雨がふる
しとしととふる
この雨が
ざんざんぶりに
なるとさみしい
飛び込んだ
一言が染み
渡りきる
愛されるひと
横断をする
「富士日記(上)」
武田百合子 著
個というものに思いを馳せる。
家族のふれあい。
百合子、泰淳、花子。
さまざまの喜怒哀楽。
旬でありながら今を思い。
稀有である個。
食を思い、眠りを思い、べらんめいを思い。
自然を思い、花を思い、生と死を思い。
そばかすを思い、ニュースを聞き、車を乗り。
季節は巡り、繰り返す、また新たに。
見詰め、ほおけ、拵え。
鳴き声を、足跡を、そのままを、懐にいれて。
個と個は、触れ合い、放れ、引き合い。
泳ぐ、滑る、散歩、夕暮れ。
見惚れる、いつでも、いつまでも、おうち。
おうちに帰ろ、心のなるまま。
中に続く。
神にみちびかれた
光の遊戯
宴がはじまる
おどる木や花や
風や石や
影はおどる
探し続けたんだ
こんな雪の中を
あかりは足に頼り
かじかむ手はそれほど寒くはなく
理由は血がかよう神経のせい
宇宙の星の散りばめられた
あの中に音楽がはいっているのか