栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

最も政治家らしい政治家・小沢一郎

2006-04-06 01:49:19 | 視点
 いまの民主党の危機を救えるのはこの男しかいないーー。
民主党員であると否とに関わらず、大半の人がそう思っているに違いない。
この男とは、もちろん小沢一郎のことである。
その小沢一郎がついに立った、というか、やっと立った。

 全くの素人かセミプロ程度の政治家しかいない政治の世界で、唯一政治家らしい政治家といえる小沢一郎だが、彼には常に陰の男という印象がつきまとう。
それは自分がなかなかトップに立とうとしないからだ。
例えば前回の党首選の時も小沢一郎に期待する声は強かったし、本人も出ろと言われれば出る、みたいなことを発言していたが、結局でなかった。結果、前原氏が党首になり、今回のざまだ。
 もし、前回の党首選の時に小沢一郎が出ていれば、民主党の現在の体たらくはなかったのではないだろうか。

 ところがこの男、周囲からは豪腕と言われながらも意外に周囲を気にしている。闘い取るのではなく、皆から推薦されればなるが、全員一致の推薦がなければ何も出る必要はないとうそぶいている風がある。
どうせ豪腕と見られているのだから、俺のやりたいようにやる、とやっていいようなものだが、それをやらない。
存外繊細なのか、それとも根っから陰で動くのが好きなのか。

 今回の出馬会見を聞いていても菅さんが小沢一郎に一生懸命気を遣って質問に答えているのに対して、小沢一郎の方は記者の質問にもぶっきらぼうだ。
そんなことは君らマスコミが言っているだけで俺の知ったことじゃない。
そんな風に言っているように聞こえる。
「小沢さんは壊し屋だと言われているが」と記者が質問した時だ。
小沢一郎にすれば、俺は信念のためにやっているんだ。それを作っては壊すというなら、それはそれでいい。ただ、そんな次元の低い質問でなく、政権交代や政治のあり方について質問はいくらでもあるだろう、という気持ちだったのではないか。

 「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」
小沢一郎はずっとそんな気持ちだったのではないだろうか。

 彼は自分の信念、理念に対して非常にピュアな政治家である。
数の論理より自分の信念を重視するから、相容れない相手とはいままでも袂を分かってきた。
それが「壊す」と見られてきた。
だが何かを期待して集まる烏合の衆では何も出来ない。
必要なのは同志であり、志の低い人と一緒にいても何も生まれない。
ましてや政治の世界は。

 ところが政権交代のために必要となると、いままで喧嘩していた相手とも手を組む(統一戦線を組む)現実性も持ち合わせている。
信念にピュアであるが故に孤高を保つとともに、戦略・戦術面で必要とあれば手も組む現実性をも兼ね備えている。

 恐らく政治家・小沢一郎にとって今回が最後のチャンスだろうし、そのことは本人が一番よく分かっている。
この際遠慮せずに、徹底的にリーダシップを発揮し突っ走ってもらいたい。
もしも、暴走し出した時はそれを止める力が組織にあるのだから。
それさえもなければ民主党はそれこそ解党した方がいいだろう。

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