
京都に転勤していたMJが東京に戻ってきた。7年ぶりの帰還。そうか、もうそんなになったか。MJは東京に出張する度、連絡を寄越し、飲みに行ったが、ボクは京都でMJと会ったのは、たった一度だけだった。ともあれ、仲間が戻ってきたのは嬉しいことである。
久しぶりに新橋に繰り出した。けれど、新橋には適当な酒場が実は少ない。酒場は星の数ほどあるけど、これだ!という酒場はあまりない。
この日も烏森界隈をあてもなく探した。けれど、適当な店が見つからない。もはやこれまでかと「もつ焼き カミヤ」か「加賀屋」に照準を合わせて歩いていると、活気のあるエリアに出た。店舗の外にあるスペースで、わいわいと酒を飲んでいる。MJはそれに呆気にとられ、「ここはどう?」と聞いてきた。
ボクはもう早く何かを飲みたかったから、とりあえず「いいね」と言った。実は、心の中では、「うわぁ、水産系か」と、ちょっとがっかりしていたのだ。
今や、どこの盛り場でも見かける水産系酒場。やれ安いだの、やれ24時間営業だの、やれ漁協直送だの、従来の流通や手法を変えて数年前から、ちょっとしたブームを巻き起こしている。何回か行ってみたりしたけど、どこも満足できるものではなかった。流通の中抜きを行うビジネスモデルは面白いけれど、店舗戦略は硬派ではなかった。ある水産系酒場では、女性の店員さんに浴衣を着させて営業を行っている。なんだか軽すぎて、どうにも落ち着かない。だから、ボクはそんな水産系が嫌いだった。
「丸富水産」は、そんな従来の水産系とは違って見えた。浮わついていないのだ。今日は、MJの東京勤務復帰の祝いだ。MJの行きたい店に行くか。そう思って、「丸富水産」に入った。
ビールケースを積み上げて作ったテーブル。最近、こういう店がやたらと多い。きらいな訳ではないが、二番煎じだろと思ったりもする。はじめは活気のある店だなと思ったけど、オープンエアという環境も相まって、次第に騒々しく感じる。段々、自分は、このような店に体が受け付けなくなってきたことを自覚した。
メニューを開いた。
ほぅ、大相撲の番付みたいな趣向になっている。刺し盛りは「大関」、「小結」とある。
へぇ。
まずは「生ビール」(500円)。アサヒスーパードライ。この価格はちょっと高い。
刺し盛り「小結」をオーダー。
赤身に、たこ、牡丹えび、アジに、スズキだろうか。あと貝もついている。いわゆる5品盛り。これで1,280円は、決して安くない。ただ、クオリティは悪くなかった。従来の水産系はある意味、安かろう悪かろうというイメージがあった。でも、この「丸富水産」は、仕入れは悪くないようだ。
メニューは基本、海鮮が中心。
「〆鯖」、「アジフライ」、「なめろう」などなど。ちょっと、解せないのが、「漁師のじゃがバター」。とってつけたかのような名称に、ちょっと苦笑い。つまみの中心は400円台だ。全体的に安くはないという印象。これらを一通り頂いた。うん。悪くない。いや、おいしい。
「ホッピーセット 白」は520円。「ナカ」230円。
たかっ!
「酎ハイ」は390円。どっちにしようか悩んで「ホッピー」に。
ただし、どうやらナカはキンミヤらしい。しかも、キンミヤはボトルでも販売している(値段は失念)。
後で知ったのだが、この店は、フーデックスが運営しているとのこと。あの「かぶらや」の会社だ。しかし、おかしい。「かぶらや」で焼酎を飲むと、きまって頭が痛くなるのに。「かぶらや」はキンミヤじゃないのか。
結論。値段は高いがネタはいい。
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