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居酒屋さすらい 1851 - 上野のお山に隠れ家あり - 「韻松亭 (いんしょうてい)」(台東区上野)

2021-11-25 21:17:56 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

H部さんと打ち合わせを終え「王城」を出た。

「さて、熊猫さんの独立祝いをしに行きましょう」。

「いや、お祝いだなんてそんなのいいですよ」。

「行きましょう」。

「いやお気持ちだけいただきます。今日は普通に飲みましょう」。

そんなやりとりがしばらく続く。とりあえず、以前からH部さんと「行こう」と約束していたアメ横の「夜行列車」に向かった。すると、突然思い出したようにH部さんが言った。

「もしかして火曜日って『夜行列車』、休みじゃなかったっけ」。

調べてみると、確かに「夜行列車」は休みだった。

「ならば、あそこにしよう」とH部さんはすかさず電話して席を予約した。いくつもの引き出しがあるらしい。H部さん、さすがだ。

「どこへ?」

「韻松亭」。

「知らないなぁ」。

「『精養軒』の手前にあるんですよ」。

確かに「精養軒」に続く道の手前に古い建物があることは知っている。けれど、あそこはてっきり甘味処だとばかり思っていた。

甘味処もあるが、奥に懐石料理があるのだという。

道すがら話しを聞くと、その「韻松亭」は開業から130余年。建物も戦災を免れたらしく、一世紀以上の歴史があるらしい。知らなかった。ただ、H部さんが言うにはコースで料理を頼むと、食べきれないボリュームの料理が出てくるらしい。「王城」で「ホットケーキ」を食べた今、果たして「韻松亭」が得策なのか。一抹の不安がある。

お店は自分が思っていた甘味処だった。しかし、その重厚な扉を開くと、自分の全く知らない世界が現出した。こんな世界があったのかという上野の奥座敷。我々が通されたのはカウンターながら、ゆったりした雰囲気で、中庭がすぐそこに迫る素晴らしい景観の席だった。思わず感嘆の声が出てしまった。一枚板の落ち着いたカウンター。窓の向こうはライトアップされた庭と、その向こうには都会とは思えない闇。闇の方角は不忍の池だ。

静かな雰囲気。いつも上野の山の下で飲んでいる者にとっては、まるで別世界である。この日は「夜行列車」の予定だったから日本酒モード。まずはお酒の熱燗からオーダー。

「今夜は熊猫さんのお祝いですからね!」

またもや釘を刺されてしまった。

そしてお酒と一緒に出てきたお通しが物凄かった。お祝いしてもらうのに写真なんて撮っては失礼だろうと撮影は自重した。だから飲食の画像は一切なしである。

「コース、どうですか?」とH部さん。

デフォルトで食べきれないのだから、さっき「ホットケーキ」を食べてしまった者としてはきついか。

「単品でお願いします」と自分。

ならばと、H部さんは刺し盛りをオーダーした。値段は4,000円近く。その刺し盛りはネタもよければ、出てきたお皿も凄かった。長さ80cm近くもの皿。全てが全てに驚かされる。

H部はんとは懐かしい話しをたくさんした。

盛岡で酒場を3軒梯子して集合時間に遅れたこと。札幌出張でH部さんは廃止が決まっていたカシオペヤに乗って来たこと。福井で仕事が終わり、H部さんは京都の自宅に戻ることになり、じゃ自分も京都に行くかなと、おかしな展開になったこと。挙げればキリがない。あの頃は気楽で楽しかった。今、H部さんは労組の委員長から副部長になった。そして自分はフリーランスに。

H部さんが喫煙をするというのでベランダに出てみた。東京の街中とは思えない風景。向こう側に見えるビルは池之端だろう。

お酒もおいしく、刺し盛りも最高で雰囲気も抜群。確かに高価なお店だけど、全く手が出ないという訳でなく、そこがいい。

お祝いだなんて柄じゃないし、恥ずかしいけど嬉しかった。H部さんに感謝。

ありがとう。

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