
時間制のため、2時間こっきりで「い志井」を後にした我々一行は当然まだまだ飲み足りず、Sちゃんが「以前から行きたかった」という店に行くことにした。
Mっちゃんの愛娘、A彩ちゃんと奥様S美さんは、そのまま調布駅で別れ、総勢5人が、ぞろぞろと調布駅を背にして北へ向かったのだった。
夕方から降り始めた雨はもう止んでいたが、路面は濡れており、幾らか肌寒い。
駅を少し離れただけで、繁華な雰囲気はなくなり、住宅街に様変わりする。辺りは薄暗くなり、ほろ酔いにはちょうどいい。
甲州街道にぶつかり、ほんの少しだけ西に行くと、風変わりな店に辿り着いた。
どうやら、この店がSちゃんの「気になるお店」らしい。
焼酎バー。
普段はそんな洒落た店など見向きもしないので、入ったことなど当然ないわけで。。。(などと急に黒板純のようにしどろもどろになる俺)
「へぇぇ」
と、その空間アートのような原色を使った壁にまず驚きとため息。トタンのような螺旋階段に驚嘆し、焼酎を扱いながらこの店、全くもって和のインテリアの欠片も感じられず、ほとんどの洋のドライな空間があるのに、またしても驚きの声を発する熊猫なのであった。
1階のカウンター席では、数組のカップルがそれぞれの世界に没入するなか、我々はトタン板のような螺旋階段で2階にあがり、テーブル席に腰掛けた。背後の掘りごたつのような空間には女性たちのパーティが、その下の隠れ家みたいな中二階にも若い女性がくつろいでいる。我々の隣にも焼酎の薀蓄を語る熟女2人が陣取っている。
いやはや恐るべし。普段はおっさんたちがこぞって群がる店ばかり入っていたせいで、こんな世界があるのだナ、と最年長のおっさんはひとりごちるのであった。
さて、何を飲もうか。
皆はそれぞれ注文している。Sちゃんにいたっては速攻で注文。さすがはちょいロク(ちょいロクデナシオヤジ)。適当なものを頼むより、ここはお店の方に「お奨め」を聞くのが一番だ。薄暗がりの中でお店の若いお兄さんに「麦で香りがいいもの」と頼むと、お兄さんがすかざず、「釈云麦」と返してきた。
「おっ!」
と思わず声をあげてしまった俺。
いやぁ、やっぱ並の酒ではなかったのだな、「釈云麦」(西吉田酒造)。
昨年行った森下の酒場「蔵」(居酒屋放浪記NO.0039)で、超美人のお姉さんがお奨めしてくれた麦焼酎。香ばしい香りが鼻に抜けていく、独特の風味は、昨年の焼酎アワード(そんなのはないけれど、今年からアワードに追加しようかな)に文句なしに選ばれた逸品だ。
その後、楽天の商店街で1本買った後は売り切れてなかなか買えなかった幻の酒と まさかここで再会するとは・・・。
間髪いれず、俺は「釈云麦」を水割りで頼む。
やがて、お洒落なグラスで、それが運ばれ、俺がグラスを手に持つとカラカラと氷がグラスを回りながら、芳醇な香りが鼻腔をくすぐった。
この香り。
これこそ、「釈云麦」の醍醐味。
そして、口に含み、下にのせると、ふわ~っと広がるコク。
ここで何か彦麻呂のように気がきいたことでも言えればいいのだが、何にも言葉が浮かんでこない。
鼻、舌、そして五臓六腑に沁みいるように「釈云麦」は体に溶けていった。
ところで、その頃、ちょいロクオヤジが飲んでいる焼酎といえば、これがまたも驚き、焼き芋焼酎「鬼火」(田崎酒造㈱)。
何ですって?
焼き芋?
そんなの、ありか?
Sちゃん曰く「なかなかうまい」と。
し、しかし、焼き芋って。
とにかく、「釈云麦」をしっかりゆっくり堪能して、杯を乾し、今度はその焼き芋ってやらを試してみようと「鬼火」を注文したのだった。
しかし、考えてみれば、俺とSちゃんは以前から変わった焼酎を飲んできた気がする。もう、数年も前になるが、溜池の某店で、今では珍しくもなくなった、しそ焼酎の鍛高譚(合同酒精㈱)をよく飲んだし、昨年も新橋で飲ったとき(居酒屋放浪記NO.0032)は俺、牛乳焼酎、「牧場の夢」(大和一酒造元)を飲んだっけ。
そして、今度は焼き芋か。
それも、また人生だな。
しかし、この「鬼火」を侮ってはいけない。
これがまたうまかった!
確かに焼き芋の香りがほのかにするのである。
「鬼火」を作る田崎酒造㈱によると、「芋焼酎造りは、麹もろみに芋を蒸して仕込むが、蒸し芋のかわりに焼き芋を加えて独特の香りと甘味を引き出す」という。
うぅむ、なるほど。どおりで焼き芋の味わいがするわけか。
芋焼酎独特の癖はなく、甘みがあって、コクがある。
香りも豊かで実に飲みやすい。
この焼き芋焼酎、実に気に入った。
よく昔は、あまり好きでもない洋酒を飲みにショットバーに行ったものである。
チョコレートとバーボンで気取ってはいたけれど、実はあんまり「うまい」とも感じず、ただただ格好つけるためだけに、足しげく知った顔して店に通っていた。
だが、こうして焼酎バーなるものが、あると少し心が騒ぐ。
ホントに好きな酒が分かってきたこの頃、焼酎バーなるものもいいかな、と思うおっさん35歳なのであった。
Mっちゃんの愛娘、A彩ちゃんと奥様S美さんは、そのまま調布駅で別れ、総勢5人が、ぞろぞろと調布駅を背にして北へ向かったのだった。
夕方から降り始めた雨はもう止んでいたが、路面は濡れており、幾らか肌寒い。
駅を少し離れただけで、繁華な雰囲気はなくなり、住宅街に様変わりする。辺りは薄暗くなり、ほろ酔いにはちょうどいい。
甲州街道にぶつかり、ほんの少しだけ西に行くと、風変わりな店に辿り着いた。
どうやら、この店がSちゃんの「気になるお店」らしい。
焼酎バー。
普段はそんな洒落た店など見向きもしないので、入ったことなど当然ないわけで。。。(などと急に黒板純のようにしどろもどろになる俺)
「へぇぇ」
と、その空間アートのような原色を使った壁にまず驚きとため息。トタンのような螺旋階段に驚嘆し、焼酎を扱いながらこの店、全くもって和のインテリアの欠片も感じられず、ほとんどの洋のドライな空間があるのに、またしても驚きの声を発する熊猫なのであった。
1階のカウンター席では、数組のカップルがそれぞれの世界に没入するなか、我々はトタン板のような螺旋階段で2階にあがり、テーブル席に腰掛けた。背後の掘りごたつのような空間には女性たちのパーティが、その下の隠れ家みたいな中二階にも若い女性がくつろいでいる。我々の隣にも焼酎の薀蓄を語る熟女2人が陣取っている。
いやはや恐るべし。普段はおっさんたちがこぞって群がる店ばかり入っていたせいで、こんな世界があるのだナ、と最年長のおっさんはひとりごちるのであった。
さて、何を飲もうか。
皆はそれぞれ注文している。Sちゃんにいたっては速攻で注文。さすがはちょいロク(ちょいロクデナシオヤジ)。適当なものを頼むより、ここはお店の方に「お奨め」を聞くのが一番だ。薄暗がりの中でお店の若いお兄さんに「麦で香りがいいもの」と頼むと、お兄さんがすかざず、「釈云麦」と返してきた。
「おっ!」
と思わず声をあげてしまった俺。
いやぁ、やっぱ並の酒ではなかったのだな、「釈云麦」(西吉田酒造)。
昨年行った森下の酒場「蔵」(居酒屋放浪記NO.0039)で、超美人のお姉さんがお奨めしてくれた麦焼酎。香ばしい香りが鼻に抜けていく、独特の風味は、昨年の焼酎アワード(そんなのはないけれど、今年からアワードに追加しようかな)に文句なしに選ばれた逸品だ。
その後、楽天の商店街で1本買った後は売り切れてなかなか買えなかった幻の酒と まさかここで再会するとは・・・。
間髪いれず、俺は「釈云麦」を水割りで頼む。
やがて、お洒落なグラスで、それが運ばれ、俺がグラスを手に持つとカラカラと氷がグラスを回りながら、芳醇な香りが鼻腔をくすぐった。
この香り。
これこそ、「釈云麦」の醍醐味。
そして、口に含み、下にのせると、ふわ~っと広がるコク。
ここで何か彦麻呂のように気がきいたことでも言えればいいのだが、何にも言葉が浮かんでこない。
鼻、舌、そして五臓六腑に沁みいるように「釈云麦」は体に溶けていった。
ところで、その頃、ちょいロクオヤジが飲んでいる焼酎といえば、これがまたも驚き、焼き芋焼酎「鬼火」(田崎酒造㈱)。
何ですって?
焼き芋?
そんなの、ありか?
Sちゃん曰く「なかなかうまい」と。
し、しかし、焼き芋って。
とにかく、「釈云麦」をしっかりゆっくり堪能して、杯を乾し、今度はその焼き芋ってやらを試してみようと「鬼火」を注文したのだった。
しかし、考えてみれば、俺とSちゃんは以前から変わった焼酎を飲んできた気がする。もう、数年も前になるが、溜池の某店で、今では珍しくもなくなった、しそ焼酎の鍛高譚(合同酒精㈱)をよく飲んだし、昨年も新橋で飲ったとき(居酒屋放浪記NO.0032)は俺、牛乳焼酎、「牧場の夢」(大和一酒造元)を飲んだっけ。
そして、今度は焼き芋か。
それも、また人生だな。
しかし、この「鬼火」を侮ってはいけない。
これがまたうまかった!
確かに焼き芋の香りがほのかにするのである。
「鬼火」を作る田崎酒造㈱によると、「芋焼酎造りは、麹もろみに芋を蒸して仕込むが、蒸し芋のかわりに焼き芋を加えて独特の香りと甘味を引き出す」という。
うぅむ、なるほど。どおりで焼き芋の味わいがするわけか。
芋焼酎独特の癖はなく、甘みがあって、コクがある。
香りも豊かで実に飲みやすい。
この焼き芋焼酎、実に気に入った。
よく昔は、あまり好きでもない洋酒を飲みにショットバーに行ったものである。
チョコレートとバーボンで気取ってはいたけれど、実はあんまり「うまい」とも感じず、ただただ格好つけるためだけに、足しげく知った顔して店に通っていた。
だが、こうして焼酎バーなるものが、あると少し心が騒ぐ。
ホントに好きな酒が分かってきたこの頃、焼酎バーなるものもいいかな、と思うおっさん35歳なのであった。
ホントに「いもいも」って感じの。
でもそういえば、ここ1年以上は焼酎飲んでないかも!!
浮気はしない性質です(笑)。
これからは、いろいろ試してみたいと思います。
最近、「氷結」とか「-196℃」とか、需要が多くなるにつれ、CMもいっぱいやっちゃってたりして、そういうものを飲む機会が私熊猫増えたりしています。
そういう誘惑にまき子さんは心揺れませんか?
揺れないですよね。日本酒一筋ですもんね。
揺れてたりしたら、「まき子の酒」の大勢の読者はがっかりしていまいますよね。
でも、ここだけの話し、ホントはどうなんですか?