いやぁ、おもしろかった~
とっても悲しい話なのに、気分すっきり。
ストレス解消しちゃった・・・
作 :河竹黙阿弥
演出・美術:串田和美
音楽 :椎名林檎
出演:中村勘三郎、中村橋之助、中村福助、中村勘太郎、中村七之助、笹野高史ほか
Bunkamuraシアターコクーン、25日夜の部観劇
28日まで公演
前評判の高い「三人吉三」コクーンの手前には、手ぬぐいや便せんなどのグッズのお店が出ていました。
開場と同時に太鼓のリズミカルな響きが。
気分、大盛り上がりです。
劇場内では、お団子なんかも販売しています。
歌舞伎仕様なので、コクーン劇場内でも飲食可。
へぇ~ちょっと楽しいです。
いよいよ幕が開くと、白い犬が舞台をトコトコ・・・
え?本物?どうして?
お客さんがどっと沸いて、いよいよスタートです。
伝吉が盗んだ庚申丸(刀)を、川に落とし、
あげくに、吠えられた、はらみ犬を殺してしまう。
という、悲惨な将来を暗示した序幕。
その次の場では、金貸し役の勘三郎さん、客席通路でアドリブ風な話題満載。
7月のニューヨーク公演のための英語で喋ったり、
「お金をもらったら、申告申告」と、自分の事をネタにして。
客の緊張を一気にほぐして、客の心をつかみます。
うまいね~
客だって、最初は緊張するもんね。
特に慣れない劇場なんかではね。
客層は、歌舞伎座より2段階くらい若い。
蜷川さんの芝居よりも若いかも。
女性客多いね。
客席通路を何度も使います。
歌舞伎座の花道より近くで役者さんが見れるので、お得感大ね。
今回、1階席は前半分が平場席といって、椅子じゃなくてお座布団席。
お座布団のあいだを役者さんが通ったりして、おもしろかった。
舞台の高さも、いつものコクーン芝居よりも低かったね。
「三人吉三」は再演で、観劇日も千秋楽近くだったので、
芝居はこなれていて、というのかな、ホントに面白かった。
歌舞伎って、役者さんが慣れてるからかな、安心して観れる。
役者さん同士の呼吸もぴったり。
勘太郎さんと七之助さんが、ひと目見るなり互いがひかれるシーンも、
ふたりの間の火花が見える感じ。
七之助さんの「もし・・・」というせりふ、色っぽかったね。
七之助さんきれいだし・・・あ、勘太郎さんもきれいだったよ
指が細くて長くて(何見てるんだ、わたし)
歌舞伎って三味線や太鼓が、生で入るからホントにステキ。
ツケのぱんぱんって音も大好き。
七・五調のせりふもカッコよかったね。
「ほんに今夜は節分か。
西の海より川の中、
落ちた夜鷹は厄落とし。
豆沢山に一文の、銭と違って金包み。
こいつァ春から、縁起がいいわへ。」
お嬢吉三のせりふだけど、大好き~
福助さんのお嬢吉三と橋之助さんのお坊吉三がまとう、悪の匂い。
勘三郎さんの和尚吉三との三人が、見得をきる場では、
ため息が出そうな、きれいさ。
悪の華っていうのかな、ぞくぞくしてくる感じ。
勘三郎さんが若いふたりの生首を持って、登場するシーンでは、
勘三郎さん、目が血走ってました。
その迫力、引き込まれましたね。
笹野高史さんだけが、歌舞伎役者じゃないらしい。
笹野さんから感じられる、ちょっとした不協和音っぽいものが、
伝吉から始まる、因果な話の暗さを感じさせた。
これ、主な登場人物がみんな死んじゃうんですよ。
江戸時代の日本人も、シェイクスピアに負けないくらいの、
悲惨な話を書いてたんだ。
ラストは三人の吉三が折り重なって死んだところに、雪が降ります。
それも、思いっきりたくさん。固まって。
3日前に観た「少女とガソリン」も赤い紙が降ってきたけど、
あれの1000倍くらいの量かな、もっと多いかもしれない。
客席にも降り注ぐし、最後は雪崩のように超大量の雪が舞台の方から、ガーっと吹き付けてきました。
この日はなんと、最前列の席だったので、まともに雪崩の被害を受けました。
目も開けられなかった。
こんなのはじめて・・・
出演者になったみたい。てへ
上の写真のパンフの上にのっている白い紙が、雪です。
いつの間にか、バッグの中にドバッと入ってました。
靴の中や洋服にも潜んでいたらしく、家の中は雪だらけ・・・
ふふ・・・
ところで、ラストには椎名林檎の歌が流れて、
退廃的な感じが今の世の中の気分に、なんとなーく合っているみたい。
カーテンコールは、久しぶりのスタンディング。
1階席はみんな立ってたみたい。
3回目のカテコは手拍子で幕が開くと、女郎ふたりがほうきでお掃除中。
笹野さんまでが、掃除機を持ち出して。
カテコまで、おしゃれで楽しい演出でした。
こういうとこ、勘三郎さんのファンサービスかな。
それとも普段の歌舞伎では、カテコがないから、いろいろやりたかったんでしょうか。
悲しい芝居だったけど、なんだか楽しい気分で帰りました。
みなさまお疲れさまでした~