余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

木々

2021-04-02 23:47:28 | 天秤の詩
不自然になった居場所から
空虚な森へさ迷えば
枯れ葉の軽さが伝わってくる

 鳥が鳴く
おまえが鳴いているのか
脱力した体には
おまえの声は少し痛い
木々の間から射し込む光
光に吸い込まれていくように
消えていくのか
  あの日のように

 光の届かない
木々の間を目を凝らせば
光の反射によって見えてくる
こちらを見詰める鹿がいる
おまえなのか
おまえが見詰めているのか
警戒なんかしなくていい
透き通る瞳はここにいてもよくわかる
でも行ってしまうのだろう
手の届かない木々の闇へと
吸い込まれるように
  林に潜む獣だから

 木々の葉のこすれる音
落ち葉の伝わる感触
夢中の中の追いかけて
触れたくて
水の波紋のいくつもとぶつかって
大気もふるえている
緑 白 紫 青
憧れる強さが指を落とす
まともじゃないのは分かっている
だから俺は ここ に い る
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孤独な隠者

2021-04-02 23:45:31 | 天秤の詩
暗い影を体に落とし
(はにかむ顔は子供の頃)
どうにも幻が付いて回る
どこを見ていいのか分からずに
挙動不審に息が上がる
分かっていながら尋ねるのは
ここは何処? 何の意味?
かしげながら尋ねるのは
真実? 本質? 写実? 華?
手に取るのは闇の中から
奥の奥では静かに炎を燃やし
手からは可憐で儚い色が跳ね
鋭く光る喉の辺り
光と影の行き来を急いで
無数のカモメが上下する

息もつかせぬ荒技を
驚嘆の声を我が物として
白い光を目に宿し
無数の指が音楽を鳴らし
頭のてっぺんが火花を散らす
常に変わるものが
常に変わらぬものが
それでいても優しさが
見詰めた中を描き切る
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