栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

初めて見た博多祇園山笠

2012-07-18 10:56:31 | 視点


 30年以上、福岡市内に住んでいるが、博多祇園山笠を見たのは初めてと言ったら、知人からあきれられてしまった。
彼は「ほぼ毎年見物」しているとのこと。
初めてと言っても全く見たことがないということではない。
飾り山は何度か見ているし、舁き山も1、2度はある。
ただ、今回のようにじっくり流舁き、追い山ならしを見たことがないというだけだ。

 最初、博多に来た時は驚いた。
7月1日~15日までの半月、男達は山笠にかかり切りになるのだから。
仕事も商売もそっちのけで山笠にかかっている。
山笠期間中はステテコに長法被姿でシティホテルのロビーでも、どこでもまかり通る。
その格好が正装だからだ。
半月も店を空けたら商売上がったりだと思ったが、男達の留守中に家や店を守っているのが「ごりょんさん」。
博多では女が強いはずだ、というか女性の力なしでは博多の町は成り立たない。
全国広しといえども、こんな町はないだろう。

 福岡に来た当初は「なんという町だ」と思ったものだ。
これでは中央から攻められたらひとたまりもないだろうと。
事実その通りになった。
大型店の出店で地場商店は次々に廃業、合併で消えていった。
まあ、これは何も福岡に限ったことではなく、全国の地方都市で見られた現象ではあるが。

 信じられないかもしれないが、当時「博多時間」というのがあり、よそ(九州外)から来た人間を戸惑わせた。
例えば会合などで「開始○○時」と決められれば、その前までに会場に集まるのが普通である。
仮に20分に会場に着けば、日時を間違えたかと思うだろう。
10分前にやっと1人、2人。
多くは開始時間に家を出るから、集まるのは早くて30分後。
そんな状態に誰も文句一つ言わない。
疑問をぶつけると「博多時間ばい」と意に介さない。
宮崎には「宮崎時間」があり、最初の内は大いに戸惑ったが、そんな経験も今は昔。

 時代が移って近年。
各地でコミュニティーが崩壊し、そのことが子供達にも悪影響を与えている中で、山笠の伝統はコミュニティーの中で人と人の繋がりや、助け合いの精神、長幼の序などを自然に、体で覚えさせていく役割も担っている。
 博多山笠はエネルギッシュだけではない--。


 博多祇園山笠の写真は「栗野的風景」に多数アップしているので、できればそちらも閲覧を。



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