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「イリアス」おもしろかった~

2010-09-28 | 演劇

内野聖陽さん主演の「イリアス」
今年のベストに入るくらいナイスでした。
ネタバレあります。お気をつけてね。


「イリアス」
原作:ホメロス
脚本:木内宏昌
演出:栗山民也
音楽:金子飛鳥
美術:伊藤雅子
出演:内野聖陽、平幹二朗、池内博之、木場勝己、高橋和也、新妻聖子、チョウソンハほか
ル テアトル銀座 9月18日マチネ観劇

「イリアス」は紀元前8世紀頃ギリシアの詩人、ホメロスの世界最古の長編叙事詩。
紀元前13世紀ごろのトロイア戦争の物語。
超大昔の話なのに、と~ってもおもしろかった。

有名な「トロイの木馬」で、トロイア軍はギリシア軍に敗北したけど、
この舞台は、負ける前の争いの話。

このギリシアトロイア10年戦争の発端はギリシアの絶世の美女ヘレネを、
トロイアのパリスが奪って行ったからだって。
ヘレネって「ファウストの悲劇」でも出てきたけど、
男性の間では絶大な人気の美人らしい。

舞台はトロイアの城壁が高く立ちはだかる。
壁の赤い色が印象的。

ギリシア軍の衣装が赤に対して、トロイア軍は青。

大きな赤い布をひきずるようにして、
トロイアの王の娘・預言者のカサンドラ(新妻)が歩く最初の場面だけで、
紀元前の世界に引き込まれました。

大きな布はまとめた形で遺体を表現したりして、すごくシャレてました。

神々がその時のきまぐれで片方に味方して、戦況が変わるという、
とんでもない神だのみな戦い。
現代のドラマ感覚だと、はぁ~?なんだけど、
遠い昔って、神と人との距離が近かったんだよね。
日本の民話に似ていておもしろい。

戦争がテーマの話なのに、アキレウス(内野)とヘクトル(池内)の対決場面以外は、
朗唱で戦を語るという叙事詩の原作を生かしたもの。

静的な舞台だけど、ぜんぜん退屈しなかった。
すごく引き込まれておもしろかった。
脚本に無駄がなくて、緊張感が保たれたのだと思う。

生演奏がよかったです。
特にヴァイオリンが嘆きを雄弁に語り、
5人のコロスの美しい動作と相まって、一種独特の雰囲気。
地上よりちょっと浮遊した世界って感じ。

栗山さんの演出は、井上ひさしさんの戦争3部作みたいなのばかりかと思ったら、
シンプルで知的で、洗練されてるのにちょっとびっくり。
これは出演者が実力ありの人たちばかりだから、実現できたのかも。
はい、こういうの大歓迎ですよ。

平幹二朗さんが、弱々のトロイアの王。
でも大きな月(太陽だったかも)を背景に立ちつくす姿は、
キリスト風で、なんだか趣深い。

息子ヘクトルの遺体にとりすがり慟哭するシーンは、鳥肌ものでした。
「不思議な中国の役人」では、高笑いで度肝を抜かれたし・・・
すごい役者さんだわ。

池内博之さんのヘクトルのキレのよさがよかったです。
今までの池内さんの中で一番よかったかも。

木場勝己さんのアガメムノンも貫禄ありでよかったです。
アガメムノンってオレステスの父で、10年戦争に勝って、
ギリシアに帰ったとたんに、妻と愛人に殺されるというトホホな人なのです。

預言者じゃないけど、彼の未来を知ってるから、
よけいに哀れって感じがしました。

チョウソンハくんが身軽なところを見せてました。
死後の姿が天使っぽくて、それでいて衣装は十字架のキリスト風。
死者の言葉が悲しくて、うるっとしました。

ギリシアの戦士アキレウスの内野聖陽さんは、戦闘場面がナイスでした。
高橋さんや新妻さんもよかったし、出演者のみなさん、すごくよかったです。

みなさん、お疲れさまでした。
ステキな舞台をありがとうございました。
超オススメです
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 10月3日まで公演






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