栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

IHI元社長、稲葉興作氏の思い出

2006-12-03 01:15:49 | 雑感
 11月26日午前1時46分、石川島播磨重工業(IHI)の元社長、稲葉興作氏が亡くなられた。
マスコミに発表されたのは限られた身内だけで行われた密葬が終わった29日だった。
82歳。入院中とは耳にしていたが、まだ逝くには少し早いし、もう少し活躍して頂きたかった。

 私が稲葉さんにお会いしたのは1993年。もう13年も前になる。
当時、私はリクルート九州支社が発行していたトップインタビューマガジン「FACE ONE」の編集長をしていた。
 「九州経済の明日を語る」という企画で、九経連の会長や鹿児島・佐賀商工会議所会頭、九州経済同友会代表委員、JR九州社長など、各県、各界を代表する人達を取材して回ったが、どうしても九州外から九州はどう見られているのかを取材したいという欲求にかられてきた。

 そんな時、私の知人の中に稲葉さんの親戚筋に当たる人がいて、「稲葉なら九州にも時々来ているから、事前にスケジュールさえ分かれば、その時に会えますよ」と教えてくれた。
 ただ、この雑誌は九州の経営者を対象にしたものだったので、過去、九州外の人を取り上げたことがなかったので、いい申し出だったがIHIの社長ではちょっと企画内容と関係が薄いかな感じていた。
 ところがその後、東京商工会議所の会頭になられ、日本商工会議所の会頭をも兼務されたので、それなら日商の会頭という立場で話をしてもらおうと取材を申し込んだ。

 できれば福岡に来られた時に合わせて取材をしたいと思いIHI九州支社に取材依頼をすると、東京本社に申し込んでくれということになった。
それで東京本社に申し込んだのだが、知人から稲葉さんの方に事前に連絡が行っていたようで、東京に来るならいいよ、とすんなりOKになった。
 ただ稲葉さんは知人も一緒に来るものと思い、直接知人に電話をして、今度来るんでしょ、楽しみにしているよ、とその日の内に連絡されたから、取材に知人を同行する羽目にはなったが。

 お会いした印象は偉ぶったところがなく、とても気さくな方で、九州の財界にはいないタイプだった。
 九州についてお聞きすると、九州のポテンシャルを高く評価しつつも、東北は自由な雰囲気があるが、九州は「背広を着ないでいけるような雰囲気」に少し欠ける。「九州には人を受け入れる温かさがあるが、一方、お殿様とか地元の偉い人がいたりとエスタブリッシュメントもあるから」と話されたことがいまでも印象に残っている。
 もう一度何か機会をとらえてお会いしたいと思っていたが、いまとなってはそれもかなわぬこととなった。
 心から哀悼の意を表します

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