うずくまったまま動かずに
霧に包まれた詩を引き寄せ
感性と感情を高ぶらせ
思いもよらない声で歌う
薄暗い少しの暖かな光の中
複雑と単純の境目
うずくまった体は心を縛りあげ
動けなくなり妄想を呼ぶ
見えない人がこちらへ来る
見えない人が見詰めている
いや見えない人は自分なのか
水平線が蜃気楼に取って代わり
溜め息が知らぬうちに欠伸に変わる
幻が現実になり
夢が空から落ちてくる
強烈な目眩に襲われながら
それでも止まることはしない
それでも想いという強さを手から離さない
いつの間にか砂になっているとも知らずに
強く握ったこぶしから零れていく
諦めていた甘い果実が呼んでいる
味を忘れた儚い者に向かって呼んでいる
ふとよぎる滅裂で交錯する布越しの暖炉
困惑する記憶の断片が
甘酸っぱい蜜を欲しがって
遠い近い未来へと鼻をきかせる