ぼくも何だかすべてを忘れてしまうよ（仮題）

噂なんかさ、たいていは当たらないものって思っているけれどね。
どうにもこうにも、自分ではどうしようもないことが、自分の知らないところで起こっているんだから、たちが悪いよ。

目には見えないものが過去の時間と今の時間が交錯する十字路にたって、おびただしい人の感情に流されていくのがよく分かる。誰もが多分それに気が付いているはずなんだけれど、でも誰もそれには知らん顔をしているみたい。
それがいつも現実に起きているんだから。

ボクがそれを誰彼ともなく言うと、呆れたような顔をして話しを遮ろうとする。そうするとまたボクはムキになってついつい意地悪な口調で言ってしまうんだ。
「本当はその流れからはみ出してしまいたんだろ？」って。
濡れたまつげのまま、まっすぐにボクを睨む顔を見ていると、その真摯な目をそれ以上傷付けたくないって心から思うんだ。