成田と職場を往復する毎日でひとつだけ困ったことがあった。
風呂に入れないことである。
病院には付き添いが入れる風呂はなく、前回の当欄で説明したように成田駅周辺には銭湯がない。どこでお風呂に入ろうかというのがこのときのボクの課題だった。
真夏だったので汗もかく。1日風呂に入らないと、それだけで気持ちが悪かった。
そこで、考えついたのが、職場の近くで風呂に入ることである。
幸い、会社の近所には名銭湯の誉れ高い「燕湯」があった。しかもこの銭湯、昼間でも開いているのである。ボクは会社の昼休みを利用して、「燕湯」に入ることにした。
午後1時の「燕湯」には誰もいなかった。
貸し切り状態。
がらんとした広い風呂にひとりぽつんと風呂にはいる開放感は格別のものがあったが、それよりも会社の昼休みに銭湯にいるという極めて非日常的な感覚がボクにとっては楽しかった。
日本広しといえど、会社の昼休みに飯を食べず、銭湯にいる人間て果たしてどのくらいいるだろうか。
湯船に浸かりながら、ボクはそんなことを考えた。
「燕湯」は2回目である。
東京都心にこれだけ風情のある銭湯も珍しい。メインの湯船には鬼押し出し風の岩がある。
お湯は東京の銭湯らしく熱い。
仕事で緊張した身体が少しずつ柔らかくなっていくのが分かる。それだけでなく、気持ちがリラックスしていく。脳も銭湯の浴場と同じようにカコーンと洗面器の響く音がする。
身体を丹念に洗い、頭を洗う。
なんて贅沢な昼休みなのか。
50分間、ゆっくりと風呂に浸かると、指の皮みたいに、心もふにゃふにゃになった。
さぁ、午後もがんばろう。
拙ブログでは、「昼飲み」好きの方が、多く訪問していただいている。
これからは昼風呂でもムーブメントを起こしていきたい。
貸切状態の昼の陽を浴びての銭湯。気持ち良さそうだな。
ちょくちょく昼風呂をしようと思っていたけど、実はこの後やっていないんだよね。
来週あたり、久しぶりにやってみようかしら。