見交わして
あなたのそらす
視線から
言葉の祈りを
確かめている
「愛の夢とか」
川上未映子 著
口語ですすめられる七つのおはなし。
近づいてきて、放れていって。
人物たちがすこしぼやけて過ごしている。
恋をして、さよならをして、
また出会いが訪れる。
トントンと胸がたたかれ心が開く。
通り過ぎていく日常は影になり、
影はあらわれ、または消えて。
息の詰まるときを家のドアをあける。
アイスクリームの冷たさに、ピアノの音色、
わたしのおうち、ゆうれいになって、
夢はいまを模索するよう。
コロナは触れることを禁じ、
見詰めることをためらわせる。
次第に変容していく世界のカタチになって、
言葉は無力となっていくよう。
見詰め続ける内面の宇宙は、
吐息の儚き夢とかになる。
あなたとわたしは星の光年ほどの距離を
指先で踊る。