事(こと)に臨まなければならないと思うのです。

 

そのうえで です。

長野市は、かかる「青木島遊園地廃止問題」に経過について「検証」を行なうことになっています。

遊園地を廃止に追い込んだ経緯について、その取り組むはどうだったかを検証し、以降の行政行為に活かすとしており、しかして その「検証」においては それが果たして子どもの福祉に叶うものであったかも謙虚に振り返るべきと、私はさきの議会で強く具申してまいりました。

すなわち、今回の「こども条例」の策定に際しては、さきの「遊園地廃止問題の検証」の結果を すべからく参考にしてゆくべきであろう。

 

この日の勉強会では そのことについては触れられないままに推移していたことから、意見聴取の場で 私の方から(前掲の)「検証」を条例制定に活かすべきことを述べ、いわば 議論にクギを刺す役割を負いました。

 

穿った見方をすれば、緒に就き始めた「こども条例」の取り組みについて、何だか「過去のことが無かったかのような」立ち振る舞い…何も(課題や問題が)無いところに条例を制定しようとしているかの〝涼しいカオ〟感を禁じ得ず、このまま粛々と条例制定に向かうことに 一抹の疑問を抱かざるを得ないところです。

また 百歩譲って、彼ら(市/所管)に 幾何(いくばく)かの自覚(自戒)があったとしても、その いわば解決策を“条例制定”との「形式を整えること」のみで完結させてしまうのではないか、との表面的な対応でヨシとしまうのではないかという点も憂慮されるところです。

これらを踏まえ、せめて私は あのこと(青木島遊園地廃止問題)を常に通底に据え、あのことがあったからこそ 今回「こども条例」の制定に至ることになったと前提づけながら議論に臨んでゆきたいと思うところです。


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「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」の行政視察報告

2024-02-12 | 日記

今期 所属する「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」の行政視察(1/22〜24)に参加しましたので、その概要をご報告いたします。

 

◇群馬東部域水道企業団の広域化の取り組み (1/24)

 「群馬東部域水道企業団」は、群馬県県内を流れる渡良瀬川(わたらせがわ)・利根川流域の 太田市・館林市・みどり市・板倉町・明和町・千代田町・大泉町・邑楽町(おうらまち)の3市5町が水道事業・水道用水供給事業を広域化した連合企業団です。

 

 

 

 そして、こちら「群馬東部域水道企業団」の広域化の経過については、これまでの視察や いわば一般的な広域化の成り立ちと全く異なるもの(経過)に、私たちは驚きすら覚えたのでありました。

 

◎当地域における広域化の経過

 平成21年 「両毛地域水道事業管理者協議会」設置

 平成24年 「8構成団体首長会議」各首長へ広域化研究推進の打診→承認→同研究会設立

 平成25年 「群馬東部水道広域化基本構想」→同基本計画の策定

    同年 「水道事業統合協定」調印→同協議会の設立

 平成26年 「水道統合準備室」設置

 平成27年 群馬県が「群馬東部水道企業団」の設立許可(連合企業長は太田市長)

 平成28年 4月より事業開始

 

 同地域における水道事業を取り巻く諸課題は、他のエリアと同様に 施設問題や収益問題 さらに職員(高年齢化/実数減少)など、従来型の水道運営による(事業持続の)将来不安がありました。

 

 

 

 その課題可決のためには、事業の広域化が必須であることは認識されたところなのですが、そこ(広域化)に向けての いわば枠組みについては「ボトムアップからトップダウンへ」との、一般的な合意形成とは真逆のプロセスを辿ったものだったそうです。

 前掲の経過を見ても分かるとおり、こちら「群馬東部域水道企業団」は、平成24年の基本構想から早期のうちに事業が開始されています。

 この〝スピード感〟は、関係自治体の首長が「トップダウン」で物事を進めてきたことあるそうなのでした。

 

 

 

説明によると、当該エリアは「上毛6市」と呼ばれ、群馬県太田市・桐生市・館林市・みどり市・栃木県足利市・佐野市が かねてより歴史あるコミュニティを育んでいるそうです。

その「上毛6市」は 既に平成21年頃から水道事業の構想を温め、やがて平成24年に首長会議が開かれた際、リーダーでもある太田市長の号令一下により、堰を切ったように一気に広域化事業が推進されたとのことでありました。

 

 

 

 

一般的に、また これまでの視察で〝体感〟したように、水道事業の統合広域化については 時間をかける中で自治体間の調整を行ない、ある程度条件が整ったところで(総合広域化の)事業に踏み出すところでありますが、こちら「群馬東部水道企業団」は〝まずは広域化〟を掲げ、いわば枠組みを先に作って それから課題の調整を行なうという独自のスタイルで事業に臨んだ(臨むことができた)とのこと。これは非常にレアなケースであり、同時に(逆に)、水道統合事業の統合広域化には 自治体間の信頼関係が不可欠であること(=信頼関係があれば事業はスムーズに進む)を実感したところでありました。

 

 

 

そのうえで同地区においては、平成30年度までの赤字解消/10年間で139億円の費用削減・各自治体からの職員の正規登用などの成果を挙げていることが報告され、手法はトップダウンなれど着実に成果が出ていることが強調されていました。

 

 今回の行政視察を通じ、その地方ごとに多様な方法(理念)の下に統合広域化が行なわれていることを知り、しかして その通底には、水道事業の統合広域化は これからの日本の社会構造の中で避けては通れない道であることも併せ実感したところです。

 そのうえで、統合広域化に当たっては「統合広域化ありき」ではなく、然るべきプロセスを踏むことが重要であること(群馬東部水道事業団についても、一見的には統合ありきに見えるが、その根底には長い歴史がある)、また、エンドユーザーでもある住民に対しても丁寧な説明を重ねてゆくことが肝要であることを再認識したところでありました。


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「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」の行政視察報告

2024-02-10 | 日記

今期 所属する「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」の行政視察(1/22〜24)に参加しましたので、その概要をご報告いたします。

 

◇君津地域水道事業の統合広域化(かずさ水道広域連合企業団)の取り組み (1/23)

 「かずさ水道広域連合企業団」は、千葉県内を流れる小櫃川(おびつがわ)流域の 木更津市・君津市・富津市(ふっつし)・袖ケ浦市の4市が水道事業・水道用水供給事業を広域化した連合企業団です。

 

 

 

◎当地域における広域化の経過

 平成19年 「君津市地域水道のあり方検討会」による検討

 平成23年 「君津市地域水道統合研究会」による検討

 平成25年 4市の関係者が 君津水道事業統合・広域化に関する「統合協議会」を発足

 平成29年 千葉県が構成員として参画

 平成31年 総務大臣から「かずさ水道広域連合企業団」の設置許可(連合企業長は木更津市長)

 平成31年 4月より事業開始

 

 「かずさ水道広域連合企業団」の所属自治体は、それまでは各地区の水道事業が いわば危機的な状況に陥っており、その点をクローズアップすることで 統合広域化の道筋をつけてゆきました。

・ヒト モノ カネの危機的状況

 各自治体は、下記の具体的課題を抱えていました

 モノ/管(かん)など施設の老朽化が全国ワースト2位→統合広域化で老朽管の解消をめざす

 ヒト/技術職員の高年齢化(平均49才)による技術継承の危機→統合広域化で独自職員を採用

 カネ/4市すべてが赤字経営→統合広域化で費用の抑制と財源の確保を図る

 

 

 

◎「かずさ水道広域連合企業団」における激変緩和措置

・同地域では自治体ごとに料金格差があるため、令和10年までは従来の(市域の)会計を継続

  →セグメント会計

・統合広域化当初は各市からの職員派遣で運営

 

◎「かずさ水道広域連合企業団」における統合広域化の効果

・施設→統合前と比較し、施設更新率1,0%を維持(統合前:0,7%/年)

 

 

 

・施設→統合前各市の整備水準の平準化と経営基盤の強化

   →事業量は増えているが、各市の出資金は減っている(自己費用負担の軽減)

 

 

 

   →施設の統廃合と耐震化の促進・料金の統一

    →水源29箇所・施設9箇所を廃止(効率化)/基幹浄水場・配水場の耐震化

 

 

 

・職員体制→40才以下の派遣職員を対象に身分移行を実施

・ヒト(職 →独自職員の確保:社会人経験枠拡大/採用試験回数増加/採用条件緩和

 

 

 

・職員体制→職員の「縦割り(セグメント会計の弊害)」の打破

・職員体制→独自職員による業務フローの統一化・効率化/工事の効率化

 

 

 

 

「かずさ水道広域連合企業団」においても、複数市(4市)での水道関連事業の統合・広域化は それまでの窮状を打破(改善)するために欠かせない事業でありました。

 ただ、22日に視察した広島と状況が異なっていたのは「かずさ水道広域連合企業団」は在の千葉県の主体的関与は無く(平成29年に構成員として参画)、主体はあくまで関係市が横断的(並行的)に担ってきた点でありました。

 私自身も、もし長野エリアで統合・広域化を進める際には、県はあくまでアドバイザー的な立場に置いたうえで、関係市の横の連携を直接的に深める中で事業を進めるべきと思ったところです。

 ところで、当委員会の視察に先立ち、同企業団のS事務局長から歓迎あいさつを受けましたが、その内容は実に「現場目線・利用者目線」に立ったものであり、この歓迎あいさつの中に「かずさ水道広域連合企業団」の〝価値観〟のようなものを実感させられたところです。

 S事務局長は、水道事業は「単なる効率化推進や経費削減の狭義では事業の意味が無い」旨を強調されました。

・統合には応分の費用がかかることから、統合=経費削減 の目的では事業はうまくゆかない

・統合に欠かせないのはマンパワー(人材)であり、統合=リストラ推進 の目的ではうまくゆかない

・新たなシステムを導入しても、それが(職員等にとって)慣れないものであれば機能しない

・リストラの概念は、管理職を減らしても技術職は維持すべき=現場職員を大切にすべき

・統合広域化においては、特に財政シミレーションは甘く算定しない

・統合しても料金は安くならないことを当初から正直に市民説明すること

等を述べられ、統合広域化が〝単なる夢物語ではない〟こと(現実)を直視し、いわば腹を据えて事業に臨むべきことを強い口調で述べられ、そこに この事業団の取り組み姿勢を感じ取ることとなりました。

 特に、激変緩和措置の中で、職員の体制(意識)までも〝縦割り〟を引きずってきたことによる市民サービスの限界、それを打破(改善)するために独自職員による 自治体の枠を超えた「業務フローの統一化」の取り組み成果に注目させられました。

 水道事業の統合広域化にあたっては、組織やシステムの統一と同時に、職員の意識そのものも統一(意識共有)させることこそが重要と実感させられました。

 

       


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「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」の行政視察報告

2024-02-08 | 日記

今期 所属する「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」の行政視察(1/22〜24)に参加しましたので、その概要をご報告いたします。

国民の社会生活、とりわけ社会衛生に欠かせない「水」は、世界に冠たる水道事業の発展に伴い、日本に居る限り いつなんどきでも、蛇口さえひねれば安心で安全な飲料水を口にすることができるところです。

ところが昨今になり、これまで整備されてきた水道管などの〝水道インフラ〟の老朽化・人口減少や社会構造の変化に伴う水道消費量の減少傾向・さらには管理側の行政職員(とりわけ専門技術を有する技官)の不足などにより、水道事業そのものの行く末に暗雲が立ちこめる状況になりつつあります。

そこで 各自治体においては、今後 到来することが予想される水道事業の厳しい状況に鑑み、自治体間を跨(また)いだ「広域」での水道事業の維持・発展を期する傾向が顕著になっています。

私たちの住む長野市域においても然り。このまま推移すれば広く市民の社会衛生を守るための「水」の維持管理が難しい状況に陥ることが予想(懸念)されることから、長野市を初め 上田市・千曲市・坂城町が一体となって「上田長野地域水道事業広域化研究会」を設置し、広域化に向けて検討を進めて(始めて)います。

長野市議会においても、議会の立場で水道の広域化を研究・検討するため、今期「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」を設置したところです。

今回、かかる特別委員会として、先進事業を展開する「広島県水道広域連合企業団」ならびに「千葉県 かずさ水道広域連合企業団」ならびに「群馬東部水道企業団」を行政視察しました。

視察内容には種々あるところですが、今回 私は、とりわけ「関係する住民の合意形成と説明手法」ならびに「人材(職員)育成」について注目し視察に臨んだことから、取りわけ その点についてレポートします。

 

◇広島県水道広域連合企業団の取り組み (1/22)

 「広島県水道広域連合企業団」は、広島県と県内14市町が水道事業・水道用水供給事業・工業用水道事業を共同で経営することを目的に設立された特別地方公共団体です。

 

 

 

◎当地域における水道事業の広域化の経過

 平成28年 3月から厚生労働省通知/水道広域連携の検討体制構築を要請

 平成29年 広島県企業局に「水道広域連携推進担当」設置

 平成30年 広島県に「広島県水道広域連携案」

       「事業統合を全県でめざすことを基本に、県と市町による協議組織を設置し 広域連携の

        具体化に向け検討に着手することが必要」

 平成30年 広島県と関係市町で「広島県水道広域連携協議会」設置

 令和 2年 広島県において「広島県水道広域連携推進方針(水道広域化推進プラン)」策定

 令和 3年 広島県と関係市町で、水道事業に関する基本協定を締結

        →広島県水道企業団設立準備委員会を設置

 令和 4年 総務大臣から水道企業団の設置許可

 令和 5年 水道企業団による事業運営の開始

 

 広島県における水道事業については、本市と同様に水道事業における課題が内在していました。

 ・人口減少における料金収入の減少/令和42年度には20%の減(令和2年度比)

  →現下の独立採算のままでは、収益の8割を占める料金収入の減は水道経営を急速に圧迫する

 ・施設老朽化に伴う更新費用の増加/令和24年度からは、施設の更新費用が約1,8倍に増加

 ・職員の退職に伴う技術力継承の危機/令和23年度までに職員の7割が退職=若手職員の不足

 →水道事業を将来に亘って維持するために広域連携は有効な方策

   →スケールメリットによるコスト縮減や効率化が可能

 

 

 

◎広島県水道企業団の広域連携の形態について

 広島県では、組織統合を伴う「経営の一体化」を選択

  →経営主体(組織・管理)は同一だが、事業認可・会計・料金体系は異なる

 

 

 

◎広島県水道企業団の組織形態について

 ・地方公共団体の組合を受皿組織の形態として選択

  →これまでの自治体ごとの経営を踏まえ、広域化しても引き続き事業に参画し易い

 ・組合運営は「広域連合(広域連合企業団)」を採用

  →住民ニーズに柔軟に対応し、広域的な事務を より主体的に行なうことができる

 

◎広島県水道企業団の取り組みについて

 ・基本理念/多様な背景の市町と県が統合して相乗効果を発揮し、良質な水を適切な料金で安定供給

 ・施設の再編整備/市町の枠を超え、エリア(5つ)ごとに将来に向けた施設の再編整備

 ・危機管理対策/施設の強靱化とバックアップ機能の強化

 ・通信基盤 システム整備の充実/セキュリティ確保・DX AI化推進・スマートメーター等

 

 

 

◎広島県水道企業団の経営見通しについて

 ・損益/全ての事業会計で、単独経営の維持より改善の見通し

  →組織統合への国交付金・維持管理費の縮減・スケールメリットによるコスト縮減

 ・水道料金/(料金改定は避けられないものの)単独経営の維持に比して料金の上昇を抑制

 

 説明のとおり、広島県においても 水道事業の広域化は時代の趨勢に伴う「時代の求め」であることが強調されていました。

 なお広島県においては「県」が主導する形で事業が進められています。これはこの地域の地域事情に合った形での事業(推進)とのことで、これがすべからく長野域に当てはまるものではないものの、何らかのリーダーシップをもって事業を進めることの成果を感じ取ることができました。

 また、私の方からは、事業統合にあたっての住民説明→住民理解と人材育成について質問させていただきました。

 先ず 住民説明→住民理解については、基本的に所属の市町に任せた中で周知したとのことでした。その中では「料金が高くなるんじゃないか」とか「いずれ民営化するのではないか」などの懸念の声が出されたとのことでしたが、前掲のとおり「構成団体が単独を維持する場合より水道料金の上昇を抑制できる見通し」を掲げ、丁寧な市民説明に努め、概ねの理解は得たと  

 具体的には、先ずはこれまでの自治体の水道事業を いわば尊重する形で水道事業・水道用水供給事業・工業用水道事業の各事業について「区分会計(事業ごとに会計や料金を区分して経営)」を採用し、事業の混乱を避ける手法を取ること、料金についても、14市町で1,6倍もの格差があったことから、その平準化に向け、5年ごとに改定に向けた協議や審議会(水道審議会)の答申を踏まえて改定してゆくとのことを説明し、住民理解を求めているとのことです。

 また、人材育成については「水道専門家集団の育成」をめざし、職員の資格取得支援によるスキルアップの推進・ミッションステートメント(運営方針の明確化)の向上により市町を越えた共通認識の醸成・サテライトオフィスの設置等による働きやすさの構築などの努力を重ねているとのことでした。

 広域化については、これまでの自治体の歴史を踏まえたうえでの相互理解と(統合による)成果の創出、また受益者住民はもとより関係する職員の相互理解が欠かせないことを実感すると同時に、そのためには急激な統廃合ではなく、激変緩和的な 拙速にならない粘り強い作業が欠かせないことを実感しました。

 

以下、他市の視察内容についても順次報告してまいります。

 


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