重要な決断を迫られた時ほど、人は真価が問われる。

 アメリカの新聞記者アンブローズ・ビアスが書いた「悪魔の辞書」に次のような言葉が載っている。
「友情(Frendship)とは天気のいい日には2人乗れるが、悪天候の日には1人しか乗れない船(Ship)」
 何もない時に仲よくするのは当たり前で、問題はなにか起きた時にどういう態度を取るかで、その時に「友情」が問われる。

 同じように人は真価を問われる時がある。
それは重要な決断をしなければならない時だ。
例えば平沼赳夫氏は郵政改革法案に反対し、自民党を離党した。
その後、郵政反対で離党した元自民党員達が次々に復党していったが、平沼氏は最後まで筋を通し自民党に復党することなく、先頃新党「起ち上がれ日本」を結党した。
 ほかの離党者と同じように復党していれば、政権の中枢で活躍できたと思われるが、彼はそれをしなかった。
政治家として筋を通したわけだ。
最近このような政治家が少なくなった。
目の前にぶら下げられれば、それが「毒まんじゅう」でも人参と勘違いし、喜んで食べる輩ばかりだ。

 そう嘆いていたら、最後まで筋を通した政治家がもう一人いた。
社民党の福島党首である。
彼女は土井たか子元党首譲りの「ダメなものはダメ」というタイプで、安易な妥協を一切しない、今どき珍しく筋が通った政治家だ。かといって頑固一徹ではない。

 例えば今回の普天間問題で色々いわれているが、終始一貫ブレてないのは福島氏である。
民主党内の多くの議員は政権を取る前と後では言うことが変わっている。
もちろん一切変えてはいけないというのではない。
だが、重要な政策をコロコロ変えるのはおかしい。
それが党首・首相ともなればなおのことだ。

 鳩山首相は選挙前にあれだけ「沖縄の米軍基地は国外、最低でも県外移設」と言い、沖縄で圧倒的な票を獲得してきたのである。
それをいまさら「勉強すればするほど沖縄基地の重要性を認識した」と、辺野古に基地移設では、沖縄県民ならずとも怒るのは当たり前だろう。
 「勉強」して分かった、と言うのは率直でいいが、それでは政権奪取前には全く勉強していなかったのか、ということになる。
なんとも情けない人が首相になったものだ。

 おかしいのはマスメディアもだ。
この国のマスメディアが「ワイドショー」的になって久しいが、メディアとしての自覚も骨もない。
「少数党の社民党に与党が振り回されるのはおかしい」というような論調を流し続け、今回の問題でも「頑固な福島氏」というイメージを視聴者に植え付けるような報道ばかりを流している。
 人により政党や人に対する好き嫌いはあるだろうが、人の判断は好き嫌いでやるものではない。
個人的なことを言えば、平沼氏は好きな政治家ではないし、彼の主張する政策には賛成する点が非常に少ない。
 しかし、だからといって平沼氏をいい加減な政治家だとは思ってない。
冒頭に書いたように、今どき数少ない「筋を通す政治家」として評価している。
 福島社民党党首は平沼氏からすれば年齢はずっと若い。
福島氏ぐらいの年齢の政治家で、ここまで筋を通す政治家がいるだろうか。
かろうじて岡田外相が近いが、他には見当たらない。少なくとも私は知らない。
少なくともマスメディアはそうしたことも含め報道すべきだろう。

 それにしてもこの国の首相はどうなっているのか。
どうしようもない「お坊ちゃん」安倍首相の次は「漢字が読めない、日本語を知らない」麻生首相で、今度こそましだろうと思えば、「言葉の軽さ日本一」の鳩山首相だ。
 福島大臣罷免より、ご自身が退場するのが「筋」だと思うが、幸夫人のお勧めがないと自分では決められないかな。
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