記者駆け出し時代に勤めていた会社が引っ越しをし、打ち合わせがてら出掛けてみた。この会社は移転が多い。しかもずっと南下を続けているのである。自分が入社した時は芝大門に会社があった。内観がシャレオツなインテリジェントビル。ここで約1年仕事をした。だが、程なくして会社の経営がおかしくなったことを感じた。何人かの社員が去り、小さな所帯になった。それを機に会社は2軒隣のボロい建物に移転した。約20mの南下である。ここでまた1年を過ごした。するとまた経営が厳しくなった。そこで会社はグループ会社の一角を間借りすることになった。芝大門から蒲田への移転である。ここで2年を過ごした。そして一人また一人と仲間は去って行った。あの当時、自分は30歳だったが、夜9時まで働いても年収は税込み360万円もいかなかった。しかも、社員に厳しくハッパをかけた副社長は会社の金を使い込んでいた。横領は大した金額ではなかったが、額の問題ではない。そんな時、同業他社の仲間から声をかけられた。
「一緒にやらないか」。
迷うことはなかった。
そんな複雑な事情がある古巣の会社だが、今またお仕事をいただく機会に恵まれている。こないだ、その当時の社長と再会し、あの頃の非礼を詫び、育ててくれて今があると感謝の言葉を伝えた。
打ち合わせが終わったのが15時。鶴見はなかなか来る機会がない。どれ、ちょっと散策するか。なかなか興味深い街だった。京急も通っているから、結構ごちゃごちゃしている。一軒の立ち飲み屋を見つけた。黄色いテントが疲れていて、期待が持てそう。ただ、まだ準備中だった。店頭を覗いた時、お店の人と目があった。とっさに「何時からですか」と聞くと、「16時から」だという。まだ30分もある。さて、その時間をどう過ごそうかとぶらぶらした。JR駅からの東側を歩くと盛場に出た。韓国の方々のスナックが軒を並べていた。ちょっとしたコリアンタウンである。立ち飲みはないかと探したが、店はなかった。駅に出たところで、立ち飲み屋を見つけた。店の名は「とんちゃん」。さっき行った店は「とっちゃん」。随分紛らわしい名前だ。その「とんちゃん」は、既に開店している。余程、「とんちゃん」に入店しようかと悩んだが、結局入らなかった。
うろうろして16時過ぎ、「とっちゃん」に戻り、店内を覗くともう3人の客が入っていた。だって今16時を5分ほど回ったところ。その5分間で、このまったりぶりって。
自分は一見だから、カウンター手前にポジションした。そして「ホッピー」白（390円）をオーダーし、ようやく一息ついた。
「マカロニサラダ」をオーダー。
すると、女性の店員が胡椒をかけますかと尋ねた。よく分からなかったが、とりあえず「お願いします」と言った。すると、こんな山盛りのマカサラが出てきた。
これで200円か。そして確信した。この店、当たりだなと。そして一本90円の焼き物をオーダー。ハツとねぎまを2本ずつ。これも旨かった。
「とっちゃん」のマークというか、アイコンがユニークだった。土方っぽいお兄さんがティアドロップスのサングラスをしているキャラクターである。このキャラがとっちゃんなのか。
「おかわり焼酎」（190円）をいただき、「レバー」を追加。焼き方は微妙にレアだったりするのだが、これはこれでいい。
駅前の「とんちゃん」に入らず、「とっちゃん」の開店まで待って良かった。うまいし、安いし、雰囲気もいい。お店の若い女性店員は美人だし。
厨房の奥に黄色いポスターが見える。内容は「挨拶をしよう」。一体なんの標語か。ジョークなのか、真面目なのかも判断出来ない。ただ挨拶をしようと書かれた下に記載されている各論は至って真面目なものだった。居酒屋によくあるオヤジの小言とは違う、奇妙ではあるが「へぇ」と思わせるポスターだ。
メニューにホルモン焼きがある。辛味で仕上げているらしい。コリアンタウンがある鶴見らしいつまみだと思った。頼みたかったけれど、実は腹具合があまりよくないので、この日はやめた。また次回にしようと思う。
お会計は1,600円。先に会計して出て行った常連さんは900円台で、それには及ばなかったが、うまくまとめられた。「とっちゃん」は久しぶりのヒットだった。
ホッピーお好きですねぇ。自分は飲んだことないんですよ。
鶴見って桜木町よりも東京寄りにあるのに何故か行かないんですよ。ジャンさんも1回だけですか。自分は初めてです。
曹洞宗の本山、総持寺があるのに。
大鶴見食堂、気になりました。次回かその次の候補にしています。
こういうお店ではほぼホッピーです。どういう焼酎を使っているかとか興味があります。