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居酒屋さすらい 0787 - 悠久なる革命 - 「ぼるが」(新宿区西新宿)

2014-10-04 09:33:42 | 居酒屋さすらい ◆東京都内


「ぼるが」という店名に、名物「ばん焼き」。
おおいに異国情緒を掻き立てる、その居酒屋は、

西新宿の小田急ハルクの裏手にある。蔦が絡まる古民家風の店舗は存在感があり、多くの人の記憶に刷り込まれている。

その日、野球観戦でもないのに、何故か新宿で会うことになったわたしとUちーさんは、飲む場所のアイデアに乏しく、一瞬脳裏に閃いた「ぼるが」を訪れることにした。

建物に書かれた「ぼるが」の文字の下、見馴れない文字列がある。恐らく、ロシア語だろう。やはり、「ぼるが」とは、ロシアに関連した何かであった。

「ぼるが」。
不思議な語感。
「ばん焼き」とはなんだろう。
店の店頭で焼かれる炉は、煉瓦で囲まれ、いかにも、「ぼるが」と「ばん焼き」の特殊性を際だたせてくれる。

だが、その謎めいた符丁は、店に入ると見事に霧散霧消する。
店内、メニューとも純和風なのだ。

ただ、ドリンクメニューに「ウォッカ」(700円)とあり、ここは「ばん焼き」で、一杯飲るのが、オツなのだろうと思った。

だって「ビンビール」は900円もするのだから。
え?
この値段、なんのビールだろうか。もしかして、ロシアのビールか?いやいや、もしそうだとしたら、むしろその銘柄を短冊に記すだろう。 残念なことに、その探求心は真意を知ることなく、忘れ去られてしまう。


衝撃的な「ビンビール」の隣の短冊には、「生ビール」が500円と記されている。我々は、その落差に唖然とする。

気になる「ばん焼き」は、なんのことはない。焼き鳥、焼きとんであった。

だが、煉瓦の暖炉で焼かれた、この「ばん焼き」は格別だった。じっくりと中まで柔らかい肉のうまさは、遠赤に拠るものだろう。
せの上に、ややドロ系の黒っぽいタレがかかる。
われわれは食べる度に「ぼるが」と連呼する。
何故か分からない。だが、そう叫ばざるを得ないのだ。
もしかすると、「ぼるが」とは、うまい肴にありついた時の心の叫びなのかもしれない。

勢いを駆って、「煮込み」(500円)と「ポテトサラダ」(500円)に触手が伸びる。
そう「ぼるが」の酒肴は全て500円なのだ。
このメニューを見ただけで、店のクオリティは計られる。何故ならば、この居酒屋基本メニューこそが居酒屋の考えを体現するからだ。

だが、さすが「ぼるが」。
質・量的に申し分ない。
白味噌ベースのごった煮的「煮込み」は、こってり系。野菜のうま味が出ていて、素晴らしい。

ポテサラも手作りで、しゃっきりしてうまい。
そして、ボリューム感。
この店、完成度が高い。

壁に貼られたメニューは手書き。
そのくっきりとした、ややおどろおどろしさが漂うフォントは、まるでカムイ伝のよう。

ロシア。
ばん焼き。
カムイ伝。

もしかすると、店の店主は60年安保の闘士だったか。すると、この店は革命を体現しているのか。

ボルガの流れ。われわれは知らない。だが、もしかすると、この店の悠久な時間と同様にその流れは湛えられているかもしれない。
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