長野市議会 令和4年9月定例会は、本会議で個人質問が行なわれており、この日(7日)発言の機会を得て登壇しました。

私の今回の個人質問は「問題提起」の場といたしました。
発言時間に限りがあったことや、それぞれの課題に「掘り下げ」が欠かせないところですが 時間内で完結することは難しいことから、この場(本会議)は〝一石を投ずる場〟とし、詳細については、後の委員会や活動の場で掘り下げてゆくことといたしました。
※ 今回のブログはいつにも増して長丁場(長文)になりますが、ご容赦のうえご高読ください。
質問の冒頭、5日に発生した「園児(園バス)置き去り事案」と、6日に発生した「長野市内(上野(うわの)地区の大規模住宅火災」に鑑み、いずれも 過去に起きた同様の事案が繰り返されていることから、さらなる再発が無いよう 市としても検証すること・大規模火災については、被害の大きさに鑑み 当局(消防局)だけではなく、各所管課が被災者支援を適切に行なうよう緊急に要望しました。


そして本題に。
まず、荻原市長が 旧統一教会と関係があったことについて質(ただ)しました。
このことについては、市長本人がこれまでにマスコミ取材に応じ その内容も報じられていますが、本議会における説明が未だ行なわれていませんので、議事録の残るこの場での説明を改めて求めました。
これに対し市長は 過去のマスコミ取材への回答のとおり、さきの市長選の際に(先方の申し出により)支援してもらったことや 関係団体のイベントの際にビデオメッセージを送ったことを述べた(認めた)うえで、一連の行動によりご迷惑とお騒がせしたことを謝罪しました。
そのうえで、今後は かかる関係団体とは関係を持たないことを改めて表明しました。

クリーンなイメージが定着しつつある荻原市長にとって、今回の行動は残念と言わざるを得ません。ただ、長野市議会議員の中にも 当該団体と関係のある者が居るとの情報もあることから、今後はあらゆる立場の者に慎重対応が求められています。
特に市長に対しては、現職となった今 市長本人のみならず秘書課を初め理事者も対応に留意すること、また過日は 当該団体から市社会福祉協議会がマスクの寄付を受けた経過があることが報じられましたので、各課においても 慈善事業等を隠れみにしてつけ入るこの手の団体には注意するよう指摘しました。
また併せて この手の事案で最も懸念されるのが、当該団体をはじめ宗教団体等による被害の発生と それに対する相談体制であると考え、一連の事案を受けて 旧統一教会をはじめとする宗教団体等から高額なお布施の強要など市民被害の実態はないか、さきのマスク寄付のように当該団体等から市へ寄付行為等がないか、また実際に被害が生じた際にはどのような相談体制を敷いているかを質しました。
これに対し市(市民生活部長)は、これまでの被害相談状況は3件・寄付行為は無し・被害発生の際には 弁護士を含め専門機関を紹介するなどの対応を行なう旨の答弁がありました。

このような宗教絡みの被害は 対応が非常に難しい側面があることから、市(理事者)には、相談等の対応が「聞き置き」や「タライ回し」にならないよう 真摯かつ合理的な対応を強く求めました。
また、ここへきて 改めて開催の是非が問われている「安倍元総理の国葬」について 長野市の認識を問いました。
このことについては 一国の宰相が銃弾に倒れるという事実(悲劇)には同情を禁じ得ないものの、その葬儀を「国葬」として扱うことについては 開催基準や予算(税金)の支弁・さらには故人そのものへの評価の多様性などに鑑み、「国葬」への是非が問われる事態となっています。
答弁の中で 長野市長ならびに総務部長は「さきの「令和元年東日本台風」の際の現地視察などの迅速対応に感謝し お悔やみ申し上げるところですが、市としての弔意については(以下 総務部長)国や県は、半旗掲揚や黙祷などの弔意を示す行為は求めないとしていることから、市としてもその予定はない。」とのことでありました。
次に、今後のコロナ対策について質しました。
本市のコロナ感染の高止まりに伴う医療や保健行政の厳しい状況は ご案内のとおりですが、それらの状況に鑑み 国は「コロナ感染者の「全数把握」の見直し」を進めるとしています。
この見直しによる本市保健行政 さらに医療サービスへの影響はどのようなものになるか質しました。
これに対し 市(保健所長)は「全数把握」の功罪、それも (全数把握に)肯定的な見解ではなく、どちらかといえば「課題が多い」旨の論調で答弁を行ない、耳目を引きました。
曰く「国が行なう全数把握には、国の言う〝保健事務事業の効率化〟というよりも これまで「発生届」により網羅されてきた(軽症の)感染者が、その後の容態によっては医療機関での(再)手続きが必要になり、いわゆる二度手間を余儀なくされることになるなど 現場はかえって混乱するのではないか。」と発言され、医療行政事務の責任者の立場でも この全数把握には課題があることを(公式に)述べられました。
また、2学期以降の小中学校や(児童生徒のいる)家庭や 高齢者や障がい者施設等での感染状況の推移とその対策、また やがて来る冬季に向けたコロナ対策の方針について質したところ、今後の感染拡大にも予断が許されないこと、今年の冬季には インフルエンザとコロナの両方の感染症の流行も予想(懸念)されることから、さらなる注意が求められる旨の答弁がありました。
さらに、医療関係者から 軽症で推移するハズの第7波において、死者数が増加傾向にあることが問題視されていることを伝え、そのこと(死者数増加)に対する見解を求めました。
これに対し 市(保健所所長)は、これだけ多くの感染者が出れば(分母が増えれば)死者数(分子)が増えるのは止むを得ないとしながら 死者の増加は そこに至るまでに病床を占用することにつながることから、引き続き感染者が重症化→死亡に至らないための不断の取り組みが重要である旨の答弁でした。
今回の市(保健所長)の答弁は「コロナ感染者の全量把握」は、国の目論(もくろ)む保健事務作業の効率化・省力化の裏はらに、現場での課題が予想(懸念)されることが窺(うか)がえる内容でした。
かかる厳しい状況について 議会としても手をこまねいているワケにはゆきませんので、(全量把握等の)今後の動向を踏まえ 検証を深めてゆくことを申し上げました。

次に、公共施設マネジメントの考え方について質しました。
市民の有志が、さきに市が公表した「中部勤労者青少年ホーム」の体育館存続要望に端を発し、それに止(とど)まらず 長野市全体の体育館の有効活用と それによる市民生活の向上を期する非常に前向きな活動を展開されています。
去る8月25日に、当該の市民団体と市(総務部/第2回目の意見交換会が行なわれました。
そこでは、既存の体育施設をどのように維持してゆくか・そのためにどのような手法(やり方)があるか などについて忌憚のない意見が交わされ、特にその中で、廃止を予定している勤労者青少年ホーム体育館(商工労働課所管)を、社会体育館(スポーツ課所管)に移管したうえで存続することも可能 との「前向き発言」もあったとのことで、今後の展望(意見交換)が大いに期待されるところです。
そのうえで、今(こん)議会初日には 代表監査委員による意見書に、この案件に絡(から)む内容が盛り込まれており イイ意味で注目されました。
そこには「公共施設マネジメントで重要なことは、廃止した建物を取り壊すことではなく 有効に活用して効果を生み出すことである」とされており、これは、市行政を監査する立場からも 現有の公共施設については〝廃止ありき〟ではない有効活用の視点を求めているものであり、そこに大きな一致点を見出すことができます。
しかし、そのためには ときに所管を超えた横断的な取り組みが求められることから、今後も市民を交え、さらに理事者においては所管を超えた 相互の いわゆる「勉強」を継続することが肝要であることを申し述べました。

今(こん)議会の市長の所信には「今の市民にも、将来の市民にも偏った負担を強いることのない成果を共々に導き出してゆきたい」旨の発言もあったことから、まさに その価値観で今後の議論に臨むべきと考えるところです。
一方、これまで税金を投入した施設などが いわば場当たり的な運用によりマイナスの成果となっている事例もあり、このことについて検証すべきことから発言しました。
2つの事例を挙げて質しました。
スポーツ関連で、南長野総合運動公園のサッカー場について、現在のUスタジアムに加え 今後新たにピッチが整備されるのですが、私の所属する会派は はるかそれ以前のサッカーグランド整備の経過の中で、いわば〝造ったり壊したり〟との 事業の進め方に大きな無駄があったと考察しています。
この状況を踏まえ市(文化スポーツ振興部)の見解を質したところ「当時の社会情勢(AC長野パルセイロの伸長)から世論が高まり Uスタジアムの建設となりましたが、それまでの経過を踏まえ 今後は公共施設マネジメントの意義を踏まえ 適切に事業に臨んでゆきたい。」旨の答弁がありました。

また 福祉分野において、市民からの情報として 本市の外郭団体である社会福祉法人長野市社会事業協会傘下の障がい者授産施設「空風(そらかぜ)」の開設当初に設置したレトルト食品製造機械が、(開設当初から)稼働しないまま いわば〝置きざらし〟になっていることを明らかにし、この状況について市はどのように考えるか質しました。
このことについて 市(保健福祉部)は、どうやら この事実を知らなかったようで、市(保健福祉部長)は「当該の「空風」に問い合わせたところ…」との前置きで、次のように答弁しました。
「当該の施設によると、開設以降は他の事業(作業)が忙しく、この設備(レトルト機械)の使用に手が回らないまま現在に至っているとのことでした。しかしながら、国や県の補助金を受けて設置された施設(設備)が未稼働なのは問題なので、今後は状況をみながら 稼働できるよう指導・助言してゆきたい。」旨の答弁がされました。(このことについては、後刻 西澤副市長も「(事実を聞いて)驚いた。」と述べておられ、反響が広がっているようです)

これら事例のとおり、サッカー場については、二転三転した経過を辿って 結局また新たなピッチを造成することになっており、授産施設「空風」については〝設備を設置することが目的〟のようになっており、いずれのケースも、多額の公金を投入しながら そこに真に将来像を見据えた長期展望が無いまま事業を進めた末のマイナス結果と言わざるを得ません。
さらに言えば、特にスポーツ施設について、特定の施設に多額の予算を投入する一方で、市民に身近な施設の廃止を進めるのはバランスを欠いていると言わざるを得ず、市民の理解を得にくい側面もあります。
ただ これらのことについては、議会としても予算決議した責任の一端を担っており、理事者だけではなく議会としても然るべく顧(かえりみ)る必要があると考えます。

このことについて、特に 市社会事業協会の「空風」については、市(保健福祉部長)の答弁「開設以降は他の事業(作業)が忙しく、この設備(レトルト機械)の使用に手が回らないまま現在に至っている」を詰めれば、本来 使用(活用)するつもり(計画)で設置したハズの機械が「手が回らなかった」との理由で置きざらしになっているという状況は まさに〝無計画設置〟の極みであると言わざるを得ないことから、今回の質問を契機に 私の方でも施設に足を運び、改めて現状を調査すると同時に この設備が実際に稼働するよう計らってゆきます。
一連のやり取りを通じて 公金を投入した公共施設や設備について、とりわけ これからの地域社会においては、行政も市民も関係なく あらゆる立場の者が〝垣根〟を超えて知恵を出し合い、より良い方向に向け いわばルートはいくらか違っても最終的に同じ頂(いただき)をめざして登ってゆけるよう 環境整備を進めるべく、今後も検証や考察を深めてゆきたいと思います。
次に、市職員の「第2の職場」について質しました。
先ず、退職した職員の「第2の職場」は、どのような経過をもって決められるのか現状を聞きました。
それによると(総務部長答弁)、退職職員は 市の外郭団体等から理事長等の役職に就ける者がいないかとの呼びかけに基づき、個々に面接するなどして雇用調整を行ない 然るべく再就職をするとのことだそうです。
で あるとすれば、第2の職場に向かう者(退職者)は ただ漫然とそこに行くのではなく、何らかの意思(意志)・意欲をもって第2の人生を歩むハズでありましょう。
しかし、実際はそうでも無いことが往々にしてあるようです。
再就職の概要を聞いた後、以下の事例を明らかにしました。
「市民からの情報ですが、市職員のOBが知的障がい者支援団体の理事長に就任したものの、その主体である障がい者さんの工賃の額を知らないまま椅子に座っているのは、あまりに勉強不足ではないかとの指摘を受けました。」
「市職員OBは、本来は第2の職場で これまでの多年に亘る勤務実績・経験値を活かし、行った(再就職した)先の組織の資質向上に貢献すべきですが、中には単なる「腰掛け」と捉え、ただ居るだけの存在に甘んじている実態もあるようです。この残念な状況についてどう考えるか伺います。」
これに対し 市(総務部長)は「倉野議員の発言のとおり、本来は 現職のうちに培われた経験や知見を(第2の職場で)活かすべきところですが、情報のように「腰掛け」でいる実態があるとすれば問題なので、今後(退職し)再就職する退職職員に対しては 自覚をもって(第2の職場に)臨むよう伝達(指導)してゆきたい。」旨の答弁がありました。
なお このことについては、改めて総務委員会で議論したいと思います。
次に、DX推進について質しました。
過日 庁内の巡回ロボットと清掃ロボットのデモンストレーションがあり見学、そのこと(デモ)自体は評価したところですが、気になったのが ロボットの供給元でした。
巡回ロボは東京都内のベンチャー企業・清掃ロボは全国シェアの大手企業から提供されていたのです。
このことを単純に受け止めると、本市のDX推進は いわば首都圏など県外企業の受け売りで進められるのではないか、と一抹の懸念を感じたところです。
長野市のDX推進にあたっては、事業に臨む際には 先ず最初に市内のIT企業と連携し、市内に遍在するノウハウを集積したうえでDXを推進すべき。
私はこれを「DX推進の地産地消」と造語し、これを確実に進めるべきと強く考えました。
結果として本市DXが推進されても、それが県外の大手によって行なわれたのでは、得られた成果は半分と言わざるを得ないでしょう。
しかしながら、例えば市の事務事業のDX化については 最終的には入札になることから、県外企業の参入は拒むことはできませんが、それ(入札)を前提にしながらも それ(入札)以前に市内のIT企業を育成し、いずれ県外大手に対抗し得るスキル(技術)を高めてゆけば いわば堂々と長野市DX推進に(市内IT企業が)参画できることにもなり、それは 市内IT企業(産業)の底上げにもつながることでしょう。
さらに言えば、長野市のDX推進に向け 市行政が市内IT企業に多様なミッションを求めることは、本市のIT産業全体のスキルアップの要素となり、それは例えば信大の新学部誘致に向けたアピール材料にもなると期待されるでしょう。
今後は、長野市で既に組織されている「長野市ICT産業協議会」等と市が連携と研鑽を重ね、「DX推進の地産地消」を具現化するべく計らってゆきたいと考えています。
このことについて、特命として就任した 松山副市長に考えを聞いたところ「長野市内には有望なIT企業が遍在しており、それら地元企業は 長野市の特性や 長野市ならではの強みを持ちながら企業活動を展開されている。今後も これらのスキルを集積しつつ、現実的には大手と役割分担をしながら(DX推進の地産地消を)進めてゆきたい。」旨の答弁を受けたところです。

一方、DX推進のニュースを耳にした障がい者支援団体の関係者から「効率化・省力化のあおりを受けて、障がい者雇用の機会が失われるのでは…」との憂慮の声が上げられており、このことについても触れました。
市の行政運営においては、DX推進により将来に向けた事業の効率化を進める一方で 自治体運営の中で障がい者などの福祉就労をおろそかにすることなく雇用の機会を維持する、いわば「二刀流」を果たさなければならないと思います。
そこで、現下のDX推進に併せて 障がい者雇用を維持・推進すべきことについて見解を求めました。
これに対し 市(総務部長)は「既に本市では 障がい者雇用を実践しており、今後 DX推進に伴う効率化によって(障がい者雇用が)疎(おろそ)かになることは無い。逆に DXの技術を活かして業務内容の分析と適正化を進め、障がい者の方々が「できる仕事」を検出して さらなる障がい者への役務の提供に努めてゆきたい。」旨の答弁がありました。
これらの件については、私の立場でも適切に仲立ちをしてゆくことを述べ、今後の(市の)協力と連携を乞うたところです。

最後に「市内の公園内の犬の散歩解放の見込み」について聞きました。
この件は、市内 複数の愛犬家から要望を受け質問したものです。
長野市は、他の自治体に比して 犬の散歩を禁止している公園がほとんどです(許可は7公園)。
これは何より「飼い主マナー」に他ならないところがあり、その考え方が 他の自治体より厳しいということでありましょう。
愛犬家とすれば 市内に遍在する公園でワンちゃんと共に時間を過ごしたいところですが、主たる課題は「犬のウンチ問題=飼い主マナー」です。
本来 飼い主は、犬の散歩の際には「マナー袋」を持ち歩き、連れ歩く犬が糞(ふん)を排出した際には 直ちにマナー袋に回収し、自宅に持ち帰ってゴミとして処理すべきところです。
ところが、中には そんなこと(マナー実践)にはお構いナシで、自分の犬が排泄したにも関わらず その場にそれ(ウンチ)を放置したまま立ち去ってしまう者もおり、これが「公園に(犬の)立ち入り禁止」の〝足かせ〟となっていました。
一方では 近年 かかる飼い主マナーも徐々に向上し、今までのような〝放置〟が減ってきたことから市民意識も変化し、令和3年度のまちづくりアンケート結果では「公園内の犬の散歩に反対」との回答は16%と少数派となったことから、この際は 今の(公園内の犬の立ち入りを規制する)条例を見直し、原則 犬の散歩を可能とすべきではないか というものです。
このことについて 市(都市整備部)の今後の見通しについて尋ねたところ、どうやら〝軟化〟の方向に動いているようでありました。
私は残余の時間なく詰めることが叶いませんでしたが、後に他の議員に関連質問を乞うたところ それへの答弁で、とりあえずは 来年度から「南長野運動公園」の敷地内への犬の連れ込みを許可することになるようです。
但し、それは「飼い主マナー」が遵守されることが前提となります。
公園の開放が進んだからといって、再び野放図に〝糞害〟を起こすようなことになれば あまねく市民の理解を得ることは難しくなることから、愛犬家におかれては あくまで飼い主マナーの向上を実践し、誰もが気持ちよく公園を利用できる環境づくりの一助を成してほしいと強く願うところです(これは「公園に限らず」ですが)。
冒頭に述べたとおり、今回の個人質問は「問題提起」の場としたことから、一連のやり取りを通じて炙(あぶ)り出された問題・課題をシッカリとメモリーし、後日開かれる委員会や 今後の活動の中で検証・対応を行なってゆく所存です。

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