トンネルを抜けると、そこは雪国だった。まさにそんな感じ。それはまさに衝撃だった。
扉を開けたら、全く客がいなかったから。
土曜日の昼下がり。横殴りの大雨。東京は爆弾低気圧に見舞われた。仕事を終えて「光栄軒」に。満席ではないにしろ、ある程度、お客さんはいるだろうと踏んでいた。だが、扉の向こうにお客さんは皆無だった。
マスターは「貸し切りだよ」と言い、ママは「ゆっくりしてって」と声をかけてくれた。どの席に座っていいか分からず、適当な椅子に腰掛けた。
「紹興酒」。
そして、これ。一品ではなく、スタートから2品。これを用意する前、マスターはコンロに火を点けた。一時的にせよ、厨房の火が消えていたのだ。
こんな「光栄軒」ははじめてだ。
茄子と豚肉のあんかけ煮。
うまい。時々、ひざげりさんのブログで、これを見かけるが、自分ははじめて。これが絶妙にうまい。いや、もう一品の「棒棒鶏」も抜群にうますぎ。これだけで腹いっぱいになってしまうのではないかと、まずは心配になった。
マスターとママと、たくさん話をした。仕事のこと、家族のこと、お店のご近所さんのこと。それはそれは、濃密な時間だった。普段は満席の客の中で、一言、二言の世間話をする程度。お店の人とのおしゃべりは本当に楽しい。
雨はますます激しくなり、風も強い。
「これはちょっとした台風だね」とマスター。4月中旬の春の日の爆弾低気圧。
ママは先週とは違うマスクを着けている。かわいらしい生地の手作りマスク。
「2枚もらったのよ」。
やがて、一人の客が来店すると、堰をきったように、少しずつ店は賑やかになっていった。いつしか、「光栄軒」はいつも通りの風景に。束の間の貸し切り状態。
気がつけば、外は少しずつ日射しが射してきた。まるで、本当に台風一過のよう。
「半炒飯」で〆。
酒と料理も満足だが、マスターとママとの会話に心が洗われた。仕事が終わらない苦しい日々だけど。激しい風雨はすっかり小雨になり、帰路へ。嵐のさなかのひとつの灯火。雨はいつかは止む。トンネルを抜けたらそこは?
唄を口ずさみながら帰った。
〽️When you walk through a storm
Hold your head up high
And don't be afraid of the dark
At the end of the storm
There's a golden sky
And the sweet silver song of a lark
Walk on
Through the wind
Walk on
Through the rain
Though your dreams be tossed and blown.
You'll Never Walk Alone
ジェリー&ザ・ペースメイカーズですか(^o^)/
渋いですねぇ、プレスリーも歌ってましたね♪
お客さんがだれもいなかったので、これは事件だと。
大雨とコロナのいずれの要因だと思います。
「You'll Never Walk Alone」は仕事がつらい時、歌います。
仕事が今日で終わるというときは、泉谷しげるさんの「春夏秋冬」を歌い、自分を鼓舞します。