リタイヤ親父の暇つぶし

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ベーコンとロースハムの燻製方法確立まで(低温湯煎法の採用)

2015年08月31日 | 燻製
ベーコンとハムの燻製を長らくやっていて新しい概念に出会いました。それは「真空調理」あるいは「低温調理」と呼ばれているものです。要は肉のタンパク質が硬くならない温度で長時間加熱する調理方法です。ベーコンもロースハムも燻製だけでは内部まで火が通らないため燻製後に湯煎していました。70℃であったり75℃であり、時間も2~3時間とか経験則で決めていました。低温調理の考え方で湯煎すれば美味しいベーコンやハムが出来るはずだと考えました。温度を低くして湯煎するのですが、殺菌という問題が絡んできます。63℃30分相当という基準(目安)が世の中には存在します。温度を低くした場合加熱時間をどうすれば良いのかという疑問が出てきます。

温度を変えた時の相当時間は時間軸を対数表示すれば直線になります。2本の線は63℃30分(70℃1分)と75℃1分の相当の線を示しています。この線の間に囲まれた領域を殺菌の条件と決めました。加熱温度は殺菌とタンパク質の硬化からは60~62℃の範囲になります。肉の食感(ぼそぼそするとか硬いとか)は加熱温度と時間の影響を受けます。60~63℃の間で加熱温度と時間で肉汁がどれ位でるか調べました。結果肉汁の出方には温度よりも時間の影響が大きく保持時間を3時間以内するのが良いことがわかりました。60℃で長時間のものはぼそぼそし、63℃のものは硬さをを感じます。しっとり感と噛み応えのあるバランスのとれる条件は62℃3時間ということになりました。ベーコンもハムも63℃3時間を湯煎の保持時間とし燻製後湯煎開始から62℃に達するまでの時間を肉の厚み(Cm)÷2として合計の湯煎時間を決めます。ハムで直径10Cmのものは8時間(最近は赤い肉汁が残るのを防ぐため11時間に変更しました)、ベーコンは(大抵厚みが4Cm)は5時間の湯煎時間となります。燻製後直ぐに真空パックして湯煎することが前提です。
湯煎の道具
湯煎の温度を62℃で長時間安定して加熱するには攪拌装置が必要となってきます。加熱と攪拌が一つになったコンパクトな装置がANOVAというものです。これが無ければ低温での湯煎が出来ないと思っています。
燻煙条件
燻煙前の乾燥を55℃×3.5時間しています。冷蔵庫から出していきなり煙を当てても温度が低く色も香りも付きません。燻煙開始時に40℃を超えておれば良いとおもっています。燻煙は65℃でハムは香りを強くつけない方がよいので3.5時間、ベーコンは香りをつけたほうがよいので4時間としています。
最新の温度測定結果
(1)ベーコン

(2)ロースハム

燻製中の温度は燻製だけでは7~8時間加熱しても設定温度に達しません。ベーコンは湯煎なしで燻製だけで仕上げることが書かれていますが、加熱温度を70~80℃にすれば湯煎は廃止できると思われますが場所により加熱しすぎあるいは加熱不足が生じるかもしれません。ベーコンは通常焼いて食べるので問題ないかもしれません。62℃で湯煎したベーコンは脂身のジュシーなものが得られます。一方ロースハムは厚みがあり内部まで火を通す必要があり、湯煎は不可欠です。

参考
肉汁の生成量と湯煎条件の関係
ANOVAのテスト
低温湯煎肩ロースハムの他者評価

7 コメント

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Unknown (hamayan)
2015-08-31 10:04:07
湯温、表面温度、芯部温度、時間etc.すごいデーターです。
私は経験則で、はじめは湯温60℃で湯煎して、芯部が60℃になれば湯温63℃に上げて、芯部63℃で30分湯煎していました。
肉の中心温度62℃でのハム作りを試してみたいですが、そのためにはANOVAを入手が必須ですね。
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ありがとうございます (りゅうちゃん)
2018-01-05 15:34:14
ありがとうございます。
数あるハムつくりの方法で、最も科学的でわかりやすく納得のいく記述です。
参考にして、煮豚とロースハムを作りました。煮豚62℃8時間 冷却後濃縮にじるに漬け込み。ハム 62℃9.5時間 後急冷。どちらも大成功でした。
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低温調理の時期について (cotswolds)
2018-12-06 07:49:41
おいしく,かつ安全な肉の調理について,おもしろく拝見しました.
私も,昨今はやりになってきた,低温調理器を手に入れ,ベーコンの燻製つくりにも利用したいと思っておりました.
試行錯誤する前で、かつ文献等の検索も満足に行っていない状態でお尋ねすることを,恐縮しています.
ご教示いただいた燻製後の低温調理に変えて、脱水シート利用とそれに続く風乾後に,真空での低温調理で安全でかつ望む肉質の温度まで上げて肉を準備し,その後に燻製庫内での温度管理をした乾燥と燻すことを考えております.保存も考えると2度の真空パックが必要となりますが,肉質はよりよくなるのではないかと考えておりました.
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低温調理の時期 (ブログの主)
2018-12-08 02:52:48
低温調理の時期を燻製の前後のどちらにするのが良いかということですが私の結論は燻煙後に低温調理です。理由は①低温調理により柔らかく旨みのある肉質に改善されており、その後の燻煙は色づけと香を少し追加する程度の効果しかない。②低温調理の目的は旨みをだす以外に殺菌があります。真空パックした状態低温調理しそのまま冷蔵庫で保管すれば空気や手に触れることがないので冷凍しなくても長時間保存が可能になる。③低温調理後燻煙すると燻煙後真空パックするときに空気や手に触れることがあり無菌での保存は難しい。以上が主な理由ですが低温調理時には使いやすいサイズで真空パックしています。燻煙後真空パックに入れるときは調理用の手袋をしています。
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Unknown (yamaoyapi)
2021-06-22 13:06:27
豚の脂肪は50℃くらいで溶けてしまうということですが、60℃ちょっと超えた湯煎で溶けてしまうことはないのでしょうか?どういう『脂の溶け落ちて抜けることの防止』をすれば良いのでしょう?
ベーコンの温燻に挑戦していますが、燻製中に脂がどんどん溶け落ちてしまいます。温度は6-70℃にはなっているのではないかと思います。教えて頂ければ有難く存じます。
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Unknown (yamaoyapi)
2021-06-22 13:08:18
豚の脂肪は50℃くらいで溶けてしまうということですが、60℃ちょっと超えた湯煎で溶けてしまうことはないのでしょうか?どういう『脂の溶け落ちて抜けることの防止』をすれば良いのでしょう?
ベーコンの温燻に挑戦していますが、燻製中に脂がどんどん溶け落ちてしまいます。温度は6-70℃にはなっているのではないかと思います。教えて頂ければ有難く存じます。
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Unknown (ブログの主)
2021-06-22 15:05:17
燻煙中の脂の溶け落ちは雰囲気温度(燻製器の内部温度)に依存します。昔は湯煎なしで燻製だけで内部まで殺菌しようととして75度で燻煙していました。この時はボタボタ脂が落ちていました。65度で燻煙すると脂は殆ど落ちません、しかしながら内部には火が通っていません。その後の真空パックして湯煎で低温殺菌を62度で8時間以上しています。ゼラチン状の肉汁が出ます。真空パックのまま殺菌状態のまま保存します。
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